Q&A17
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【1】
相談@中学1年生の母から(静岡県教育委員会発行雑誌「ファミリス」より(2010年))

 中学で初めてのテストで思うような結果が出ず、すっかりやる気を失った息子に、「目標があ
ったからがっかりするんだよ。目標に近づけるようにがんばろう!」と話したところ、「直前に詰
め込むのでなく、毎日がんばるぞ!」と言ってくれたのもつかの間、次の日にはやっぱりお楽し
みが先になって、お勉強は忘れられ……。子どものやる気を長続きさせるよい方法は、何かな
いでしょうか。
(静岡市・HA)


A:『親は海。子どもは船』。こういうときの鉄則は、動揺しないこと。親が動揺すればするほど、
子どもは不安定になり、落ち着いて勉強に集中できなくなります。目標といってもこのケースの
ばあい、それは親の目標であって、子どもの目標ではないということ。親の目標を子どもに押し
つけてはいけません。「目標」という言葉を使って、あなたは子どもを自分が望む方向に誘導し
ているだけ。
 中1といえば、すでに思春期。『自我の同一性』の構築を始める大変重要な時期です。子ども
がどういう未来像を描いているか(=自己概念)を知り、それを側面から応援していきます。
が、たいていのばあい子どもの描く未来像は、親の希望とはちがったものです。そのためこの
先、親子の間で長くて苦しい葛藤がつづきます。つまり子どもは親の夢や希望をひとつずつ潰
しながら、成長していきます。それともあなた自身は、親の希望通りの「娘」になりましたか。
で、第二の鉄則は、『最後まで子どもを信ずる』です。子どもがどんな道を選ぼうとも、あなたは
子どもを信じます。そして子どもにはこう言います。「お母さんは、あなたがどんな道を選んで
も、あなたを信じていますからね」と。
 子どもはこうして現実の自分を作り上げていく。つまり自我の同一性を確立していきます。や
る気(自発的行動)はあくまでもその結果として生まれるものです。







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【2】
相談A小学2年生の母から(静岡県教育委員会発行雑誌「ファミリス」より(2010年))

 毎日、学校から帰ってすぐ遊びに来る子に悩んでいます。遊ぶなら宿題を終えてからにさせ
たいので、その子と宿題を一緒にさせたり、遊びに来るなら一時間くらい後に来てほしいとその
子に伝えたこともありますが、わかってくれていないようです。
 親御さんは仕事で遅いらしく、なかなか連絡がしにくいです。いい方法はないでしょうか。
(浜松市・MH)


A:夜、寝る前になってあなたの子どもが、宿題をやっていないと言ったら、あなたはどうします
か。@いっしょに宿題を片づけてやる。A「明日、学校で先生に叱られてきなさい」と言って、寝
させる。
 「自由」とは、もともと「自らに由(よ)る」という意味です。子育てについて言えば、「由らせ
る」。「自分で考えさせ」「自分で行動させ」「自分で責任をとらせる」です。その自由が子どもを
自立させます。
こういうケースのばあい、言うべきことは言い、あとの判断は子どもに任せます。小2といえば、
その自覚のある子どもは、どんなに忙しくても時間を見つけ、宿題(勉強)をします。そうでない
子どもは、いくら親がお膳立てをしても、つまり時間を作ってあげても、宿題をしません。仮に相
手の子どもが1時間あとに遊びに来るようになっても、宿題はしないでしょう。相手の子どもの
親に相談しても、無駄です。そういう点では、あなたの家庭教育はすでに失敗しています(失
礼!)。自分の子どもが宿題(勉強)をしないことを、相手の子どものせいにしてはいけません。
 過保護ママと依存性ベタベタの子ども。この相談の向こうに見えるのは、そんな母子関係で
す。それを是正するためには、心を鬼にして、先のAのような親をめざしてください。子どもは
小3前後を境に、急速に親離れを始めます。今のあなたにとって大切なことは、「いかにうまく
子離れするか」です。






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【3】
相談(1)小学2年生の父から(静岡県教育委員会発行雑誌「ファミリス」より(2010年))

 小学2年生の息子に「目標に向かってがんばれる力をつけたい」という思いから、小3の誕生
日までにクリアできそうな課題を設けてがんばらせようかと思っています。課題をクリアできれ
ば、ごほうびは何でも欲しい物を買ってあげるつもりです。
 でも妻から、「ごほうびがないとやる気が出ない子にならない?」と言われて、止めた方がい
いかと迷っています。こういうやり方は、いけないのでしょうか?


A:完全に的はずれです(失礼!)。動機付けの三悪に、無理、比較、条件があります。「課題
をクリアできれば…」は、この中の条件ということになります。よくあるのは、「100点を取った
ら、小遣いをあげる」というもの。
 条件のこわいところは、年齢とともにエスカレートしやすいこと。小学生のときは、1000円の
ほうびでも、高校生になると、10万円になります。
 さらに進むと、条件なしでは、何もしなくなります。物欲と結びつくと、さらにやっかいなことに
なります。それが必要だから、それを求めるのではなく、物欲を満足させるために、それを求
めるようになります。脳の中で、ニコチン中毒と同じようなメカニズムが働くようになります。
で、問題は「課題」の中身ということになります。もしそれが個人的なものであれば、「自分のた
めにする」を徹します。勉強であれば、なおさらです。「勉強は自分のために、自分でするもの」
と。 
 大切なのは、達成感です。「できた!」という実感が、子どもを前向きに引っ張っていきます。
「何でも欲しい物を買ってあげる」? 愚かな育児観は捨てなさい(失礼!)。あのバートランド・
ラッセルは、こう書いています。『限度をわきまえた親のみが、真の家族の喜びを与えられる』
と。






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【4】
 小学4年生の長男のことで相談します。(静岡県教育委員会発行雑誌「ファミリス」より(201
0年))

 私の仕事が忙しく、なかなか相手をしてやれないまま過ごしてしまったのがいけなかったの
か、遊びといえばひとりでゲームばかり、友達と遊んだり外に遊びに行ったりしません。
 先日、「外で遊ばないの?」と聞いたところ、「外で何して遊べばいいの?」と返されて、がく然
としました。このまま、集団で遊ぶ経験もなく成長すると、どんな子になってしまうか不安です。
今からできることは、何かないでしょうか?


A:(相手をしてやらなかった)から(ゲームばかりする)と、短絡的に結びつけて考える必要は
ありません。あなたは父親として、じゅうぶん、その責任を果たしています。たしかに最近の子
どもは、集団で遊ぶということをしません。が、こうした傾向はすでに20年以上も前から始まっ
ていることです。
 で、どんな子どもになるかですが、すでにあなたの子どもは大きな流れの中にいます。その
流れの中で、子どもたちはつぎの世界を創りあげていきます。その流れに対しては、私もあな
たも、無力でしかありません。あえて言うなら、つぎの格言が役に立つでしょう。『子どもを産み
育てるのは母親の役目。狩の仕方を教えるのは父親の役目』(イギリスの教育格言)と。
 つまり社会性の養成と、母子関係の是正。この2つがこの時期の父親に与えられた重要な
使命と考えてください。
 なおゲームについてですが、韓国や中国では、ゲーム中毒が問題にならない日がありませ
ん。そのための矯正プログラムや矯正施設もできています。が、この日本では、野放し。ゲー
ムを批判しただけで、猛烈な抗議の嵐にさらされます。私自身も経験しています。
 ゲームを許すにしても、ある程度の自制は必要です。時間を決めてさせるとか、ゲームの内
容を決めるとかなど。







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【5】
 
 小学2年生の三男は、1年生ときから、「最後までやり遂げようという意志は認めますが、行
動がほかの子に遅れがち」と、担任の先生に面談で言われます。では、実際にどうしたら早く
行動できるようになるのか知りたいです。
 3人兄弟の末っ子で、とてもマイペースな子になってしまったようで、親としてもどうしていいの
かわかりません。(静岡県教育委員会発行雑誌「ファミリス」より(2010年))


A:『欠点を見つけたら、ほめる』です。子どもには、こう言います。「最近、あなたは早くできるよ
うになったわね。先生も、ほめてくれたわよ」と。欠点を責めれば責めるほど、子どもは自信を
なくします。それが悪循環となって、子どもはますますあなたの望むのとは、別の方向に進んで
しまいます。
 また子どもに何か問題を見つけたら、『子どもは家族の代表』と考えます。子どもの問題は、
家族の問題ということです。先生はたぶん、子どもの緩慢行動を言ったのだと思います。が、こ
ういうケースのばあい、まず疑ってみるべきは、あなた、つまり母親の育児姿勢です。子どもが
生まれたときから、何かにつけ、母親がせっかちで、こまごまとうるさいことを言い過ぎた? 
「早く、早く」を言い過ぎた? 「根」が深い分だけ、簡単にはなおらない。…と考えて、「うちの子
は、まあ、こんなもの」と、子どもの特性を認め、あとはあきらめます。『あきらめは悟りの境地』
です。子どもというのは、親がカリカリしているときは、伸びません。が、親があきらめたとた
ん、伸び始めます。子ども自身の心が軽くなるからです。
 どうにもならない問題は、どうにもならない。今は、先生とのリズムが合っていない程度に考
え、あまり深刻に悩まないこと。小学3年生以上になり、自己管理能力が発達してくると、この
種の問題は、自然と解消していきます。






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【6】
 
 小学6年生になった息子は、自己主張が強くなり、親としてうれしい半面、自分が興味をもて
ないこと、(たとえば苦手な教科の復習など)は、頑としてやりません。
「本人の好きなこと、得意なところを伸ばしてやるとよい」とよくアドバイスされますが、6年生の
今からこんなことでは、この先どうなるのだろうと悩みます。
(静岡県教育委員会発行雑誌「ファミリス」より(2010年))


A:「この先どうなるだろう」ということですが、何も変わりません。5年後も、10年後も、今のま
まです。あるいはあなたはいったい、あなたの子どもを、どうしたいのですか。相談を一読し
て、そこに子離れできない母親の姿を想像してしまいました(失礼!)。
 『本人の好きなこと、得意なところを伸ばして…』は、家庭教育の大原則です。ひとつが伸び
ると、その相乗効果で、ほかの部分(科目)も伸びてきます。大切なことは、子どもに一芸をも
たせること。「これだけは人には負けない」というのが、一芸です。その一芸が子どもの心を支
え、守ります。将来の職業につながることもあります。
 また6年生という年齢からして、いよいよ自我の同一性の確立の時期に入ったと考えてくださ
い。「自分はこうあるべきだ」という自己概念と、現実の自分を一致させる時期です。その構築
に失敗すると、心は無防備状態になり、精神的に軟弱な子どもになってしまいます。非行にも
走りやすくなります。
 また「苦手な科目」というのは、「点数が低い科目」ということでしょうか。もしそうなら、その判
断は、子どもに任せなさい。親があれこれ言っても、かえって逆効果です。
 子どもというのは、親の夢を一つ一つつぶしながら、成長していくものです。それがわかなけ
れば、あなた自身を振り返ってみることです。あなた自身は、優等生だったでしょうか。答は、
「NO!」のはずです。








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【7】
相談(1)小学4年生の母から(静岡県教育委員会発行雑誌「ファミリス」より(2010年))

 最近わが子の親に対する話し方が気になります。たとえば、私が何か「こうしなさい」と注意す
ると、「そんな法律がどこにあるの?」などと言ってくるので、ついつい怒ってしまうこともしばし
ば……。
 これは反抗期なのでしょうか?


A:思春期最大のテーマは、「同一性の確立」(エリクソン)です。(私はこうでありたい)という理
想の自己像と、(現実の私)、つまり現実自己を、一致させようとします。一致した状態を「自我
の同一性」と言います。その第一歩が、おとなの優位性の打破です。それが「思春期の反抗」
と考えてください。
 (悪態)もそのひとつ。「そんな法律がどこにあるの?」と。それを許せということではありませ
ん。それができないほどまでに、子どもを抑えてはいけないということです。カリカリするのはし
かたないとしても、「ああ、うちの子は、今、児童期から青年期へと、脱皮を始めているのだ」
と、一歩退いて子どもを見ます。
 この時期、親意識(とくに「親に向かって何よ!」式の悪玉親意識)が強すぎると、子どもは親
の前では仮面をかぶるようになります。自我の確立に失敗し、非行に走ったり、親子の間にキ
レツが入り、親子が断絶するケースも目立ちます。最悪のばあいには、自我の崩壊……。ナヨ
ナヨとした軟弱な人間になることもあります。
 親には3つの役目があります。@ガイドとして子どもの前に立つ。A保護者として子どものうし
ろに立つ。そして3番目が重要ですが、B友として子どもの横に立つ、です。
 悪玉親意識を捨て、子どもの友になるつもりで、子どもの横に立ってみてください。とたん、肩
の荷が軽くなりますよ。






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【8】
相談(2)小学4年生と小学1年生の母から(静岡県教育委員会発行雑誌「ファミリス」より(20
10年))

 長男への接し方で悩んでいます。長男にはどうしても小言を言う機会が多く、下の子は女の
子で要領がよく、注意された長男をからかって、長男を怒らせます。それを見て私が怒る……
の悪循環で、ときどきそんな雰囲気で日々を過ごしている長男がかわいそうになります。
 長男への接し方を変えるアドバイスはないでしょうか。


A:長男、長女に対しては、どうしても不安先行型の子育てになりがちです。「何をしても、不安」
と。それが過干渉になったり、過関心に転じたりします。度を越すと、子どもの心が萎縮した
り、反対に粗放化することもあります。
 あなただけではありません。ほとんどの親がそうです。が、そのリズムは、妊娠したときから
始まっています。つまり「根」が深いということ。そういう思考回路が、あなたの脳の中にできあ
がってしまっています。そのためそのリズムを変えるのは、ほぼ不可能と考えてください。で
は、どうするか?
 @そういう自分であると知って、仲よくつきあうこと。A「あなたはいい子」を口癖にし、あなた
自身の心を作り変えること。
 長男の顔や姿を見たら、本人にはもちろん、父親や長女の前で、題目のようにその言葉を繰
り返してみてください。3〜4か月もすると、(それでも早いほうですが……)、あなたは自然な口
調で、それが言えるようになります。そのとき、あなたが今、心配している問題は解決します。
 大切なことは、「子どもを直そう」と思わないこと。「今より状態を悪くしないこと」。それだけを
考えて対処します。この種の問題には、二番底、三番底があります。親は、自分の子どもがよ
り悪くなって、それ以前の状態が、まだよかったことを知ります。それが「悪循環」と言われるも
のです。







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【9】
相談(1)小学3年生の母から(静岡県教育委員会発行雑誌「ファミリス」より(2010年))

 小学3年生になると、友達関係でいろいろあるとは先生から聞いていたのですが、早速わが
子のカラーペンが一式なくなってしまい、とても心配しました。
 悪意からではなく、いたずらかもしれませんが、こういうときは、ただ見守るしかないのでしょ
うか? それとも、担任の先生に相談した方がいいのでしょうか?
(焼津市・A)


A:鉄則はただひとつ。『友を責めるな、行為を責めよ』(イギリスの教育格言)です。担任の先
生にこうした事案は、遠慮なく報告したらよいでしょう。しかしそのとき、事実だけを客観的に話
し、特定の子どもの名前を出したり、批判したりしてはいけません。自分の判断を加えていけま
せん。「事実」だけを話します。あとの判断、対処の仕方はプロの先生に任せます。
 もし相手の子どもの名前がわかっていたら、逆にその子どもをほめてみます。「あの子はい
い子ね」と。あなたの家に招待するのもよいでしょう。あなたがその子どもと友だちになるつもり
で、間に入ります。子どもというのは、自分を信じてくれる人の前では、よい子を演じようとしま
す。逆にそうした性質を利用して、その子どもを、よい友だちに作り変えてしまいます。
 日本でも昔から『魚心あれば、水心』といいますね。英語にも、『相手は、あなたの思うよう
に、あなたのことを思う』というのがあります。心理学の世界では、これを「好意の返報性」とい
います。あなたがその子どもをよい子と思っていると、そうした心は、あなたの子どもを介して
かならず、相手の子どもに伝わります。
 大切なことは、あなたの子どもが気持ちよく、楽しく通学することです。負けるところは負け、
妥協するところは妥協します。けっしてカリカリしてはいけません。







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【10】
相談(2)小学5年生の母から(静岡県教育委員会発行雑誌「ファミリス」より(2010年))

 わが子のクラスで「いじめがある」とか「騒ぐ子がいて担任の先生が困っている」などという話
を子どもから聞き、親として心配がふくらんでいます。子どもの話だけで判断するよりは、懇談
会などで直接聞く方がいいと思うのですが、聞き方が難しそうです。
親の心配を伝え、なおかつ先生批判にとられない聞き方は、どうすればいいでしょうか?
(藤枝市・Y)


A:この程度の問題で、動揺しないこと。いじめのない学級はありません。困っていない先生な
ど、い・ま・せ・ん。もし心配なら、1、2年、年上の子どもをもつ父母に相談してみることです。で
きれば、別の学校の父母に、相談します。たいてい「うちもそうでしたよ」というような回答をもら
って、その場で問題は解決するはずです。
 が、鉄則があります。どんなばあいも、子どもの前で、学校や先生の批判をしたり、悪口を言
ってはいけません。子どもの前では、「あなたの学校はすばらしい」「あの先生は、最高!」と言
います。
 もしあなたが学校や先生を批判したり、さらに悪口を言ったりすると、あなたの子どもは先生
の指示に従わなくなります。これを心理学の世界では、「三角関係」といいます。わかりやすく
言えば、子どもが「二重拘束」の状態に置かれるということです。子ども自身が、糸の切れた凧
のようになってしまいます。
 教育で何が大切かといって、先生との信頼関係ほど、大切なものはありません。信頼関係が
なければ、教育そのものが、崩壊します。その信頼関係は、向こうからやってくるものではあり
ません。親であるあなた自身が、努力で作るものです。
 なお相談といっても、同じクラスの父母に相談するのは、避けてください。あなたの話しが曲
解され、たまにおおげさになることがあります。





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【11】
相談(3)小学4年生と小学1年生の母から(静岡県教育委員会発行雑誌「ファミリス」より(20
10年))

 長男への接し方で悩んでいます。長男にはどうしても小言を言う機会が多く、下の子は女の
子で要領がよく、注意された長男をからかって長男を怒らせます。それを見て私が怒る……の
悪循環で、ときどきそんな雰囲気で日々を過ごしている長男がかわいそうになります。
長男への接し方を変えるアドバイスはないでしょうか?
(静岡市・K)


A:心配先行型、不信先行型の子育てがリズムになっています。何をしても、否定的にとらえて
しまう。それに(下の子)との比較も、日常化しているようですね。これは、ま・ず・い!
 子育てをしていて、「悪循環」を感じたら、思い切って、引きます。つまりあきらめます。子育て
の世界では、『あきらめは、悟りの境地』といいます。(私が考えた格言ですが…。)「どうにでも
なれ!」と、一歩退きますが、だからといって、無視したり、冷淡になれということではありませ
ん。
 愛情でくるんだ、「暖かい無視」です。で、ここが重要ですが、「求めてきたときが与えどき」と
心がけます。長男が助けを求めてきたときは、すかさず、(すかさずです)、それに応じてあげ
ます。そしてあとは、最初はうそでもいいですから、「あなたはいい子」を口ぐせにします。
 何か月も言いつづけていると、やがてあなたの子どもは、あなトップページへのリンクたの口
ぐせどおりの子どもになります。つまりこうしてあなた自身の子育てのリズムを作りかえます。
 また(条件)(比較)(無理)は、子育ての3悪です。「勉強したら、〜〜を買ってあげる」(条
件)、「妹は〜〜なのに…」(比較)、それに能力を超えた期待をかける(無理)は、タブーです。
 長男は長男、妹は妹。ともに長所だけを見て、それですませます。









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【12】
やる気のない息子(中2)
【O県のRTさんより、はやし浩司へ】

以前にも息子の件でご相談させていただきました。
以前の相談内容です。
息子は現在、中学2年生、14歳です。↓

中学に入ってから登校する時、偶然同じ学年の子と会っても挨拶もせず避けるように行ってし
ます。
学校では積極的に自分から動くことはなく、授業中もうつむいていることが多い、ということで
す。
息子は周りを気にするあまり、自分が見えていない。主人と話すときも自信がなさそうな小さな
声でボソボソ話したり、黙り込んでしまいます。
人の話をちゃんと聞いて、自分の考えを人に伝えることが苦手なように 思えます。

あれから1年…
今回の相談なんですが…
担任の先生やクラスも変わって少しですが、自分を出せるようになってきたと思います。

今から実家に帰るという時に、息子の部屋からを女子の水着・体操服がでてきたんです。私は
訳が分からず、真っ先に主人に言いました。主人も信じられない顔していました。
主人は息子を2階の部屋に呼び2人きりで話をして、その後は、みんなで実家に帰りましたが気
分はずっと落ちこんでいる状態です。
私の実家にもよる予定でしたが、急きょ、主人と息子だけ先に家に帰ることになり私と娘だけ
実家に寄りました。

家に帰ってからの主人と息子の様子を聞きました。
まず、その持ち物は好きな女の子のものだということ。
忘れ物を取りに教室へ行ったときに、見つけて誰もいなかったから盗ってしまったこと。後で先
生の方から持ち物が無くなったが知らないかとクラス全員に聞いたが黙っていたこと。
主人はかなりのショックで息子に対してどう接したらいいのか悩んで、仕事も手に付かないとい
った状態です。

その日は息子の部屋をすべて見て押し入れの中からはアダルト系のマンガも出てきて、それ
は友達から借りたのがきっかけで自分で買うようになったようです。
とにかく、マンガやゲームなどすべて部屋から出して部屋をすっきりキレいにして、過去のこと
は忘れて、これからは生まれ変わった気持ちで頑張っていこうと約束しました。

それから半月たちましたが、部屋にはマンガが転がり、夏休みの宿題も結局進まず主人が徹
夜で手伝い、ギリギリ終わらせたのですが、息子本人は焦りもなく、主人に対しても何も言わず
学校に行きました。
自分の思いを出すのが苦手で、宿題も読書感想文など自分の考えをまとめる宿題は一切手
に付かない状態で主人が考える始末。

夏休みの部活中にも携帯を持って行ったことで呼び出され、ガラスを割って(ドアに鍵がかかっ
てたので窓から入ろうとして手で押したら割れた)、呼び出され、もうどうしていいのか……勉強
も苦手意識が強く、積極的にできません。
来年は受験も控え心配です。

このままでは自分の意見や気持ちも言えない。
それが原因で大人になって悪い方向にいかないか。
心配で仕方ありません。

今の息子の気持ちを前向きにポジティブに子供らしく向けるにはどうすればいいのでしょうか。
主人や息子のために私は何ができるのでしょうか。

どうか内容はわからないようにお願いいたします。

わがままを言って申し訳ありません。

よろしくお願いいたします。

【はやし浩司よりRTさんへ】

 「役割混乱」という言葉を知っていますか。
RTさん、あなたの子ども(U君としておきます)は、今、自分らしさをつかもうと必死でもがいて
います。
が、それができない。
何をしても、親(=あなた)に頭から否定されてしまう。
あなたのメールを読んだとき、いちばんドキッとしたのは、つぎの部分です。

『……とにかく、マンガやゲームなどすべて部屋から出して、部屋をすっきりキレいにして、過去
のことは忘れて、これからは生まれ変わった気持ちで頑張っていこうと約束しました』と。

 あなたはU君の住む世界を、粉々に破壊しています。
気がついていますか?
悪玉親意識(=親風)が強すぎるというか、ふつうの常識では考えられない行為です。
だれが、「すべて部屋から出した」のですか?
だれが、「部屋をすっきりした」のですか?
「過去のことをわすれて……」とは、どういうことですか?
「生まれ変わった気持ち」とは、どういうことですか?

 あなたは一方的に、自分の(わがまま)をU君に押しつけているだけ。
私にはU君の悲鳴が聞こえてきます。
悲鳴です。
が、それも言えない。
口に出すこともできない。
言えないほどまでに、あなたはU君を押さえつけてしまっている。
異常な過干渉と過関心。

加えて異常なまでの過保護。
『……夏休みの宿題も結局進まず主人が徹夜で手伝い、ギリギリ終わらせた』という部分が、
それです。
中学2年生の子どもが、親に手伝ってもらって、宿題を終わらせた?
U君のほうが助けを求めてきたのですか?
もしそうなら、それでよし。
しかし実際には、あなたがU君の宿題の進ちょく状況を調べ、終わらせたのではないですか。
もしそうなら、生まれ変わるべきは、U君のほうではなく、あなたのほうです。
くだらない親意識は捨てなさい。
学歴信仰は捨てなさい。
U君をひとりの人間として認め、U君の立場に立って、U君の苦しみや悲しみを理解しなさい。

いちばん悲しい思いをしているのは、U君です。
アダルト漫画すら、自由に読めない。
あなたには男子の生理が理解できないようですね。
「男」は、「女」ではありませんよ。
私も中学2年生くらいのときから、その種の本を読みあさっていました。
が、あなたは「女」の立場だけで、「男」を理解しようとしている。
あなたはそれに気づいていますか?
こんな状態になりながらも、『勉強も苦手意識が強く、積極的にできません。来年は受験も控え
心配です』とは?

 こうした問題には、必ず2番底、3番底があります。
今が最悪ではなく、さらに最悪な状態になって、「まだ以前のほうがよかった」とわかるのです。
U君はすでに2番底から3番底へ向かっています。
へたをすれば、4番底へ!
覇気のない、ナヨナヨとした、つまり社会人として自立できない人間になってしまいますよ。

 あなたのメールを読んでいると、私の母を思い出します。
私の母が、あなたそっくりだったからです。
だから私の兄は、生涯、母の奴隷のような人生を送ってしまいました。
母は「J(=私の兄)は、生まれつきああだ」を口癖にしていましたが、生まれたときから、子ど
もの性格がわかる親などいません。

 この問題は、『ポジティブに子供らしく向けるにはどうすればいいのでしょうか』というような生
易しい問題ではありません。
今より状況を悪くしないことだけを考えなさい!
なおす方法など、あるわけないでしょ。
U君を今のようなU君にしたのは、あなた自身だからです。

 盗みは悪いことですが、女性の水着や体操服に興味をもつのは、自然なことです。
中学2年生ですよ!
女性に興味をもち始めたことを、喜びなさい。
それが原動力となって、もろもろの「性的エネルギー」、つまり「生きる活力」へとつながっていく
のです。
フロイトやユングの学説に、一度は目を通してみてください。
(「はやし浩司 性的エネルギー」で検索をかけてみてください。)
それともあなたは、U君を牧師か何かにでもするつもりですか。
私がU君なら、一日も、あなたのそばにいたくないですよ。
(だから私は郷里から飛び出すことばかり、考えていましたが……。)
力で抑え込んだところで、無意味です。
一方的な「約束」で、どうこうなるような問題ではないからです。
またどこかで水着や体操服を盗んでくるだけです。

 それにはっきり言いましょう。
あなたはU君を愛してはいない。
愛しているフリをしているだけ。
U君を自分の支配下において、あなたのロボットにしたいだけ。
自分の不安や心配を解消するための道具として、U君を利用しているだけ。
こういうのを、「代償的過保護」といいます。
「はやし浩司 代償的過保護」で検索してくだされば、いくつか原稿を読んでいただけるはずで
す。
つまりはストーカーと同じ、身勝手な愛。

 率直に言って、ここまで家庭教育が失敗していると、手のつけようがないです。
恐らくあなたがU君を妊娠したときから、そして生まれたときから、すでに親子のリズムが狂い
っぱなし、狂っていた。
その結果が今です。
もしすべきことがあるとすれば、(1)すべてをあきらめて、(2)U君をあなたの呪縛から解き放
ってやること。
今は自我の形成、さらには自我の同一性の確立に、たいへん重要な時期です。
U君が何をしたいのか、それを理解し、その方向にU君が進めるような環境づくりをしてあげる
ことです。
が、それとて、1年単位の時間が必要です。
私の印象では、それもむずかしいのでは心配しています。
「生まれ変わるべき」は、あなた自身だからです。
あなたには、それができますか?
できないなら、いつまでも親風を吹かしていないで、あきらめなさい。
それがU君に伝わったとき、U君ははじめて、一歩、足を前へ踏み出すことができるのです。

 ともかくも、あなたの「否定的な育児姿勢」。
「何をしてもだめ」と。
これがすべての元凶です。
その上で、「勉強だけはせよ」と。
U君の苦しみや悲しみには、いっさい耳を傾けない。
あなたは本当に、「親」と言えるのですか!

(1)子どもの部屋には入ってはいけません。
入って、勝手にあれこれ調べてはいけません。
(2)男子の「性」の問題は、父親に任せなさい。
女性のあなたが出る幕ではありません。
(3)受験勉強は、なるようにしかなりません。
U君に任せて、自然の流れの中に、U君を置いてあげなさい。
(4)学校での様子をあれこれ聞き出すような、スパイ行為はやめなさい。
U君のほうから相談でもあれば話が別ですが、いちいちそれを知り、U君を叱ったところで意味
はありません。
かえってU君を、自我の崩壊へと導くだけです。
中学2年生といえば、おとなですよ。
あなた自身も、そうだったでしょ。
何よりも重要なことは、U君を1人の人間として認め、U君の横に立ってやることです。
親としてではなく、「友」として、です。

 「まだ間に合います」などという気休めを言うのも、疲れました。
ともかくも今は、「これ以上、状態を悪くしないこと」だけを考えて対処してください。
「ポジティブ」などと、おこがましいことは考えないこと。
そのときがきたら、子どもは、自ら必ずポジティブになります。
「そのとき」というのは、「自分の進むべき道を見つけたとき」という意味です。

 そのときは、あなたは子どもを信じ、子どもをうしろから支えてやります。
私も三井物産という会社をやめ、幼稚園の講師になるといったとき、母は電話口の向こうで泣
き崩れていまいました。
「浩ちゃん(=私)、あんたは道を誤ったア!」と。
そういう母親にだけは、なってはいけませんよ!

 きびしい意見を書きましたが、多くの親は、子どもに何か問題が起きると、子どもをなおそうと
します。
しかし子どもは、「家族の代表」に過ぎません。
今は、そういう考え方をします。
そういう視点で、U君の問題をもう一度、考えなおしてみてください。

 いいですか、親が子どもを育てるのではないですよ。
こうした問題をかかえ、それを乗り越えることによって、親が成長するのです。
つまり子どもが親を育てているのです。
今、U君は、あなたを懸命に育てようとしています。
だからあなたはもっと謙虚になって、U君に負けを認めなさい。
「お母さんが悪かったわ」と。
「ごめんね」と、すなおにあなたが言えたとき、U君はあなたに心を開くでしょう。
それができたら、またメールをください。
それができなければ、私にはもう相談してこないでください。
では、また。

はやし浩司
浜松市









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【13】
ドラ息子の長男

【Y県SD市のDさん(母親)より、はやし浩司へ】(一部改変)

こんにちは、はじめましてSD市に住んでいます、Dといいます。
相談するのは、小学5年生の長男についてです。
下に小3の二男と、1歳の三男がいます。

ずっとその長男について、悩んでいました。
親や友人に相談もしていたのですが、良くなることがなくどうしたらいいのかわからなくなってし
まいました。

先生のこのページを見てまさしく、ドラ息子に当てはまります。

まず、(1)に今年の先生から授業中手いたずらが多い、忘れ物が多い、机の中が汚い、みん
なで音楽の授業をしていても歌わないと指摘されました。去年の運動会でみんなで踊るのに踊
っていませんでした。それまではやって見せてくれていたの、何があったのかどうしたのかわか
りません。

(2)人の話が聞けない、自分の意見を上手く話せない。
(せっかちで人が話している間に割り込んでしまい最後まで聞けません。話すのも早口でよく冗
談でアナウンサーみたいと言うくらい、早口になってしまいます。)

(3)マジギャザに今はまっていて漫画もせりふなど覚えてしまうほど読んでいて、ゲームもマジ
ギャザ。ゲームやりたさに宿題は学校でやったと嘘をついていました。(もしかして嘘ついてる
かなとは思っていましたが信じようと思ってほっといたんです。先日、先生に言われ嘘とわかり
ました。)

(4)みんなといっしょのゲームができない。(負けず嫌いで負けると泣いたりやる気をなくしたり
する)良くないと思い、鍛えさせる様なつもりでボーリングに連れて行ったりするのですが、良い
方法に向かっているのかわかりません。

(5)小さい頃から絵を描くのが好きなんですが、この2年くらい家では描かなくなりました。わけ
を聞くと弟が下手だとか言うから。二男はよく絵を描いています。二男だけ褒めないように私も
主人も心がけているのですが。逆にうちで書いていた頃はよく褒めていたくらいです。

(6)食事中、毎回お茶碗を持ってと言わないといけない。(小学校の2年生くらいから犬食いに
なったり、持たなくなったりとして注意が始まりました。犬食いはなくなりましたが落ち着きがあ
りません。)

周りに関心がありません。みんなと同じようにというのができないのです。食事のマナーだった
り学校での歌や練習です。友達に言われたりして恥ずかしいとかそのうち思う年頃だと思うの
ですが、その気配がありません(鼻くそもほじります)幼いと主人や母が言います。

食事のときくらいしか子供とゆっくり話ができないので、テレビはいつもつけていません。学校
など話をしようとしても気が付くと、兄弟でマジギャザの話になってしまいがちです。主人は不規
則な仕事をしているため、ほとんどが私と子供たちの生活です。休みで主人がいるとあまりの
できなさに、説教の一日になってしまうこともしばしばあります。

三男が生まれる前は仕事もしていたりして、子育てと家事と仕事でつねにイライラしてました。
小さい頃からそんな私のイライラを子供たちにぶつけていた気がします。
長男は悪くないに私のせいで主人や学校の先生に責められています。どうしたらいいのか分
からなくなってしまいました。何からどうしたらいいのでしょうか? 教えてください。よろしくお願
い致します。

Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司

【はやし浩司より、Dさんへ】

 一読して、ウ〜ンと、うなってしまいました。
いくつかの問題が複合して重なり、それが長い時間をかけて、こじれてしまっている。
しかしもう小学5年生。
どこからどう話すべきか……。

(1)長男を、D君とします。 
あなたとD君のリズムは、D君を妊娠したときから、合っていない。
不安先行型、心配先行型、それに恐らく愛情問題(夫婦間の問題)などがあり、あなたはD君
をいつも否定的態度で育ててきました。
今もそれがつづいています。
あなたはD君を愛することができないでいる。
そういう自分をごまかすために、「問題はD君にある」と、問題の核心をすりかえてしまってい
る。
が、私はあなた自身に、問題があると思います。

 結婚当初の夫との不和もあったかもしれません。
家庭問題もあったかもしれません。
全幅にD君を、愛情でくるんで迎えたというよりは、何かのわだかまりやこだわりをその時点で
もってしまった。
それが今につづいているということです。
あなたはD君の悪い面ばかりが目につき、またそれを問題にして勝手に騒いでいる。
「勝手に」です。

D君にとって、今の家庭はさぞかし、居心地の悪い家庭でしょうね。
気楽にハナクソもほれない、気楽に食事もできない、テレビを見ることも、ゲームをすることも
できない。
私がD君なら、「うるさい!」「バカヤロー!」と叫んで、家を出ていくでしょうね。
あるいはそうなる可能性が高い。

(2)D君には、あなたの知らない、何かの情緒的問題(発達障害)があったものと思われます。
今は年齢的にそれが改善していると思われます。
本来なら、3〜5歳期に、発達相談センターのようなところで、相談すべきだったかもしれませ
ん。
情報が不足していますから、ここではこれ以上のことは書けません。
しかし相談していれば、何かの診断名がくだされていたはずです。
つまり本人の意思では、コントロールできない問題を、D君はもっていたということです。
いわんや親が説教したり、叱ったりしたくらいでは、なおるはずもない。
むしろそんなことを繰り返せば、症状はこじれてしまいます。

 それに気づかないまま、あるいはあえて目をそむけたまま、無理に無理を重ねてきた。
症状をこじらせてしまった。
メールを読んで、そんな印象をもちました。

(3)あなた自身の生まれ育った環境にも、問題があります。
あなたは「男の子」というものが、どういうものか、まったくわかっていない。
小学5年生にもなって、学校であったことを親に話す子どもは、いません。
(あるいはD君は、あなたとは話をしたくない。)
過干渉と過関心。
それが混然となって、あなたは自分が理想とする子どもに、D君を作ろうとしています。
もしあなたに自然な親像、あるいは「男子観」があれば、もう少し自然な子育てができるはずで
す。
つまりそれができないということは、あなた自身が生まれ育った環境に、問題があったというこ
とです。
たとえばあなたの父親が、権威主義的であったとか、あなたに男の兄弟がいなかったとか…
…。(これは私の推測です。)

(4)D君は、その一方で、愛情飢餓状態にあります。
二男との年齢差が小さいので、逆算するとD君が2歳前後のとき、二男が生まれたことになり
ます。
今の状態からすると、赤ちゃん返りもあったかもしれません。
あなたはD君の愛情飢餓に気づくこともないまま、「お兄ちゃんだから」と、上下意識でもって、
D君を抑え込んでしまった。
その可能性もあります。
だから今、思春期前夜の反抗期にかかり、無意識のうちにも、あなたの求める理想的な子ども
とは別の子どもを演じている。
「どうせ嫌われているのだから……」とです。
あなたにはD君のそんな悲しい声が聞こえないかもしれませんね。
おかしな親意識ばかりが強くて……。

 子どものウソを知ってどうなりますか。
どうしたいですか。
そんなウソが、どうして悪いのですか。
それともあなたは、そういうウソをついたことがないとでもいうのですか。
どうして笑ってすませないのですか。
言い替えると、自分の子育ての失敗を、子どもの責任にしてしまっている!

「子どもは家族の代表」と考えてください。
子どもに何か問題があったら、反省すべきは、まずあなた自身です。
自分のどこにどのような問題があったかを知る。
子どもというのは、あくまでも、「代表」、つまり「結果」です。

(5)問題はさらにこじれます。
今、あなたは「長男は最悪」と思っているかもしれません。
しかしこうした問題には、さらに二番底、三番底があります。
「まだ以前の状態のほうがよかった……」ということを、周期的に繰り返しながら、子どもは二
番底、三番底に落ちていきます。

 だから「直そう」と思わないこと、
「今の状態をこれ以上悪くしないことだけ」を考えて対処します。
ボーリングへときどき連れていったくらいで、性格が直るはずもないでしょう。
5年生ですよ。
「鍛える」とか、「鍛えない」とか、そういう問題ではありません。
0〜2歳まで、さんざん、甘やかしておいて、その結果、今の状態になり、あわてて「鍛える」?
はっきり言いますが、もう直りません。
あきらめなさい。
あきらめて、「うちの子は、こういう子」と居直りなさい。
そこを原点にして、D君をもう一度、見つめなおしてあげてください。
そしてあなたは、こう言うのです。

「あなたはよくがんばっているわね」と。

あとは『許して、忘れます』。
(「はやし浩司、許して 忘れる」で原稿を検索してみてください。)

 あなたが「何とかしよう」「何とかなってほしい」とがんばればがんばるほど、あなたに安穏た
る日々はやってこないでしょう。
あなたはそれでよいとしても、かわいそうなのは、D君です。
私はあなたより、D君のほうに同情してしまいます。
もしD君にその力があるなら、きっと逆に、私にこんな相談をしてくるでしょうね。

「ぼくのママは、うるさくてたまりません。
ゲームも自由にできません。
宿題をやったかと、毎日聞きます。
で、ウソを言いました。
が、それを先生から聞き、また説教です。
家に帰るたびに説教です。
おまけにいつもできのいい弟と比較され、『あんたはダメな子』と決めつけてきます。
やりたくもないボーリングをさせられ、何をしても、おもしろくありません。
歌も、踊りもへたです。
家族には、幼稚ぽいとよく言われます。
食事のときくらい、テレビを見たいです。
が、あれこれと勉強の話ばかり……。
ぼくはどうしたらいいでしょうか」と。

(6)あなたはイライラしていた……。
理由は何であれ、もしそこまで気がついているなら、「これが運命」と受け入れるしかないです
よ。
人間には無数の糸がからんでいます。
その糸が、ときとして自分を思わぬ方向へと導いていってしまうことがあります。
その運命ですが、逆らえば、キバをむいてあなたに襲いかかってきます。
しかし受け入れてしまえば、向こうからシッポを巻いて逃げていきます。

 私が今、あなたにできるアドバイスは、こうです。
運命を受け入れなさい、です。
あなたの子どもは、今、そこにいる子どもです。
これ以上、どうにもなりません。
あなたがもっている理想像など、クソ食らえと、捨てなさい。
(あるいはどんな子になれば、あなたは満足するのですか?)

「私のできが悪いから、子どものできも悪い」と、認めればよいのです。
気が楽になりますよ。
そしてここが重要ですが、あなたの気が楽になれば、D君もまた気が楽になるということです。
そのときD君の顔にも、笑顔が戻ってくるでしょう。

 たとえばゲームについても、頭から「悪いこと」と決めつけないで、たまにはあなたもいっしょ
にゲームをしてみたらよいのです。
攻略本がたくさん出ていますから、一冊くらい買ってきて、読みなさい。
子どもの世界に、あなたが入っていくのです。
そうすれば、子どものほうから心を開いてくれます。
よかったら、私の「BW公開教室」をのぞいてみてください。
(http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/より)

(7)D君が、幼児もしくは小学1〜2年生なら、別のアドバイスができたと思います。
しかし5年生です。
この時期はあっという間にすぎ、子どもはおとなになっていきます。
……というより、すでに半分、おとなです。
(おそらくあなたの異常な過関心と過干渉で、人格の核(コア)形成が遅れている可能性もあり
ます。幼稚ぽく見えるのは、そのためと考えてください。)

 あなたのできることは、もうほとんどないということです。
もしあるとすれば、先にも書いたように、D君をそういう子どもと認め(=人格を認め)、そこを
原点として再出発することくらいです。

 この先、とくに親子の絆づくりが大切なときがやってきます。
ここでキレツを入れると、そのまま「断絶」ということにもなりかねません。
もしそうなったら、それこそ家庭教育の大失敗ということになります。
それだけは避けてください。

 そのためにも、D君を信ずる。
信ずるということは、疑わないということです。
これはあなた自身との闘いです。
今のあなたにはたいへんむずかしいことかもしれませんが、……というのも、すでに10年以上
も確執がつづいていますから……、がんばってするしかないでしょう。

 よい面を見たら、ほめる。
よい面だけをさがして、それをほめる。
それを繰り返してください。
アラさがしは、タブーですよ!

歌や踊りのことは、先生に任せておけばよいでしょう。
あなたまでカリカリしてはいけません。
D君はますます行き場をなくし、やがて非行(二番底)へと進むかもしれません。

 ずいぶんときびしいことを書きましたが、参考にしてください。
今がまさに正念場です。






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【14】
【小児てんかん】家庭での対処法

【オーストラリア在住のMAさん(母親)より】

【MAさんより、はやし浩司へ】

今年4月末、主人の転勤に伴いオーストラリア赴任しました。息子の事でご相談に乗っていた
だきたくよろしくお願いいたします。

>> 主人と私は2度目の駐在(12年前にカナダ)ですが子供達にとってははじめての海外生活
でまずは現地校に慣れるというのが第一目標として生活しておりました。

長男はてんかんをもっており小学1年生よりテグレトールを服用しておりました。にも係らず何
度か発作を起こしたため(発作自体は軽い)テグレトールを彼にとって最大まで増やしその後
マイスタンを追加し現在1日計7錠(テグレトール5錠、マイスタン2錠)を服薬しております。

お陰様で2008年12月に薬を増やしてから発作は止まり現在約2年間、発作なく過ごしておりま
す。

>> 問題は彼の学習面なのですが日本で小児精神の方で診断を受けたところ学習障害がある
ことが分かりました。親からみても3年生になる頃から新しいことを理解するのに時間が掛か
る。今まで学校で習ったことはだいたい理解できたものが家に帰って復習すると分かっていな
い。漢字等の暗記に時間が掛かる。等、気になったため病院で診断を仰ぎました。

>> そこで息子は学習に関して個人的なフォローが必要だとも言われました。それから塾にも
通っていましたが集団でレベルの違う子の中で続けるのも苦痛に感じていたところ赴任も決ま
り、という事で家で私がフォローしてきました。

>> このような経緯でオーストラリアまで参りましたが、今度はやはり日本語補習校で「理解して
いるようで理解していない。」「授業中は至って真面目、がんばっているのにテストができな
い。」とまさにその通りということを言われました。

また現地校でもELLのクラスで、「文法を教えてもとても混乱しているよう、理解できていない。」
といわれました。双方に主人と共に面談し今後の息子の対処法、目標達成のレベルを落とし
てもらうことをお願いしました。

>> 最近では本人も「やっているのにできない。」という事を認識し始めフラストレーションの中で
勉強しなくてはならないことに一緒に見ている私たちもとてもかわいそうだと感じ、同時に疲れ
てしまいました。

>> 息子はとても活発、オーストラリアに来ても友達が沢山でき言葉もままならないのにきちん
と遊ぶ約束もしてくる、また友達の家にも遊びに行ける、現地校の先生からはとても礼儀正しく
真面目に物事に取り組める、と言われます。

現地でフォットボールチームにも入り本当に楽しそうに練習しています。日本人一人でも全く問
題なく溶け込んでいることにとても頼もしく見えます。遊びに関しては好奇心も旺盛です。

>> ただ新しいこと(学習について)を理解するまで時間が掛かるためどうしてこんなことが分か
らないのだろう、と思ってしまうのです。これは学習障害だから仕方がない、という事も最近は
私も受け入れられるようになりましたがついつい私も主人もヒートアップしついには家族で喧嘩
になります。そのたび反省、先生のHPを拝見しこれではいけない、そして次はこうしよう、と心
に決め息子と共にまたやり直したい、と思う日々です。

主人はとても温厚で子煩悩、どうにか息子を助けたい一心でよく学習の面倒も見てくれます。
補習校の宿題も多くはじめは何とかこなしましたが今は量より問題を理解させようと色々な手
を使って説明したりしています。ただ息子自身やる気をなくしているため殆ど効果がありませ
ん。そのとき理解したように見えても次の日にはできません。みんな空回りしている感じです。


>> 今は現地校をメインに生活をしていくよう考えております。赴任は約4年間の予定です。今
後どのように息子を育て、教育していったらよいか何かアドバイスいただけたら幸いです。次男
とはとても仲がよく、同じレベルで遊んでいます。次男は普通に学習し、理解できるタイプです。

我々夫婦も長男は小学生に上がるまでこのようなタイプだと思って育ててきました。言葉も遅
いことはなくむしろよく筋道たて話していました。それがてんかんだと分かり、薬を服用するよう
になってから崖から転がるように分からなくなってきたことに親の方が焦っているところがあり
ます。今後薬をやめたら少しは聡明に物事を考えることができるようになるかと、そのときのた
めに少しでも今できることをやってあげたいと思っているのが私たちの気持ちですがこれが彼
にとって重い負担にもなってることも分かっております。

>> 長文、失礼いたしました。どうにか息子を助ける手立てはないか、私たち親として何をして
やったら将来のためになるのか、お力を貸していただきたく存じます。
>> どうぞよろしくお願いいたします。

【はやし浩司より、MAさんへ】

 知人のRAさんが、同じような悩みをかかえ、それを克服しています。
RAさんに相談したら、以下のような手紙が届きました。
参考にしてください。


(画像が小さくて、読みづらいときは、画面上でダブルクリックしてみてください。
拡大されます。)
img094 img095 img096 img097 img098 img099


 以上ですが、何かの参考になれば、うれしいです。
ていねいな返事をくれた、RAさん、ありがとうございました。

はやし浩司

(はやし浩司 家庭教育 育児 教育評論 幼児教育 子育て Hiroshi Hayashi 林浩司 BW 
はやし浩司 小児てんかん はやし浩司 2010−10−24)






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【15】
●兄弟げんか

相談(1)小学3年生の父から

 長男は小学3年生で9歳、二男は保育園の年中で5歳です。
このごろ、寄ると触るとけんかになり、「お兄ちゃんがたたいた!」「○○先にけるからじゃー
ん!」となります。だいたいは長男の方をいさめて、「弟をたたいちゃだめ」としかるのですが、
img094 img095 img096 img097 img098 img099 これでいいのでしょうか? 上手な対応のしかたを教えてください。



A:『けんかする兄弟ほど、仲がいい』といいます。兄弟げんかも、ある一定のワクの中、たとえ
ば親の前で、祭りのようにするのであれば、親はよき聞き役に徹します。判断をくだしたり、罰
を与えたりしてはいけません。ただひたすら、聞き役に徹します。
 つまるところ子育ては、「自分探し」です。わかりやすく言えば、あなたは、あなた自身が受け
た子育てを繰り返しているだけです。「私は私の親とはちがう」と思っているかもしれませんが、
中身は同じです。これを心理学の世界では、「世代連鎖」と言います。
 常にあなた自身は、子どものころどうであったかを問いかけてみてください。あなたも子ども
のころ、つらい思いや悲しい思いをしたことがあったはず。そういうときあなたは、あなたの親
にどうあってほしかったでしょうか。どう接してほしかったでしょうか。それをさぐっていけば、あ
なたの子どもへの接し方が、自然と定まっていきます。
 いつか私は『兄弟げんかは親の前』という格言を考えました。言い換えると親の前でしている
ようなら、心配しなくてよいということです。無視して、したいようにさせておきなさい。
 ただし一言。「お兄ちゃんだから・・・」という『ダカラ論』には、注意。問答無用式に相手を押さ
えつけるときに、よく使われます。上下意識が強く、権威主義的なものの考え方をする人ほど、
この言葉をよく口にします。







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【16】
●子どもの進路

相談(2)中学2年生の父から

 勉強もせず部活も熱心にやっているわけではない二男が、「料理人になりたいから、高校へ
は行かない」と言い出しました。
 それ以来、夕食の手伝いや自分で料理をしてみたりしていますが、いつまで続くやら・・・。
「バカ言っていないで高校へ行け!」と頭ごなしに反対した方がいいか、「やってみな」と後押し
した方がいいか、どっちでしょうか?



A:親の思うようにならないのが、子育て。私の二男も中学2年生のとき、勉強を放棄。以来パ
ソコンと遊んでばかりいました。三男は横浜国大をセンター試験2位の成績で入学はしたもの
の、3年になるとき中退。 
 私も三井物産という会社をやめ、幼稚園の講師になると言ったとき、母は電話口の向こうで
泣き崩れてしまいました。「浩ちゃん、あんたは道を誤ったア!」と。
 以来、私は、外の世界では自分の職業を隠し、内の世界では、自分のキャリアを隠しまし
た。が、もしあのとき、母だけでも私を支えてくれていたら、その後の私の人生は大きく変わっ
ただろうと思います。
 今のあなたにとって大切なことは、子どもを信ずること。子どもがどんな選択をしても、子ども
を支えること。「パパは、お前を信じている。お前の行くべき道を進め。どんなことがあっても、
応援する」と。
 中学2年生と言えば、自我の同一性を確立する重要な時期です。今、あなたが頭ごなしに反
対すれば、あなたの息子の自我はバラバラになってしまうでしょう。それはたいへん危険なこと
です。注意してください。
 なお私の二男は現在、インディアナ州立大学に籍を置き、CERN(スイス量子加速研究所)
のスパコン技術官をしています。三男はJALで副機長(B777)をしています。
 子どもを信ずることは、たいへん苦しいことです。その苦しさは、私も経験しました。





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【17】
【不潔嫌悪症・子どもの潔癖症】2010−10−28

●子どもの強迫症

++++++++++++++++

今朝は千葉県にお住まいの、Aさんと
いう母親から、こんな相談が届いていた。
この相談を読みながら、私は自分が子ども
だったころのことを思い浮かべた。
私自身にも、似たような経験がある。

子どもの潔癖症に併せて、子どもの不安
について考えてみたい。

++++++++++++++++++

【千葉県のAさんより】

5歳の息子の相談です。

以前から幼稚園には行きたがらない傾向にある子でしたが、最近は特に、いつもと違う行事ご
とがあるたびに、不安になり余計に行きたくないとぐずります。

夏ころから爪かみが始まりました。10月の初めに、ムカデに触ってしまい、お家に帰ってよく洗
えば大丈夫だよと話した出来事を境に、ここを触ってしまったが大丈夫か? お父さんの肘と
ぶつかったが大丈夫か? と何かと聞いてくるようになりました。外遊びで夢中になっていると
きにでも、不安になると遊びを中断し、聞きに来ます。

その後は、トイレでおしっこをする時には、おちんちんを触らずしたり、玄関の取っ手を肘で開
けたりするようになりました。会話は常に触ってしまったことの報告ばかりです。私は、大丈夫
だよ、大丈夫だよ。と、いつも言っています。私の手は握れます。どうしてこうなってしまったの
でしょうか?

幼稚園の先生は気を引くためではないか? 気にすることはない。とおっしゃってくださいます
が、心配で、兄弟の中でも、ひときは気にかけ、スキンシップをしているつもりです。今後はど
のように接していけば良いでしょうか? 治るのでしょうか? よろしくお願いします。

兄弟関係は、姉10歳 本人 弟8ヶ月です。

【はやし浩司より、Aさんへ】

●神経症

 神経症のひとつと考えてください。(「神経症」の定義もあいまいですが……。
そのため症状は千差万別です。)

私のHPの中に、ある小学校の先生方と協力して作成した、診断シートがあります。
その中に神経症の項目を並べておきました。
http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/page080.html
どうか一度、目を通してみてください。

 なおこうした症状は単独で現われることは少なく、ほかに爪かみのほか、夜尿症、チック、何
かの強迫症なども現われることがあります。
シート(上記)で、一度、自己診断してみてください。

●愛情飢餓

 兄弟関係で見ると、下に8か月の弟がいるということになります。
愛情に不安を抱き、それが遠因となり、愛情飢餓状態から大きく不安を抱くようになったとも考
えられます。
下の子どもが生まれたことにより、赤ちゃん返り、分離不安などの症状を示す子どもも多いで
す。

「兄弟の中でも、気にかけ……」ということですが、それまであった自分への愛情が減らされた
ことが問題と考えてください。
親は、「平等に……」と思っているかもしれませんが、子どもにとっては、「落差」が問題なので
す。

 それについて書いた原稿を添付しておきます。

++++++++++++++

愛情は落差の問題。

++++++++++++++

●愛情は落差の問題

++++++++++++++

愛情の量は、落差の問題。

多い、少ないではなく、
ふえたか、減ったで、
考える。

よい例が、赤ちゃん返り。

++++++++++++++

 下の子どもが生まれたりすると、よく下の子どもが赤ちゃんがえりを起こしたりする。(赤ちゃ
んがえりをマイナス型とするなら、下の子をいじめたり、下の子に乱暴するのをプラス型という
ことができる。)本能的な嫉妬心が原因だが、本能の部分で行動するため、叱ったり説教して
も意味がない。叱れば叱るほど、子どもをますます悪い方向においやるので、注意する。

 こういうケースで、よく親は「上の子どもも、下の子どもも同じようにかわいがっています。どう
して上の子は不満なのでしょうか」と言う。親にしてみれば、フィフティフィフティ(50%50%)だ
から文句はないということになるが、上の子どもにしてみれば、その「50%」というのが不満な
のだ。つまり下の子どもが生まれるまでは、100%だった親の愛情が、五〇%に減ったことが
問題なのだ。

もっとわかりやすく言えば、子どもにとって愛情の問題というのは、「量」ではなく「落差」。それ
がわからなければ、あなたの夫(妻)が愛人をつくったことを考えてみればよい。あなたの夫が
愛人をつくり、あなたに「おまえも愛人も平等に愛している」とあなたに言ったとしたら、あなた
はそれに納得するだろうか。

 本来こういうことにならないために、下の子を妊娠したら、上の子どもを孤立させないように、
上の子教育を始める。わかりやすく言えば、上の子どもに、下の子どもが生まれてくるのを楽
しみにさせるような雰囲気づくりをする。「もうすぐあなたの弟(妹)が生まれてくるわね」「あなた
の新しい友だちよ」「いっしょに遊べるからいいね」と。まずいのはいきなり下の子どもが生まれ
たというような印象を、上の子どもに与えること。そういう状態になると、子どもの心はゆがむ。
ふつう、子ども(幼児)のばあい、嫉妬心と闘争心はいじらないほうがよい。

 で、こうした赤ちゃんがえりや下の子いじめを始めたら、(1)様子があまりひどいようであれ
ば、以前と同じように、もう一度100%近い愛情を与えつつ、少しずつ、愛情を減らしていく。
(2)症状がそれほどひどくないよなら、フィフティフィフティ(50%50%)を貫き、そのつど、上
の子どもに納得させるのどちらかの方法をとる。あとはカルシウム、マグネシウムの多い食生
活にこころがける。

(はやし浩司 家庭教育 育児 育児評論 教育評論 幼児教育 子育て はやし浩司 赤ち
ゃん返り 愛情問題 愛情 落差 落差の問題)

●100%の愛情

 精神的に心のより所を失い、たいへん不安定になっています。
子どもは、(おとなもそうですが)、環境の変化にはかなりの柔軟性を示しますが、とくに愛情の
変化には、大きく反応し、もろいです。

 もし神経症がひどいようであれば、下の子には少しかわいそうですが、一度、100%の愛情
を注ぎなおしてみてください。
(当然、上の10歳の姉にも配慮しながら、です。
上の子は上の子で、嫉妬しやすくなります。)

●私自身のこと

 私も子どものころ、こんな経験があります。

 あるとき、針が足の裏に刺さったことがあります。
針はすぐ抜けたと思うのですが、近所のおじさんにそれを話すと、そのおじさんは、こう言いま
した。
「折れた針があるかもしれない。その針は、血管を通って心臓に行く。そうなれば死ぬこともあ
る」と。

 私はこの言葉におびえ、自分はもう死ぬのだと思いました。
年齢的には、6歳前後ではなかったかと思います。
はっきりと死の恐怖を覚えたのを、今でもよく覚えています。
おとなには笑い話でも、子どもにはそうでないということです。

 お子さんは、心底、それにおびえているのです。
ですから「何でもない」という言い方で突っぱねるのではなく、子どもの立場になって、真剣に話
を聞き、納得するまでていねいに不安を解いてあげることです。

●不潔嫌悪症

 手洗い癖、潔癖症と並んで、子どもにはよく見られる神経症です。
幼稚園でも、休み時間ごとに、手を洗っている子どももいます。
「何でもない」と考えるのではなく、ほかの神経症の前兆、もしくは、たとえば学校恐怖症(ジョン
ソン)の前兆もありえるという前提で、対処してください。
けっして安易に考えてはいけないということです。

 そのためにも愛情的に不安を抱かないように、つぎのことを守ってください。

(1)スキンシップなど、求めてきたら、すかさず応ずる、です。
一度、ぐいと抱きしめるだけで、効果があります。
「あとでね」とか、「今、忙しいのよ」は、禁句です。

(2)添い寝、手つなぎ、だっこなどは、機会があればそのつどこまめにしてあげます。

(3)不安症状が強いようであれば、Ca,Mg,Kの多い食生活、つまり海産物の多い食生活に
心がけます。
とくにカルシュウムは、子どもの心を安定させます。

●恐怖症

 恐怖症は、一度それを経験すると、姿、形を変えて、いろいろな場面で現われます。
私も子どものころ、閉所恐怖症、高所恐怖症でした。
30歳になる少し前、飛行機事故を経験してからは、ちょっとしたことが原因で、よく恐怖症にな
ります。

 先日はワイフが自動車の後部を電柱にぶつけましたが、助手席にいた私は、固まってしまい
ました。

 お子さんのケースは、恐怖症とはちがいますが、この先、折りにつけ、強迫観念はもちやすく
なるかもしれません。
「治そう」と考えるのではなく、「じょうずにつきあう」という考え方で、接してあげるとよいでしょ
う。
どんな子どもにも、その程度の問題はあります。

 文面からすると、もっとも心配されるのは、学校恐怖症ということになります。
それについて書いた原稿(簡単なもの)を、添付しておきます。
(別の角度から書いた原稿のため、余計な部分もありますが、お許しください。)
詳しくは、また機会があれば、「はやし浩司 学校恐怖症」で検索してみてください。
参考になると思います。

+++++++++++++++

学校恐怖症(ジョンソン)

+++++++++++++++

【集団に溶けこめない子ども】

++++++++++++++++++

集団に溶けこめない……。そのため、
集団の中にいると、気疲れを起こしや
すくなる。

さらにそれが慢性化すると、不登校の
原因になったりすることもある。

++++++++++++++++++

●集団の中では……

 小学校の低学年児で、集団に溶け込めない子どもというのは、10人のうち、1〜2人はい
る。主な症状としては、つぎのような点が、あげられる。

(1) 集団の中では、おとなしく、おだやか。遠慮深い。やさしい。静かで目立たない。
(2) 自己主張が弱く、いつも、ほかの子どものうしろをついていくといった感じ。
(3) 何か話しかけると、柔和な笑みで、答えたりするが、感情表現はいつも、控え目。
(4) 学習態度は比較的よく、そのため、成績も、それほど、悪くない。
(5) 外の世界(学校や塾)では、大声で笑ったり、声を出したりするということはない。

 これらの症状は、家の中での様子とは、正反対のことが多い。家の中では、別人のように活
発に行動する。かつ、親に対しては、言いたいことを言ったり、したりする。そのため、こうした
外での様子を指摘されたりすると、たいていの親は、それを否定する。「うちでは、ふつうです」
と。

 しかしこのタイプの子どもは、その分だけ、ストレスを内へ内へとためやすい。様子だけを見
ると、仮面をかぶった子どもに似ている。俗にいう「ぶりっ子」をいう。仮面をかぶった子ども
は、いつもどこかで他人の目を気にしている。どうすれば、自分が、いい子に見られるか、それ
だけを考えている。

 これに対して、集団に溶けこめない子どもは、集団そのものを恐れ、他人の目から、逃れよう
とする。そのため、ひとり静かに行動し、できるだけ目立たないようにしていることが多い。

 このタイプの子どもは、教える側としては、教えやすい。従順で、すなお。みなに迷惑をかけ
るということはない。しかしそれは子ども本来の姿ではない。このタイプの子どもは、心を自由
に、開けない。みなが大声で笑うようなときども、そのリズムにのれない。そのため、いじけや
すく、くじけやすい。心をゆがめやすい。

 そして長い時間をかけて、ストレスを蓄積し、そのストレスが、さまざまな問題を、引き起こ
す。

 たとえばこのタイプの子どもは、集団の中では、神経疲労を起こしやすい。そしてその結果と
して、神経症や、心身症による、さまざまな症状を起こす。そしてその症状は、多岐にわたる。
「何か、うちの子は、おかしい?」と感じたら、神経症、もしくは、心身症を疑ってみる。

●子どもの神経症について

心理的な要因が原因で、精神的、身体的な面で起こる機能的障害を、神経症という。子どもの
神経症は、精神面、身体面、行動面の三つの分野に分けて考える。

(1)精神面の神経症……精神面で起こる神経症には、恐怖症(ものごとを恐れる)、強迫症状
(周囲の者には理解できないものに対して、おののく、こわがる)、不安症状(理由もなく悩
む)、抑うつ感(ふさぎ込む)など。混乱してわけのわからないことを言ってグズグズしたり、反
対に大声をあげて、突発的に叫んだり、暴れたりすることもある。

(2)身体面の神経症……夜驚症(夜中に狂人的な声をはりあげて混乱状態になる)、夜尿症、
頻尿症(頻繁にトイレへ行く)、睡眠障害(寝ない、早朝覚醒、寝言)、嘔吐、下痢、便秘、発
熱、喘息、頭痛、腹痛、チック、遺尿(その意識がないまま漏らす)など。一般的には精神面で
の神経症に先立って、身体面での神経症が起こることが多く、身体面での神経症を黄信号とと
らえて警戒する。

(3)行動面の神経症……神経症が慢性化したりすると、さまざまな不適応症状となって行動面
に表れてくる。不登校もその一つということになるが、その前の段階として、無気力、怠学、無
関心、無感動、食欲不振、引きこもり、拒食などが断続的に起こるようになる。パンツ一枚で出
歩くなど、生活習慣がだらしなくなることもある。

 その中の一つが、学校恐怖症(後述、参照)ということになる。その学校恐怖症については、
すでにたびたび書いてきたので、ここでは省略する。

●対処のし方

 では、どうするか?

 このタイプの子どもは、心の開放を第一に考えて指導する。たとえば大声を出させる、大声で
笑わせる、など。しかしそれは簡単なことではない。友だちどうしの間では、結構、心を開くこと
ができても、集団の中へ入ったとたん、かん黙してしまう子どももいる。教師を前にしただけで、
緊張して、体をこわばらせてしまう子どももいる。

 こうした症状を不適応症状というが、その症状して、よく見られるものを列挙してみると、つぎ
のようなものがある。

(1) 対人恐怖症、集団恐怖症、回避性障害(他人との接触ができない)など。
(2) 緊張性の頭痛、腹痛、下痢、嘔吐など。

 本来なら、一対一、もしくは、きわめて小人数(3〜4人程度)のようなていねいな指導が望ま
しいが、しかしそれにも程度の問題があって、小人数にしたからといって、心を開くということは
ない。とくに小学校へ入学したあとでは、指導による改善は、ほとんど望めない。おとなになっ
てからも、そのままつづくというケースは、少なくない。

 もしどうしても……ということなら、まったく別の環境の中で、その子どもが心を開けるような、
ばしょをさがすしか、ない。スポーツやサークル活動など。一度、その世界で、何らかのこだわ
りを作ってしまうと、そのこだわりを、消すのは、むずかしい。

 J君(小5)の子どもがいた。彼は、集団の中では、ほとんど心を開くことはなかったが、サッカ
ーをしているときだけは、黙々と、それに励むことができた。

 一方、Cさん(小2)の子どもがいた。小1のはじめから、私の教室へ来たが、小2の途中でや
めるまで、一度とて、大声で歌を歌ったり、笑ったりすることはなかった。いりいろな方法で、手
を変え、品を変え、私なりに努力はしてみたが、結局は、Cさんの心を開くことはできなかった。

 このことからも、わかるように、集団に溶けこめない子どもの、「根」は、深い。時期を言え
ば、0歳から、1、2歳前後までに、そういった方向性ができあがると考えてよい。そのため、た
いていのばあい、まず母子関係の不全を疑ってみる。

 このタイプの子どもは、母子の間の基本的信頼関係ができあがっていないことが多い。何ら
かの理由で、絶対的な安心感を、母親に対していだくことができなかった。「絶対的」というの
は、「疑いすらもたない」という意味である。つまり、それから生まれる、不信感が、子どもの心
を閉じさせ、ついで、子どもの心を緊張させるようになると考える。

 しかもなお悪いことに、母親に、その自覚がないことが多い。そういう自分の子どもを見て、
むしろ、「できのいい子」と思ってしまうケースが目立つ。そしてそのままの母子関係をつづけて
しまう。

 で、問題が起きてはじめて、自分の子育てのどこにどういう問題があったかを知る。(が、そ
れでも気づかないケースも、少なくない。ここにあげたCさんのケースでは、Cさん自身は、私の
ところへは、彼女なりに楽しんできていた。しかし伸びやかさには、欠けた。母親はそういう姿
を見て、「うちの子は、この教室には合っていない」と判断したようだ。

 で、さらに、ここに書いた不適応症状がこじれて、学校恐怖症から、不登校へと進むこともあ
る。この段階でも、親は、自分を反省するということは、ない。子どもの言い分だけを聞いて、
「教師の指導が悪い」「いじめが原因だ」と。

●まとめ

 本来なら、集団に溶けこめない子どもについては、それを「悪」と決めてかかるのではなく、そ
の子どもにあった、環境を用意してやるのがよい。苦手なものは、苦手。だれにも、そういう面
の一つは二つは、ある。

 何でもかんでも、学校という集団教育の場で解決しようという発想そのものが、おかしい。そう
いう前提で考える。

 コツは、無理をしないこと。そしてこのタイプの子どもほど、家の中では、態度が横柄になった
り、乱暴になったりする。そういうときは、「ああ、うちの子は、外の世界でがんばっているから、
こうなのだ」というふうに考えて、理解してやる。

 家の中でも、静かで、おとなしく……ということになると、子どもは、やがて行き場をなくし、外
の世界で、さまざまな問題を引き起こすようになる。しかもたいてい、深刻な問題へと発展する
ことが多い。
(はやし浩司 子供の心理 集団 集団に入れない子供 集団に溶け込めない子供 集団が
苦手な子供 外で静かな子供 はやし浩司)

++++++++++++++++++

以前、書いた、「内弁慶、外幽霊」の
原稿を添付します。

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●内弁慶、外幽霊

 家の中ではおお声を出していばっているものの、一歩家の外に出ると、借りてきたネコの子
のようにおとなしくなることを、「内弁慶、外幽霊」という。

といっても、それは二つに分けて考える。自意識によるものと、自意識によらないもの。緊張し
たり、恐怖感を感じて外幽霊になるのが、前者。情緒そのものに何かの問題があって、外幽霊
になるのが、後者ということになる。たとえばかん黙症などがあるが、それについてはまた別の
ところで考える。

 子どもというのは、緊張したり、恐怖感を覚えたりすると、外幽霊になるが、それはごく自然な
症状であって、問題はない。しかしその程度を超えて、子ども自身の意識では制御できなくなる
ことがある。対人恐怖症、集団恐怖症など。子どもはふとしたきっかけで、この恐怖症になりや
すい。その図式はつぎのように考えるとわかりやすい。

 もともと手厚い親の保護のもとで、ていねいにかつわがままに育てられる。→そのため社会
経験がじゅうぶん、身についていない。この時期、子どもは同年齢の子どもととっくみあいのけ
んかをしながら成長する。→同年齢の子どもたちの中に、いきなりほうりこまれる。→そういう
変化に対処できず、恐怖症になる。→おとなしくすることによって、自分を防御する。

 このタイプの子どもが問題なのは、外幽霊そのものではなく、外で幽霊のようにふるまうこと
によって、その分、ストレスを自分の内側にためやすいということ。そしてそのストレスが、子ど
もの心に大きな影響を与える。家の中で暴れたり、暴言をはくのをプラス型とするなら、ぐずっ
たり、引きこもったりするのはマイナス型ということになる。

こういう様子がみられたら、それをなおそうと考えるのではなく、家の中ではむしろ心をゆるめ
させるようにする。リラックスさせ、心を開放させる。多少の暴言などは、大目に見て許す。

とくに保育園や幼稚園、さらには小学校に入学したりすると、この緊張感は極度に高くなるので
注意する。仮に家でおさえつけるようなことがあると、子どもは行き場をなくし、さらに対処がむ
ずかしくなる。

 本来そうしないために、子どもは乳幼児期から、適度な刺激を与え、社会性を身につけさせ
る。親子だけのマンツーマンの子育ては、子どもにとっては、決して好ましい環境とはいえな
い。
(はやし浩司 子供の心理 内弁慶 外幽霊 集団になじめない子供)

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合わせて、学校恐怖症の原稿を
添付します。

原文(英文)は、私のHPのほうに
収録しておきました。

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子どもが学校恐怖症になるとき

●四つの段階論 

 同じ不登校(school refusal)といっても、症状や様子はさまざま(※)。私の二男はひどい花粉
症で、睡眠不足からか、毎年春先になると不登校を繰り返した。

が、その中でも恐怖症の症状を見せるケースを、「学校恐怖症」、行為障害に近い不登校を
「怠学(truancy)」といって区別している。これらの不登校は、症状と経過から、三つの段階に
分けて考える(A・M・ジョンソン)。心気的時期、登校時パニック時期、それに自閉的時期。こ
れに回復期を加え、もう少しわかりやすくしたのが次である。 


(1)前兆期……登校時刻の前になると、頭痛、腹痛、脚痛、朝寝坊、寝ぼけ、疲れ、倦怠感、
吐き気、気分の悪さなどの身体的不調を訴える。症状は午前中に重く、午後に軽快し、夜にな
ると、「明日は学校へ行くよ」などと、明るい声で答えたりする。これを症状の日内変動という。
学校へ行きたがらない理由を聞くと、「A君がいじめる」などと言ったりする。そこでA君を排除
すると、今度は「B君がいじめる」と言いだしたりする。理由となる原因(ターゲット)が、そのつ
ど移動するのが特徴。 


(2)パニック期……攻撃的に登校を拒否する。親が無理に車に乗せようとしたりすると、狂っ
たように暴れ、それに抵抗する。が、親があきらめ、「もう今日は休んでもいい」などと言うと、
一転、症状が消滅する。ある母親は、こう言った。「学校から帰ってくる車の中では、鼻歌まで
歌っていました」と。たいていの親はそのあまりの変わりように驚いて、「これが同じ子どもか」
と思うことが多い。


(3)自閉期……自分のカラにこもる。特定の仲間とは遊んだりする。暴力、暴言などの攻撃的
態度は減り、見た目には穏やかな状態になり、落ちつく。ただ心の緊張感は残り、どこかピリピ
リした感じは続く。そのため親の不用意な言葉などで、突発的に激怒したり、暴れたりすること
はある(感情障害)。この段階で回避性障害(人と会うことを避ける)、不安障害(非現実的な不
安感をもつ。おののく)の症状を示すこともある。が、ふだんの生活を見る限り、ごくふつうの子
どもといった感じがするため、たいていの親は、自分の子どもをどうとらえたらよいのか、わか
らなくなってしまうことが多い。こうした状態が、数か月から数年続く。 


(4)回復期……外の世界と接触をもつようになり、少しずつ友人との交際を始めたり、外へ遊
びに行くようになる。数日学校行っては休むというようなことを、断続的に繰り返したあと、やが
て登校できるようになる。日に一〜二時間、週に一日〜二日、月に一週〜二週登校できるよう
になり、序々にその期間が長くなる。

(注、この(4)の回復期は、ジョンソンの論文にはないものである。私が勝手に加筆した。)

●前兆をいかにとらえるか 
 要はいかに(1)の前兆期をとらえ、この段階で適切な措置をとるかということ。たいていの親
はひととおり病院通いをしたあと、「気のせい」と片づけて、無理をする。この無理が症状を悪
化させ、(2)のパニック期を招く。

この段階でも、もし親が無理をせず、「そうね、誰だって学校へ行きたくないときもあるわよ」と
言えば、その後の症状は軽くすむ。一般にこの恐怖症も含めて、子どもの心の問題は、今の
状態をより悪くしないことだけを考える。なおそうと無理をすればするほど、症状はこじれる。悪
化する。 

※……不登校の態様は、一般に教育現場では、(1)学校生活起因型、(2)遊び非行型、(3)
無気力型、(4)不安など情緒混乱型、(5)意図的拒否型、(6)複合型に区分して考えられてい
る。
 またその原因については、(1)学校生活起因型(友人や教師との関係、学業不振、部活動な
ど不適応、学校の決まりなどの問題、進級・転入問題など)、(2)家庭生活起因型(生活環境
の変化、親子関係、家庭内不和)、(3)本人起因型(病気など)に区分して考えられている(「日
本教育新聞社」まとめ)。

しかしこれらの区分のし方は、あくまでも教育者の目を通して、子どもを外の世界から見た区
分のし方でしかない。

(参考)

●学校恐怖症は対人障害の一つ 

 こうした恐怖症は、はやい子どもで、満4〜5歳から表れる。乳幼児期は、主に泣き叫ぶ、睡
眠障害などの心身症状が主体だが、小学低学年にかけてこれに対人障害による症状が加わ
るようになる(西ドイツ、G・ニッセンほか)。集団や人ごみをこわがるなどの対人恐怖症もこの
時期に表れる。ここでいう学校恐怖症はあくまでもその一つと考える。

●ジョンソンの「学校恐怖症」

「登校拒否」(school refusal)という言葉は、イギリスのI・T・ブロードウィンが、1932年に最初
に使い、1941年にアメリカのA・M・ジョンソンが、「学校恐怖症」と命名したことに始まる。ジョ
ンソンは、「学校恐怖症」を、(1)心気的時期、(2)登校時のパニック時期(3)自閉期の三期に
分けて、学校恐怖症を考えた。

【はやし浩司より、Aさんへ】

 以上ですが、参考意見として利用していただければ、うれしいです。
今日は、これで失礼します。

(はやし浩司 子どもの心理 学校恐怖症 対人障害 不登校 不登校児 不潔嫌悪症 潔癖
症 神経症 はやし浩司 学校恐怖症 ジョンソン)

















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司 静岡県 浜松市 幼児教育 岐阜県美濃市生まれ 金沢大学法文学部卒 教育評論家 はやしひろし 林ひろし 静岡県 浜松市 幼
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