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【1】

●勉強をしない子ども


【K市在住の、TUさんよりの相談】



突然のメールでご迷惑をおかけします。



1年前ほど、息子の通う学校で、先生の講演を聴く機会がありました。相談に乗って頂けない
かと思い、思い切ってメールしました。



息子は今小学2年生です。その息子の勉強の勧め方と、日々の関わり方で、少し困っていま
す。



最近になり、宿題が増えてきました。内容も量も、1年生のときより増えてきました。どうも、宿
題をごまかして適当にやろうとしているようです。



そのことで、先日ひどく叱ってしまいました。叱り方が感情的になってしまい、息子もかなりショ
ックだったようで、勉強のことになると辛くなるようです。「そんな、言いかたをしないで!」と言
います。



息子も人の話を聞けない子で、授業中でも、勝手に騒いでしまうことがあるようです。そのこと
もあり、ついきつく注意することが多いです。



このままいくと、勉強についていけなくなるのではと不安です。勉強も私が見るより、塾へ行か
せたほうがいいのではと思ってしまいます。



このままでは親子関係にも亀裂が入ってしまうのではないかと不安です。あと、人の話が聞け
ない子への効果的な関わり方でアドバイスがあったら頂けないでしょうか?



+++++++++++++++++++++++



 多くの母親たちが、同じような問題をかかえ、悩んでいる。そういう意味では、典型的な悩み
の一つ(失礼!)ということになる。



 順に整理してみよう。



(1)家では、あまり勉強しない。

(2)適当にごまかすようになった。

(3)叱り方が過激になってきた。

(4)授業中の態度が、よくない。

(5)勉強についていけなくなるのではと、心配。

(6)塾へ入れるのは、どうか?

(7)親子関係がこわれるのではないかと、不安。



 

●家では、あまり勉強しない。



 子どもが受験期になると、親は、言いようのない不安にかられる。



 もともと子育てというのは、そういうもの。親は、無意識なまま、自分が受けた子育てを、その
まま繰りかえす。



 将来への不安、選別されるという恐怖。自分自身が子どものころ感じた(心)を、自分の子ど
もを通して、再現する。TUさんも、子どものころ、そういう不安や恐怖を感じた。……というより
も、そういう不安や恐怖を、TUさんの親たちから、植えつけられた。



 それが今、TUさんの心の中で、再現されつつある。そしてそれが「うちの子は、あまり勉強し
ない。どうしたいいのか」という心配になって、現れてくる。



 そこでTUさんも、「なぜ、自分が、そういう不安にかられるのか?」と、自分自身に、問いかけ
てみるとよい。



 理由はいくつかある。



 その第一は、日本全体がもつ、学歴社会。さらには、江戸時代からつづく、身分意識。さらに
は日本人独特の、集団意識。それらが混然一体となって、「コースからはずれると、こわい」と
いう恐怖感をつくりあげる。



TUさんが今、感じている不安感の原点は、そこにある。



 もっともそれに自分で気づくのは、簡単なことではない。TUさんにかぎらず、こういった意識と
いうのは、心の奥深いところに巣をつくっている。そのため、なかなか、姿を現さない。姿をつ
かめない。



 さらに、「学校での勉強は絶対」という、学校神話もある。



 しかしならば、自分にもう一度、問いかけてみることだ。



 「どうして中学1年で、一次方程式を学ぶのか。学ばねばならないのか」「どうして中学2年
で、二次方程式を学ぶのか。学ばねばならないのか」と。



 あなたはこうした素朴な質問に、答えることができるだろうか。あるいはあなたの子どもが、
あなたにそう聞いたとしたら、あなたは、何と答えるだろうか。



 アメリカでは、公立の小学校でも、学校の先生と親たちが、相談して、勝手にカリキュラムま
で決めている、そういう(自由)を見せつけられると、「では、日本の教育は何か?」となる。「私
たちは、どうしてこうまで学校の勉強にこだわらなければならないのか?」となる。



(入学する学年まで、アメリカでは、学校ごとに、自由に決めているぞ! 「うちの小学校では、
満4歳から入学させる」と、PTAが決めれば、それでもOK! アーカンソー州ほか。)



 TUさんは、その前提として、「学校での勉強はできなければならないもの」と思いこんでいる。
私は、それを「学校神話」と呼んでいる。



 TUさんは、(家で勉強しない)→(遅れてしまう)→(受験競争に負けてしまう)と、心配してい
る。TUさんの気持ちを、こう決めてかかるのは、失礼なことかもしれないが、おおかた、まちが
っていないと思う。



 そこで登場するのが、学歴社会。



 この日本では、学歴のある人は、その恩恵を、たっぷりと受けることができる。とくに、公的な
資格に保護された特権階級、官僚、公務員の世界に、それをみることができる。ここ10年で、
エリート意識が急速に崩壊しつつあるとはいえ、なくなったわけではない。残っている。



 そういった不公平を、親たちは、日常的に、いやというほど、見せつけられている。



 本来なら、そういった不公平があれば、それと戦わねばならないのだが、そこは、日本人。私
たちには、独特の、隷属意識がある。「おかしいから、なおそう」と思う前に、「あわよくば、自分
も……」「せめて自分の子どもも……」と考える。



 だから日本の社会は、少しもよくならない。いつまでも繰りかえし、繰りかえし、つづく。



 そこで、TUさんは、「あまり勉強しない」と悩んでいる。



 しかし、本当にそうだろうか? もし仮にTUさんの息子が、学校から帰ってきて、毎日、1時
間、勉強したら、TUさんは、それで満足するだろうか。今度は、TUさんは、「せめて2時間…
…」と思うようになるかもしれない。親の欲望には、際限がない。こんな例もある。



 先日も、「やっとうちの子が学校へ行くようになりました。しかし午前中で帰ってきてしまいま
す。何とか、給食までみなと、いっしょに食べさせたいのですが、どうしたらいいか」と相談して
きた、親がいた。



 私は、それについて、こう返事を書いた。



 「午前中、2時間だけで帰ってきなさい。『3時間目。4時間目はしなくても、いいのよ』と言って
あげなさい。そのとき、ついでに、『よくがんばったわね』と言ってあげなさい。



もしあなたの子どもが給食まで食べるようになったら、あなたはきっとこう言うはずです。『何と
か、午後の勉強も受けさせたい。どうしたらいいか』と。しかしそれこそ、親の身勝手というもの
です。いつまでたっても、あなたの子どもの心は休まることはないでしょう」と。



 学校という強制キャンプで、5〜6時間もしぼられてきた子どもが、その上で、さらに家での宿
題である。それがいかに重労働であるか、それがあなたにわからないはずがない。一度、そう
いう視点で、TUさん自身のこことして考えてみるとよい。つまり「私なら、それができるか?」
と。さらには、「私は、子どものころ、どうだったか?」と。



 もしそうなら、つまりTUさんが、子どものころ、勉強好きで、学校の宿題をきちんとし、親の言
いつけをハイハイと守っていたとしたら、TUさんは、今ごろは、すばらしい学歴をもち、特権的
な階級で、気楽な生活をしているはず(失礼!)。それならば、何も、問題は、ないはず。あな
たの子どもも、そうなる。



 かなり、きついことを書いたようだが、この問題はいつも、「自分ならできるか?」「自分が子
どものときは、どうだったか?」という視点で、考えてみるとよい。





●適当にごまかすようになった。



 小学校の低学年の子どもで、一日、30分前後、家で、勉強すれば、すばらしいこと。15分で
もよい。大学受験生がするような、受験勉強的な勉強を、小学2年生の子どもに期待しても、
無理。ヤボ。不可能。



 さらに子どもは、9〜10歳前後から、親離れを始める。この時期、幼児がえりを起こしたり、
反対に、おとなのまねをして見せたりしながら、子どもは、おとなになる準備を始める。子ども
あつかいをすると怒るくせに、ときどき母親のおっぱいに触れたがったりする。これを私は、
「揺りもどし現象」と、勝手に呼んでいる。



 女の子では、父親との入浴をいやがったり、裸を見られたりするのを、いやがるようになる。
男の子も、性意識に、このころ急速に芽生えようになる。



 同時に、子どもどうしの世界が、大きくふくらんでくる。それまでは、家庭を中心とした世界
が、子どもの世界だったのが、学校を中心とした第二世界。さらに、友だちを中心とした、第三
世界へと進む。(ゲームの世界もあり、私はこれを「第四世界」と呼んでいる。)



 当然、親子の関係も、その分だけ希薄になる。



 が、親が、子離れをするようになるのは、子どもが、中学生から、高校生にかけてのこと。こ
の時期、親は、「どうしたら子離れできるのか」と悩む一方で、子離れできない自分にいらだつ
ことも多い。TUさんの悩みも、そのあたりにある。



 子どもが適当にごまかしたら、親も、適当にだまされたフリをして、自分の心をごまかす。



 いいかげんであることが悪いというのではない。子どもは、(おとなもそうだが)、このいいか
げな部分で、羽をのばす。羽を休める。



 まずいのは、ギスギス。『親の神経質、百害のもと』と覚えておくとよい。過関心、過干渉も、
それに含まれる。





●叱り方が過激になってきた。



 それだけ親のほうの心が、緊張状態に、置かれているということ。



 よく誤解されるが、情緒不安定な状態を、情緒不安定というのではない。心が緊張状態にあ
る。あるいは心から緊張状態がとれないことを、情緒不安という。



 この緊張状態の中に、不安や、心配ごとが入ると、それを解消しようと、心は一挙に不安定
になる。感情が不安定になるのは、あくまでも、その結果でしかない。



 だから第一に考えるべきことは、どうすれば、その緊張状態から、自分を解放するかと言うこ
と。



 いろいろ方法はある。(1)逃避型(その問題から逃げる)、(2)受容型(あきらめる)、(3)戦
闘型(その問題と戦う)、(4)防衛型(それに対抗するための思想を高める)、など。



 それぞれの方法を、バランスよく、自分の心の中で調合しながら、心の緊張感を取りのぞく。



 逃避するのが、悪いわけではない。たまには、子育てを忘れる。忘れて、好き勝手なことをす
る。子どもというのは不思議なもので、親がカリカリしたからといって、伸びるものではない。反
対に、何もしなくても、伸びる。



 つぎに「うちの子は、こんなものだ」とあきらめる。あなたがごくふつうの女性であるように(失
礼!)、あなたの子どもも、またふつうの子ども(失礼!)。



 ふつうであることが悪いわけではない。この(ふつうの価値)は、それをなくしたとき、はじめて
わかる。賢明な親は、それをなくす前に気づく。愚かな親は、それをなくしてから気づく。



 つぎに大切なことは、自分の心や思想を、理論武装すること。視野を高め、教養を広くする。
夜のバラエティ番組を、夫といっしょにゲラゲラと笑って見ているような家庭では、困る(失
礼!)。



 当然のことながら、自分の心の奥で巣をつくっている、旧来型の学歴信仰、学校神話などと
も、戦う。しかしこのばあいは、それに対抗しうるだけの、理論武装をしなければならない。



 コマーシャルになって恐縮だが、そのためにも、どうか、どうか、はやし浩司のマガジンを購
読してほしい。





●授業中の態度が、よくない。



 いろいろなケースが疑われる。心配なケースとしては、ADHD(集中力欠如型多動性)の問
題もある。



 しかし今、(イメージが乱舞する子ども)が、ふえているのも事実。乳幼児期に、テレビを見す
ぎた子どもほど、そうなるという研究結果もある。10年ほど前から、右脳教育という言葉が、さ
かんに使われるようになったが、乳幼児への不自然な右脳教育は、できるだけ慎重であった
ほうがよい。テレビは、その右脳ばかりを刺激する。



 ほかに、環境ホルモン(内分泌かく乱化学物質)による、脳の微細障害説、食生活のアンバ
ランスによる脳間伝達物質の過剰分泌説なども、とりあげられている(シシリー宣言※)。



 といっても、小学校に入学してから、それに気づいても遅い。



 この時期に大切なことは、(今の症状をよりこじらせない)ことだけを考えて対処する。そして
その一方で、子ども自身がもつ、自己意識を、うまく育て、それを利用する。わかりやすく言う
と、自分で考えて、行動させるようにする。



 たとえばADHDにしても、小学3、4年を境にして、見た目には、急速にその症状が落ちつい
てくる。子ども自身が、自分をコントロールするようになるからである。



 もし学校での騒々しさが目立ったら、こんこんと、繰りかえし、言って聞かせるのがよい。あと
は、しばらく時間を待つ。



●勉強についていけなくなるのではと、心配。



 この不安は、だれにでもある。が、これは日本人独特の意識といってもよい。つまり、その
「根」は、深い。



 日本人は、集団からはずれるということを、極端にこわがる。恐れる。それはたとえて言うな
ら、動物社会における、(群れ意識)に似ている。「みんなと同じことをしていれば安心」というの
が、それ。



 が、この(群れ意識)には、二面性がある。



 一つは、(群れからはずれたら、不安)という意識。もうひとつは、(群れからはずれるものを、
許さない)という意識。この二つが、相互から相、重なって、日本人独特の群れ意識をつくる。



 言いかえると、自分自身の中の群れ意識と戦うためには、(自分の確立)と同時に、(他人の
確立を許す)という意識を、自分の中に育てなければならない。



 恐らく、こうした群れ意識というのは、その中に、どっぷりとつかっている人には、わからな
い。こうした群れ意識というのは、一度、自分自身が、その群れから離れてみてわかる。ある
いは、群れの中にいる人たちに、排斥されてみてわかる。



 少し話がおおげさになってきたが、日本人独特の、(遅れる意識)というのは、そういう群れ意
識の中から生まれている。



 そういう群れ意識を理解して上で、もう一度、あなた自身に問いかけてみてほしい。



 「学校に遅れる」「勉強に遅れる」というのは、どういう意味なのか、と。昔は、「後(おく)れる」
と書いた。いやな言葉だ。



 どうして日本人は、遅れることを、こうまでこわがるのか? どうして、遅れたら、それがいけ
ないのか? どうして、遅れてもよいと、居なおることができないのか?



 あわてて大学を出て、あわてて会社に入社して、その結果、あわてて人生を送って、それでよ
いのだろうか?



 今までの日本人は、国策として、そういう日本人に育てられてきた。戦前の「国のため」意識
が、「社会のため」意識にすりかえられた。「社会で役だつ人」「立派な社会人」意識になった。
その結果、いわゆる会社人間、企業人間が生まれた。私の同世代の中には、会社の発展の
ために、命をかけて仕事をしてきた人は、いくらでもいる。



 それが悪いというのではない。今の日本の繁栄は、こうした人たちの努力と犠牲(失礼!)の
上に成りたっている。



 しかし、今、同時に、それではいけないという考え方も、浮かびあがってきている。TUさんは、
恐らく、そのハザマで、もがき苦しんでいる。





●塾へ入れるのは、どうか?



 私も基本的には、その塾を経営している。塾というよりは、小さな教室である。



 で、こういう質問をもらうと、私は、どこまで自分を殺さなければならないかという問題にぶつ
かる。迷う。それにつらい。そういう意味では、TUさんの質問は、少なくとも、私には、「?」であ
る。私は何と答えたらよいのか。



 まさか「うちの教室へおいでなさい」とも書けないし、「塾へは行かないほうがいい」とも、書け
ない。



同じように、以前、電話で、こう言ってきた母親がいた。「うちの子を、K式算数教室か、あなた
の教室に入れようかと迷っていますが、どちらがいいですか」と。



 で、私はこう言ってやった。「うちは、10問出しますが、K式のほうは、9問(ク・モン)しか出し
ませんから……」と。いつか仲間のI先生が、教えてくれた言い方である。



 それに日本人は、学校だけが、勉強の場だと思っている。しかしこれほど、島国的な発想も
ない。



ドイツでも、イタリアでも、そしてカナダでも、課外授業のほうが主流になってきている。アメリカ
では、日本の塾のように、学校設立そのものが自由化されている。もちろんアメリカにも塾はあ
る。「ラーニング・センター」と、ふつう、そう呼ばれている。さらにEU諸国(ヨーロッパ)では、大
学の単位は、全土で、ほぼ、共通化された。



 どこの国のどこの大学で勉強しても、同じという状態になった。



 こういう事実を、いったい、どれだけの日本人が知っているのか? 文部科学省が発表す
る、大本営発表だけを鵜呑みにしてはいけない。官僚たちは、権限と管轄にしがみつき、自分
たちに都合の悪い情報を、決して公開しない。



 が、ひょっとしたら、TUさんは、私を、それ以上の人間とみて、こういう質問をしてきたのかも
しれない。一人の塾教師としてではなく、それを超えた人間として……?



 そうだとよいが、そういうことは、あまり期待していない。



 だから、この質問には、あえて答えない。いつか、別のところで、一つのテーマとして、考えて
みたい。





●親子関係がこわれるのではないかと、不安。



 親子関係でも、こわれるときには、こわれる。しかもそれをこわすのは、子ども。しかもその
子どもは、親の生きザマを見て、こわす。



 だから親は親で、き然として生きる。それしかない。「あんたなんかに嫌われても、かまわな
い」「あんたは、あんたで、勝手に生きなさい」と。



 親の側が、「こわれるのでは?」と心配すればするほど、立場が逆転する。親のほうが、子ど
もの機嫌をとったり、子どもにコビを売ったりするようになる。



 しかしそれこそ、本末転倒。それについては、参考になる原稿を、このあとに添付しておく。



 要するに、親は親。子どもは子ども。どこか溺愛タイプの母親ほど、子どもに嫌われるのを、
こわがる。しかし親に嫌われて困るのは、子ども。それを忘れてはいけない。



 つまりこの問題も、日本人独特の子育て観と深くからんでいる。



 日本人は、自分の子どもを、一人の人間としてではなく、いわばペットとして育てる(失
礼!)。そしてベタベタの依存関係をつくりながら、それを親子の太い絆(パイプ)と誤解する。
たがいに犠牲になることを、美徳と考える。



 しかし親子というのは、皮肉なもの。親というのは、子どもに嫌われないようにすればするほ
ど、嫌われる。嫌われても構わないという生き方をすればするほど、かえって尊敬される。子ど
もは、長い時間をかけて、親の心の裏側まで、見抜いていまう。



 それがわからなければ、反対の立場で考えてみればよい。



 あなたが尊敬できる親というのは、あなたの歓心を買い、ベタベタと機嫌をとってくる親だろう
か。それとも、「私は私」と、き然とした生き方をしている親だろうか。



 つまり親も、いつか、対等の人間として、その生きザマを、子どもに問われるときがやってく
る。必ず、やってくる。そのとき、それに耐えられるような親になっているか、どうか。そういう立
場になったときの視点で、ものを考えてみればよい。



 親子の関係など、気にしないこと。あるいは「こわれるもの」「こわれて当然」と考えること。10
年後、20年後のことはわからないが、そのとき、親子の関係がこわれていなかったら、もうけ
もの。そう考えて、居なおる。



 もう、子どもは小学2年生なのだから、あなたはあなたの人生を、前向きに生きればよい。母
ではなく、妻ではなく、女ではなく、一人の人間として……。母親は、子どもを妊娠し、出産す
る。そういう意味では、母親は、子どもに対しては、犠牲的な存在かもしれない。しかし、母親
も、一人の人間として、自分の人生まで、犠牲にしてはいけない。





●ではどうするか?



 否定的なことばかり書いていてもしかたないので、「では、どうしたらいいか」ということについ
て考えてみる。



(1)家では、あまり勉強しない。



 この時期は、まだ「勉強は楽しい」という意識を育てる。無理、強制、条件(〜〜したら、小遣
いをあげる)、比較(A君は、何点だったのと聞く)は、禁物。



 これから先、子どもは、過酷なまでの受験競争を経験する。そういうとき最後のキメテとなる
のが、忍耐力。



 まだこの時期は、その忍耐力を養うことを考える。まにあう。



 なお子どもの忍耐力は、(いやなことをする力)をいう。テレビゲームやサッカーを、一日中し
ているからといって、忍耐力のある子どもにはならない。子どもを忍耐力のある子どもにするに
は、子どもを家事の中に巻きこみながら、使う。『子どもは使えば、使うほど、いい子』と覚えて
おくとよい。



 そういう力、つまり(いやなことをする力)があってはじめて、将来、あの苦しい受験勉強を通
り抜けることができるようになる。



(2)適当にごまかすようになった。



 親は、子どもを最後の最後まで、信ずる。それが親。だまされたとわかっていても、とぼけ
る。そしてあとは許して、忘れる。



 仮にあなたの子どもが、あなたのサイフからお金を盗んで使っていたとしても、一応は叱りな
がらも、子どもを信ずる。「だれだって、それくらいのことはする」「うちの子だって、そういう経験
をしながら、おとになる」と。



 そして仮にそのお金で、あなたの誕生日プレゼントを買ってきたとしても、一応、あなたは喜
んだフリをする。



 もしお金を盗まれるのがいやだったら、管理をしっかりとすればよい。そういう方法で、対処
する。



 それともTUさん、あなた自身は、どうか? あなたは何もごまかしていないか? 交通ルール
だって、しっかりと守っているか。交差点で、黄信号になったら、しっかりと車を止めているか。
ショッピングセンターでは、いつも、駐車場に車を止めているか。



 さらに友だちとの約束は、しっかりと守っているか。人に誠実か。借りたお金を、いつもきちん
と返しているか。



 もしそうなら、それでよし。あなたの子どもの心がゆがむことは、絶対にない。が、そうでない
なら、つまりあなた自身が、どこか小ズルイ人であるなら、それはあなたの子どもの問題ではな
い。あなた自身の問題である。



 あなたはひょっとしたら、自分のいやな面を見せつけられるようで、子どもが、ズルイことをす
るのが許せないのとちがうだろうか(失礼!)。人間というのは、自分がもついやな面をだれか
に見せつけられると、カッとなりやすい。もしそうなら、やはり、これはあなた自身の問題という
ことになる。



(3)叱り方が過激になってきた。



 育児ノイローゼの初期症状も疑ってみる。心の緊張感をとるように、努力する。



 こうした緊張感は、あなた自身にとっても、また子どもにとっても、よくない。しかしこうした問
題は、何とかしようともがけばもがくほど、アリがアリ地獄に落ちるように、かえって深みにはま
ってしまう。



 では、どうするか。



 あなたも、一人の人間として、自分の進むべき道を模索する。そうでなくても、これから先、子
どもの問題は、つぎからつぎへと起きてくる。だから子育てとは別に、つまり子育てを離れた世
界で、自分の生きザマを確立する。



 そのときコツがある。できるだけ、自分の中の「利他」の割合を大きくする。そしてその一方
で、「利己」の割合を、小さくする。「利己」が大きければ大きいほど、かえって袋小路に入って
しまう。つまり何かの方法で、他人のために働くようにする。具体的には、ボランティア活動が
ある。



 ボランティア活動をすすんでする人たちの、あの内からわきでるような神々しさ、あなたも感じ
てみるとよい。それがその人の、人間的な大きさということになる。



 また、子どもの耳は、長い。(英語で『子どもの耳は長い』というときは、別の意味で使うが…
…。)叱っても、その音が脳に届くまでには、時間がかかる。言うべきことは言いながらも、あと
は、子どもの判断に任せる。



(4)授業中の態度が、よくない。



 子ども自身は、「よくない」とか、「悪い」とか、思っていない。もう少し年齢が大きくなるのを待
つ。もう少しすると、先に書いた自己意識が育ってくるので、それをうまく利用する。



 あとは、学校の先生には、低姿勢でのぞむこと。「うちの子が、みなさんに迷惑をかけしてい
るようで、すみません」と。



(5)勉強についていけなくなるのではと、心配。



 現実問題として、中学一年生で、掛け算の九九が、満足にできない子どもは、全体の1〜2
0%はいるとみる。



 国立の大学に通う大学院生(文科系)でも、小学校で習う、分数の足し算、引き算ができない
学生は、30〜40%(※2)もいる。



 悲しいかな、これが日本の教育の現実である。いいかえると、今は、そういう時代だというこ
と。オールマイティな頭でっかちの子どもより、一芸に秀でた子どものほうが、生きやすいという
こと、。またこれから先、そういう時代になるということ。



 定年退職したあとも、大卒の学歴をぶらさげて生きている人は多い。しかしこれからは、もう
そういう時代ではない。



 たまたまTUさんの子どもは、小学2年生ということだから、この年齢あたりが、その分かれ道
ということになる。



 アカデミックな学習態度を身につけて、いわゆる日本の学歴社会に順応していくか、あるいは
それに背を向けて、サブカルチャの道を進むか。



 もし勉強に遅れが目立ってきたら(こういう言い方は、本当に不愉快だが……)、「勉強をさせ
る」のではなく、あなた自身が、自分で勉強するつもりで、子どもをその雰囲気の中に巻きこん
でいく。そういう姿勢が、子どもを勉強好きにする。



(6)塾へ入れるのは、どうか?



 一度、子ども自身の心を確認してみること。すべては、ここから始まる。



(7)親子関係がこわれるのではないかと、不安



 そういう不安があるなら、もうすでにこわれ始めている。人間関係というのは、そういうもの。



 よく若い男が、女に、「お前を信じているからな」と言うことがある。しかしそう言うということ
は、すでに相手を疑っているということになる。



 本当に相手を信じていたら、そういう言葉は出てこない。同じように、「親子関係が、こわれる
かもしれない?」と不安になっているようなら、すでにこわれ始めているとみる。



 「母親の役目はここまで。あとは父親の役目」と、割り切ることはできないのか。いつまでも母
性世界だけで、子どもを育ててはいけない。とくに、相手は、男児。それともあなたは、自分の
子どもを、マザコンタイプの冬彦さんにしたいのか?



 今、若い男性でも、そして結婚してからの夫でも、このタイプの男が多い。多すぎる。



 結婚してからも、何か自分のことでニュースがあったりすると、妻に話す前に、実家の母親に
電話したりする。当の本人は、そうすることが、親孝行の息子と誤解している。そしてお決まり
の、美化論。親を美化することによって、自分のマザコンぶりを、正当化しようとする。



 「私の母は、立派な人だ。だから私が、こうして尽くすのは、当たり前。子どもの義務」と。



 なぜこれほどまでに、この日本で、マザコンタイプの男がふえてしまったか? その原因の一
つに、TUさんが今、感じているような不安がある。そしてその不安の根源は、日本の文化その
ものに深く根ざしている。



【TUさんへ】



 かなりきびしいことを書きました。自分でも、わかっています。



 しかしこの問題は、TUさんだけの問題ではありません。広く、ほとんどの母親たちが、共通し
て悩んでいる問題です。



 私の返事は、本文の中に書いておきました。しかしこれだけは忘れないでください。



 今、あなたの子どもは、あなたに考えるテーマを投げかけているのです。子育ての問題。教
育の問題。日本の社会や文化の問題など。



そこで大切なことは、こうしたテーマについて、あなた自身が考え、自らの結論を出すということ
です。



 本文の中で、「あなた自身はどうだったか」と書きましたが、それはまさしく(あなた)自身を知
るきっかけとなるはずです。



 そういう視点、つまりあなたが子どもを育てるのではない。あなたの子どもが、あなたという人
を育てるために、そこにいる。そういう視点で、子どもをみます。



 あなたが「私は親だ」と思っている間は、決してあなたの子どもは、あなたに対して心を開くこ
とはないでしょう。あなたに何も教えないでしょう。しかしあなたがほんの少しだけ、子どもと対
等の立場にたち、謙虚になれば、あなたの子どもは、あなたに心を開くことになります。



 メールを読むかぎり、あなたは、どこか権威主義的な、親意識の強い方だと思います。もしそ
うならなおさら、つまらない親意識など捨てて、子どもに、こう話してみてはどうでしょうか。



 「ママも、子どものころ、勉強なんて、大嫌いだった。おもしろくないもんね」「学校の宿題なん
てね、適当にやればいいのよ。あなたは学校でがんばって、疲れているんだから、家の中で
は、休めばいいのよ。ごくろうさま」と。



 あなたの子どもは、目を白黒させて驚くかもしれません。しかしそのあと、あなたの子どもは、
心を開いて、いろいろ言うでしょう。



 いいですか、親子の絆(きずな)というのは、そういうものです。心を開きあわないで、どうして
絆を太くすることができるでしょうか。



 この絆の問題については、また追々、私のマガジンのほうで書いていきます。まだマガジンを
購読なさってくださっておられないようなので、ぜひ、ご購読ください。いつまで、このエネルギー
がつづくかわかりませんので、早い者勝ちです。今なら、無料。お得です。ホント!



 では、今日は、これで失礼します。メールの引用、転載など、ご了解いただければうれしく思
います。



 なおこの原稿は、マガジンの6月30日号のほうで、掲載するつもりです。そのときまでにまた
推敲に推敲を重ねておきますので、またそちらのほうを、お読みいただければうれしく思いま
す。ご都合の悪い部分などあれば、至急、お知らせください。よろしくお願いします。

(はやし浩司 子どもの勉強 子供の勉強 子どもの学習 子供の学習 勉強をしない子ども 
勉強をしない子供 家庭での勉強)











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【2】
●友だちから、孤立する子ども(中1)

++++++++++++++++++

仙台市にお住まいの、KUさん(母親)から、
長男についての相談が届いています。
「学校で、友だちもできず、いつも独り」とか。

++++++++++++++++++

【KUさんより、はやし浩司へ】

はじめまして。突然の相談ですみません。

息子のことで夫婦ともに悩んでいます。アドバイスお願いします。

今年4月から中学になり2か月が経ちましたが、友達もできず、教室ではいつも独りの
ようなんです。

息子は、「今のクラスは嫌、友だちになりたい子がいない」と言います。

私は、無理に友だちを作らなくても自然にできるよ。と考えています。でも、主人は、
嫌でも自分から積極的に話しかけて友だちを作れと考えています。

小学生のころは友だちもいましたが、その友だちが新しい友だちを連れてくると、
急におとなしくなり、黙り込んでしまったりします。

家族で外出した際に学校の友だちを見つけると隠れることもあり、そんな息子を見てつ
い叱ってしまったこともあります。

中学の今でも登校する時、偶然同じ学年の子と会っても挨拶すこともなく、避けるよう
に行ってしまいます。

先生に聞くと、学校では積極的に自分から動くことはなく、授業中もうつむいている
ことが多い、ということです。

そのせいか、先生からも注意されたり、やる気がないようなことを言われたみたいです。

自分に自信がないことがすべてなのかもしれない、自然に友だちができるということでも
ない。もっと自信をつけてあげなければ、と思っていました。

でも、これまで私は息子に口うるさく言いすぎたのかもしれません。

歯磨きしなさい・宿題しなさい・学校の用意をしなさい・早く起きなさい・塾の宿題
は?・・・・

(娘にはあまり言った記憶がない。お兄ちゃんが注意されるのを見て、自分もしなけ
れば・・・と思い、していたからかもしれません。)

息子は周りを気にするあまり、自分が見えていない。主人と話すときも自信がなさそ
うな小さな声でボソボソ話したり、黙り込んでしまいます。
主人がイライラして叱ることもあります。
私から見ると、人の話をちゃんと聞いて、自分の考えを人に伝えることが苦手なように
思えます。

アトピーも中学に入ってひどくなり、授業中も頭をかいたり、目をこすったりしてい
るようなので、薬を飲んで塗りなさいと言うのですが、私たちが言うまで塗りません。

下の娘は明るくともだとも多い方です。娘はお兄ちゃんのこと好きですが、周りの友
だちから「おとなしいお兄ちゃんやな」と、よく言われると言っています。

今、一番息子にとって楽しいのは部活の卓球です。

部活だけは毎日頑張って練習したり、家でも練習したりしています。

このままだと、集団生活ができず、高校・社会人になったときに必ず苦労するから、
いま私たちが夫婦で決めたことは、

私は息子にガミガミ言わず、学校のことは聞かない・言わない。
主人が息子と話すようにし、叱ったり、褒めたり、勉強を見たりしています。

今朝、息子は宿題・時間割をしないで、ダラダラしていたので主人に叱られていました。

いろいろと書きましたが、息子が自分から何でも興味を持って毎日楽しく、学校も友
達も部活も笑顔でできるには何をしてあげたらいいのでしょうか。

【はやし浩司よりKUさんへ】

●K君の問題点

 息子さんの名前を、K君(中1)とします。
そのK君は、今、心の中で、こう叫んでいます。
「ぼくは、どうすればいいのだ!」「どこへ行けばいいのだ!」、とです。
親の過関心と過干渉で、K君の「私」(=自我)は、こなごなにされてしまっている(?)。

 ……いきなりきびしいことを書きましたが、症状としては、回避性障害、対人恐怖症、
あるいは軽い抑うつ状態が考えられます。
アトピーがひどくなったということですから、神経症も疑われます。
ほかにもあれこれ症状が出ているはずですが……。
しかし病名など、どうでもよいのです。

 まずK君の今の状態を、あなたがすなおに受け入れてあげてください。
だれにでも、得意、不得意があります。
「Kにも、不得意なことがあるのだ」と、です。

 またメールを読む範囲では、KUさんの夫は、かなり権威主義的なものの考え方を
しているような印象をもちます。
「男だから……」「長男だから……」「中学生にもなったのだから……」とです。
しかし遠因をさぐれば、KUさんとKUさんの父親の関係、さらにはKUさんの夫と、
母親の関係の不全が疑われます。
それと1、2歳しか離れていない妹さんも、この問題には、からんでいます。
もっとも濃密な愛情を必要とするときに、妹さんが生まれてしまった。
その結果、K君は、愛情飢餓、愛情不足、欲求不満の状態に追い込まれてしまった(?)。
赤ちゃん返りを起こす暇もなく、「お兄ちゃんだから……」と、親の身勝手な
『ダカラ論』をぶつけられてしまったことも考えられます。
K君のさみしさ、悲しさは、そのあたりから出発しています。

 またここにも書いたように、KUさん自身が、KUさんの両親との関係がうまく
いっていなかったことも疑ってみてください。
とくに父親との関係です。
だから男児であるK君の育児に、いつも戸惑いを感じていたし、K君の立場で言うなら、
基本的信頼関係の構築に失敗したというわけです。
時期的には、0歳から2歳前後までです。

 だからK君は、心を開いて、友人の輪の中に飛び込んでいくことができない。
それも実のところ、あなた自身が、心を開くことができなかったからです。
こういうのを世代連鎖といいます。
(妹さんとの人間関係はほどほどにうまくいっているようですが……。)

 K君にしてみれば、つらい毎日です。
さみしいし、孤独だが、しかし人の間に入っていくと疲れる……。
それについて、親が、見るとはなしに見ながら、神経質にあれこれ言う。
干渉する。
「嫌でも自分から積極的に話しかけて友だちを作れ」とは!?
(ゾーッ! 実に乱暴な言葉ですね。暴言と言ってもよいでしょう。)

 発達心理学的には、思春期に入り、自我の同一性をめざす時期に来ています。
(やりたいこと)と、(現実にしていること)を一致させる時期です。
が、K君は、それができないでいる。
役割混乱から、自我の不一致が起きている(?)。
K君にしてみれば、たいへん苦しいことです。
このことをしっかりと、理解してあげてください。

●では、どうすればよいか

 「卓球が好き」ということですね。
だったら、ここは、思う存分、卓球をさせます。
応援します。
励まします。
時間と金(マネー)を、そこへ集中させます。
(ただしやりすぎないように!)

 このタイプの子どもは、人間関係がうまく結べない分だけ、しかし(顔のない
自分)にも耐えられず、(1)攻撃型、(2)同情型、(3)服従型、(4)依存型
のうちの、どれかのパターンをとります。
今のK君には、卓球をすることが、その(顔)ということになります。
卓球を利用して、攻撃型に転ずれば、しめたものです。
(仮にK君から卓球を奪ったら、たいへんなことになりますから、くれぐれも注意して
ください。)

 K君にしてみれば、卓球をしているときだけ、自分を忘れることができる。
また卓球をしているときだけ、自分を主張できる。
で、それをうまく利用すれば、K君は、今の状況(=同一性の危機)から、抜け出る
ことができます。

 このあたりのことは、私は何度も書いてきましたので、(はやし浩司 自我の一致)
(はやし浩司 基本的信頼関係)(はやし浩司 基底不安)(はやし浩司 対人恐怖症)
などを、ヤフーで検索してみてください。
参考にしていただけると思います。

 で、今度は、親子関係です。

(1)『ダカラ論』は意味がありません。

 K君は幼いときから、「あなたはお兄ちゃんだから……」と、耳にタコができるほど、
言われつづけてきたように感じます。
とくに父親からです。
(KUさんの夫の父親を、観察してみてください。
KUさんの夫の父親は、かなりの権威主義者だったように推察されます。
また親が権威主義的であればあるほど、親子関係は断絶しやすくなります。
親が、親風(=悪玉親意識)を吹かせば吹かすほど、子どもは見た目には従順で、
おとなしくなります。
KUさんの夫と、夫の父親の関係は、見た目ほど、うまくいっていなかったと
思うのは、そんな理由によるものです。)

(2)暖かい無視を大切に

 今どき、対人恐怖症など、何でもありません。
まともな人ほど、そうなります。
友だちの数にしても、多ければ多いほどよいというものでもありません。
それともKUさん、あなたには、友だちがいますか?
何でも話したり、相談にのってくれる友だちは、いますか?

 私など、友だちといっても、数えるほどしかいません。
ワイフを含めて、2人とか3人とか、そんなものです。
つまり親の期待を、子どもに求めすぎないこと。
もしそれでも「友だちを!」と考えるなら、あなた自身が交際のワクを広くすれば
よいでしょう。
その輪の中に、子どもを巻き込んでいくのです。

 心というのは、そういうものです。
つまりいくらあなたが親でも、子どもの心の中にまでは、入っていくことはできません。
だからここは、「友だちを作りなさい」ではなく、「お母さんも、集団が苦手よ。あなたも
つらい思いをしているのね」と、K君には話します。

 そういう愛情で子どもを包んであげたあと、無視すべきところは無視します。
あせったところで、逆効果。
この時期、一度、このような症状を示したら、最低でも、今のような状態は、10
年続くと覚悟してください。
対処の仕方をまちがえると、20年どころか、それが引き金となって、引きこもったり、
家庭内暴力へと悪化します。
こうした問題には、必ず2番底、3番底があります。
KUさんは、「今が最悪」と思っているかもしれませんが、まだその下には、2番底、
3番底があるということです。
そのため、コツは、「今の状態を保つこと」です。

(K君は、今、親の前では、静かでおとなしいようですが、その一方で、不平、不満を
心の別室に、「抑圧」という形で、ため込んでいますから、注意してください。
耐えているのでもなければ、それだけ包容力があるからでもありません。
つらいこと、さみしいことを、心の別室に、押し込んでいるだけです。)

で、友だちにしても、1人、2人の友だちを大切に、また家族もそれを応援しながら、
それでよしとします。
それで十分ではないですか?

(3)一芸を伸ばす

 先ほども書きましたが、ここは卓球に望みをつなげてください。
卓球がK君の(命)と思ってください。
今のK君から卓球を奪ったら、それこそ不登校程度ではすまなくなりますよ!
(脅かして、すみません。これもK君のためです。)

 あとは子ども自身がもつ、自然治癒力を信じてください。
やる気についても、最近の大脳生理学では、カテコールアミンというホルモンが
作用していることがわかってきました。
K君の脳の中では、その分泌が何らかの理由で、阻害されているのかもしれません。
慢性的な抑うつ感が、ホルモンの分泌に変調をきたしている……。
だからあとは自然治癒力にゆだねるしかありません。
まだ成長期ですから、時間はそれほどかからないと思います。

 コツは、繰り返しになりますが、「今の状態をこれ以上悪くしないことだけを
考えて、数か月単位で様子をみる」です。

(抑圧がひどいと、いつか爆発する可能性もあります。
母親父親に対して、「こんなオレにしたのは、テメーだろうがア!」とです。)

そんなわけで、「治そう」とか「直そう」などとは、考えないこと。
K君が苦しんでいたら、(まちがいなく苦しんでいますから)、今日、このメールを
読み終えたら、K君にこう言ってあげてください。

 「ごめんね、K。
つらかったのね、K。
苦しかったのね、K。
さみしかったのね、K。

お母さんがあなたの苦しみをわかってあげなくて、ごめんね。
苦しかったのね。
友だちなんかいなくても、気にしてはだめよ。
うるさい友だちなんか、いないほうがいいのよ。
そのかわりにね、お母さんが、あなたの友だちになってあげるからね。
これからもずっと、いっしょに、仲のよい友だちでいましょうね。
ずっと、ずっと、友だちでいましょうね。

本当のところ、お母さんにも友だちがいないのよ。
だからあなたが私の友だちになってね」と。

 あなたが負ければ、この問題は解決します。
負けることの美しさというか、すばらしさを、あなたも実感してみてください。
「私は親だ」という、おかしな親意識は、今すぐ、捨てなさい。
「私は親だ」という気負いも、今すぐ、捨てなさい。
対等の人間として、K君の横に立つのです。
その向こうには、すばらしい親子関係が待っていますよ。
応援します!

(はやし浩司 家庭教育 育児 育児評論 教育評論 幼児教育 子育て Hirosh
i Hayashi 林浩司 BW BW教室 友達 子供の友だち 友人問題)








 Q&A INDEX   はやし浩司のHPへ 
【3】
●荒れる子ども

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石川県のNさんという母親より、子どもの
(荒れ)についての相談が届いています。
それについて考えてみたいと思います。

+++++++++++++++++++++

【Nさんより、はやし浩司へ】(1)

はじめまして。時間がなくて、携帯で先生のメルマガ等を読ませていただいていま
した。今回、どうしても力になっていただきたくて、こちらにメールしました。

> 長男が最近荒れています。今小学2年生なのですが、半年ほど前から宿題を嫌がる
ようになり、今では後回し後回しで、結局寝る直前にものすごく雑にやるといった感
じです。

少しでも間違えたり分からなかったりすると、鉛筆を投げ捨ててふてくさ
れ、その後は読めないようなめちゃくちゃな字で怒りながらやったりします。先生の
ブログなどを読むようになり、私の対応がまずかったことに気がついたのですが、今
では手がつけられないような状態になってしまっています。あまり宿題をせかしてや
らせたりしないように、本人の気が向くまで様子を見るようにしているのですが、結
局眠くなってからやるのでよけいに機嫌が悪く、悪循環になっています。

少し前にたくさんほめてちょっとだけやる気がでたこともあったのですが、そこに主人が
いろいろと口うるさく言ったために、またやらなくなってしまいました。昨日は息子が主
人に「一緒に勉強しよう」と言ってやり始めたのですが、また主人が息子がちょっとよ
そ見をするたびに叱るので、最後には大喧嘩になってしまいました。そして今日は主
人が帰ってくるのを見ると、主人の実家(同じ敷地内)に行ってしまい、「パパとご
飯を食べるのはうざいから嫌だ」と言ってなかなか帰ってきませんでした。結局はし
ぶしぶ帰って気きて、一緒にご飯を食べたのですが、私と長男が一日の出来事を話している
間に、また主人が子供にうるさく言うので、逃げるように母屋の祖父母のところへ行き
おじいちゃんとお風呂に入ってしまいました。それがまた、主人には面白くないらし
く、その後ずっと不機嫌でした。

実はそういう主人は、子供の頃一度も宿題をやったことがないそうです。主人の父が
プロサッカー選手に育てようと、サッカーの練習以外は必要ないと言って学校の先生にも「宿
題はやりません」と言ったくらいです。主人は自分の反省を生かして息子に勉強させ
ようとしているようなのですが、「勉強しろ」と言われたことがないので、そう言わ
れて勉強をやる気になるのかどうかが分からないのかもしれません。そして、とても
父親風をふかせたがります。

私も主人に時々「それは違うんじゃないの」と言ったりするのですが、主人は全く自分のやり方
を変える気はないようです。最近は主人に対して私も不信感を持つようになり、息子にとって悪
影響ならば離婚したほうがいいのかとまで思うようになりました。主人はこういった先生の本を
読むような人ではありませんし、今後も変わらないように思われて、どうしたら分かってくれるの
かと悩んでいます。

最近は少しでも気に入らないと、息子が暴れるようになり、私に暴力をふるうように
なりました。10分もするとけろっとして、「ママ、ごめんね。仲直りしよう」と言
うのですが、その直後にまた思うようにならないことがあると暴れます。これからの思春期が恐
ろしく、不安でいっぱいです。ドラ息子にしてしまった私がいけないのですが、今すべきことを教
えてください。


【Nさんより、はやし浩司へ】(2)

おはようございます。
さっそくのご返事ありがとうございます。朝から返事をいただけたことがうれしく、
涙が出ました。

昨晩は、私もどうしていいかわからず、あせってメールをしたのでうまく内容がまと
まらず、申し訳ありませんでした。肝心なことがいくつかぬけていたので、簡単に補
足します。

●学校でも半年ほど前から授業中に落ち着きがなく、上履きを脱いだり履いたり、何
度も座りなおしたりしています。(参観日に見た限りでは)

●内弁慶で、学校では大人しいのですが、友達はわりと多く、毎日のように帰りに友
達と遊んだりしています。

●ゲームやスポーツで、自分が負けそうになると投げ出す、いわゆるドラ息子です。

●主人は次男に甘く、長男もたまに「パパは○○(弟)には優しいから」と言いま
す。

●小学校に入ったときからですが、最近また「学校を休みたい」と頻繁に言うように
なりました。

以上です。

学校は結局一度も休んでないのですが、休ませたほうがよいのでしょうか。一度休む
と余計に学校に行くのが嫌になる気がしますし、もし休ませたら主人がまたガミガミ
言うのは間違いないので、長男がまた荒れる気がします。

今は学校や家での楽しい話をなるべく長男として、少しずつですが手伝いもやるよう
にさせています。宿題はやらずに学校へいく勇気はないらしく、昨日も怒りながら途
中で寝てしまったので、朝少し早く起こしてやらせました。私に「なんで宿題と学校
の用意をやっておいてくれないの!」と怒っていましたが、少し手伝うことはしても
完全にやってあげるのはまずいと思い、やっていません。

毎日とても迷い、悩みながらの子育てです。でも先生の息子さんも同じように頑張っ
ていると聞いて、少し安心しました。先生の息子さんは、すぐ身近に相談できる人が
いて幸せですね。私は両親にはあまり相談しないので(つまり信頼関係がないので
す)、うらやましく思います。でも私も先生に親切に相談にのっていただけたので、
とてもこころ強いです。

本当にありがとうございました。
先生のアドバイスを参考に、やっていこうと思っています。

7月から次男が保育園に入るので(次男もワガママで手を焼いています)、時間がで
きたら先生の過去のメルマガやブログをゆっくり読みたいと思っています。これから
もたくさんすてきなお話を聞かせてください。楽しみにしています。

【はやし浩司より、Nさんへ】

 思いつくまま、書いてみたいと思います。

●三角関係

発達心理学の世界にも、「三角関係」という言葉があります。
父親と母親の育児方針がバラバラで、子どもとの間に、三角関係ができることをいいます。
(両親が一体化しているときは、三角関係はできません。)

よくあるのは、父親が甘く、母親がきびしいケースです。
Nさんのばあいは、そこへ祖父母の関係が入り、三角関係というより、四角関係(?)
ができあがってしまっているように思います。

こうなると、子どもは、ドラ息子、ドラ娘化します(失礼!)。

とくに、2〜4歳期(エリクソンの説く自律期)に、それがあると、子どもは自分で
自分を律することができなくなります。
わがままで、自分勝手で、欲望のおもむくまま行動するようになるというわけです。
さらに父親が母親の悪口を言ったり、批判したりすると、夫婦の間に、キレツが入ることもあり
ます。
そして父親と母親、母親と子ども、子どもと父親の間に、三角関係ができるというわけです。
子どもが幼いうちはまだしも、一度、この三角関係ができると、子どもは、親の指示に従わなく
なります。

子どもは、何かあると、甘い父親もしくは祖父母のところへ逃げ込み、そこでわがまま
を通すようになるわけです。
しかしこれは過去の話。
つまり原因は、2〜4歳期にあったのでは、私は考えます。
弟さんも、同じような症状が出ているということで、そう判断しました。

問題は、今、どうするか、ですね。

●内弁慶

もうひとつ気になったのは、「内弁慶」という部分です。
外の世界で、自分をすなおに表現できず、その分だけ、不満や不平を、心の内へ内へとため
こんでいるのではないかということです。
このタイプの子どもは、内弁慶というよりは、突発的にキレたり、暴れたりします。
以前、母親が、「ピアノのレッスンをしようね」と声をかけただけで、錯乱状態になり、母親に向
かって、包丁を投げつけていた女の子(年長児)がいました。

人間関係が外の世界でうまく結べない子どもは、このように、攻撃型になるタイプと、家の中に
引きこもるタイプに分けて考えます。
ほかに同情型、依存型、服従型などがあります。

●学校恐怖症

こういうケースでは、まず一番心配なのから疑ってみます。
様子からして、お子さんは、要するに学校へ行きたくないのです。
それが基本にあって、さまざまな症状を示しているというわけです。

学校恐怖症の子ども、つまり不登校児のばあい、その前兆症状としてさまざまな神経症的な症
状を示すことが知られています(ジョンソン)。
何か神経症的な症状があれば、注意してください。
(診断シートは、私のHPの中に収録しておきました。)
http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/page080.html

こうした前兆症状がいくつか重なって、そのあと、ある日突然、パニック期(ジョンソン)へと入っ
ていくわけです。

そうでなければ、この話は無視してください。
学校恐怖症について書いた原稿を、ここに載せておきます。

++++++++++++++++++++++

【子どもが学校恐怖症になるとき】

●四つの段階論 
 同じ不登校(school refusal)といっても、症状や様子はさまざま(※)。私の二男はひどい花粉
症で、睡眠不足からか、毎年春先になると不登校を繰り返した。が、その中でも恐怖症の症状
を見せるケースを、「学校恐怖症」、行為障害に近い不登校を「怠学(truancy)」といって区別し
ている。

これらの不登校は、症状と経過から、三つの段階に分けて考える(A・M・ジョンソン)。心気的
時期、登校時パニック時期、それに自閉的時期。これに回復期を加え、もう少しわかりやすくし
たのが次である。 

(1)前兆期……登校時刻の前になると、頭痛、腹痛、脚痛、朝寝坊、寝ぼけ、疲れ、倦怠感、
吐き気、気分の悪さなどの身体的不調を訴える。症状は午前中に重く、午後に軽快し、夜にな
ると、「明日は学校へ行くよ」などと、明るい声で答えたりする。これを症状の日内変動という。
学校へ行きたがらない理由を聞くと、「A君がいじめる」などと言ったりする。そこでA君を排除
すると、今度は「B君がいじめる」と言いだしたりする。理由となる原因(ターゲット)が、そのつ
ど移動するのが特徴。 

(2)パニック期……攻撃的に登校を拒否する。親が無理に車に乗せようとしたりすると、狂っ
たように暴れ、それに抵抗する。が、親があきらめ、「もう今日は休んでもいい」などと言うと、
一転、症状が消滅する。ある母親は、こう言った。「学校から帰ってくる車の中では、鼻歌まで
歌っていました」と。たいていの親はそのあまりの変わりように驚いて、「これが同じ子どもか」
と思うことが多い。

(3)自閉期……自分のカラにこもる。特定の仲間とは遊んだりする。暴力、暴言などの攻撃的
態度は減り、見た目には穏やかな状態になり、落ちつく。ただ心の緊張感は残り、どこかピリピ
リした感じは続く。そのため親の不用意な言葉などで、突発的に激怒したり、暴れたりすること
はある(感情障害)。この段階で回避性障害(人と会うことを避ける)、不安障害(非現実的な不
安感をもつ。おののく)の症状を示すこともある。が、ふだんの生活を見る限り、ごくふつうの子
どもといった感じがするため、たいていの親は、自分の子どもをどうとらえたらよいのか、わか
らなくなってしまうことが多い。こうした状態が、数か月から数年続く。

(4)回復期……外の世界と接触をもつようになり、少しずつ友人との交際を始めたり、外へ遊
びに行くようになる。数日学校行っては休むというようなことを、断続的に繰り返したあと、やが
て登校できるようになる。日に一〜二時間、週に一日〜二日、月に一週〜二週登校できるよう
になり、序々にその期間が長くなる。

●前兆をいかにとらえるか 

 要はいかに(1)の前兆期をとらえ、この段階で適切な措置をとるかということ。たいていの親
はひととおり病院通いをしたあと、「気のせい」と片づけて、無理をする。この無理が症状を悪
化させ、(2)のパニック期を招く。この段階でも、もし親が無理をせず、「そうね、誰だって学校
へ行きたくないときもあるわよ」と言えば、その後の症状は軽くすむ。一般にこの恐怖症も含め
て、子どもの心の問題は、今の状態をより悪くしないことだけを考える。なおそうと無理をすれ
ばするほど、症状はこじれる。悪化する。 

※……不登校の態様は、一般に教育現場では、(1)学校生活起因型、(2)遊び非行型、(3)
無気力型、(4)不安など情緒混乱型、(5)意図的拒否型、(6)複合型に区分して考えられてい
る。

 またその原因については、(1)学校生活起因型(友人や教師との関係、学業不振、部活動な
ど不適応、学校の決まりなどの問題、進級・転入問題など)、(2)家庭生活起因型(生活環境
の変化、親子関係、家庭内不和)、(3)本人起因型(病気など)に区分して考えられている(「日
本教育新聞社」まとめ)。しかしこれらの区分のし方は、あくまでも教育者の目を通して、子ども
を外の世界から見た区分のし方でしかない。

(参考)

●学校恐怖症は対人障害の一つ 

 こうした恐怖症は、はやい子どもで、満四〜五歳から表れる。乳幼児期は、主に泣き叫ぶ、
睡眠障害などの心身症状が主体だが、小学低学年にかけてこれに対人障害による症状が加
わるようになる(西ドイツ、G・ニッセンほか)。集団や人ごみをこわがるなどの対人恐怖症もこ
の時期に表れる。ここでいう学校恐怖症はあくまでもその一つと考える。

●ジョンソンの「学校恐怖症」

「登校拒否」(school refusal)という言葉は、イギリスのI・T・ブロードウィンが、1932年に最初
に使い、1941年にアメリカのA・M・ジョンソンが、「学校恐怖症」と命名したことに始まる。ジョ
ンソンは、「学校恐怖症」を、(1)心気的時期、(2)登校時のパニック時期(3)自閉期の三期に
分けて、学校恐怖症を考えた。

●学校恐怖症の対処のし方

 第一期で注意しなければならないのは、本文の中にも書いたように、たいていの親はこの段
階で、「わがまま」とか「気のせい」とか決めつけ、その前兆症状を見落としてしまうことである。
あるいは子どもの言う理由(ターゲット)に振り回され、もっと奥底にある子どもの心の問題を見
落としてしまう。

しかしこのタイプの子どもが不登校児になるのは、第二期の対処のまずさによることが多い。
ある母親はトイレの中に逃げ込んだ息子(小一児)を外へ出すため、ドライバーでドアをはずし
た。そして泣き叫んで暴れる子どもを無理やり車に乗せると、そのまま学校へ連れていった。
その母親は「このまま不登校児になったらたいへん」という恐怖心から、子どもをはげしく叱り
続けた。

が、こうした衝撃は、たった一度でも、それが大きければ大きいほど、子どもの心に取り返しが
つかないほど大きなキズを残す。もしこの段階で、親が、「そうね、誰だって学校へ行きたくない
ときもあるわね。今日は休んで好きなことをしたら」と言ったら、症状はそれほど重くならなくて
すむかもしれない。

 また第三期においても、鉄則は、ただ一つ。なおそうと思わないこと。私がある母親に、「3か
月間は何も言ってはいけません。何もしてはいけません。子どもがしたいようにさせなさい」
と言ったときのこと。母親は一度はそれに納得したようだった。しかし1週間もたたないうちに
電話がかかってきて、「今日、学校へ連れていってみましたが、やっぱりダメでした」と。親にす
れば一か月どころか、一週間でも長い。気持ちはわかるが、こういうことを繰り返しているうち
に、症状はますますこじれる。

 第三期に入ったら、(1)学校は行かねばならないところという呪縛から、親自身が抜けるこ
と。(2)前にも書いたように、子どもの心の問題は、今の状態をより悪くしないことだけを考え
て、子どもの様子をみる。(3)最低でも三か月は何も言わない、何もしないこと。子どもが退屈
をもてあまし、身をもてあますまで、何も言わない、何もしないこと。(4)生活態度(部屋や服
装)が乱れて、だらしなくなっても、何も言わない、何もしないこと。とくに子どもが引きこもる様
子を見せたら、そうする。よく子どもが部屋にいない間に、子どもの部屋の掃除をする親もいる
が、こうした行為も避ける。

 回復期に向かう前兆としては、(1)穏やかな会話ができるようになる、(2)生活にリズムがで
き、寝起きが規則正しくなる、(3)子どもがヒマをもてあますようになる、(4)家族がいてもいな
くいても、それを気にせず、自分のことができるようになるなどがある。こうした様子が見られた
ら、回復期は近いとみてよい。

 要は子どものリズムで考えること。あるいは子どもの視点で、子どもの立場で考えること。そ
ういう謙虚な姿勢が、このタイプの子どもの不登校を未然に防ぎ、立ちなおりを早くする。


●不登校は不利なことばかりではない

 一方、こうした不登校児について、不登校を経験した子どもたち側からの調査もなされてい
る。文部科学省がした「不登校に関する実態調査」(二〇〇一年)によれば、「中学で不登校児
だったものの、成人後に『マイナスではなかった』と振り返っている人が、四割もいる」という。不
登校はマイナスではないと答えた人、三九%、マイナスだったと答えた人、二四%など。そして
学校へ行かなくなった理由として、

友人関係     ……45%
教師との関係   ……21%
クラブ・部活動  ……17%
転校などでなじめず……14%と、その多くが、学校生活の問題をあげている。  

+++++++++++++++++++++++

【はやし浩司より、Nさんへ】

 以上、心配をかけることばかり書きましたが、こうした子どもの問題には、必ず、二番底、三
番底があるということです。
子どもに何か問題が起きると、ほとんどの親は、(100%!)、「今が最悪」と考え、子どもに向
かって、子どもを直そうとします。
しかし今は、そういう考え方をしません。
子どもは家族の代表でしかありません。
つまり家族全体で、子どもの問題を考える、です。

 で、対処の仕方をまちがえると、「まだ以前のほうが、症状が軽かった……」ということを繰り
返しながら、二番底、三番底へと向かっていきます。
たとえばあなたの子どもが、不登校児になったとします。
そうなったとき、あなたはこう思うはずです。
「宿題ぐらい、何だ!」とです。

 さらに何かの大きな心の病気になったとします。
するとあなたはこう思うはずです。
「不登校くらい、何だ!」とです。

 ドラ息子、ドラ娘についてですが、もちろんそうでないほうがよいに決まっています。
しかし今、そうでない子どもをさがすほうが、むずかしいくらいです。
日本の子どもたちは、総ドラ息子化しています。
だからたしかに問題は問題ですが、あまり深刻に考えてはいけません。
あなたのご主人だって、かなりドラ息子ぽいですね(失礼!)。
あなた自身も、「私はドラ娘ではなかった」と自信をもって、言えますか?

 こうしたドラマを繰り返しながら、子どもは成長し、親は成長するのです。
そのドラマを楽しむ。
そういう広い視野をもつことが大切です。
つまり「突き放すところは、突き放す」です。
しかし温かい無視は、忘れずに……。

●Nさんへのアドバイス

(1)ご主人と対立してはいけません。

 子どもの教育のことで、ご主人と対立してはいけません。
まずご主人の言うことに、耳を傾けることです。
そうでなくても難しいのが子育てです。
ここはあなたのほうが折れて、夫婦は一枚岩で、子育てに対処します。
意外と、ご主人のほうが、あなたを見抜いているかもしれませんよ。

(2)ドラ息子症状について

 ドラ息子症状については、無視します。
口で言ったり、説教したりしても、意味はありません。
無視、です。
黙って聞き、あとは、無視。
けっして感情的になってはいけません。
相手は、子どもですから……。

(3)愛情飢餓

 下に弟がいるということですから、子どもは慢性的な愛情飢餓の状態にあることも考えられま
す。
(親にその意識はなくても、弟に親の愛を半分、奪われたという事実が、愛情飢餓状態を作り
ます。)
で、こういうときの鉄則は、ただひとつ。
「求めてきたときが、あたえどき」です。
子どもが何かのアクションを起こしてきたら、すかさず、(間髪を入れず)、それに応じてあげま
す。
「あとでね……」「待ってね……」は、禁句です。

(4)宿題について

 過負担になっていることはじゅうぶん、考えられます。
(同じ分量でも、子どもによって、とらえ方が違いますので、注意してください。)
ですから(できる範囲でして、それですます)が、原則です。
が、それでも子どもがそれを負担に感ずるようであれば、担任の先生に相談してください。
(担任の先生が、少しきびしすぎるかな?)
ていねいに話せば、先生もわかってくれるはずです。

(5)三角関係について 

 祖父母との同居には、マイナス面もあるいますが、それ以上にプラス面も多いはず。
そういうプラス面を生かして、あなたはあなたで、前向きに生きていけばよいのです。
そういう姿を見て、子どもはまたあなたから、何かを学んでいくはずです。

 ドラ息子の問題は、全体からみれば、マイナーな問題です。
これから先のことを言えば、思春期前後に頂点に達しますが、あなたの子どもへの愛情さえし
っかりしていれば、大げさな問題には発展しません。
ガミガミ、カリカリしないことだけには、注意してください。
大切なのは、自分で静かに考え、行動させ、責任を取らせることです。
ガミガミ、カリカリすればするほど、子どもは非常識な行動を繰り返すようになります。
もちろん親子の関係も、そこで断絶!

●今、すべきこと……

 今すべきこと……というよりは、どうか自分をしっかりと保ってください。
このままでは育児ノイローゼも時間の問題かな?
ご主人の協力が何よりも重要です。
ですから、けっしてご主人と対立してはいけません。
またあなたがすべてを背負ってはいけません。
ご主人に任すところは任せて、ご主人に責任を取ってもらいなさい!
あなたが深入りすればするほど、ご主人は逃げてしまいます。
あとはこの悪循環……。
そうならないように、注意してください。

 Nさんがそうだというのではありませんが、念のため、育児ノイローゼについて
たまたま先ほど原稿を書きましたので、ここに載せておきます。
参考にしてください。

 あとは子どもといっしょに、第二の人生を楽しむつもりで、楽しむこと。
あなたの思い通りにならないのが、子育て。
そして子ども。
どこの家も、似たような問題をかかえています。
(ちょっと無責任な回答ですみません。
私のように、子育てが終わったものからすると、Nさんのような方が、うらやましいです。
今が、いちばん楽しいときですよ!)

++++++++++++++++++++


●育児ノイローゼに注意

 子育てをしていて育児ノイローゼになる人は多い。圧倒的に母親に多いが、父親がノイロー
ゼになることも、珍しくはない。精神的な打撃によって起こる心的障害のことをノイローゼという
が、精神病というほど重くはない。ないが、対処のし方をまちがえると、深刻な結果を招くことが
ある。次のような症状が続いたら、育児ノイローゼを疑ってみる。

(1)生気感情(ハツラツとした感情)の沈滞、
(2)思考障害(頭が働かない、思考がまとまらない、迷う、堂々巡りばかりする、記憶力の低
下)、
(3)精神障害(感情の鈍化、楽しみや喜びなどの欠如、悲観的になる、趣味や興味の喪失、
日常活動への興味の喪失)、
(4)睡眠障害(早朝覚醒に不眠)など。さらにその状態が進むと、
(5)風呂に熱湯を入れても、それに気づかなかったり(注意力欠陥障害)、
(6)ムダ買いや目的のない外出を繰り返す(行為障害)、
(7)ささいなことで極度の不安状態になる(不安障害)、
(8)同じようにささいなことで激怒したり、子どもを虐待するなど感情のコントロールができなく
なる(感情障害)、
(9)他人との接触を嫌う(回避性障害)、
(10)過食や拒食(摂食障害)を起こしたりするようになる。
(11)また必要以上に自分を責めたり、罪悪感をもつこともある(妄想性)。

もっとも育児ノイローゼになっても、本人がそれに気づくことはまずない。脳のCPU(中央演算
部分)が変調するため、本人はそういう状態になりながらも、「自分ではふつう」と思い込む。あ
るいは他人に「異常」を指摘されたりすると、反対に過度の罪悪感に襲われ、かえって深く落ち
込んでしまうこともある。

そこで重要なのが、夫ということになるが、その夫の協力が得られないことが多い。で、もしここ
に書いたような症状のうち、いくつかに思い当たることがあれば、「今の状態はふつうではな
い」という前提で、自分のまわりを見なおす必要がある。できれば子育てそのものから離れる。
でないと、(こういうことを書くと、ますます症状がひどくなってしまうかもしれないが)、子どもに
影響が出てくる。そんなわけで、もし症状がひどいようであれば、一度、精神科のドクターに相
談してみる。








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【4】
【子どもの盗癖】

+++++++++++++++++++++

掲示板のほうに、こんな相談が届いている。
息子の盗癖についてのものである。
それについて、考えてみたい。

+++++++++++++++++++++

【Rさんより、はやし浩司へ】(1)

はじめまして。突然のメールで、失礼します。昨年、静岡市YU中学校区の講演
会に出席させて頂きました。まさに今、トンネルの真っ只中にいるため興味深く
時に涙しながら聴かせて頂きました。有難うございました。

  早速ですが長男のことについて相談します。小さいころから活発で元気だけが
とりえの子でした。それが中学に入った年の夏、部活動(テニス部)中に突然倒れる
ようになり病院で起立性調節障害と診断されました。朝、低血圧になり具合が悪
く午後からは嘘のように元気になるという症状で二学期はほとんど学校に行けず
に過ごしました。それをきっかけに部活動の先輩や同級生からいじめを受けるよ
うになり病気自体は三ヶ月ほどで治癒したのですが不登校になってしまいました。

それでも最初のうちは週に1、2日は登校できていましたし、体育大会や文化祭
など授業のない日は必ず参加していました。そんな生活が一年半続きましたが、
二年の三学期はとうとう始業式と終了式に参加しただけでした。ただ、三年にな
って四月末に修学旅行があるためか嘘のように登校し始めて無事修学旅行にも行
ってこられたときには本当に嬉しく思いました。

そんな思いもつかの間で五月からはまた、不登校です。今の生活は、朝具合が悪くご飯も
食べられず他の家族が出払ってしまうとパソコンに向かいオンラインゲームをほぼ一日中
やっています

夜になると明日は必ず学校に行くと言っていますがまたあくる朝になれば体調を崩す毎日の繰
り返しです。学校に行かなきゃいけないことや高校にも行きたい希望を持っているのにいざ勉
強となると集中できず学力は小六程度です。本人のやりたいこととやれることのギャップがあ
まりにも大きくて苦しんでいます。死にたいと洩らしたこともありますが自殺する勇気すらないと
言います。今は廃人同様だと嘆きどうすればいいのかわからない状態です。
 
私たち親が出来ることはただ信じて待つことだけですか。今は生きていてくれさえすればいいぐ
らいに考えられるようになりましたが正直なところ苦しいです。来年以降のことを考えると・・・・
病院に行くこともスクールカウンセラーに相談することも考えました
が息子は拒絶します。
 
  とりとめも無く書き込んでしまってすみません。ただただ息子の笑顔が見たい
だけなのです。日に日に衰弱していくのがたまらないのです。どうか・・・よろ
しくお願いします。


【Rさんより、はやし浩司へ】(2)

こんにちは。昨日はご多忙中にもかかわらずお電話を頂きまして有難うございました。早速、
仕事から帰った主人にも話しました。
 
一夜たち、今までに無く穏やかな気持ちで息子のことをみている自分がとても嬉しいです。家
族四人で何気なく交わす会話の中に幸せを感じています。
 
まだまだ先は永いと思いますが私は私らしく元気に生きていこうと思います。先生と今出会え
たことに感謝しています。そして貴重なお話をしていただけたことに感謝しています。本当にあ
りがとうございました。
 
今度メールを送るときには心から笑って話せると思えます。では、また。


【Rさんより、はやし浩司へ】(3)

すみません。今度メールするときは・・・って言ったばかりなのにまた迷いを感じる出来事があり
ました。一体、どこまで試されるんだろうと。
 
実は、うちのお金が取られました!
 
私たちは、決して裕福な家庭ではありませんが何とか3年前念願のマイホームを手に入れまし
た。当初は主人の両親と同居していました。今は、両親とは別居しています。
まだ、同居していたころ、最初の事件は起きました。
 
祖父の財布から1000円とりました。それから時々私のバックの中の財布から・・主人の貯金
箱から・・とエスカレートしていきその度に警察につれてってくれだのもう二度としないだの死に
たいだのと言い月々のお小遣いから少しずつでも返していくことで許していました。流石に3度
目の時には、現金を鍵つきの箱(耐火金庫ではないけれど金庫と呼んでいる)に入れるように
し、もう無いだろうと思っていました。
 
本当に忘れていました。ここのところ穏やかに話ができるようになっていました。だから前々回
の相談メールではふれることも無かったのですが・・・。昨日、いつものように買い物に行くとき
金庫からお金を出そうとして先週銀行からおろしたお金が減っているのに気づき慌てた様子を
見せると息子が「自分がとった」と言いました。

「金庫は組み立て家具なのでねじをはずして中身を出した」と。ショックでした。家中のお金をそ
こに入れていたから。いくら学校休んで時間があるとはいえそこまでするとは思っていなかった
から。しかも今回は単位が万単位。主人がコツコツためていた500円貯金も、かなり持ってい
かれました。
 
何に使ったのかといえばパソコンのオンラインゲームの課金がほとんど。生活上では全く派手
になるとかではないのでわからなかった部分もあるのですが金庫に入れておけば大丈夫と思
っていたのが間違いだったのか・・・
 
信じたい・・・けど信じられない自分がいます。何度も同じ事を繰り返してその度に泣いて謝る
けど苦しんでいるはずなのに何故また繰り返すのか。うちのお金が取れないと思ったとき、外
に向かわないかという心配もあります。金額の大小ではないけれどやっぱり悔しいし悲しいで
す。こんなとき、どう対応したらいいのでしょうか。とりあえず今ある現金は今日銀行に持ってい
ってもう家には置かないつもりです。
 
本当にスミマセン。とっても素敵なメールをいただいたのに・・・保存して辛くなったら読もうと思
っていたのに何度読み返しても今、やさしい言葉が出てこない自分が情けないです。まだまだ
母は未熟者です。でも、頑張りたいのです。どうしても息子を救いたいのです。よろしくお願い
いたします。

【はやし浩司より、Rさんへ】

(Rさんには、直接、電話をかけました。
30分ほど、相談にのりました。
そのあとに送信したメールです。)

石原様へ
 
おはようございます。
人生は楽しいですよ。
いろいろなことがありますか。
 
子どもがいろいろ教えてくれるのです。
自分だけが最悪と思わないこと。
みんな外からはわからないだけ。
同じような問題をかかえて、悩んでいます。
 
あとは白い雲が流れていくように、
やがて落ち着きます。
あせらず、ここはおおらかに!
「あなたの分は、私ががんばってあげるからね」と、
やさしい言葉をかけてあげてください。
 
何でもない問題ですから……。
 
息ができる。
目が見える。
音が聞こえる。
そのすばらしさを、ゆっくりとかみしめましょう!
 
では、
 
また何かあれば連絡してください。
 
 
はやし浩司
 
 
【はやし浩司より、Rさんへ】

R様へ
 
こんばんは。
 
息子さんの盗癖は、本人自身でもコントロールできない種類のものと思われます。
アルコール中毒の人がアルコールを求めたり、ニコチン中毒の人が、タバコを
求めたりするのと同じ現象が、脳の中(視床下部→線条体)で起きていると
考えてください。
つまり条件反射的に脳の中で、勝手に反応が起きてしまい、自分でもどうしたら
よいのか、わかっていないのです。
 
ですから、ここは管理を徹底するという方法で対処しますが、この種の盗癖には、
さらに2番底、3番底がありますから、気をつけてください。
対処の仕方をまちがえると、さらにやっかいな盗癖(家の外での窃盗など)へと
つながっていきます。
 
今は、これ以上状況を悪くしないことだけを考えて、穏やかに、かつていねいに
息子さんと接してあげるのがコツです。
 
怒って、感情的になってはいけません。今こそ、親の理性が試されるときと思って
ください。
本来なら、どこかでカウンセリングのようなものを受けるのがよいのですが、
まだそういう制度そのものが、日本のばあい貧弱です。
 
とにかく感情的にならないこと。
温かい無視で息子さんを包みながら、家の事情などを、ていねいに説明されるのが
よいでしょう。
それでも盗癖がつづくようであれば、はっきり言いますが、ある程度の盗みには
目をつむりなさい。
この時期の熱病のようなものですから、数年もすれば落ち着いてきます。
どこの子どもも、みなしてますよ。
ざっとみても、3人に2人くらいはしているのではないでしょうか。
貯金通帳から盗んで使っている子どももいました。
しかも数百万円単位で使っていました(高校女子)。
 
ですから必要以上におおげさに考えないこと。
それがそのまま、たとえば、大きな事件につながるというふうには、考えては
いけません。

幼い時から、ほしいものを買い与えてきたツケが今、出ていると考えてください。
値段的には安いものだったかもしれませんが、息子さんは、それで自分の欲望を
満足させていたわけです。
それが今、表に出てきたというわけです。
つまりその責任は、あなた自身にもあるということです。
息子さんだけを見て、息子さんを責めても、それは酷というものです。
 
繰り返しますが、二番底、三番底が、まだあります。
「今が最悪」とは、思わないこと。
気をつけてください。
そのため、「直そう」とは思わないこと。
「これ以上、悪くしないこと」だけを考えて対処してください。
 
また悪い面ばかり見ないで、健康で、やさしい子どもですから、ここは子どもを信じて
みましょう。
またこんな程度の問題で、めげていてはいけません。
子どもは、上から見てはいけません。
下から見るのです。
昔の人は、こう言いました。
『上見て、きりなし、下見て、きりなし』と。

そこに子どもがいて、ここに自分がいる。
元気で、みながんばっている。
そこを原点にして、子どもの問題をながめます。
何度も言いますが、Rさんがかかえている程度の問題は、何でもありません。
「盗みたかったら、どうぞ」と。
「その分、私がまたがんばるからね」と。
今のところ、金額も、(子どもの額=少額)のようですから、あとは笑って、
『許して、忘れる』です。

いつか子ども自身が、自分のした行為を恥じるように、Rさん自身が、大きく
成長してみせます。
それが子育てのだいご味でもあります。

まずいのは、取り越し苦労に、ぬか喜び。
もう少し長いスパンで、子どもの問題に接してみてください。
「去年よりはよくなった」とか、いうようにです。

きびしいことを書きましたが、あとはひたすら管理、管理です。
私の息子の1人も、同じようなことをしたことがあります。
そのときは、金庫の中に、手紙を入れておきました。

「いくらでも、もって行け。
だけど、こういうことは、やめよう」と、です。
以後、息子は、ぴたりと盗みをしなくなりました。

では、
 
はやし浩司








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【5】
●子どもの虚言癖

++++++++++++++++++

「子どもは家族の代表」という考え方が、
現在では、主流的な考え方です。
というより、今では、常識。

子どもに何か問題が起きたときは、
それを「家族全体の問題」として考えます。
子どもだけを見て、「直そう」と考えては
いけません。

E県のESさん(母親)から、子どもの
虚言癖について、メールが届いています。
この問題を、いっしょに考えてみたいと
思います。

++++++++++++++++++

【ESさんより、はやし浩司へ】

小学校6年生の息子のことでご相談させてください。

先日、息子の通学用のかばんから危ないものが出てきました(料理用の小型ナイフ)。
その前に、台所で何かに興味を示していたので、息子が自分でかばんに入れて
学校に持って行ったものと思い、
「危ないから、そんなものはもって行ってはいけない」と注意すると、
絶対自分はかばんに入れていない、自分ではない、と強く反論しました。

それでも内心嘘をついていると思いながらもあまり問い詰めず、そのままになりました。

翌朝、もう一度、もって行ったことはともかく、嘘をついたことが気になり、
学校に登校する前に「本当は持って行ったんじゃないの」と聞きましたが、
泣きながら、絶対に自分は知らない、と反論しました。

それですっかり怖くなってしまったのですが、
嘘をついているなら、まだましで、本人の記憶が飛んでいるのではないかと
思うほど、自分でも「もって言っていない」と、信じ込んでいる様子なのです。

普段から生活態度がだらしなく、細かいことまで沢山注意したり叱ったりすることも多く、
バイオリンを小さい頃から習っていて、その練習でも親子喧嘩が絶えず、
ストレスがたまった結果、こんなことになったのか、と悩んでいます。

子供はこうやって都合の悪いことを、本当に忘れたりすることがあるのでしょうか。
それともやはり分かっていて嘘をついているのでしょうか。

病的行動との心配があるならどう対処したら良いのでしょうか。

どうしてよいか分からず、悩んでいます。

【はやし浩司より、ESさんへ】

 いくつかの点で、気になることがあります。

(1)「かばんから……」という部分
(2)「泣きながら……」という部分
(3)「親子喧嘩が絶えず……」という部分
(4)「すっかりこわくなって……」という部分
 
 子どもの虚言で注意しなければならないのは、「空想的虚言(妄想)」です。
それについては、たびたび書いてきましたので、一度、「はやし浩司 空想的虚言」で
検索してみてください。
(私のHPのトップページ、子育てあいうえおを参考にしてください。)

 SEさんのお子さんのばあいも、その空想的虚言が疑われます。
心の中に別室を作り、その中に、いやなことや、思い出したくないことを、
閉じ込めてしまいます。
心理学的には、「抑圧」という言葉を使って説明されます。
自分の心を守るために、いやなことを閉じ込めるという防衛機制をいいます。
この抑圧についても、たびたび書いてきました。

 一般的には、気の抜けない、強圧的な過干渉が慢性化すると、子どもは自分の心を防衛す
るために、いわゆるシャーシャーとウソをつくようになります。
そしてひとつのウソがバレると、また新たなウソをつきます。
それがひどくなると、先に書いた、空想的虚言となるわけです。
(たった一度の、衝撃的な事件がきっかけで、空想的虚言をつくようになる子どももいます。)

 で、この抑圧で怖いのは、ふだんは何ともなくても、時と機会をとらえて、突発的に
爆発するということです。
俗に言う「キレる」原因の一つになることもあります。
「こんなオレにしたのは、お前だろう!」と、です。
古い、とっくの昔に忘れたはずのできごとを、つい昨日のできごとのように思い出して、キレる
のが、特徴です。
(30歳になっても、40歳になっても、子どものころのことを、つい昨日のできごとのように思い
出して、錯乱的に怒ったりすることもあります。
心の別室の中では、時間は止まったままになります。)
が、抑圧イコール、空想的虚言ということではありません。
子どもの心理は、もう少し複雑です。

 で、それについて書く前に、気になった点を並べてみます。

(1)「かばんから……」……私は、生徒はもちろん、ワイフのかばんすら、中をのぞいたことが
ありません。いわんや息子たちのかばんをのぞいたことは、ただの一度もありません。そういう
私ですから、それが許されることなのか、許されないことなのかという議論はさておき、ESさん
の行為が、私には、理解できません。

(2)「泣きながら……」……ふつうは、(「ふつう」という言葉は、あまり使いたくありませんが)、
この程度のことで、子どもは泣かないものです。どうしてそこまでたがいに感情的になってしま
うのでしょうか。責める側(=ESさん)にも、子どもの側にも、心の余裕が感じられないのが、
気になります。

(3)「親子喧嘩が絶えず……」……私も小学生のとき、バイオリンをやらせられ、たいへんいや
な思いをした経験があります。結果、大の音楽嫌いになってしまいました。小学生のころ、「音
楽」という言葉を聞いただけで、ゾーッとしたのを、覚えています。

(4)「すっかりこわくなって……」……お子さんが小3であることを考えるなら、親子関係はすで
に、かなり危険な状態に入っているとみますが、いかがでしょうか。

●過去の事例から

 似たような事件で、印象に残っているのが、2つあります。
ひとつは、月謝袋をバスの中で落としたと言い張った女の子(小4)。
落としたときの様子を、ことこまかに説明したので、私はウソと判断しました。

 もう1人は、私の教室でおしっこを漏らしたと母親に告げた男の子(年長児)。
「林先生(=私)が、床を拭いてくれた」と母親に言いましたが、私には覚えがありません。
それで母親が問い詰めると、今度は、「園バスの中でもらした」と。
が、バスの運転手さんや、同乗の先生に聞いても、「知らない」と。
結局、その子どもは、バスをおりてから、家に帰るまでの間にもらしたということになりました。
「どうしてママに言えなかったの!」と叱られるのがいやで、そういうウソをついたのでしょう。

●二番底、三番底

 この種のケースで注意しなければならないのは、二番底、三番底です。
けっして「今が最悪」と考えてはいけません。
「子どもを直そう」と考えるのも、危険です。
(簡単には、直りませんから……。)

 対処の仕方をまちがえると、「まだ以前のほうが症状は軽かった……」ということを繰り返しな
がら、さらに症状はこじれます。
もっと大きな問題を引き起こすようになります。
まだ小3ですから、まにあいます。
今は、「これ以上、問題(=子どもの心)を、こじらせないこと」だけを考えて、対処してください。

 大切なことは、ESさんの、育児姿勢、態度を、改めることです。
子どもだけを見て、ESさんは、自分の姿を見ていません。
冒頭に書いたように、子どもは、家族の「代表」にすぎないのです。
そういう視点で、率直に反省すべきことは反省します。

●気になる不信感

 ESさんの子育てを総合的に判断すると、いわゆる「不信型の子育て」ということになります。
「信じられない」という不安感が、過干渉の原因になっています。
が、この問題は、「根」が深いです。
時期的には、0〜2歳までさかのぼります(エリクソン・心理社会発達理論)。
母子の間の、基本的信頼関係の構築に失敗したとみます。

 ESさんのほうが、お子さんを全幅に許してこなかった。
その結果、ESさんがお書きになっているように、「普段から生活態度がだらしなく、細かいこと
まで沢山注意したり叱ったりすることも多く……」ということになったと考えられます。

 「だらしない」という基準は、どこにあるのでしょうか。
どこの子どもも、だらしないものですよ。
だらしなくない子どもなど、いないと考えてください。
ESさんの思い通りにならないからといって、「だらしない」と決めつけてはいけません。
むしろ逆で、子どもは学校という職場で、疲れきって帰ってきます。
家の中で、ぞんざいになっても、それはそれでしかたのないことです。
(とくにESさんのお子さんは、そうではないでしょうか。)
むしろ家の中では、したいようにさせ、羽を伸ばさせてやる。
それが「家庭」の基本です。

 私があなたの子どもなら、こう言うでしょうね。
「うるさい、放っておいてくれ!」と。

●では、どうするか?

 何よりも大切なことは、ESさん自身が子どもを信ずることです。
このままでは、(互いの不信感)→(親子のキレツを深める)→(ますます互いに不信感をもつ)
の悪循環の中で、やがて親子の断絶……ということになります。
(すでに今、その入口に立っていると考えてください。
さらに症状が悪化すると、あいさつ程度の会話もできなくなりますよ。)

 といっても、この問題は先ほども書いたように「根」が深く、簡単には解決できません。ESさん
が、「では、今日から、私は子どもを信じます」と言ったところで、そうはいかないということで
す。

 仮にそれができたところで、今度は、子どもの固まった心を溶かすには、さらに時間がかかり
ます。
それについては、とても残念なことですが、すでに手遅れかもしれません。
小3という時期は、そういう時期です。
年齢的には、思春期前夜に入るころです。
親離れを始める時期と考えてください。
ESさんのお子さんがもっている、ESさんへの印象を、ここで変えることはできません。

 では、どうするか?

 あきらめて、それを受け入れる、です。
勇気を出して、あきらめなさい。
『あきらめは、悟りの境地』と考えてください。
押してだめなら、思い切って引くのです。
親のほうがバカになって、頭をさげるのです。

 どこの家庭も、ESさんのような問題をかかえています。
うまくいっている家庭など、100に1つもないと考えてください。
そして一方で、裏切られても、裏切られても、『許して、忘れる』を繰り返してください。
その度量の深さで、あなたのお子さんに対する愛の深さが試されます。

 メールを読んだ範囲では、あなたの子育ては、「取り越し苦労」と「ヌカ喜び」の繰り返しといっ
た印象を受けます。
カバンの中にナイフ……というのは、ふつうではないと思いますが、しかしそれを見てパニック
になってしまう。

 いいですか、「心配だ」「心配だ」と思っていると、本当に、(あるいはさらに)、心配な子どもに
なってしまいますよ。
こういうのを「行為の返報性」といいます。
(これも、「はやし浩司 行為の返報性」で検索してみてください。
参考になると思います。)

 そこで私が今できるアドバイス……

☆「あなたはいい子」「すばらしい」を、口癖にして、あなた自身の心をだまし、作り変えること。

☆子どものほうに目が行き過ぎていませんか。もしそうなら、子どものことは構わず、あなたは
あなたで、したいことを、外の世界ですること。
母親でもなく、妻でもなく、女でもなく、ひとりの人間として、です。

☆「子どもに好かれよう」とか、「いい母親でいよう」とか、「いい親子関係を作ろう」という幻想
は、もうあきらめて、捨てること。またそういう気負いは、あなたを疲れさせるだけです。
とくに「おとなの優位性」を捨てること。

☆「今の状態をこれ以上悪くさせないこと」だけを考えて、あとはもう少し長い時間的スパンで、
ものを考えてください。1年とか、2年です。あとは時間が解決してくれます。あせればあせるほ
ど、逆効果。それこそ二番底、三番底に進んでしまいますよ。

●ESさんへ、

 かなりきびしいことを書きましたが、あなたのお子さんの問題は、実は、あなた自身の問題と
いうことに気がついてくだされば、うれしいです。
「なぜ、子どもがウソをつくのか」「ウソをつかねばならないのか」、そのあたりから考え直してみ
てください。

 それを「病的」と、子どもの責任にしてしまうのは、あまりにも酷というものです。
ひょっとしたら、あなた自身が、自分が子どものころ、全幅に親に甘えられなかったのかもしれ
ません。
あなたの親に対して、心を開くことができなかった。
あるいは結婚当初の何らかのつまずきが、そのあとの(心配の種)になってしまったことも考え
られます。

 そんなわけで私があなたのお子さんなら、あなたにこう言うでしょう。

「ママ、もっと心を開いて、ぼくを信じて!」と。

あなたのお子さんがあなたに求めているのは、ガミガミ、キリキリと、やりたくもない音楽の練
習ではなく、「友」です。
親意識が強く、支配的に上に君臨する女帝ではなく、「友」です。

 さあ、あなたも、一度子どもの世界に身を落として、友として、お子さんの横に立ってみてくだ
さい。
時間はかかりますが、やがて少しずつ、あなたのお子さんは、あなたに対して心を開くようにな
るでしょう。
それがあなたにも、わかるようになるはずです。
と、同時に、あなたはお子さんといっしょに、第二の人生を楽しむことができるようになります。
そう、「楽しむ」のです。

 子育ては、本来、楽しいものですよ!

 最後に一言。
『許して、忘れる』です。
(「はやし浩司 許して忘れる」を検索してみてください。)

 では、今日は、これで失礼します。

(はやし浩司 家庭教育 育児 育児評論 教育評論 幼児教育 子育て Hiroshi Hayashi 林
浩司 BW BW教室 子どもの虚言癖 虚言 空想的虚言 親子断絶)










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【6】
【ある夫婦の問題】

++++++++++++++++++++++++

東北のある県にお住まいの、TRさん(男性)より、
夫婦の問題についての相談がありました。

それについて、考えてみたいと思います。

++++++++++++++++++++++++

【TRさんより、はやし浩司へ】

お忙しいところ申し訳ございません。

今家の中は妻と娘の問題で騒然、混沌としておりどう解決していけばいいかわからない状態で
す。先生のお知恵をいただき何とか解決の糸口を見つる事が出来ればと思っています。宜しく
お願いします。

妻とは職場結婚し20年経ちます。私は整形外科医師で、妻は元看護師です(結婚と同時に退
職)。結婚当初から気に入らないことがあると、1週間でも口を利かなくなり私を無視するところ
がありました。離婚を匂わせる発言も数回ありました。私はどちらかと言うと家族の絆・連帯を
重んじたいほうで、家内にはそれも重荷になっていたようです。

1年3か月前ちょっとしたことで家内が激高し、それ以来寝室は別で、家庭内別居の状態が続
いています。元々お互いにセックスレスだったこともあり、今は家内に触れただけで大声を上
げて嫌がるようになってしまいました。

激高したちょっとしたことについて少し書きます

・・・早めに病院に行かねばならず、・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・車庫内で家内は興奮し近所に聞こえるような大声で泣きながら怒り始めたので、平謝り
に謝った。翌日自動車会社に私から電話謝罪し、「たいした傷ではないので大丈夫ですよ」と
言ってもらった。

その日以来、寝室は別になった・・・

対外的に妻は非常に良い人で、幼稚園や小学校でお母さん連中に慕われています。私の両
親にも献身的で、祖父母が存命だった時は、病院への送り迎えや母が仙台で手術を受けたと
きなどは家族のために、ウィークリーマンションを借りたり、下準備を全て行ってくれ、至れり尽
くせりで、家族は感謝していました。

また私の父が2年3か月前に亡くなり、F市で暮らしていた母と統合失調症の弟が2人残された
ので、3か月ほど前I市の我が家から500メートルはなれたところのマンションを借りるのにも
尽力してくれました。

でも私には家庭内別居になってから「おはよう」「おやすみ」「おかえり」などの基本的な挨拶さ
えも全くありません。

12歳になる長女は、3歳頃から、「どうして、どうして」といいながら2〜3時間は泣くことがしば
しばありました。家が微妙な状態になった頃突然受験すると言って、中学受験を決意しました。
私が殆どマンツーマンで勉強を見ました(家庭教師もつきましたが)。今は片道1時間半かかる
M町までバスと電車を乗り継いで通学しています。

しかし今だ1週間に1回くらいは、「自分だけどうして、どうして」と、2〜3時間大声で幼児返り
のようにして泣き続けます。私立中学入学当初は「一番になる」と豪語していましたが、最近は
反抗期も重なり、イライラが強く腰を据えて勉強できなくなってきています。中間テストの2週間
前は椅子に座ったと思ったら、数秒で立ち上がることを繰り返し、下の子供が寝ると歯磨きを
し始める有様に成りました。

もちろん成績も200人中180位くらいでした。「こうやって自分は落ちこぼれていくんだ」と、自
分に言い聞かせているようにつぶやきます。今は下の子と帰ってきてから2〜3時間遊んで(と
言うより遊んでもらって)、下の子が寝る9頃から1時間かけて、10分くらい宿題をして寝てしま
います。

制服も帰ってきてからどんなに注意しても脱いだままにしています。「勉強したほうがいいので
は」などというと、「今しようと思っていたところなのに、言われたからやらない!」と拒絶します
(言わなかったら殆どしません)。

下の子には思いっきり意地悪をすることが多く、家内は娘を怒ります。娘はここぞとばかり、
「下の子ばかりかばってどうして自分だけ怒られなければならないの、下の子の方が悪いの
に」と言ってまた泣きます。

家内にダッコを求めますが、家内は仁王のように腕組みして立ちはだかり、私に対するのと同
じように、「触られたくない」と、拒絶します。弟との差を感じてますます娘は泣きます。

長男は今のところ明るい社交的な子に育っており、母の愛情も充分受けています。でも家庭内
のギクシャクのためか、切れやすくなってきています。

私の対応としては、出来るだけ家庭内で明るく振舞い家内が嫌な (しつこくする)ことを出来る
だけ避けるようにしています。でも家内は冷たい・・・

離婚相談のA先生に、円満になれるように相談し始めたところです(家内に内緒で)。家内に第
三者に入ってもらって相談することで建設的になれればと話を持ちかけましたが、「それは修
復したいと思っている人のすることで、私はこの家にも子供にも未練がない。親権もくれてや
る。あなたにしても、子供にしても帰ってくるのが苦痛だ。私を早く一人にさせて。」と言います。

全てが本心でないのでしょうけど、私に対することは本心と思われます。「子供には両親が必
要だし、下の子が20歳になるまでは我々の責任だ」と説得していますが、最近は内心そこまで
持たないのではと思います。

家内の精神面がかなり荒廃していると思われ、精神科の先生にも相談し安定剤を処方したこ
とがありますが、「私は精神病なんかではない!」と言い、1回内服してくれただけで拒絶されま
した。それからは何か相談しても、(娘のことに関しては会話がかろうじて出来ます)、「精神病
の人に聞かないで」と言われてしまいます。

出来るだけ家内を解放し、実家のT市に少しでも帰るよう仕向けていますが、外へ向けての完
ぺき主義の家内は、夏祭りの準備などで殆ど帰れないようにがんじがらめになっています。

今まで家族のためにと思って頑張って働いていたのに、私も死にたい気持ちになったりしてい
ます。ただこのまま私が死んでしまったら子供たちがかわいそうで、母と妹も引っ越してきてど
うしようもないし、私が弱ったらだめと言い聞かせています。

わたしの精神もかなり磨り減っており、本を片っ端から本を読んだり、Y先生の「悟りの子育て」
などを読み漁っています。

とに角怒らずに子供を過保護かもしれないけど、抱きしめるようにしています。
ダブルベットで上の子と私は一緒に寝ています。下の子のベットで家内は寝ていますが、私の
部屋が涼しいので、下の子もダブルベットに来るようになり、3人で川の字に寝ることが多くなり
ました。

このままでは子供の精神が壊れてしまうのではないかということと、家内も相当壊れてきている
のではないかと言うことが心配でなりません。最近は、(家内にだけ秘密)、両方の家族に実情
を説明し、サポートを期待しています。

あと私に出来ることは何でしょうか?
このまま現状維持で子供は大丈夫でしょうか?
やはり子供が巣立ってから離婚になるのでしょうか、子供のために今離婚したほうが良いので
しょうか?

無理難題の質問してしまい申し訳ありません。
何卒ご回答宜しくお願いします。

【はやし浩司より、TRさんへ】

●運命論

 こうした問題は、離婚問題にかぎらず、やがて流れるところに流れ、そこで解決します。
その(流れ)を感じたら、身を任すこと。
離婚問題、子どもの問題も、その結果として、自然に解決していきます。

(流れ)、……それを私は「運命」と呼んでいますが、この運命というのは、それに
逆らえば、キバをむいて、あなたに襲いかかってきます。
しかしそれを受け入れてしまえば、向うからシッポを巻いて逃げていきます。
(現在は、きばをむいて、あなたに襲いかかっている状態です。)

今のあなたは、(離婚する決意もできず)、同時に(関係を修復する決意もできず)、その
はざまで、悶々と苦しんでいます。
つまり「このままではいけない」という気持ちと、「何とかしたい」という気持ちの中で、
はげしく葛藤しています。
「何かをしなければならない」という気持ちと、「何をしたらいいのだ」という気持ちの
中で、です。

 こうした心の状態は、心理学でいう、『フリップ・フロップ理論』で、説明されます。
つまりどちらにころぶこともできず、フラフラの状態ということです。
もともとは、無神論の人が有神論に、有神論の人が無神論になるときの心理状態を
説明したものです。(日本では、この理論を知っているのは、私だけかと思います。)

 が、こうした状態に、人は、それほど長くは耐えられません。
はげしい葛藤がしばらくつづいたあと、コロリとどちらかに倒れます。
だから私は勝手に、『コロリ理論』と訳しています。

 そうそう私が言う「運命論」というのは、今はやりの、スピリチュアル(霊的)な
ものではありません。
私たちには、それぞれ無数の目に見えない糸がからんでいます。
家族の糸、社会の糸、環境の糸、生い立ちの糸などなど。
その(糸)がときとして、私たちの進む方向を、勝手に決めてしまいます。
で、振り返ってみると、そこに(道)ができているのを知ります。
私はそれを「運命」と呼んでいます。

●離婚
 
 順に考えていきます。

 まず離婚ですが、離婚そのものが、子どもの心に影響を与えるということは、あり
ません。
子どもはそのつど状況を受け入れ、それに適応していきます。
が、離婚に至る、家庭騒動は、子どもに大きな影響を与えます。
はげしい夫婦喧嘩、対立、騒動、言い争い、いがみあい、など。
(子どもというのは、環境的な変化には、すばらしい適応能力を示します。
が、愛情の変化には、たいへんもろいということです。)

子どもが乳幼児であれば、基本的不信関係、基底不安の原因となることもあります。
心の開けない子どもになったり、慢性的な不安感をいつも覚える子どもになったりします。
最近の研究によれば、おとなになってからうつ病になる人のほとんどは、乳幼児期の
親子関係(とくに母子関係)に起因するというところまでわかってきました(九州大学)。

 だから家庭騒動は、最小限に。
離婚するにしても、「明るく、さわやかに」(某タレント談)が、鉄則です。

●潔癖症 

 で、奥さんの潔癖症が、気になります。
神経症のひとつということになっていますが、こだわりが強い分だけ、やはり心の病を
もっておられるように感じます。
病識があればよいのですが、いただいたメールによれば、その病識がないようですね。
こういうケースのばあい、奥さんが平常なとき、「それが本来の姿」と、奥さんに
気づかせるのがよいわけです。
が、家族(=夫のあなた)では無理です。
 
 たとえばTRさんが、その話題をもちだせば、とたんに烈火のごとく、奥さんは、
それに反発してしまうでしょう。
だからカウンセリング……ということになります。
どなたか間に入って、奥さんと冷静に話せる人がいらっしゃるとよいのですが……。
(あるいは奥さん自身は、すでにそれに気づいておられるのかもしれません。
自分でもどうしようもなく、自己否定から自暴自棄になっておられる可能性もあります。)

 私は、こだわりの強さと、心の緊張状態から、奥さんのうつ病を疑っていますが、
そのあたりのことは、一度専門医に相談なさってみられたらどうでしょうか。
(奥さんも、そういう点では、表面的にはともかくも、不幸にして不幸な家庭環境に
育った女性とみてよいのでは(?)。
とくに奥さんと、奥さんの母親との関係が、乳幼児期に、不全だったように感じます。)

●子どもの進学

 つぎに12歳の長女の進学問題についてです。
この際、子どもの進学問題については、あきらめなさい。
つまりTRさんの手に負えるような問題ではないということです。
が、鉄則があります。

(1)「なるようになれ!」と、自分の心から進学問題を切り離すこと。
(2)「許して、忘れる」を貫くこと。
(3)「暖かい無視」を忘れないこと。
(4)「求めてきたときが、与えどき」と心得て、すかさず、必要なことはしてやること。

 これが「あきらめる」の意味です。
「捨てろ」とか、「育児放棄しろ」とか、そういう意味ではありません。
もちろんお嬢さんを切り離せということではありません。
切り離すのは、「進学問題」だけです。
どんなに成績が悪くても、「友」として、子どもの横に立つということです。

 で、その上で、私は、『あきらめは、悟りの境地』という格言を考えました。
そこは実におおらかで、すばらしい世界です。
子育ての極致のようなものです。
あなたも勇気を出して、あきらめてみてください。
気が楽になりますよ。
「お前の分は、オレががんばってやるからな」と宣言すればよいのです。

 あとは娘さんが、自分で自分の道をさがし、求めていくでしょう。
親としてはつらくも、さみしいときかもしれませんが、TRさんのできることにも
限界があるということです。
で、しばらくは迷い、悩んだりしますが、その分だけ、お嬢さんは、たくましく
育っていきます。
私たち親ができることと言えば、子どもをうしろから見守るくらいなことだけです。
子どもが巣立つときというのは、そういうものです。

●自分を追い込まないこと

 はげしく葛藤しているということは、この時点においては、結論を出さないこと。
そのほうが、賢明かと思われます。
『迷っているときは、結論を急がない』『悩んでいるときは、結論に向かわない』が、
原則です。

 重要なのは、とくに奥さんに対して、未練を残さないように、(あるいは反対に深い愛情を感
ずるまで)、心の整理をしておくことではないでしょうか。
「別れれば、まったくの他人」、あるいは反対に、「死ぬときは、いっしょ」と、心の覚悟
をどちらかに決めること。
また決まるまで、自分の心を見つめること。

 その覚悟ができるまで、「急がない」が、原則です。

 私も事情は異なりますが、同じような立場になったことが、数回、あります。
で、こういうときはジタバタしない。
(流れ)を感じたら、その(流れ)に身を任す。
コロリとどちらかに倒れるまで、待つ。
結論はそのあと、自ずと出てきます。
そしてそのとき、きわめて自然な形で、離婚もでき、また子どもの問題も解決します。
「何だ、こんなことだったのか!」とです。

 今、TRさんは、「子どもが20歳になるまで」とか、「娘の進学が心配」とか、
いろいろと自分を追い込んでいます。
心理学的には、TRさんは、自責型人間ということになります。
(奥さんは、それに対して、他責型?)
あまりそういうふうに、考えない方がよいです。
こうした問題は、なるようにしかならないし、またなるようになっていくものです。
もう少し肩の力を抜いて、無責任になるところは、なる。
ズボラになるところは、ズボラになる。
あるいは、仕事に没頭する……。
幸いにもすばらしいご職業をおもちなのですから、それこそ好き勝手なことができるはず。

 私たち夫婦も、月例行事のように夫婦喧嘩をしています。
しかしそういうときは、(こんなことを、おおっぴらに書くと、叱られそうですが)、
「女など、本気で、相手にしない」です。
(結構、男尊女卑思想に染まった部分もありますので……。)

 私など、一年中、「母親」という女性の世界で生きていることもあって、いつもそう
感じています。
「女など、本気で、相手にしない」です。
(私のワイフはワイフで、「男など、本気で、相手にしない」と考えていますよ。)

 それに離婚と言っても、いまどき、何でもないことです。
日本人も、20数%の人が、離婚を経験しています。
アメリカの離婚率より、やや低いかな……というところです。
5組に1組、あるいは5人に1人ということです。
あまりおおげさに考える必要はありません。

●もし、できれば……

 もし、できれば、負けを認めるという方法もあります。
プライドはみな、捨てて、こう言うのです。
「お前を愛している。お前なしでは生きていかれない。もう一度、ゼロからやりなしたい。
協力してほしい」と。

 奥さんの前で、心を丸裸にしてみるのです。
心底、心から、そう叫んでみるのです。
離婚するにしても、またしないにしても、一度は、その関門を通りくぐらなければなり
ません。
「やるだけのことはした」という思いが、仮に、それが奥さんに通じなくても、あなたの
心をさわやかにします。

このとき、子どもを理由(ダシ)にしてはいけません。
「修復しよう」という下心も捨てます。
ありのままに、ありのままのあなたの心を語ります。
TRさんは、TRさんだけのことを考えて、行動すればよいのです。
またそれが(すべて)です。

 あなたの真心が伝われば、奥さんの心もそれで溶けるはず。
が、溶けなければ、それまで。
あとは(流れ)に静かに身を任せます。
運命を受け入れ、それに身を委ねます。

●私のこと

 話は変わりますが、私も、最近、「故郷」とは縁を切る覚悟をしました。
言うなれば、故郷との離縁です。
(簡単なようで、これは実際には、たいへんなことですよ!)
今度、法事をすませたら、それでおしまい。
親戚づきあいも、なし。
ご愛想も、体裁もなし。
ついでにxxとも、お別れ。
自然のなりゆきで、そうなりました。
が、実にさわやかな気分です。

 家族自我群(呪縛感)の中で、もがき苦しんでいるときは、ほんとうにたいへんでした。
運命をのろい、運命にさからっていたからです。
が、まず最初に、(いい子)ぶるのをやめました。
誤解を解く努力も、やめました。
どうせその程度の人たちなのですから、言いたいように言わせておけばいい。
いろいろ口は出しても、何もしてくれないことがわかったからです。
1人、2人ではない。
全体として、縁を切る。
そういうふうに考えて、運命を受け入れました。

 それ以上に大切なことは、残りの人生を、楽しく有意義に生きることです。
私はすでにやるべきことはした。
じゅうぶん、した。
だからだれにも、うしろ指をささせない!
そういう思いが、私を、今、支えてくれます。
「逃げる」のではなく、「過去の亡霊を断ち切って、前に進むのです」。
どうか、参考にしてみてください。

 (いただきましたメールの転載許可に、感謝します。)










 Q&A INDEX   はやし浩司のHPへ 
【7】

【家族、そして親戚づき合い】(Families and Blood Relatives)

+++++++++++++++++++++++

家族にもいろいろある。
親戚づきあい。
それにも、いろいろある。
人それぞれ。
みな、ちがう。

家族にせよ、親戚づきあいにせよ、
たがいに良好なら、まだよい。
救われる。
そうでないなら、そうでない。

しかしひとたびこじれると、親戚であるがゆえに、
他人以上の他人になる。
ささいなことでも、はげしく衝突するようになる。
憎しみあい、ののしりあうようになる。

++++++++++++++++++++++++++

●姉妹の確執

 最近、A子さん(40歳)は、姉のB子さん(42歳)と縁を切った。
一切、行き来は、なし。
しかしその理由を知る人は少ない。 
A子さんも、それについては、人に話さない。

 A子さんの夫が、姉のB子さんと、不倫関係をもってしまった。
夫のほうが、B子さんに言い寄った。
悪いのは夫、ということになる。
が、いろいろ事情があって、A子さんは、離婚にまでは踏み込めないでいる。
A子さんの心中は、複雑。

●親子の縁
 
 C氏(55歳・男性)は、この10年以上、母親に会っていない。
その母親が、昨年、脳梗塞で倒れた。
伯父から連絡を受けた。
が、C氏は、見舞いにも行っていない。
が、それにも、理由がある。

 C氏は、母親と別の男性との間に生まれた、不倫の子だった。
気がついたのは、学生時代のことだった。
ほかの3人の兄弟(兄2人、妹1人)と、血液型が符合しなかった。
で、念のためにと、DNA鑑定をしてもらった。
結果、C氏だけは、別の男性の子であることがわかった。
C氏はこう言う。

 「父はもう死んでいるから、本当のことを話してほしい。
しかし母は、いまだにとぼけている。
私はそれが許せない」と。

●外面(そとづら)と内面(うちづら)

 外面と内面が、まったく異なる人は、珍しくない。
外の世界では、神のような人物を演ずる。
しかし家の中では、まったくの別人。
わがままで、自分勝手。
Dさん(80歳、女性)も、その1人。
「超」の上に、さらにもうひとつ「超」がつくほど、わがまま。
自分勝手。

 嫁がつくる食事を、「まずい!」と言っては、嫁に投げつける。
息子には、「遺産(=土地)がほしければ、今、お前の貯金をよこせ!」と怒鳴る。
あるいは泣き声で、懇願する。

 が、他人の視線を感じたとたん、豹変する。
表情まで、別人になる。

●親子関係

 その家には、その家の人たちだけにしかわからない、裏の事情というものがある。
外の人には、それはわからない。
が、外の人は、表面的な部分だけを見て、判断をくだす。
自分の意見を添える。
しかしこういう判断や意見は、当事者たちを、とことん傷つける。
ある人(男性、50歳)は、こう言った。

 「それは心臓をえぐられるような苦しみです。
そういう経験のない人には、理解できないでしょう」と。

 とくに親子関係というのは、本能に近い部分にまで刷り込みがなされている。
それを断ち切るのは、容易なことではない。
実際には、不可能。
だから、もがく。
苦しむ。

 親戚関係にしても、そうだ。
そこに至るまでには、長い歴史というものがある。
かさぶたの上に、かさぶたが重なり、傷口にしても、原型をとどめないほどまでに、
複雑になっている。
そういうケースは多い。

●神経戦

 「村八分」という言葉がある。
「今では、死語になっている」と説く人もいる。
「遠い、昔の話」と。
しかし現実には、残っている。
ここにも、そこにも、どこにでも残っている。
「村」という単位ではなく、「親戚」という単位となると、もっと多い。

 が、「八分」にする人も、またされる人も、とことん神経をすり減らす。
すり減らしながら、神経戦を繰り返す。
果てしない消耗戦と言ってもよい。
それが5年、10年単とつづく。

●ダカラ論
 
 要するに、たとえ親戚であっても、家族の問題には、首をつっこまないこと。
相手の側から相談でもあれば、話は別だが、そうでなければ、そっとしておいて
やる。
それが思いやりというもの。
まちがっても、安易な『ダカラ論』や、『スベキ論』で、相手を責めてはいけない。

 私もいろいろあって、この『ダカラ論』や、『スベキ論』に苦しんだ。

 「お前は、子だろ」「お前は、大学まで出してもいらっただろ」「産んでもらった
だろ」「育ててもらっただろ」と。
「いくら事情があっても、親は親だからな」と言ってきた人もいた。
「だから、お前は〜〜すべき」と。

●「親戚」という呪縛

 今、「親戚」という足かせの中で、もがき、苦しんでいる人は多い。
こうした原稿をBLOGなどで発表すると、ものすごく多くの人たちから、反響が届く。
「私も……」「私も……」といった感じである。

 「正月に実家へ帰ると考えただけで、頭が痛くなります」といったレベルの
人まで含めると、3人に1人くらいはいるのでは?
つぎのような原稿があるのを思い出した。
日付を見ると、06年となっている。
今から3年前の原稿である。

++++++++++++++

【親子の確執】

フロッピーディスクを整理していたら、

こんな相談が出てきた。



そのときは相談してきた方の立場になって、

それなりに返事を書いたつもりでいる。



しかし、記憶というのは、いいかげんな

もの。「そういうことがあったな」という

程度には、思い出せるが、そこまで。

もし偶然であるにせよ、その相談を見ることが

なかったら、私は、そんな相談があった

ことすら、思い出すこともなかっただろう。



+++++++++++++++++



 何枚かのフロッピーディスクを、整理していたら、こんな相談が出てきた。パソコンからパソコ
ンへの原稿の移動には、私は今でも、フロッピーディスクを使っている。



 まず、そのときの相談を、そのままここに転載する。当時、相談をしてきた方から、転載許可
をもらった記憶だけは残っている。



+++++++++++++++++



【YDより、はやし浩司へ】



 以前にもご相談させていただきましたYDです。 今回は私と実父とのことで、ご相談をお願い
したいと思いました。 



18歳のときに、私は、今の主人とつきあい始めました。そのときは、私が進路未定の状態だっ
たので、私たちの交際は、猛反対されました。 



 幼稚だった私は当時、交際を隠し続けていたのですが、結局、親が知るところとなり、私は家
を飛び出し、主人の所に転がり込む形で、家族との縁を切りました。そのときから体の不調が
始まり、主人と同棲を始めると同時に、自律神経失調症とわかり、一年間、薬の服用をしまし
た。(主治医の先生によると、「おびえ」という症状との見解でした。)



 実家とは絶縁状態のまま結婚、出産し、4年が過ぎたころ、実母が亡くなり、家の敷居をまた
ぐになりましたが、実父との関係は、今でも修復されないままでいます。



 母は子供の頃から誰にも言えない胸のうちでも、私には話せるようで、愚痴の聞き役のよう
な感じでした。家を出てからも、父に隠れながら、毎日のように電話をくれました。しかし私の話
より、自分の愚痴や不安を聞かされ、私が励ます内容の電話が多かったと思います。そのせ
いか、私は心のどこかで、父を軽蔑していると自分では思っています。

 

 母が亡くなった事で、法事などで実家に行くこともありますが、主人は父を嫌って極力実家に
は近づこうとしません。父にはそれがもの凄く不満のようで、「もっと先祖(=私)を大事にしてく
れ」と訴えるのですが、主人は、自分の両親・姉でさえとも一線を引くようなところがあり、自分
と合わない人間とは付きあわないところがあります。主人の気持ちも考えると、どちらにも強く
言えないでいます。 



 このお正月に母のお墓参りに行きましたが、場所が北海道と遠いこともあり、また車で行くと
いうこともあり、雪も降ったあとだったので、詳しい日程が立てられないまま行きました。



 結局、予定より2日も余裕ができたので、叔父達に会いに行くことができましたが、事前に詳
しく連絡を入れていなかったことで、父に迷惑がかかり、怒られる結果となりました。



 父は「相手の立場に立って思いやりを持って行動すべきだ。相手にも都合がある。正月とい
う時期だから、余計に考えるべきだった。自分(=父)が何も知らせないで、勝手に決めすぎ
だ」と言われましたが、今回は行き当たりばったりで、皆に迷惑をかけたのは確かだと、自分で
は思っています。 



 事前に父に密に予定を話しておけば良かったことなのですが、私自身ごちゃごちゃ言われた
くないから、最低限のことだけ伝えればいいやと、父とのコンタクトを避けてしまった結果だと、
自分では思っています。 



 父は、私の家族であるリーダーは主人だから、私に言っても仕方なく、主人が考え、行動す
べきことであり、主人と話をすることを考えていると言っています。私は主人の性格を考える
と、余計に父を疎ましがるのではないかと思い、まずは私が父とコミュニケーションを取れるよ
うにならなければ、今の関係の改善は難しいと思うのですが。



 また、私たち家族が出向くことによって父が、叔父達に「よろしくお願いします」「お世話になり
ました」と動けるように、私たちから働きかけるべきなのでしょうか? 父にその必要があるの
なら、父から聞いてくればいいのにと、どこか反発心もありながら、社会を見ないまま家庭に入
った身として、常識に欠けているのか判断ができずにいます。まず何から改善すべきか見出せ
ない現状です。



 文章が支離滅裂でお恥ずかしいのですが、先生はどう感じたでしょうか? 聞かせていただ
けるととても嬉しいです。



++++++++++++++++++



当時のことを思い出すために、

YDさんからの相談を、自分の

原稿集の中で、検索してみた。



で、さらに驚いたことに、この相談を

もらったのは、(06年 FEB)とある。



つまり今年の2月!



私はたった9か月前のことすら、

もう忘れてしまおうとしている!



ついでにそのときYDさんに書いた

返事を、そのままここに載せる。



+++++++++++++++++



●「家族」とは何か?



 多くの人にとっては、「家族」は、その人にとっては、(心のより所)ではあるが、しかし一度、
歯車が狂うと、今度は、その「家族」が、重圧となってその人を苦しめることがある。ふつうの苦
しみではない。心理学の世界でも、その苦しみを、「幻惑」と呼んでいる。



 そういった「家族」全体がもつ、束縛意識、結束意識、連帯意識を総称して、「家族自我群」と
呼ぶ学者もいる。こうした意識は、乳幼児期から、親を中心とする家族から本能に近い部分に
まで刷りこまれている。そのため、それから自らを解放させることは、容易なことではない。



 ふつう、生涯にわたって、人は、意識することがないまま、その家族自我群に束縛される。
「親だから……」「子だから……」という、『ダカラ論』も、こうした自我群が背景となって生まれ
る。



 さらにこの日本では、封建時代の家督制度、長子相続制度、権威主義などが残っていて、親
子の関係を、特別視する傾向が強い。私が説くところの、「親・絶対教」は、こうして生まれた
が、親を絶対視する子どもは、少なくない。



 が、ときに、親自身が、子どもに対して、その絶対性を強要することがある。これを私は「悪
玉親意識」と呼んでいる。俗に言う、親風を吹かす人は、この悪玉親意識の強い人ということに
なる。こういう人は、「親に向かって、何てことを言うのだ!」「恩知らず!」「産んでやったでは
ないか!」「育ててやったではないか!」「大学まで出してやったではないか!」というような言
葉を、よく口にする。



 もともと権威主義的なものの考え方をする傾向が強いから、人とのつながりにおいても、上下
意識をもちやすい。「夫が上、妻が下」「男が上、女が下」と。「親が上で、子が下」というのも、
それに含まれる。さらにこの悪玉親意識が強くなると、本来なら関係ないはずの、親類の人た
ちにまで、叔父風、叔母風を吹かすようになる。



 が、親子といえども、基本的には、人間対人間の関係で、決まる。よく「血のつながり」を口に
する人もいるが、そんなものはない。ないものはないのであって、どうしようもない。観念的な
(つながり)を、「血」という言葉に置きかえただけのことである。



 で、冒頭に書いたように、(家族のつながり)は、それ自体は、甘美なものである。人は家族
がもつ安らぎの中で、身や心を休める。が、それには、条件がある。家族どうしが、良好な人
間関係を保っているばあいのみ、という条件である。



 しかしその良好な人間関係にヒビが入ると、今度は、逆に(家族のつながり)が、その人を苦
しめる、責め道具になる。そういう例は、多い。本当に多い。子ども自身が、自らに「親捨て」と
いうレッテルを張り、生涯にわたって苦しむという例も少なくない。



 それほどまでに、脳に刷りこまれた(家族自我群)は、濃密かつ、根が深い。人間のばあい、
鳥類とは違い、生後、0か月から、7〜8か月くらいの期間を経て、この刷りこみがなされるとい
う。その期間を、「敏感期」と呼ぶ学者もいる。



 そこで、ここでいう家族自我群による束縛感、重圧感、責務感に苦しんでいる人は、まず、自
分自身が、その(刷りこみ)によって苦しんでいることを、知る。だれの責任でもない。もちろん
あなたという子どもの責任でもない。人間が、動物として、本来的にもつ、(刷りこみ)という作
用によるものだということを知る。



 ただ、本能的な部分にまで、しっかりと刷りこまれているため、意識の世界で、それをコントロ
ールすることは、たいへんむずかしい。家族自我群は、意識の、さらにその奥深い底から、あ
なたという人間の心を左右する。いくらあなたが、「縁を切った」と思っていても、そう思うのは、
あなたの意識だけ。それでその刷りこみが消えるわけではない。



 この相談を寄せてくれた、YDさんにしても、家を出たあと、「体の不調が始まり、主人と同棲
を始めると同時に、自律神経失調症とわかり、一年間、薬の服用をしました」と書いている。ま
た実母がなくなったあとも、その縁を断ち切れず、葬儀に出たりしている。

 

 家族自我群による「幻惑」作用というのは、それほどまでに強力なものである。



 で、ここで人は、2つの道のどちらかを選ぶ。(1)家族自我群の中に、身を埋没させ、安穏
に、何も考えずに生きる。(2)家族自我群と妥協し、一線を引きながらも、適当につきあって生
きる。もう1つ、本当に縁を切ってしまうという生き方もあるが、それはここでは考えない。



 (2)の方法を、いいかげんな生き方と思う人もいるかもしれないが、自分の苦しみの原因
が、家族自我群による幻惑とわかれば、それなりにそれに妥協することも、むずかしくはない。
文字が示すとおり、「幻惑」は、「幻惑」なのである。もっとわかりやすく言えば、得体の知れな
い、亡霊のようなもの。そう考えて、妥協する。



 YDさんに特殊な問題があるとすれば、あくまでもこのメールから私がそう感ずるだけだが、
それはYDさん自身の、依存性がある。YDさんは、親に対してというより、自分自身が、だれか
に依存していないと、落ち着かない女性のように感ずる。そしてその依存性の原因としては、Y
Dさんには、きわめて強い(弱化の原理)が働いているのではないか(?)。



 自信のなさ、そういう自分自身を、YDさんは、「幼稚」と呼ぶ。もう少し精神的に自立していれ
ば、自分をそういうふうに呼ぶことはない。YDさんは、恐らく幼いときから、「おまえはダメな子」
式の子育てを受けてきたのではないか。とくに父親から、そう言われつづけてきたように思う。



 そのことにYDさん自身が気づけば、もっとわかりやすい形で、この問題は解決すると思われ
る。



 あえてYDさんに言うべきことがあるとするなら、もう親戚のことや、父親のことは忘れたほう
がよいということ。YDさんがもっとも大切にすべきは、夫であり、父親ではない。いわんや、郷
里へ帰って、親戚に義理だてする必要など、どこにもない。それについてたとえYDさんの父親
が、不満を言ったとしても、不満を言う、父親のほうがおかしい。それこそまさに、悪玉親意
識。YDさんは、すでにおとな。親戚にまで親風を吹かす父親のほうこそ、幼稚と言うべきであ
る。詳しくは、このあとそれについて書いた原稿を添付しておく。



【YDさんへ……】



 お元気ですか。ここまでに書いたことで、すでに返事になってしまったようです。



 私のアドバイスは、簡単です。あなたの父親のことは、相手のほうから、何か助けを求めてく
るまで、放っておきなさい。あなたがあれこれ気をもんだところで、しかたのないことです。また
どうにもなりません。



 父親が何か苦情を言ってきたら、「あら、そうね。これからは気をつけます」と、ケラケラと笑っ
てすませばよいのです。何も深刻に考えるような問題ではありません。



 あなたの結婚当初の問題についても、そうです。いつまでも過去をずるずると引っぱっている
と、前に進めなくなります。



 で、もっと広い視野で考えるなら、そういうふうにYDさんを苦しめている、あるいはその原因と
なっているあなたの父親は、それだけでも、親失格ということになります。天上高くいる神なら、
そう考えると思いますよ。



 本来なら、そういう苦しみを与えないように、子どもを見守るのが親の務めです。あなたの父
親は、結果としてあなたという子どもを苦しめ、悲しませている。不幸にしている。だから、あな
たの父親は、親失格ということになるのです。



 そんな父親に義理立てすることはないですよ。



 今は、一日も早く、「ファーザー・コンプレックス(マザコンに似たもの)」を捨て、あなたの夫の
ところで、羽を休めればよいのです。あなたの夫と、前に進めばよいのです。あなたの夫が、
「実家へ行きたくない」と言えば、「そうね」と、それに同意すればよいのです。



 私は、あなたの夫の考え方に、賛成します。同感で、同意します。



 では、今日は、これで失礼します。



 出先で、この返事を書いたので、YDさんとわからないようにして、R天日記のほうに返事を書
いておきます。お許しください。



【YDさんより、はやし浩司へ】



++++++++++++++++++



私が返事を書いた、翌日、

YDさんより、こんな

メールが届いた。



++++++++++++++++++



はやし先生



 先ほど楽天日記を読ませていただきました。



心が楽になりました。ありがとうございまいた。



 家族自我群にあてはまるのだと教えて頂き、とても感謝しています。先生のホームページか
ら勉強させて頂きマガジンからも勉強させていただいていますが、私は自分の都合の良い情
報ばかりを集めて自分を正当化しようと思っているのではないかと思っていました。



 先生のお書きになった通り、私は依存性が強い人間です。主人と付きあい始めた当初は自
分でも思い出したくないくらいです 苦笑。そして父から褒められた記憶はありません。



 父は「言って聞かないなら殴る。障害者になってもいいんだ」という教育方針で、私が何か悪
いことをすると、殴られるのは当たり前でした。お説教の最中に物が飛んでくるのもよくあること
でした。なので、父からのお説教があってしばらくはもう二度と可愛いと思ってもらえないかもし
れないという恐怖心は強かったと、今になると思います。



 それでも、学校をさぼったりしていたのは、何でだったのか、まだ当時の自分を自己分析でき
ずにいますが・・・。



 「大切にされた記憶がない」と話すと、父は、「毎週(月曜日に剣道に通っていたのですが、終
わるのが夜の9時でした)、迎えに行っていたのになぁ」と言われた事があります。私が父の愛
情に気付いていなかっただけなのか、自分がされた嫌な事だけしか覚えていないから私は自
分を悲劇のヒロイン化させているのかと思っていました。



 その反面、(私は中学生でしたが)、当時の心境は、「夜遊びに走らないように監視されてい
る」のが本当のところではなかったのかと思います。きっとその頃からひずみはすでに始まって
いたんでしょう・・・。



 自分では私は「アダルトチルドレン」に入るのではないかと思っています。社会との繋がりがう
まく持てない焦りから、今の自分のままでは子供達の成長に良くないのではないかと焦ってい
ます。父に「親や、その親、親の兄弟あってのお前なんだから、まわりを大切にすべきだ」と強
く言われる事で、自分を見失ってしまいました。



 父の事を思い起こすと未だに震えが起こるので、きちんと文章になっているのか不安ですが
お時間を割いて頂きありがとうございました。



 追伸・「ユダヤの格言xx」という本の中で、「父親の生き方から夫の生き方に変え、逆境のと
きは夫を支え、喜びを分かち合い、女中を雇う余裕があっても怠けることなく、話をしてくるもの
にはわけへだてなく対応し、困っている人には手を差し伸べる」(ユダヤ人の伝統的な良き妻の
像)と言う説を手帳に書き写したことがあります。楽天の日記を読ませていただきこの事を思い
出しました。 



 個人的なのですがこの本の先生の見解にとても興味があります。

 長々と読んでいただきありがとうございました。



++++++++++++++++



●悪玉親意識



悪玉親意識についての原稿を添付しておきます。



++++++++++++++++



●悪玉親意識



 親意識にも、親としての責任を果たそうと考える親意識(善玉)と、親風を吹かし、子どもを自
分の思いどおりにしたいという親意識(悪玉)がある。その悪玉親意識にも、これまた二種類あ
る。ひとつは、非依存型親意識。もうひとつは依存型親意識。



 非依存型親意識というのは、一方的に「親は偉い。だから私に従え」と子どもに、自分の価値
観を押しつける親意識。子どもを自分の支配下において、自分の思いどおりにしようとする。子
どもが何か反抗したりすると、「親に向って何だ!」というような言い方をする。



 これに対して依存型親意識というのは、親の恩を子どもに押し売りしながら、子どもをその
「恩」でしばりあげるという意識をいう。日本古来の伝統的な子育て法にもなっているため、た
いていは無意識のうちのそうすることが多い。親は親で「産んでやった」「育ててやった」と言
い、子どもは子どもで、「産んでもらいました」「育てていただきました」と言う。



 さらにその依存型親意識を分析していくと、親の苦労(日本では、これを「親のうしろ姿」とい
う)を、見せつけながら子どもをしばりあげる「押しつけ型親意識」と、子どもの歓心を買いなが
ら、子どもをしばりあげる「コビ売り型親意識」があるのがわかる。



 「あなたを育てるためにママは苦労したのよ」と、そのつど子どもに苦労話などを子どもにす
るのが前者。クリスマスなどに豪華なプレゼントを用意して、親として子どもに気に入られようと
するのが後者ということになる。



 以前、「私からは、(子どもに)何も言えません。(子どもに嫌われるのがいやだから)、先生
の方から、(私の言いにくいことを)言ってください」と頼んできた親がいた。それもここでいう後
者ということになる。

 これらを表にしたのがつぎである。



   親意識  善玉親意識

        悪玉親意識  非依存型親意識

               依存型親意識   押しつけ型親意識

                        コビ売り型親意識

 

 子どもをもったときから、親は親になり、その時点から親は「親意識」をもつようになる。それ
は当然のことだが、しかしここに書いたように親意識といっても、一様ではない。はたしてあな
たの親意識は、これらの中のどれであろうか。一度あなた自身の親意識を分析してみると、お
もしろいのでは……。



+++++++++++++++



もう1作……



+++++++++++++++



●子育て、はじめの一歩



 先日、あるところで講演をしたら、一人の父親からメールが届いた。いわく、「先生(私のこと)
は、親は子どもの友になれというが、親子にも上下関係は必要だと思う」と。



 こうした質問や反論は、多い。講演だと、どうしても時間的な制約があって、話のあちこちを
端(はし)折ることが多い。それでいつも誤解を招く。で、その人への説明……。



 テレビ番組にも良質のものもあれば、そうでないのもある。そういうのを一緒くたにして、「テ
レビは是か非か」と論じても意味がない。同じように、「(上下意識のある)親意識は必要か否
か」と論じても意味はない。親意識にも、つまり親子の上下関係にも、いろいろなケースがあ
る。私はそれを、善玉親意識と、悪玉親意識に分けている。



 善玉親意識というのは、いわば親が、親の責任としてもつ親意識をいう。「親として、しっかり
と子どもを育てよう」とか、そういうふうに、自分に向かう親意識と思えばよい。一方、悪玉親意
識というのは、子どもに向かって、「私は親だ!」「親に向かって、何だ!」と、親風を吹かすこ
とをいう。



 つまりその中身を分析することなく、全体として親意識を論ずることは危険なことでもある。同
じように「上下意識」も、その中身を分析することなく論じてはいけない。当然、子どもを指導
し、保護するうえにおいては、上下意識はあるだろうし、またそれがなければ、子どもを指導す
ることも、保護することもできない。しかし子どもの人格を認めるという点では、この上下意識
は禁物である。あればじゃまになる。



 親子の関係もつきつめれば、一対一の人間関係で決まる。「親だから……」「子どもだから…
…」と、「だから」論で、たがいをしばるのは、ときとしてたがいの姿を見失う原因となる。日本人
は世界的にみても、上下意識が強い民族。親子の間にも、(あるいは夫婦の間ですら)、この
上下意識をもちこんでしまう。そして結果として、それがたがいの間にキレツを入れ、さらには
たがいを断絶させる。



 が、こうして疑問をもつことは、実は、子育ての「ドア」を開き、子育ての「階段」をのぼる、そ
の「はじめの一歩」でもある。冒頭の父親は、恐らく、「上下関係」というテーマについてそれま
で考えたことがなかったのかもしれない。しかし私の講演に疑問をもつことで、その一歩を踏み
出した。ここが重要なのである。もし疑問をもたなかったら、その上下意識についてすら、考え
ることはなかったかもしれない。もっと言えば、親は、子育てをとおして、自ら賢くなる。「上下意
識とは何か」「親意識とは何か」「どうして日本人はその親意識が強いか」「親意識にはどんなも
のがあるか」などなど。そういうことを考えながら、自ら賢くなる。ここが重要なのである。



 子育ての奥は、本当に深い。私は自分の講演をとおして、これからもそれを訴えていきた
い。

(はやし浩司 親意識 親との葛藤 家族自我群 はやし浩司 幻惑 はやし浩司 家庭教育 
育児 育児評論 教育評論 幼児教育 子育て はやし浩司 悪玉親意識 善玉親意識 親
風を吹かす親 上下意識)



【付記】



 今回、ここまでの原稿を再読してみて、いくつか気がついたことがある。



 そのひとつは、ここでいう「悪玉親意識」というのは、(親子の間)だけの話ではないというこ
と。



 悪玉親意識、つまり親風を吹かす人は、あらゆる場面で権威主義的なものの考え方をする。
たとえば弟や妹に対しては、兄風、姉風を吹かす。甥(おい)や姪(めい)に対しては、叔父風、
叔母風を吹かすなど。



 あらゆる場面で上下意識が強く、そのわずかな(差)の中で、人間の優劣を決めてしまう。



 で、本人は、それでそれなりにハッピーなのかもしれない。また多くの場合、その周囲の人た
ちも、それを認めてしまっているから、それなりにうまく(?)いく。兄風を吹かす兄と、それを受
け入れる弟との関係を想像してみればよい。



 こうした上下意識は、儒教の影響を受けた日本人独特のもので、欧米には、ない。ないもの
はないのであって、どうしようもない。はっきり言えば、バカげている。この相談をしてきたYDさ
んの父親にしても、ここでいう悪玉親意識のたいへん強い人だということがわかる。「親は親
だ」「親は偉い」という、あの悪玉親意識である。YDさんは、父親のもつその悪玉親意識に苦し
んでいる。



 が、ここで話が終わるわけではない。



 今度はYDさん自身の問題ということになる。



 現在、YDさんは、父親の悪玉親意識に苦しんでいる。それはわかる。しかしここで警戒しな
ければならないことは、YDさんは、自分の父親を反面教師としながらも、別のところで自分を
確立しておかないと、やがてYDさん自身も、その悪玉親意識を引きついでしまうということ。



 たとえば父親が、亡くなったとしよう。そしてそれからしばらく時間がたち、今度はYDさん自身
が、なくなった父親の立場になったとしよう。すると、今度は、YDさん自身が、なくなった父親そ
っくりになるという可能性がないわけではない。



 ユングが使った「シャドウ」とは少し意味がちがうかもしれないが、親がもつシャドウ(暗い影)
は、そのまま子どもへと伝播(でんぱ)していく。そういう例は、多い。ひょっとしたらあなたの周
辺にも似たようなケースがあるはず。静かに観察してみると、それがわかる。



 で、さらに私は、最近、こういうふうに考えるようになった。



 こうした悪玉親意識は、それ自体がカルト化しているということ。「親絶対教」という言葉は、
私が考えたが、まさに信仰というにふさわしい。



 だからここでいう悪玉親意識をもつ親に向かって、「あなたはおかしい」「まちがっている」など
と言ったりすると、それこそ、たいへんなことになる。だから、結論から先に言えば、そういう人
たちは、相手にしないほうがよい。適当に相手に合わせて、それですます。



 実は、この私も、そうしている。そういう人たちはそういう人たちの世界で、それなりにうまく
(?)やっている。だからそういう人たちはそういう人たちで、そっとしておいてやるのも、(思い
やり)というものではないか。つまりこの問題は、日本の文化、風土、風習の分野まで、しっかり
と根づいている。私やあなたが少しくらい騒いだところで、どうにもならない。最近の私は、そう
考えるようになった。



 ただし一言。



 あなたの住む世界では、上下意識は、もたないほうがよい。たとえば兄弟姉妹にしても、名
前で呼びあっている兄弟姉妹は、そうでない兄弟姉妹より仲がよいという調査結果もある。



 「お兄ちゃん」「お姉ちゃん」と呼びあうよりも、「ヒロシ」「アキコ」と呼びあうほうが、兄弟姉妹
は仲がよくなるということ。



 夫婦についても、同じように考えたらよい。


Hiroshi Hayashi++++++++AUG 09++++++++++はやし浩司

●2009年8月5日に……

YDさんとのやり取りをしたのが、2006年の2月〜。
それからすでに3年。
改めて自分の書いた原稿を読み直してみる。
「おもしろい」と思うよりも前に、それ以後の私が、ほとんど進歩していないのを知る。
ここに書いた「悪玉親意識」(これは私が考えた言葉)にしても、今では、あちこちで
使われるようになった。
(ためしに、「悪玉親意識」で検索してみるとよい。)

 今回は、「悪玉親戚意識」ということになる。
何かにつけて、年長者が、年長風を吹かす。
たった1、2歳、年上というだけで、相手に向かって説教したりする。
一方、たった1、2歳、年下というだけで、自分は、それをだまって聞く。

 こうした傾向は、地方の田舎へ行けばいくほど、強くなる。

●決別

 私も今回、親類とは、決別することにした。
もちろん、中には親しく交際している人もいる。
そういう人はそういう人で、大切にしたい。

 ただ意識の上から、「親戚」というものを、はずす。
はずした上で、交際する人とは交際し、交際しない人とは、交際しない。
親戚であるとかないとか、そういうことで、相手を判断したくない。
江戸時代の昔なら、いざ知らず。
今は、そういう時代ではない。

 ついでに兄弟、姉妹についても、そういった意識とは決別する。
といっても、私には実姉は、1人しかいない。
大切にしたいとは思うが、今では他人以上の他人になってしまった。
たがいに歳を取りすぎたこともあるが、それ以上に、人生観がまったくかみ合わない。
……というより、実姉にも、どこか認知症の気配が出てきた(……と思う)。
会話そのものが、まったく、かみ合わない。

 ワイフの兄弟たちとは、うまく(たぶん?)、付き合っている。
みな、この浜松市内、およびその周辺に住んでいる。
たがいの行き来もある。
私にとっては、親類というよりは、友だち。
ワイフ自身も、そう思っている(?)。

 で、今、世の中が、急速に変化しつつある。
旧態依然の義理とか、人情とかいう世界が、音をたてて崩れ始めている。
冠婚葬祭にしても、質素になってきた。
驚いたのは、このあたりでも、初盆すらしない家庭がふえていること。

 正確な数字を改めて、拾ってみたい。

●初盆はしない

 ワイフの実母が、浜名湖畔にある、I村という、村の出身である。
昔から何かとしきたりが、きびしい土地がらである。
そんな村で、昨年(08年)、15世帯の家の人たちが、初盆を迎えることになった。
しかし実際、初盆の供養(僧侶、親戚を呼んでの儀式)をした家庭は、7世帯
だけだったという。

 この数字は、私が改めて確認したものなので、正確。

 浜松市内のような都会での数字ではない。
I村という、(昔からのしきたりが、きびしい土地)での話である。

 私はその話を、直接、喪主から聞いた。
加えて、驚いた。

●これからの日本

 で、それがよいことなのか、悪いことなのかは、私にもわからない。
どういう方向に向かっているのかも、私にもわからない。
わからないが、今、この日本も、大きく変わりつつある。
それだけは事実。

 で、来週あたり、私は、実兄と実母の、一周忌の法要をすることになっている。
(私の宗派では、盆供養はしない。
その代わり、一周忌の供養はすることになっている。)

 それについて、「私は、それが最後」と心に決めている。
私も、今年、満62歳になる。
自分の哲学や人生観をねじまげてまで、世間に迎合するのも疲れた。
もとはといえば、『地蔵十王経』。
鎌倉時代にできた、まっかなニセ経。
そんな経典に従って、何年も何年も、供養(?)をつづけることに、どういう意味が
あるのか。
それがはたして、仏教と言えるのか。
(教え)と言えるのか。
 
 簡単に言えば、日本の仏教そのものが、カルト化している。
カルト化したまま、日本の風土の中に、定着してしまっている。

●人それぞれ

 頭が熱くなったが、親戚づきあいにしても、そのカルトの上に乗っている。
もちろん、たがいに濃密な世界を築いている人もいれば、希薄な人もいる。

 私の実家は濃密だが、それと比べると、ワイフの実家は希薄である。
また同じワイフの兄弟、姉妹でも、濃淡には、大きな違いがある。
だから最初の話に戻る。

「親戚づきあい。
いろいろある。
人それぞれ。
みな、ちがう」と。

 たがいにうまくいっているなら、それはそれでよい。
何も私のような他人がとやかく言う必要はない。
ただこれだけは、覚えておいてほしい。

 自分たちがうまくいっているからといって、その尺度で他人を見てはいけない
ということ。
自分の価値観、あるいは価値基準を他人に押しつけることだけは、避けてほしい。

(はやし浩司 家庭教育 育児 育児評論 教育評論 幼児教育 子育て はやし浩司
親類づきあい 親戚付き合い 親類との確執 親子の確執)








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【8】
●掲示板への相談より

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京都にお住まいのUNKNOWN様より
こんな相談をもらいました。

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【UNKNOWN様より、はやし浩司へ】

高校2年の娘です。一人っ子。中学2年の時 離婚。中高一貫高のため 高校入試の苦労はあ
りませんでした。

今年の1月からお昼は家に帰れる近所のパートから、通勤で1時間かかる会社に正社員とな
りましが、その頃から学校を休みがちとなり、過食嘔吐を繰り返し、5月の連休には、リストカッ
トもし、家に帰らない事もありました。娘は学校をやめるつもりで定期試験は白紙解答。出席日
数もほとんどなく2年の1学期の成績は、ついていません。

それまで子供について ほとんど苦労をせずに来たので、やっと反抗期が来た!と思うようい
たいのですが、平日学校を休んでも家に居ることもなく、家のお金を持ち出し、化粧をして出か
ける。

ここだけは通っていると思っていた 近所の学習塾や歯医者さんへも行っていないと 先生か
ら連絡がある始末です(私には行っていると言っていたので信じていました)。
リストカット・過食嘔吐が激しくなり、メンタルクリニックに通っていますが、先生に薬の事で聞き
たいことがあり、一緒に行くと行ったら その日、本人は来ませんでした。(もう脳の萎縮が始ま
っています)。

メンタルの先生から私が家に居るのが良いと言われましたが、仕事を辞めたら生活が成り立
ちません。しかし 家でひとり何をしているのかわからず、不安になります。娘は私に居て欲しく
ないと言い、休日は娘は朝から出掛け、夜まで帰りません。今日は4時には帰ると言って出ま
したが、先ほど夕ご飯は外で、とメールが着ました。これでも少し前までは連絡もなかったので
良い方向と思いますが、どこに居るのか 帰りの時間は連絡してきません。

はやし先生のHPから、この半年 私は全く逆の事ばかりしてきました。無くなったお金の事を
問い詰め、将来を不安を口にし、自ら死を口にし、お父さんの所に行くようにも言いました(元
夫は再婚しています)。

娘はよく頑張ったと思います。

2学期からは学校に行くと言っています。

私が落着いて居られる時は 関係も穏やかなのですが、お金がなくなったり、娘が嘔吐を隠し
たりすると、ダメです。わざと傷つけるような事ばかり言い、最近では手も出たりしてしまいま
す。この前は娘の前で自分の首も締めました。最悪な母です。

来週のお盆の時 娘と実家に帰省する予定でしたが、娘は行きたくない。父親の所に行くと言
っていましたが、父親はまだ奥さんに話していない様子で そんな所に行かせて良いのか・・・。

両親からは、一緒に居ない方がお互いのためのようだから、父親に渡して、今年中には帰るこ
とも考えるように言われています。

暖かい無視と 許して忘れる。
1年後 2年後 を見据えて。
頭ではわかっていますが、ギリギリの生活、このまま京都で生活して行く自信もありません。

だらだらと長くなってしまいました。
娘からはまだ連絡はありません(まだ6時なので何度もメールするのも・・・電話も出ない。)
どうしてよいのか わかりません。

【はやし浩司より、UNKNOWN様へ】

 先ほどまで、電話を待っていましたが、電話がありませでしたので、自分の考えを
書いてみたいと思います。

 あなたはがんばりすぎている……。
それが私の第一印象です。
よくここまでひとりで、がんばってこられましたね。
あなたはあなたで、最善のことをしましたよ。
今も、懸命に、がんばっています。
だからここは肩の力を抜いて、気を楽にしてください。
あなたの娘さんは、もう子どもではありません。
すでに、つまりとっくの昔に、あなたの手を離れています。
あなたが親としてできることは、ほとんどないということです。
高校2年生という年齢は、そういう年齢です。

 娘さんの言葉に、もう少し耳を傾けてあげましょう。
娘さんが、「居て欲しくない」と言うなら、それをよいほうに解釈してあげましょう。
親として、自分の子どもが巣立っていくのを知るのは、さみしくも、つらいときです。
しかしそれも巣立ち。
みながみな、よい形で巣立っていくとはかぎりません。

 あなたは自分が感じている(さみしさ)を、別の形に、自分で勝手に変えているだけ
ですよ。
「娘さんに問題がある」というような書き方で、自分をごまかしているだけですよ。
娘さんのことを心配しているようで、実は、あなたはその(さみしさ)に耐えられない
でいるだけ。

 あのね、みんなさみしいのです。
孤独なのです。
しかしあなたの娘さんは、もっとさみしがっているのですよ。
心の拠り所さえ、ないのですから。
自分の心や体を休める場所(家庭)もない……。

 今のあなたにとっていちばん大切なことは、娘さんに、心の拠り所を用意してあげる
ことです。
娘さんが、安心して心を体を休める場所を、提供してあげることです。

 進学?
塾?
……もう、そんなものは、さっさと、あきらめなさい!
大切なことは、娘さんの(友)として、娘さんの横に立つことです。
娘さんの悲しみや苦しみや、さみしさを、あなたが共有してあげることです。
「あなたもさみしかったのね」「ごめんね」と、です。

 が、すぐには娘さんは、心を溶かさないかもしれません。
つっぱったまま、これから先、5年、10年と過ぎていくかもしれません。
しかし見返りを求めない。
捨て身で対処します。
捨て身ですよ!

 娘さんが、どんなにあなたを裏切っても、あなたはそれを受け入れます。
それを「無私の愛」といいます。

 あなたもその無私の愛を感じてみてください。
そこは実におおらかで、すばらしい世界ですよ。
また「許して忘れる」は、口で言うほど、簡単なことではありません。
苦しく、つらいものです。
少しぐらい「許して忘れて」、それで効果がなかったなどと、思ってはいけません。
どこまでも、どこまでも、「許して忘れます」。
それだけを繰り返します。

 で、あなたはあなたで、あなたの生きる道をさがします。
あと10年もすれば、老後ですよ!
わかりますか?
時間がありません。
目を娘さんから離して、あなたはあなたで前を見るのです。

 心配先行、不安先行、過関心、過干渉……。
娘さんにとっては、窮屈な家庭だったと思いますよ。
その上、離婚騒動に巻き込まれ、私もあなたの娘さんなら、「バカヤロー」と
叫んで、家を出ていくでしょうね。
しかしそれをする娘さんだって、つらいのです。

 今夜帰ってくるかもしれないし、帰ってこないかもしれません。
が、あなたができることは、暖かい夜食を用意し、寝床を用意することです。
そして帰ってきても、何も言わない……。
「暖かい無視」というのは、そういうことを言います。

 いいですか、あなたの娘さんは、もう(おとな)ですよ。
あるいはあなたが高校2年生のときのことを思い出してみてください。
それが今の、娘さんなのです。
あなたの思うようにならないからといって、また取り越し苦労を重ねたところで、
問題は何も解決しないでしょう。
さらに二番底、三番底へと、娘さんは、落ちていくだけです。

 たしかにあなたがしたことは、おとなげないというか、けっしてほめられるべき
ことではありません。
しかしあなたの娘さんなら、許してくれますよ。
だから娘さんを信じて、今日、この瞬間から、あなたは肩の力を抜いて、娘さんの
「友」になります。
娘さんのほうは、すぐには友として認めてくれないかもしれませんが、あきらめては
いけません。
こうした問題には、時間が必要です。
1年や2年は覚悟してください。

 あとは娘さんの人生ですから、あなたはあなたで、幸福を追求すればよいのです。
生きがいを見つけ、仕事を懸命にします。
今できることを、懸命にすればよいのです。
そういう意味で、あなたは本当に、よくがんばっています。
めげないで、がんばっています。
すばらしい人です。

 あのね、あのスティーブンソンは、こう書いています。
「宝島」を書いた、スティーブンソンです。
『我らが目的は成功することではない。失敗にめげず前に進むことである』とです。
今のあなたに、さしあげたい言葉です。

 いいですか、こんなことでめげてはいけませんよ。
何でもない問題ですから。
どこに家にでもある問題です。
自分の娘さんだけを見て、「どうしてうちの子だけが……」とは、思わないこと。
こうして娘さんは、あるいは子どもたちは、親離れをし、自立していきます。
おとなになっていきます。
ひょっとしたら、すでにあなたの娘さんは、あなたより、ずっとおとなかもしれません。
それを信じてあげなさい。

 そう、あなたは目が見える。
音が聞こえる。
歩くことができる。
話を聞くことができる。
……あなたは生きている。
娘さんも生きている。
そこを原点として考えてください。

ね、すばらしいことでしょ!

 要するにあなたが今、娘さんとの間で経験しているのは、家庭のドタバタです。
何でもない問題です。
が、あなたにはそれがわからない。
ささいなことを針小棒大に考えて、ひとりで大騒ぎしている……。
言うなれば、ひとり芝居。
そんな感じです。

 どなたか、相談できる人は、近くにいませんか?
話を聞いてくれる人がいるとよいですね。
その人も、同じことを言いますよ。

 だから、ここは、「許して忘れる」。
暖かい無視を大切に、あなたはあなたで、好き勝手なことをすればよいのです。
娘さんのことは、もう、構わないで……。
だいじょうぶですよ。
あなたの娘さんは、あなたが考えているより、はるかにおとなです。

 コツは、(今の状態)をこれ以上悪くしないことだけを考えて、対処すること。
あなたが騒げば騒ぐほど、逆効果ですから、注意してくださいね。

 電話で直接話したかったのですが、電話がありませんでしたので、メールで失礼
します。
なおたいへん申し訳ありませんが、電話での相談は、お断りしています。
電話番号は、忘れてください。
(気まぐれですみません。)

 今夜はこれで失礼します。
もしよかったら、私のHPの原稿を、片っ端から読んでみてください。
きっと気が楽になりますよ。

 では、おやすみなさい。


Hiroshi Hayashi++++++++AUG.09+++++++++はやし浩司









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【9】
●娘の不登園

【N県のMさんより、はやし浩司へ】

はじめまして。年長の娘の登園拒否についての相談です。幼稚園に年中から入園して、一週
間後から1学期間登園拒否が続きました。
その後2学期以降はうそのように楽しく通園していたのですが、進級して年長になって夏休み
明けから再び登園拒否が始まりました。
習い事でも同様です。

夏休み後半には習い事でキャンプに出かけお友達とはじめて親元を離れてお泊りができ、成
長したなと思っていたところで、とてもショックでした。
頑張りすぎてしまったのかとも思いましたが、HPを拝見して、分離不安なのでは・・小学生にな
って通えるのだろうか・・ととても不安です。

幼稚園では先生にも相談しています。先生は「一学期はとても頑張っていたんだと思います。
まだクラスに溶け込めていない感じがします。優等生タイプだと思います」「お友達と遊んでいて
自分の期待する答えが返ってこないといやみたいです」と話していました。娘にも理由を聞いた
りしていますが、その時々で違います。

幼稚園の帰りに友達と公園で遊んだり、近所の友達とは楽しく毎日遊んでいます。
娘は2歳から2年間幼児教室にも通っていたのですが、その時も始めだけは離れられなくて毎
回先生に抱っこでした。

どうしても嫌なら幼稚園お休みしてもいいんだよと言ってしまったこともありましたが、明日はO
OOがあるから行くと言います。でも幼稚園に入るとうつむいてしまい、離れることができないの
です。

どうしたらよいのでしょうか・・どうぞよろしくお願いいたします。

【はやし浩司より、Mさんへ】

M様へ

こんばんは

家族関係がよくわかりません。
相談のお嬢さんは、長女ですか?
下に弟か妹がいませんか。

分離不安かどうか、(赤ちゃん返りかどうか)、
そのあたりの症状がもう少し詳しくわかると、
適切なアドバイスができます。

それともうひとつは、あなた自身が、不安先行型の
子育てをしていないか。
過干渉気味ではないか。
過関心も疑われます。

子どもの問題というよりは、環境の問題と考えてください。

この際、不登園は、あきらめなさい。
まず子どもの心の問題を考え、子どもの心を守ることを
最優先します。

では、
返事をお待ちしています。

【Mさんより、はやし浩司へ】

早速返信いただきましてありがとうございます。

娘は長女で、一人っ子です。
外遊びの大好きな子供です。
朝から夕方までほんとに良く遊びます。
外で遊んでいるときの様子からは、とても想像がつきません。

私自身も一人っ子です。
そしてたしかに過干渉、過関心、不安先行型かもしれません。
口うるさく言ってしまう、怒ってしまっていると思います。
あまり言わないように・・と思っているのですが、
言わないと何もしない娘に、つい口が出てしまいます。

幼稚園行きたくない・・は正確には8月末の夏季保育から始まりました。
キャンプで最初の一日はお休みし、2日目から登園。
その日用事があり、預かり保育をして(迎えの時泣いていました)
そしてその翌日からのことでした。

2学期前日には奥歯が痛いと言い出し、歯科へ行きました。
原因はよくわからず、6歳臼歯のせいではないか・・といわれました。

そして今日まで行きたくない・・が続いています。

娘には幼稚園お休みしてもいいんだよ・・と言っています。
ただ明日はOO先生と約束しているから行かないと・・、
OOちゃんと約束しちゃったから・・と行こうとする気持ちもあるようです。
朝着替えのときになると、もじもじになってしまい、
幼稚園休むのは嫌だけど、でも行くのも嫌・・
今朝もその状態が続き、できるだけ話を聞いて、休むのが嫌だったら行ってみようか・・と。
そして帰りは園に一番でお迎えに行く約束をして送りました。
教室の前まで送り、先生に引き離されてでした。

年中の時は始めての幼稚園で、泣いても仕方ないのかと休むことなく
連れて行き、夏休み明けからは楽しく行ってくれるようになりました。
今も行けば給食も花マル、運動会の練習も頑張っているようです。
娘は1歳のときくらいから、私がいないと、見えないとダメなタイプで、
公園に行っても離れられない子どもでした。

どうぞアドバイスよろしくお願いいたします。

【はやし浩司より、Mさんへ】

●基本的信頼関係

 返事が遅れて、ごめんなさい。
いろいろ心配さなっている様子は、よくわかります。
「不登園ならまだいいが、不登校児になったら、どうししょう?」と、悩んでおられる様子もよくわ
かります。

が、全体的に判断すると、いわゆる(よくある問題)で、とくに子どもに問題があるとは思われま
せん。

で、このタイプの子どもは、(外の世界)でがんばる分だけ、(つまりそれだけ緊張感を解放でき
ない分だけ)、家の中では荒れるという症状が出てきます。
原因は、母子間の基本的信頼関係の構築に、やや失敗したかなというところです。
つまりその分だけ、外の世界でいい子ぶる、イコール、心を開いて、集団に溶け込めないとい
うことです。

さらにその原因はといえば、Mさん自身が、全幅に子どもに心を開いていない、開けないという
状態がつづいていると思います。
(詳しくは、「はやし浩司 基本的信頼関係」で検索してみてください。)

●家庭は休む場所

 このタイプの子どもにとっては、「家庭は休む場所」と心得てください。
「うちの子は、外ではがんばっている」と思い直して、家の中では、うんと緩めます。
(1)暖かい無視と、(2)求めてきたときが与えどきを、大切にします。

 生活態度がだらしなくなったり、ぞんざいになったりしますが、暖かくそれを無視するというこ
とです。
また子どもは、その瞬間、瞬間、あなたに愛着表示(愛情を求める行為)を繰り返しますが、そ
のつどすかさず、抱いてあげるなどの反応を示してあげます。
「待っていてね」「今、忙しい」は、禁句です。
すかさずしてあげれば、たいてい1〜2分で、子どもは満足し、あなたから体を離します。

●過負担

 不登園というより、全体に過負担が疑われます。
私が40年前に、幼稚園の世界に入ったころには、1年保育が主流、2年保育がふえてきたと
いう状況でした。
幼稚園へ通わないで、小学校へ入る子どもも10%前後いました。
が、今は、3年、4年保育が主流(?)。
子どもの質が変わったというよりも、幼稚園経営の問題、さらには共働きをしなければならない
という社会的状況が変わってきたためです。

 オーストラリアでは、週3回の幼稚園があちこちにあります。
アメリカでは、4歳から子どもを、小学校内部のプレスクールで預かりますが、指導は、きわめ
てゆったりとしたものです。
どうか日本の基準だけをみて、「幼児教育とはこういうもの」と考えないでください。
また現在の状況をみて、「小学校へ入ってから、心配」というのは、少し酷というものです。
もう少しおおらかに考えてあげてください。
先にも書いたように、この際、不登園はあきらめる。
子どもの心の回復を第一に考えて行動します。

●学校カルト

 「幼稚園など、適当に行けばいいのです」と書くと、幼稚園の園長に叱られそうですが、そうい
うおおらかさが必要な子どももいるのも事実です。
同じ集団教育でも、子どもによって受け取り方がちがうということです。
Mさんの子どもも、その1人です。

 ですから、適当に休み、適当に様子を見て、子どもをゆとりのある目でながめてあげてくださ
い。
Mさんが、カリカリ、ギスギスしても、かえって逆効果です。
「幼稚園とは行かねばならないところ」「学校とは行かねばならないところ」と、もしあなたが考え
ているなら、そのあたりの(学校神話)(学校カルト)を、ゆるめます。
一方で、そうした信仰は、子どもの心を圧迫します。

●母子分離不安

 母子分離不安については、何らかの精神心的ショックが原因で起こります。
迷子、母親の入院、家庭騒動などなど。
が、これは過去の話。

 基本的には、先にも書いたように、(心の緊張感)をほぐすことができない。
そこへ心配や不安が入り込んでくると、それを解消しようと、心の状態が一気に不安定にな
る。
グズグズしたり、ネチネチしたり、ベタベタしたりする。

 で、そういうときは、(1)突き放すのではなく、(2)子どもの求めに、そのまま応じてあげま
す。
無理に引き離せば、いったんは症状が消えたかのように見えますが、(なおった)わけではあり
ません。
私は(潜る)という言葉を使っています。
症状はいったん、潜るだけです。
また同じような状況になったとき、同じような症状が出てきます。

 しかし年齢的には、分離不安であれば、自立期に入っていますので、月ごとに症状は緩和し
てきます。
自信を失っているようであれば、励まし、自信をもたせてあげます。
また食生活でも、情緒的に不安定な症状がつづけば、(1)白砂糖断ちをする。(甘い食品、ア
イス、ジュース類、ジャンクフードを避ける)、(2)Mg、K、Caの多い食生活に心がける(海産物
を中心とした食生活にする)、(3)リン酸食品を避ける(インスタント食品類)の3つに、心がけ
てみてください。

 カルシウムを多くしただけで、子どもの情緒はみちがえるほど、安定してきます。
一度試してみてください。

●明るく、さわやかに

 とにかく、今は、あまり深刻に考えないこと。
悪い面ばかりみて、取り越し苦労をすればするほど、あなたの(心配)は、そのまま子どもに伝
わってしまいます。
心配そうに、あなたが、「幼稚園へは行きたくなかったら、行かなくてもいいよ」と言うのではな
く、明るく、さわやかに、「お母さんと、今日は幼稚園をサボって、動物園へ行こうか?」と話しか
けてみます。
そうしたおおらかさが、子どもの心に、風穴をあけます。

 どうして(子どもといっしょにいるという至極の時)を、粗末にしてしまうのでしょうか。
今だけですよ。
楽しいのは!

 小学3、4年生にもなると、子どもは、親離れをしていきます。
その時期は、あっという間にやってきます。
今の私なら、子どもたちを幼稚園など行かせないで、毎日、いっしょに遊びます。
(私の二男が、そういう教育方針をもっているようです。
HPを飾っている写真が、その孫たちです。)

 とにかく今は、無理をしないこと。
泣いていやがる子どもを、無理に幼稚園へ引っ張っていくなどという行為は、少し乱暴すぎま
す。
1時間でも2時間でも、時間をかけて、ゆっくりと説得します。
根気との勝負と心得てください。
子どもの心を休めることだけを考えて、対処してください。

 それができれば、不登園の問題は、(結果)として、解決します。
繰り返しますが、よくある問題で、それがトラウマになって……というような、深刻な問題ではあ
りません。
Mさん自身が、肩の力を抜いて、もっと子育てを楽しんでみてください。
あなたが楽しめば、子どもも楽しむようになります。
これは幼児教育のコツでもあります。

 私も、みなさんの子どもを教えるときは、(教えよう)などという気持ちは捨てて、子どもたちと
いっしょに、楽しむつもりで教えています。
http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/
の「公開教室」をまた見てください。
子どもといっしょに見てくだされば、うれしいです。

 では、今日は、これで失礼します。
メールの掲載許可に、感謝します。

(はやし浩司 家庭教育 育児 教育評論 幼児教育 子育て Hiroshi Hayashi 林浩司 BW 
はやし浩司 不登園 母子分離 分離不安 分離不安)









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【10】
●不安な子育て

【佐賀県にお住まいの、Kさん(母親)より、はやし浩司へ】

++++++++++++++++++++++++++++++

佐賀県にお住まいの、Kさん(母親)より、こんな相談のメールが
届いています。
子どもの不登校の問題です。
この問題を、みなさんといっしょに、考えてみたいと思います。

++++++++++++++++++++++++++++++

【Kさんより、はやし浩司へ】

こんばんは。
 
メールのお返事本当にありがとうございました。パソコンに不慣れなもので、このメールも送れ
ているのか心配ですが・・・。
 
文字化けした部分は母子登校を続けるべきなのかということです。学校恐怖症というのも拝見
しました。

実は今日先生とお話して明日から送迎はするけれど、教室まではついていかないようにすると
いう取り決めをしてきたのです。でもメールを拝見するとそれはかえってよくなさそうです
ね・・・。

でも私のなかでまだ学校は行かなくてはならないところという気持ちが、100%に近いです。引
きずってでも連れていくのは、私はしたくありませんが、私がついていくなら学校へ行くというな
らついていって連れていくべきなのでしょうか? そして教室にいるべきでしょうか? 私自身、
教室にいるとほかの子と比べたり、なんで私だけここにいるのだろうと、悲しくなってきます。

親としては今行かないとずっといけなくなる不安が襲ってきます。これが高学年とか中学生なら
休ませているでしょうが、私は低学年からいかないなんて、どんな将来があるのかと思ってしま
います。
 
今までの息子に対する子育ては本当に大変でした。まわりの人たちに、いい子だねとよく言わ
れるのです。私はそれがずっと嫌で私が息子に圧力をかけてしまっていたと反省の日々でし
た。私の身近に精神病を抱えた人がいて、その人がまさに小さい頃いい子だねとか親のいうこ
とをよくきく子ででもある時から親を困らせていて、自分もこんな未来が待っているのかと毎日
考えてしまいます。

息子はとにかく人前ではにこにこ明るくあまりもめごとをしないことです。でも今まで家ではいち
いち文句いったり、癇癪をおこしたり、てこずる場面が多くて障害があるのかと考える時もあり
ます。

私からみた息子は感受性が強く、小さな頃から大人の会話に混ざろうとしたり、まだわからなく
ていいことがわかったり、カンが強くていろんなことをわかりすぎる半面、幼さゆえに処理しきれ
なくて悩むといったところが、私の見たところだけですが、そう感じます。

よくいろんなことに気がつくしいろんな状況をみて判断したりできる半面、あんなことできるのに
ここができないの?と、思ってしまう部分もあります。小さなときから大人と話しているみたい
で、私も子供ではなく大人と話している気分になってしまい、息子の返答がおかしなときに、子
供らしいと思ったり、大人っぽくみずぎて、この子おかしいと思ったりしてしまいます。ついつい
7歳ということを忘れてしまいます。

気になる点は多々ありますが、なかなか次の行動にすんなりうつることができないことです。お
風呂とか小さいころからすんなりいきません。あと記憶力がものすごいです。こちらがこわくな
るほどです。
 
息子は本当に今まさに私の不安定さを見事に見抜いています。ついついぼーっとしてしまうと
楽しくないの?とか、ご機嫌取りしにきます。分離不安の症状がでてから、すごく私の言うことを
聞こうとしていて、私はそれが気持ち悪いのです。今の私は息子に対して否定的でほんとにい
けないなあとおもいます。

たぶん何か言ったことに対して反抗的ならほんとうにこの子は言うことを聞かないからおかし
い、と思い素直に、はいと返事されると気持悪いしといったかんじです。今は見捨てられ不安の
ためすごく言うことを聞いていたり、わかっていることをわざわざ言いにきたりそういうときに、
私がいらっとした態度や表情をしてしまいます。
 
先週、学校に行けなかったときに水族館に出かけてきました。そのこともまわりから賛否両論
で私は家で、テレビを見たり、ゲームをやってたら腐っちゃうと思って連れ出したのですがまわ
りから楽しませたら、余計行きたくないんじゃないかといわれましたが、メールをみて安心しまし
た。
 
今の私は日々が辛くて辛くて、もしもう一度人生があり、結婚したならば子供を持たないという
選択をしてしまうぐらいどん底です。かけがえのない宝なのですが・・・今の私は子育てが辛い
です。でも守るのは私たちしかいないですもんね。私自身、小さなころから感受性が強く、今の
息子みたいにいろいろなことを感じてしまい、辛い思いもしてきて、今の息子をよみとろうとしす
ぎる部分も、私自身を追い込んでるきがします。間違ってとらえたりもしているだろうけど、昔の
自分と重ねてしまっているなあと思います。
 
書きたいことがいろいろありすぎて何からかけばいいのか、てんでばらばらな文章になってしま
いましたがすみません。きっと忙しい方だからメールくるなんておもってもみませんでした。本当
にありがとうございます。少し気持ちが楽になりました。またきっと不安になってメールすると思
います。よろしくお願いいたします。
 
【はやし浩司より、Kさんへ】

 「子どもを、全幅に心を開いて信じきれない、母親の葛藤」ということになります。
子どもというのは、親の心をそのまま引き継いでしまいます。
親が「不安だ、不安だ」と思っていると、子どもの方も、自分に自信がもてなく、自己評価力をさ
げてしまいます。「ぼくは、ダメな子なんだ」とです。

 そういう点では、子どもは、親の(思い)どおりの子どもになるということです。
「うちの子は、すばらしい」「できがいい」と思っていると、その子どもはハツラツとしてきます。
そうでないと、そうでない。
不安先行型の子育てのこわいところは、ここにあります。
Kさんの不安、心配は、恐らく妊娠したときから始まっています。
それが出産→育児→現在……とつながっています。

 原因は、母子関係の不全ということになりますが、さらにさかのぼれば、Kさん自身と、Kさん
の母親との関係が、疑われます。
KさんとKさんの母親との関係も、不全だったということになります。
これを子育ての世界では、「世代連鎖」と呼んでいます。
つまりKさんは今、自分が受けた子育てを、そっくりそのまま、自分の子育てで再現していると
いうことです。

 Kさん、あなたは、あなたのお母さんの前で、いい子(=人形子)だった。
言いたいことも言えず、がまんし、心を開いて、甘えることもできなかった。
あなたはいい子でいることで、母親に認められようとしていた……。

 少しきびしいことを書きましたが、実のところ、あなたは自分の子どもにさえ心を開けないで
います。
ひょっとしたら、あなたの夫に対してさえも、心を開けないでいるのかもしれません。
「もっと心を開きなさい!」と書きたいのですが、この問題を解決するためには、この先、5年と
か、10年とか、長い年月がかかります。

 しかしそうであることに気がつけば、長い年月をかけても、この問題は解決します。
そのつど努力して、自分の心を開いてみてください。
(いい人)ぶるのを、やめるのです。
居直るのです。
「私は私だ」と、です。

 で、今、あなたの子どもが、同じことを繰り返しています。
あなたはそういう子どもの中に、自分の過去を見ています。
それが不安の原因と考えてください。

 昨日もらったメール(一部、文字化け)を、そのまま紹介させてください。

++++++++++++++++++

【Kさんより、はやし浩司へ】

息子の分離不安で悩んでおります。9月の5連休ごろから様子がおかしくなり、ママがいなくな
るのが怖いといい、登校しぶりがでています。保育園時代から毎年年に1回1か月ほど登園拒
否があります。いつも秋ごろでだいたい同じ時期にでます。年中までは登園拒否でしたが、マ
マがいなくなるという不安を訴えるのは、去年の登園拒否のときからです。

その時は1か月ほどでぱたっとなくなりました。でもまた今年も同じ症状がでて対応にこまって
おります。家の中でも私を探したり、友達と遊びに行くのもお迎えの時間を何度も確認して絶対
迎えにきてねと念をおします。現在学校へは母子登校しています。今身体的にでている症状は
腹痛、頭痛、吐き気、チックです。

特に朝腹痛をうったえます。授業中も集中力がとぎれると、おなか痛い、寒い、疲れた、もうや
りたくないと私に助けを求めます。頑張れている時もあるのですが、私が学校にいることが彼
にとっていいのかぎもんです。私がいることによって甘えがでてしまい逃げ出す姿勢にさせてし
まっているのではないかとおもってしまいます。先生は無理して学校にこなくていい、早退す
る?それともお母さんにずっといてもら

……(以下、文字化け)……

……息子には本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。ちいさなころから甘えさせてなかった
り突き放した態度ばかりで下の子たちの入院で1か月以上離れて生活したり、執拗に怒りすぎ
たり手もあげたりしました。本当に今は反省の日々です。もう過去にはもどれないけど今からで
も間に合うのでしょうか。彼の心に傷をつけたと自分を責める毎日です。

小さなころから育てにくく癇癪をおこしたり、何か障害があるんじゃないかと思ったこともありま
す。ここに書ききれないくらいいろいろありますが今家族みんなが不安定で下の子たちも不安
定になっていきて私自身子育てが辛すぎて苦しい日々です。少しでもお力を御貸しいただける
ことを、ねがっております。

++++++++++++++++++

【Kさんへ、はやし浩司より】

 子どもは、あくまでも家族の(代表)です。
子どもに何か問題(?)があると、親は、懸命に、子どもに向かってそれを直そうとします。
しかしこの見方は、親の身勝手というものです(失礼!)。
子どもに何か問題が起きたら、まず自分を疑ってみる。
子どもは、家族のかかえる問題を、別の形で表現しているだけです。
「代表」というのは、そういう意味です。

 以下、気がついたことを、箇条書きにしてみます。

●「どうしてうち子だけが……」

 子どもに何か問題(?)が起きると、ほとんどの親は、「どうしてうちの子だけが……」と悩みま
す。
これは共通した親の心理と考えてください。
しかし実際には、問題のない子どもはいないし、みな、そうした問題をかかえながら、必死に闘
っているのです。
(外からはわかりませんが……。)

 Kさんのメールを読んでいて気になるのは、その視野の狭さ(失礼!)です。
読んでいるだけでも、読んでいる私の方が窮屈に感ずるほどです。
「学校とは、100%、行かねばならないところ」という部分もそうですが、人生観そのものが、狭
い(失礼!)。
「まだ幼いうちからこうでは、先が心配でならない」という部分も、そうです。

 Kさんの子どもは、いわば、心の風邪をひいて、熱を出している。
それを見て、「将来が心配」は、少し飛躍しすぎています。
それともKさん自身が、子どものころ、「学校とは行かねばならないところ」と、親にも迫られ、K
さん自身も、そういう形で、自分を追い込んでいた(?)。
学校神話というのは、それを言います。
日本人は、明治の昔から、そういう意識を叩きこまれていますから、それが今でも亡霊となっ
て、親や子どもたちを苦しめているのです。

 アメリカ人でも、オーストラリア人でも、彼らは、学校に対して、もっとおおらかに考えています
よ。
カナダ人は、もっとそうです。
学校の設立そのものが、自由です。
教科書なんて、もちろんありません。
どの子も、小学生のときから、落第(ドロップアウト)を自由に経験しています。

 が、日本人だけは、「学校、学校、学校……!」と。
バカみたいと言ったら、失礼かもしれませんが、少なくとも外国の人から見れば、そうでしょう
ね。

●母子登校

 母子登校など、何でもないことですよ。
いっしょに学校へ行ってあげてください。
他人の目が気になるようでしたら、そういう人たちは、河原の石ころとでも思えばよいのです。
まず、あなた自身が、心を開き、大きくなることです。
子どもの心だけを見て、行動すればよいのです。

 最近では、子どもを見る親たちの姿勢も変化してきました。
あなたが明るく、さわやかに母子登校をつづければ、みなも、あなたを暖かく見守ってくれるで
しょうし、あなたのすばらしさ(=度量の広さ)に感銘を受けるはずです。
もっと自分に、そして自分のしていることに自信をもちなさい!

 「私はすばらしい親だ」とです。

 ただ誤解がひとつ、あります。
症状だけを見ると、母子分離不安症のようにも思えますが、神経症による症状もいくつか出て
いますので、やはり「学校恐怖症」に準じて考えたほうがよいでしょう。

 7歳という年齢からして、母子分離不安症だけでは、そういった症状は出てきません。
学校恐怖症については、「はやし浩司 学校恐怖症」で検索してみてください。
(これは前回の返事で書いたとおりです。)

 ときどきパニック状態になりますが、どうかじょうずに、パニック期を乗り越えてください。
コツは、「学校恐怖症」のところで書いたように、無理をしないことです。
ここで無理をすると、本当に不登校児ということになってしまいます。
しかも、長期の、です。

●カルト抜き

 Kさんの心には、学校神話が、骨のズイまでしみ込んでいます。
「学校絶対教」と言ってもよいかもしれません。
それを抜くのは、たいへんなことです。

 しかし現実には、アメリカだけでも、ホームスクーラー(=家庭で教育を受ける子ども)が、20
0万人を超えていますし、EUでは、さらに教育が自由化されています。
みんな学校などほったらかしで、クラブ活動に専念しています。
そういう(自由ぽさ)を見るたびに、「何だ、この日本は!」と、私は感じてしまいます。
あえて言うなら、Kさんも視野を広めて、もう少し高い視点から、一度、子育てを考え直してみた
らいかがでしょうか。

 大切なことは、子どもが生き生きと、自分のしたいことをしながら、自分を見つけていくことで
す。
Kさんは、自分の子どもがいい子ぶることを心配していますが、そういう子どもにしているの
は、Kさん自身なのですね。
つまりあなた自身が、子どもにその「型」をあてはめようとしている。
子どもにしても、あなたは息苦しい母親だと思います。

 何をしても、親が心配そうな目つきで、自分をながめている。
何をしても、「あれはだめ」「これはだめ」と言われる。
私があなたの子どもだったら、「バカヤロー!」と言って、家を飛び出してしまうかもしれません
よ。

 仮に、あなたの子どもが学校へすんなりと通うようになっても、あなたの心配や不安は消えま
せん。
あなたはまた別の新たな心配や不安の種を見つけてきては、心配し、不安に思うのです。
「うちの子は、B中学校に入れるかしら?」
「友だちと仲よくやっていかれるかしら?」とか、など。

●これはあなたの問題です

 あなたはあなたで、好きなことをすればよいのです。
目が一方的に、子どもの方ばかりに向いている。
過関心というのは、今のあなたのような状態をいいます。

 親ではなく、妻でもなく、女でもなく、ひとりの人間として、したいことをさがし、それに向かって
進みます。
そういう形で、自分の中から、子どもを消していきます。

 (あるいは、これはあくまでも私の推測ですが、ひょっとしたら、あなたは、あなたの夫に対し
て、おおきなわだかまりをもっているのかもしれません。
不本意な結婚であったとか、あるいは愛情を感じない結婚生活であったとか、など。
それが子どもの問題として、転移している(?)。
そういう可能性もありますから、一度、考えてみてください。)

 どうであるにせよ、ここは自然体で!
あまり深く考えないで、学校の先生と相談して、母子登校が必要であれば、すればよいでしょ
う。
「取り決め」などという、恐ろしい言葉は使わないこと!
そんなものを取り決めて、どうするのですか?
子どもの心と、そのときの状況を見て、自然体で判断してください。

 また、今、そうであるからといって、この先も、ずっとそうであると考えてはいけません。
そういうのを、「取り越し苦労」と言います。
へたをすれば、あなた自身が、育児ノイローゼ(=うつ病)になってしまいます。
すでにその傾向が強く見られます。

 それについても、「はやし浩司 育児ノイローゼ」で検索してみてください。
いくつか記事をヒットできるはずです。

●子どもが親を育てる

 悪いことばかりではありません。
今、こうして問題にぶつかりながら、実は、あなたは成長しているのです。
あなたは自分の子どもを見ながら、自分の過去まで見ようとしている。
自分を知ろうとしている。

 コツは、「十字架のひとつやふたつ、背負ってやろうではないか」と居直ることです。
その思いっきりのよさというか、割り切りが、あなたの心に風の穴を開けます。
風通しをよくします。

 大切なことは、今、そこにある(運命)を受け入れてしまうということです。
あなたの子どもがそうであるなら、そうであると、受け入れてしまうことです。

 運命というのは、それを避けようとすればするほど、キバをむいて、あなたに襲いかかってき
ます。
しかし一度受け入れてしまえば、向うから、シッポを巻いて退散していきます。
童心に返って、母子登校を、いっしょに楽しみなさい!
楽しむのです。
人生は一度しかありませんよ!

 それにそういう思い出……つまり、子どもの心を守り切ったという思い出ほど、あとあと光り
輝きます。
親子の絆をすばらしいものにします。
仮に万が一、不登校児になったとしても、です。

 そしてあなたはあなたで、自分の運命を受け入れます。
もうそろそろその時期に来ています。
「私は私」と、自分を受け入れてしまうのです。

 そこは実におおらかで、すがすがしい世界です。
『あきらめは、悟りの境地』という格言は、私が考えた格言ですが、あなたも一度、経験してみ
てください。

●では、どうするか?

 『許して、忘れる』……何か苦しいことがあったら、この言葉を、心の中で何度も念じてみてく
ださい。
昔、私が学生のとき、オーストラリアの友人が教えてくれた言葉です。
私の子育て観の根幹にもなっている言葉です。

 これも、「はやし浩司 許して忘れる」で検索してみてください。
その意味をわかってもらえると思います。

 それとやはり心配なのは、Kさん、あなた自身の心の問題です。
私にも似たようなところがあります。
そういうときは、カルシウム分、カリウム分、マグネシウム分の多い食生活(=海産物)に心が
け、あとはハーブ系の安定剤を服用しています。
内科でも、軽い安定剤を処方してくれますので、ひどいときには、それを口の中で溶かしてのん
でいます。

 一度、ドクターと相談してみてください。

(1)求めてきたら、すかさず。
これについては、先に書いたとおりです。

(2)二番底、三番底に注意
こうした問題には、必ず、二番底、三番底がありますから、注意してください。
多くの親は、こうした問題をかかえると、「今が最悪」と思います。
しかしその下には、さらに最悪の状態が、待ち構えています。
ですから、「最悪」と感じたら、今の状態をこれ以上悪くしないことだけを考えて、対処します。

なおそうとか、そういうふうに考えていけません。
とにかく現状維持です。
今は、何とか学校に通っていますから、今の状況を大切に!
あとは半年単位、1年単位で、子どもの様子を観察します。
1〜2週間程度の範囲で、一喜一憂してはいけません。

また今こそ、あなたの真の愛が試されているときです。
親は子どもを産むことで、親になりますが、しかし真の愛への道は、遠くて険しいものです。
ですから勇気をもって、前に進んでください。
そういう姿に、みなが、気高さを感ずるようになるでしょう。

顔をゆがめてはいけません。
暗い表情をしてみせてはいけません。
明るく、さわやかに、みなにこう笑って言うのです。

「ハハハ、うちも母子登校ですよ」と。

(3)先生と父親との連携プレーを大切に
この問題は、あなたひとりでは、荷が重すぎます。
ですから、学校の先生や、あなたの夫との連携プレーを大切に。
今のあなたはひとりで問題を抱え込みすぎています。
自分に責任を求めすぎています。

いいですか、今、あなたがかかえている問題など、何でもありませんよ!
今どき、不登校など、何でもない問題です。
母子登校にしても、保健室登校にしても、何でもない問題です。
それで子育てに失敗したとか、私はだめな母親だとか、そういうふうに考えて、自分を追い詰
めないこと。

私のマガジンでも読んで、もっと視野を広くしてください。

たまたま昨日、別の母親から、こんなメールが届いています。
紹介します。

++++++++++++++

M件のEさんより

++++++++++++++

はやし浩司 様

いつもHPの記事で勉強させていただいております。
5歳の息子と2歳の息子がいます。
先生があちこちで何度もおっしゃっている通り、
上の息子に対しては、不安先行、心配先行の子育てをしてきました。
(今でもその気はまだあると思います…)

若干、上の息子に神経質な面があると感じられるのは、そのせいだと思います。

…ここまで書いて、あとが続かず、そのままメールソフトの下書きに保存していました。

当時、5歳と2歳だった息子は、7歳と4歳になりました。
上述のようなことを自分で書いていたことが信じられないほど、
今は、楽な気持ちで子どもと過ごしています。

イライラしたりすることもありますが、
子どもたちに対して、不安や心配に思うことは、ほとんどありません。

子どもたちを見て、そのままでいいと思い、細かいことにこだわらない。
それだけで、こんなに楽になるとは思いませんでした。

神経質な面があるなと思っていた上の息子が、
意外と動じないところがあったり、飄々としていたり、
こんな子だったんだ、と面食らう思いです。

下の息子は、最初から、ものすごくあけっぴろげで、
いつもニコニコしており、
「ありがとう」「ごめんね」「可愛いね」「きれいだね」
という言葉を、なんのてらいもなくスッと口にできる子どもです。
荷物を持っていれば、「持ってあげる!○○、力持ちだから!」と言い、
私が台所で何かしていると、「手伝ってあげる!これ、洗うね」と言い、
うーん、逆にオジャマなんだけどなぁと苦笑しつつ、
苦笑してしまうしかないくらい、ものすごく可愛げのある子どもなのです。

この下の息子が、非常にストレートに愛情を表現し、
上の息子は、それに比べるとわかりにくい感じだったのですが、
ここ最近は、素直に甘えてくるようになり、ああ、なんだか変わったなぁと思っています。
私の受け取り方、見る目が変わっただけかもしれません。

子育ての癖・心の癖は、なかなか治らないものだと思いますので、
できるだけ頻繁に先生の記事を読み、
いつも頭の中にあるよう、意識して心がけて行きたいと思っています。

これからも、どうぞよろしくお願いします。
先生とご家族の皆様のご健康をお祈りいたします。

++++++++++++++

【Kさんへ】

 では、今朝はこれで失礼します。
「心を解き放て! 体はあとからついてくる!」

 おはようございます。

浜松市・はやし浩司


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み 幼児教育 幼児心理 心理学 はやし浩司 親子の問題 子供 心理 子供の心 親子関係 反抗期 はやし浩司 育児診断 育児評
論 育児評論家 幼児教育家 教育評論家 子育て評論家 子育ての悩みはやし浩司 教育評論 育児論 幼児教育論 育児論 子育
て論 はやし浩司 林浩司 教育評論家 評論家 子供の心理 幼児の心理 幼児心理 幼児心理学 子供の心理 子育て問題 はやし
浩司 子育ての悩み 子供の心 育児相談 育児問題 はやし浩司 幼児の心 幼児の心理 育児 はやし浩司 育児疲れ 子育てポイ
ント はやし浩司 静岡県 浜松市 幼児教育 岐阜県美濃市 金沢大学法文学部卒 はやし浩司 教育評論家 幼児教育評論家 林浩
司 静岡県 浜松市 幼児教育 岐阜県美濃市生まれ 金沢大学法文学部卒 教育評論家 はやしひろし 林ひろし 静岡県 浜松市 幼
児教育 岐阜県美濃市生まれ 金沢大学法文学部卒 教育評論家 はやし浩司・林浩二(司) 林浩司 静岡県 浜松市 幼児教育 岐
阜県美濃市生まれ 金沢大学法文学部卒 教育評論家 Hiroshi Hayashi / 1970 IH student/International House / Melbourne Univ.
writer/essayist/law student/Japan/born in 1947/武義高校 林こうじ はやしこうじ 静岡県 浜松市 幼児教育 岐阜県美濃市生まれ
 金沢大学法文学部卒 教育評論家 ハローワールド(雑誌)・よくできました(教材) スモッカの知恵の木 ジャックと英語の木 (CAI) 
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労 育児疲れ 子どもの世界 中日新聞 Hiroshi Hayashi Hamamatsu Shizuoka/Shizuoka pref. Japan 次ページの目次から選んでく
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教育 体罰 多動児男児の女性化 断絶 チック 長男・二男 直観像素質 溺愛 動機づけ 子供の同性愛 トラブル 仲間はずれ 生
意気な子ども 二番目の子 はやし浩司 タイプ別育児論 伸び悩む子ども 伸びる子ども 発語障害 反抗 反抗期(第一反抗期) 非
行 敏捷(びんしょう)性 ファーバー方式 父性と母性 不登校 ぶりっ子(優等生?) 分離不安 平和教育 勉強が苦手 勉強部屋 ホ
ームスクール はやし浩司 タイプ別育児論 本嫌いの子ども マザーコンプレックス夢想する子ども 燃え尽き 問題児 子供のやる気 
やる気のない子ども 遊離(子どもの仮面) 指しゃぶり 欲求不満 よく泣く子ども 横を見る子ども わがままな子ども ワークブック 忘
れ物が多い子ども 乱舞する子ども 赤ちゃんがえり 赤ちゃん帰り 赤ちゃん返り 家庭内暴力 子供の虚言癖 はやし浩司 タイプ別
育児論はじめての登園 ADHD・アメリカの資料より 学校拒否症(不登校)・アメリカ医学会の報告(以上 はやし浩司のタイプ別育児論
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