Q&A3
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【1】

●子どもの神経症

●栃木県のHさん(母親)より、二男の食事について、
こんな相談がありました。

【Hより、はやし浩司へ】
 
 二男(小6)が、家で食事をするとき、ノドをつまらせて、苦しそうに
します。病院でみてもらっても、まったく異常はみつかりません。
 
 しかし食事になると、のどに食べたものをつまらせてしまうのです。
ノドがふくれあがることもあります。
 
 が、学校の給食は食べられます。原因は、1週間ほど前に見た
テレビのようです。ノドをつまらせて苦しそうにしていました。その番組を
見て以来、そうなりました。
 
 6年生でも、そうなるのでしょうか。今は、2人で、抱きあいながら、
ふざけて遊んだりしています。

【はやし浩司よりH様へ】
 
拝復
 
私には、診断権がないので、あくまでもアドバイスとして、お考えください。
 
お子さんの強迫観念については、このままの症状が長くつづくよう
であれば、一度、心療内科のドクターに相談なさるとよいかと思います。
 
症状としては一部だけですので、簡単な薬で、症状(こだわり、不安感)は
消失するはずです。あまりおおげさに考えないで、任すことろは
任したらいかがでしょうか。今では、よい薬もあり、効き目もおだやかで、
副作用もほとんど、ありません。
 
またまだ症状が出て一週間ということですから、一過性のものかも
しれません。
 
私の近くの湖で、死体があがったとき、近くの小学校の子どもたちにも
似たような症状が出たという話を聞いています。子どもの心は、ときとして
過剰なまでに、敏感に反応するものですね。
 
ここから先が、今度は、家庭教育の部分です。
 
不安神経症的な症状がつづくようであれば、乳幼児期の母子関係の
不全を疑います。しかし今さら、それを問題にしてもいけません。
 
そこで今は、濃厚なスキンシップ(子どもが求めてきたときが与え時と
考えて、子どもが体をすりよせてきたときなど、すかさず、濃厚なスキン
シップを与えてあげます。ぐいと力いっぱい、抱くだけでも結構です。
 
あとは手つなぎ、いっしょの入浴、添い寝など。子どもの心に安心感を
与えるのがコツです。メールによれば、現在、それをなさっておられる
ということですので、そのままでよいと思います。
 
「おかしいから、なおそう」という発想ではなく、「今の状態を今以上に
悪くしないことだけ」を考えて、少しでもよくなったら、すかさずほめるよう
にします。
 
子ども自身に、罪の意識をもたせないようにするのがコツです。
「食べたくなければ、いいわよ」とか、「ゆっくり食べようね」とか、
そういう言い方にして、あとは、子どもに任せます。
 
私の経験では、この問題には、まだ二番底、三番底がありますから、
気をつけてください。何かの神経症(心身症)の初期症状ということも
ありまえます。
 
せっかちになおそうとすると、かえって症状を悪化させてしまいます。
 
また薬物だけに頼るのも、賢明ではありません。心の問題として考えます。
で、今、一番、重要なのは、お母さん自身の対処のしかたです。
 
お母さん自身が、過剰に心配するため、それを子どもが直接肌で
感じてしまっているようにも思われます。
 
気負い先行、心配先行型の子育てから、肩の力を抜いてください。
お子さんは、すでに、親離れする時期の終わりごろにきています。その自立心を
うまくつかって、なおします。
 
これからも、折につけ、マガジンのほうでこの問題をとりあげていきます。
無料ですから、ぜひまた読んでみてください。
 
では、本日は、これで失礼します。
(はやし浩司 子供 食事 食事障害 食事の問題 喉 喉につまる)
 





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【2】

●学校へ行きたがらない子ども

【掲示板の投稿より】

息子が、小学校に入学してからそろそろ2ヶ月になりますが、ひとりで(友達がいても)、私が玄
関まで送っていかないと、学校へ行けません。

玄関で私の手を握ってなかなか離れないこともあります。しばらくは仕方ない事と思って続けて
きましたが、まわりの子供たち(同級生)が、羨(うらや)ましがっています。

今朝、玄関で同じクラスの子が、「ウチのお母さんは来ないもん」と言って、玄関の戸を押さえ、
私を外へ出さないようにしていました。

もう一人の子がそれをやめさせようとして、その子とケンカになりそうになったんです。

長女は「ママ早く来て」と泣きそうな顔で見ていました。このまま私が付いていけば、友達とも仲
良くできなくなるのでは?と。でもいっしょに行かなければ学校へは行けないし、どうすればい
いのか困っています(Yより)。 

+++++++++++++++++++++++++

【はやし浩司より】

 軽い母子分離不安かと思われます。無理をしてもいけないので、自然体で、対処するしかな
いようです。

 ただ相談の内容とは別に、私には、ほほえましい光景が浮かんできます。「うちの息子たちも
そうだったなあ」と、です。

 「ああいう楽しいときは、どこへ消えてしまったのだろう?」と思うときさえあります。そのとき
は、何かと問題があるように思われ、あれこれ四苦八苦したものですが、子育ても終わってみ
ると、そういう光景が、たまらなく、いとおしく思われてきます。

 母親として、負担が大きいようであれば、少しずつ手を抜いていくという方法もありますし、ま
あ、あまりおおげさに考えないほうが、よいのではないかと思います。

 子どもが学校へ入学すると、親も、何かにつけ神経質になります。今のあなたが、そうかもし
れませんが、少し、子どもから目をそらすということも考えてみてください。あまり深く意味を考
えないで、それが儀式になっているなら、そのままつづけても、さほど、問題はありません。

 私も職場に行くときは、必ず、ワイフが玄関先まで出てきます。夫妻分離不安?……というよ
り習慣的な儀式になっています。今では、ほとんど意味はありません。たまにワイフが玄関先
まで出てこないときもありますが、そういうときは、多少、気分が落ちつかないということはあり
ます。

 しかし外へ出て数分もしれば、忘れます。

 今は、そういう楽しい思い出をたくさん充電しておいてください。ついでに写真でもとってあげ
たらいいですよ。やがて、生意気な子どもになりますから、そのとき、「あなたね、偉そうなこと
を言うけど、1年生のとき、ママのそばから離れなかったのよ」とか何とか、言って、そのとき、
からかってあげなさい。

 私の書いた原稿を、1作、プレゼントします。

++++++++++++++++++++++++++

●子どもが巣立つとき

 階段でふとよろけたとき、三男がうしろから私を抱き支えてくれた。いつの間にか、私はそん
な年齢になった。腕相撲では、もうとっくの昔に、かなわない。自分の腕より太くなった息子の
腕を見ながら、うれしさとさみしさの入り交じった気持ちになる。

 男親というのは、息子たちがいつ、自分を超えるか、いつもそれを気にしているものだ。息子
が自分より大きな魚を釣ったとき。息子が自分の身長を超えたとき。息子に頼まれて、ネクタイ
をしめてやったとき。

そうそう二男のときは、こんなことがあった。二男が高校に入ったときのことだ。二男が毎晩、
ランニングに行くようになった。しばらくしてから女房に話を聞くと、こう教えてくれた。「友だちの
ために伴走しているのよ。同じ山岳部に入る予定の友だちが、体力がないため、落とされそう
だから」と。

その話を聞いたとき、二男が、私を超えたのを知った。いや、それ以後は二男を、子どもという
よりは、対等の人間として見るようになった。

 その時々は、遅々として進まない子育て。イライラすることも多い。しかしその子育ても終わっ
てみると、あっという間のできごと。「そんなこともあったのか」と思うほど、遠い昔に追いやられ
る。「もっと息子たちのそばにいてやればよかった」とか、「もっと息子たちの話に耳を傾けてや
ればよかった」と、悔やむこともある。

そう、時の流れは風のようなものだ。どこからともなく吹いてきて、またどこかへと去っていく。そ
していつの間にか子どもたちは去っていき、私の人生も終わりに近づく。

 その二男がアメリカへ旅立ってから数日後。私と女房が二男の部屋を掃除していたときのこ
と。一枚の古ぼけた、赤ん坊の写真が出てきた。私は最初、それが誰の写真かわからなかっ
た。が、しばらく見ていると、目がうるんで、その写真が見えなくなった。

うしろから女房が、「Sよ……」と声をかけたとき、同時に、大粒の涙がほおを伝って落ちた。

 何でもない子育て。朝起きると、子どもたちがそこにいて、私がそこにいる。それぞれが勝手
なことをしている。三男はいつもコタツの中で、ウンチをしていた。私はコタツのふとんを、「臭
い、臭い」と言っては、部屋の真ん中ではたく。女房は三男のオシリをふく。長男や二男は、そ
ういう三男を、横からからかう。

そんな思い出が、脳裏の中を次々とかけめぐる。そのときはわからなかった。その「何でもな
い」ことの中に、これほどまでの価値があろうとは! 

子育てというのは、そういうものかもしれない。街で親子連れとすれ違うと、思わず、「いいな
あ」と思ってしまう。そしてそう思った次の瞬間、「がんばってくださいよ」と声をかけたくなる。レ
ストランや新幹線の中で騒ぐ子どもを見ても、最近は、気にならなくなった。「うちの息子たち
も、ああだったなあ」と。

 問題のない子どもというのは、いない。だから楽な子育てというのも、ない。それぞれが皆、
何らかの問題を背負いながら、子育てをしている。しかしそれも終わってみると、その時代が
人生の中で、光り輝いているのを知る。もし、今、皆さんが、子育てで苦労しているなら、やが
てくる未来に視点を置いてみたらよい。心がずっと軽くなるはずだ。 

++++++++++++++++++++++

 あなたも、今をもっと、楽しんでください。子育ては、すばらしいですよ!!

 では!





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【3】

●子どもの排便障害

●子どものウンチ

++++++++++++++++++

群馬県にお住まいの、Aさん(母親)から、
子ども(小3男児)のウンチについての
相談がありました。

それについて、考えてみたいと思います。

++++++++++++++++++

【Aさんより、はやし浩司へ】

小学3年の息子について、相談します。下に、2歳ちがいの妹がいます。

息子のパンツにですが、1年程前から下着に、便がつくようになったのです。
それを見て、私も主人もつい強く叱ってしまい、
本人には、よほどショックだったと思います。

それ以来、トイレへ行きたくなってもガマンするようになって、
その結果また下着を汚す、といった感じです。

学校でも、授業中に行きたくなっても、ガマンし、下着にもらしてしまうようです。
何も言わずそのまま授業をしているようです。きっと臭いがしていたと思います。

家に帰ってきた時は、すごい臭いでしたので……。
それでも気持ち悪くないのか、着替えようともせず、
2階に行こうとしたので、引き止めたんです。

「なんでガマンするの!」「何度言ったらわかるの!」と、つい言ってしまいました。
今、考えたら、私に叱られるのがいやで、2階で着替えようとしていたんだと思います。

これまで息子には、「ガマンはよくない」「朝は出なくても必ずトイレに座りなさい」
「行きたくなったときは先生やママにちゃんといいなさい」などと、
話してきましたが、なおったと思ったチックも、また、少しでてきました。

お腹は弱いほうですが、下痢はあまりしません。
今日も下着を見たらやはり汚れていました。

息子は「いつでたのかわからない。気がついたら汚れてた」と言いました。

言い訳なのか、本当なのか・・・?

息子にどのように言ってあげればいいのでしょうか。
このままでは友達にも嫌がられないかと心配です。
どうかアドバイスをお願いします。

【はやし浩司より、Aさんへ】

 お子さんを、N君とします。

 私には、そのN君の、声なき悲鳴というか、悲しみが、よく理解できます。Aさん、あなたに
は、その悲鳴が聞こえますか?

 言いたいことも言えない。したいことも、できない。排便という、人間が一番、自由にしていい
ことさえ、できないでいるのです。

 トイレへ行きたかったら、「トイレへ行ってきます」ですむ話です。が、それさえも、N君は、自
分の中で押し殺してしまっています。

 ご相談の件は、あくまでも表面的な症状にすぎません。病気にたとえるなら、発熱のようなも
のです。ですから「熱」だけをみて、それを何とかしようとしても、意味がありません。病気など、
なおるはずもないのです。

 つまりこの問題は、「根」が深いということです。最初に考えられるのは、下の子(妹)が生ま
れたあとから始まった、愛情飢餓。それに端を発する、欲求不満。赤ちゃんがえりもあったかも
しれません。

 N君は、人知れず、あなたたち両親の気がつかないところで、たいへんさみしい思いをしてい
たはずです。

 はっきり言いましょう! ウンチなど、何でもないではないですか! パンツにウンチがついて
いても、どうして、それが悪いことなのですか? 臭くてもいいじゃ、ないですか。

 授業中、便意をもよおしても、「トイレへ行きたい」と言うこともできず、がまんしている子ども
の苦しみが、あなたには、わかりますか? その子ども、つまり学校で、じゅうぶんすぎるほど
苦しんだ子どもを、また家に帰ってきてから、親が叱る。

「ウンチをもらすことは悪いこと」……? どうしてそういう視点でしか、N君を見ることができな
いのか、私には理解できません。

 「あなたは、がまんしたのね。さぞかし、つらかったでしょうね」と、私なら、そう言ってやります
よ。

 さらに、年齢的には、肛門期のしつけが、じゅうぶんでなかったことも考えられます。ちょうど
そのころ、下の子ども(妹)が生まれています。どこかで排便に対して、おおきなわだかまり(固
着)をもってしまったのかもしれません。

 実は、私も、子どものころ、自分の家で便をするのが、こわくてたまりませんでした。家の中
の一番奥の、暗いところにそれがありました。トイレの壁のシミが、私には、動いているように
見えました。

 それを何度も、親に訴えたことがあるのですが、だれも、耳を貸してくれませんでした。ですか
ら私は、子どものころ、多分、4、5歳のときは、新聞紙を下に敷き、その上で、便をしていまし
た。トイレに対して、大きなわだかまりができたのは、そのころです。

 以来、トイレに関しては、神経質になりました。

 N君は、恐らく、人前では、仮面をかぶり、いい子ぶっていると思います。つまり無理をしてい
ると思います。基本的に、自分をすなおにさらけ出すことができないでいると思います。大便の
問題は、あくまでも、その一部でしかありません。

 そこでこうしてみてください。

(1)大便の問題は、一度、学校の担任の先生に、よく相談してみる。そのつど、声をかけても
らうようにする。先生の協力を、とりつける。

(2)子どもの欲求不満に準じて考え、スキンシップを濃厚にして、暖かい愛情で、もう一度、N
君を包んであげる。

(3)で、ここが重要ですが、「叱らない」こと。子ども自身の判断力を超えた問題については、子
どもを叱らないのが、大鉄則です。叱ってもなおりませんし、叱れば、かえって逆効果です。

 先にも書いたように、「がまんして、つらかったでしょう」と、子どもの立場で、なぐさめてあげま
す。そしてあとは、「暖かい無視」に、こころがけます。「臭い」とか、「嫌われる」とかいう言葉
は、禁句です。そうした言葉は、古傷に、塩を塗りこむようなものです。

 (学校で悪い点数を取ってきた子どもを、叱るようなものです。さんざん、いやな思いをしてき
たのに、また家に帰って、親に叱られる……。それがわからなければ、こういう状況を考えてみ
てください。

 あなたの夫が、会社でヘマをした。上司に、叱られた。いやな思いをして家に帰ったら、また
妻にガミガミ言われた……。私なら、そんな家なら、逃げ出してしまうでしょうね。)

 なお、もう一つ、疑ってみるべきは、なぜ、あなたがこうまでN君に対して、神経質になってい
るかということ。結婚当初、出産当初に、何か、わだかまりをつくるようなことはありませんでし
たか? 子育てをゆがめるほど、大きな、わだかまりです。一度、あなたの心の中をのぞいて
みてください。それが不安先行型、心配先行型の子育てになったとも考えられます。現在の過
関心、神経質な子育ては、そのあたりから生まれています。

 で、それに気がつけばよいです。気がつけば、あとは時間が解決してくれます。

 ただ年齢的には、N君は、これから先も、今のままでいくと思います。なおそうといっても、簡
単には、なおらないということ。これから先、N君は、自分の仮面に、悩み、苦しむだろうと思い
ます。だからこそ、よけいに、叱ってはいけません。

 N君が、ウンチをつけて帰ってきたら、だまって、始末してあげればいいでしょう。しかしウン
チをつけてこなかったら、ほめる。「あら、今日は、ちゃんと、トイレへ行けたのね。よかったね。
ママ、うれしいわ」と。これはオネショを、なおすときの方法です。

 ところで、伸びやかな子どもは、先生の前でも、平気で、おならをします。わざと近寄ってき
て、先生の顔に向けて、ブリッとです。私なども、毎週のように、だれかにやられています。小
学3年生なら、その程度のいたずらをしても、よい年齢です。

 ついでながら、幼稚園児で、排便障害のある子どもが、ふえています。原因は、紙おもつと推
定されています。以前書いた原稿を、添付しておきます。少し話が脱線しますが、お許しくださ
い。

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【子どもが環境に影響されるとき】 

●オムツがはずせない子ども

 今、子どもたちの間で珍現象が起きている。4歳を過ぎても、オムツがはずせない。幼稚園
や保育園で、排尿、排便ができず、紙オムツをあててあげると、排尿、排便ができる。

6歳になっても、大便のあとお尻がふけない。あるいは幼稚園や保育園では、大便をがまんし
てしまう。反対に、その意識がないまま、あたりかまわず排尿してしまう。

原因は、紙オムツ。最近の紙オムツは、性能がよすぎる(?)ため、使用しても不快感がない。
子どもというのは、排尿後の不快感を体で覚えて、排尿、排便の習慣を身につける。たとえば
昔の布オムツは、一度排尿すると、お尻が濡れていやなものだった。この「いやだ」という感覚
が、子どもの排尿、排便感覚を育てる。

 このことをある雑誌で発表しようとしたら、その部分だけ削られてしまった(M誌・98年)。「根
拠があいまい」というのが表向きの理由だったが、実は同じ雑誌に広告を載せているスポンサ
ーに遠慮したためだ。根拠があるもないもない。こんなことは幼稚園や保育園では常識で、そ
れを疑う人はいない。紙オムツをあててあげると排尿できるというのが、その証拠である。

●流産率は39%!

 ……というような問題は、現場にはゴロゴロしている。疑わしいが、はっきりとは言えないとい
うようなことである。

その一つが住環境。高層住宅に住んでいる子どもは、情緒が不安定になりやすい……? 実
際、高層住宅が人間の心理に与える影響は無視できない。こんな調査結果がある。

たとえば妊婦の流産率は、6階以上では、24%、10階以上では、39%(1〜5階は5〜
7%)。流・死産率でも6階以上では、21%(全体8%)(東海大学医学部逢坂文夫氏)。

マンションなど集合住宅に住む妊婦で、マタニティブルー(うつ病)になる妊婦は、一戸建ての
居住者の四倍(国立精神神経センター北村俊則氏)など。母親ですら、これだけの影響を受け
る。いわんや子どもをや。が、さらに深刻な話もある。

●紫外線対策を早急に

 今どき野外活動か何かで、まっ赤に日焼けするなどということは、自殺的行為と言ってもよ
い。私の周辺でも、何らかの対策を講じている学校は、一校もない。無頓着といえば、無頓
着。無頓着すぎる。

オゾン層のオゾンが1%減少すると、有害な紫外線が2%増加し、皮膚がんの発生率が、4〜
6%も増加するという(岐阜県保健環境研究所)。

実際、オーストラリアでは、92年までの7年間だけをみても、皮膚がんによる死亡件数が、毎
年10%ずつふえている。日光性角皮症や白内障も急増している。そこでオーストラリアでは、
その季節になると、紫外線情報を流し、子どもたちに紫外線防止用の帽子とサングラスの着
用を義務づけている。

が、この日本では野放し。オーストラリアの友人は、こう言った。「何も対策を講じていない? 
信じられない」と。ちなみにこの北半球でも、オゾンは、すでに10〜40%(日本上空で10%)
も減少している(NHK「地球法廷」)(※)。

●疑わしきは罰する

 法律の世界では、「疑わしきは、罰せず」という。しかし教育の世界では、「疑わしきは、罰す
る」。子どもの世界は、先手先手で守ってこそ、はじめて守ることができる。害が具体的に出る
ようになってからでは、遅い。たとえば紫外線の問題にしても、過度な日焼けはさせない。紫外
線防止用の帽子を着用させる、など。あなたが親としてすべきことは多い。
(はやし浩司 子供の排便異常 排便障害 紙おむつ 紙オムツ)

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ついでに、子どもの欲求不満について

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●子どもの欲求不満

 欲求不満に対する、子どもの反応は、一般的には次の三つに分けて考える。

 (1)攻撃、暴力タイプ……欲求不満やストレスが日常的にたまると、子どもは攻撃的になる。
突発的にカッとなることが多く、弟を逆さづりにして、頭から落とした子ども(年長男児)がいた。
そしてその攻撃性は、表に出るタイプ(喧嘩する。乱暴になる)と、裏に隠れるタイプ(いじめ、
動物への虐待)に分けて考える。

 (2)退行、依存タイプ……理由もなく、ぐずったり、赤ちゃんぽくなる(退行)。あるいはネチネ
チと甘える(依存性)。優柔不断になることもある。このタイプの子どもは、いわゆる「ぐずな子
ども」という印象を与える。

 (3)固着、執着タイプ……いつまでも同じことにこだわったり、あるいは特定のもの(毛布の
切れ端、ボタン、古い雑誌、おもちゃ)に執着する。情緒的な不安定さを解消するための、代償
的行為(心を償うためにする代わりの行為)と理解するとわかりやすい。オナニー、髪いじり、
指しゃぶり、爪かみも同じように考える。

 子どもがこうした症状を見せたら、まず愛情問題を疑ってみる。親や家族への絶対的な安心
感がゆらいでいないか。親の愛に疑問を抱いていないか。あるいは下の子どもが生まれたこと
などで、その子どもへの愛が減っていないか、など。

ここで「絶対的」というのは、「疑いを抱かない」という意味。はげしい家庭内騒動、夫婦不仲、
日常的な不安感、無理な学習、きびしいしつけなどが原因となることもある。よく誤解される
が、子どもにとって愛情というのは、落差の問題。

たとえば下の子どもが生まれると、上の子どもが赤ちゃんがえりを起こすことがある。そういう
とき親は、「上の子も下の子も、平等にかわいがっています」と言うが、上の子にしてみれば、
今まで100の愛情を受けていたのが、50に減ったことが、不満なのだ。特に嫉妬に関する問
題は、慎重に扱うこと。これは幼児指導の大原則。

 こうした欲求不満が原因で、情緒が不安定になったら、スキンシップをふやし、子どもの心を
安心させることに心がける。叱ったり説教しても意味がない。脳の機能そのものが、変調して
いるとみる。

また似たような症状に、「かんしゃく発作」がある。乳幼児の抵抗的な行動(突発的なはげしい
怒り)をいう。たいていはささいな刺激が引き金となって、爆発的に起きる。デパートなどで、ギ
ャーギャーと泣き叫ぶのが一例。

原因の第一は、家庭教育の失敗とみる。ただし年齢によって、症状が違う。1歳前後は、ダダ
をこねる、ぐずる、手足をバタバタさせるなど。1歳半を過ぎると、大声で泣き叫び、その時間
が長くなる。満2歳前後では、言葉による抵抗、拒絶が目立つようになる。自分の体をわざと傷
つけることもある。

こうしたかんしゃく発作が見られたら、家庭教育のあり方そのものを反省する。権威主義的(押
しつけ)な子育てや、強圧的(ガミガミ)な子育てになっていないかなど。「わがまま」と決めつけ
て、叱っても意味がない。あるいは叱れば叱るほど、逆効果。あとは欲求不満に準じて、対処
する。

++++++++++++++++++++++++++はやし浩司

【再び、Aさんへ】

 この時期、子どもに何か問題が起きると、親は、その原因を子どもの中に求めようとします。
そして、子どもを、なおそう(?)として、叱ったり、説教したりします。しかしこうした育児姿勢
は、正しくありません。

 原因のほとんどは、まず、家庭環境、とくに、Aさん自身にあると考え、まず、自分を見つめな
おしてみてください。あなたは、N君のウンチを臭いと言いますが、本当に、そうでしょうか?

 私も結婚当初は、ワイフの腸内ガスの臭いがいやでした。しかし35年もいっしょにいると、そ
うでなくなりました。今では、自分のそれと同じように、認め、納得できるようになりました。「臭
いな〜」とか言って、フトンをはたいて、終わりです。

 ですから、Aさんも、あまり深刻に考えないで、もう少しおおらかに考えてはいかがでしょうか。
この時期の子どもは、みんな臭いですよ。ウンチ臭、口臭、体臭、汗臭などなど。生理が始まっ
たばかりの女児などは、本当に、臭いです。ウンチの臭いなど、何でもありません。子どもたち
は、よく話題にはしますが、本気で、気にしているふうでもないようです。

 数週間前ですが、市内の中学校の廊下に、ウンチが落ちていたことが、子どもたちの間で話
題になったことがありました。多分、トイレに間にあわなかった、女子が、その途中でもらしたの
ではないかと思います。

 よくあることです。

 が、それでも気になるようでしたら、それはN君の問題ではなく、Aさん、あなた自身の心の問
題ということになります。あなたは、自信をもって、「私は、N男を愛している」と言うことができま
すか。

 そうであるなら、それでよし。もしそうでないなら、今からでも間にあいますから、もう一度、あ
なた自身の愛を、確認してみてください。方法は、簡単。

 「許して、忘れる」です。あとは、ほどよい親に心がけ、暖かい無視を繰りかえします。

 かなりきついことを書きましたが、どうか、許してください。あなたとN君のためと思い、書きま
した。
(はやし浩司 子供の大便 大便のしつけ うんち ウンチ 大便を漏らす)

【Aさんより、はやし浩司へ、返信】

お返事ありがとうございました。
私には、実の兄(37歳)と弟(30歳)がいます。

兄は知的障害者で、父と母は、兄のことでケンカばかりしていました。
私自身も小学校5年生の時、兄のことで、いじめられたり、
中学に入ってからも、兄と同じ学校に通うのが苦痛でした。

高校卒業と同時に一人暮らしをはじめ、今の主人と知り合い3年後に結婚し、すぐに息子を授
かったのです。

とても嬉しくて可愛くてしかたありません。
ですが、大きくなるにつれて、実の弟から顔が兄に似ていると言われたのがきっかけで・・・
どうしても必要以上に干渉していた自分がいました。

先生のアドバイスを最後まで読ませていただいて、
私は息子を押さえつけていたんだと。
兄は兄、息子は息子なのに。。。

ほんとうに窮屈な思いをさせてしまって。
先生、私はいつも息子を監視していたかも知れません、
だから息子も私の目をきにして何も言えなかったのだと・・・
自分の素直な気持ちを声に出して言えるように
静かに見守っていきたいです。

ありのままの息子を受け入れ、スキンシップもしっかりしていきたいです。
「まだ遅くはない」という先生の言葉に、とても救われました。

ほんとうにありがとうございました。








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【4】

●育児に参加しない父親ほか

【H幼稚園のみなさんからの、質問に答えて】

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H幼稚園での講演に先立ち、父母のみなさんから、
質問をいただきました。

それについて、考えてみます。

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【1】講演会の中で説明があると思いますが、なぜ法学科を卒業し、その道に進まず
 幼児教育評論家になったのか。肩書きが非常に多いのですが、それぞれへの道を
 たどっていったきっかけをお聞きしたいです。

【2】男の子3人兄弟の三男ですが、気に入らないことがあるとたたいてきます。
 たたくことは良くない事だよと言い聞かせても、私(母)が大げさに「痛いよ〜。」 
と泣きまねをしても、たたくことをやめません。どのように対応したらよいですか? 

【3】兄弟の子育てについて。

【4】習い事(ピアノや水泳など)は本人の意思で始めた方が良いでしょうか?

【5】主人が育児に協力してくれません。食事も共にすることがほとんどありません。
 父親が子育てに関心を持つのは、どんな時ですか?

【6】子育てで、一番大事だと思われることをずばり一言で教えて下さい。

+++++++++++++++++++++++

【1】講演会の中で説明があると思いますが、なぜ法学科を卒業し、その道に進まず
 幼児教育評論家になったのか。肩書きが非常に多いのですが、それぞれへの道を
 たどっていったきっかけをお聞きしたいです。

++++++++++++++++++

【はやし浩司より】

 これについては、今回の講演の中で、じっくりと話させていただきます。

【2】男の子3人兄弟の三男ですが、気に入らないことがあるとたたいてきます。
 たたくことは良くない事だよと言い聞かせても、私(母)が大げさに「痛いよ〜。」 
と泣きまねをしても、たたくことをやめません。どのように対応したらよいですか? 

++++++++++++++++++

●子どもの欲求不満

 欲求不満に対する、子どもの反応は、一般的には次の三つに分けて考える。

 (1)攻撃、暴力タイプ……欲求不満やストレスが日常的にたまると、子どもは攻撃的になる。
突発的にカッとなることが多く、弟を逆さづりにして、頭から落とした子ども(年長男児)がいた。
そしてその攻撃性は、表に出るタイプ(喧嘩する。乱暴になる)と、裏に隠れるタイプ(いじめ、
動物への虐待)に分けて考える。

 (2)退行、依存タイプ……理由もなく、ぐずったり、赤ちゃんぽくなる(退行)。あるいはネチネ
チと甘える(依存性)。優柔不断になることもある。このタイプの子どもは、いわゆる「ぐずな子
ども」という印象を与える。

 (3)固着、執着タイプ……いつまでも同じことにこだわったり、あるいは特定のもの(毛布の
切れ端、ボタン、古い雑誌、おもちゃ)に執着する。情緒的な不安定さを解消するための、代償
的行為(心を償うためにする代わりの行為)と理解するとわかりやすい。オナニー、髪いじり、
指しゃぶり、爪かみも同じように考える。

 子どもがこうした症状を見せたら、まず愛情問題を疑ってみる。親や家族への絶対的な安心
感がゆらいでいないか。親の愛に疑問を抱いていないか。あるいは下の子どもが生まれたこと
などで、その子どもへの愛が減っていないか、など。ここで「絶対的」というのは、「疑いを抱か
ない」という意味。はげしい家庭内騒動、夫婦不仲、日常的な不安感、無理な学習、きびしいし
つけなどが原因となることもある。

よく誤解されるが、子どもにとって愛情というのは、落差の問題。たとえば下の子どもが生まれ
ると、上の子どもが赤ちゃんがえりを起こすことがある。そういうとき親は、「上の子も下の子
も、平等にかわいがっています」と言うが、上の子にしてみれば、今まで一〇〇の愛情を受け
ていたのが、五〇に減ったことが、不満なのだ。特に嫉妬に関する問題は、慎重に扱うこと。こ
れは幼児指導の大原則。

 こうした欲求不満が原因で、情緒が不安定になったら、スキンシップをふやし、子どもの心を
安心させることに心がける。叱ったり説教しても意味がない。脳の機能そのものが、変調して
いるとみる。また似たような症状に、「かんしゃく発作」がある。乳幼児の抵抗的な行動(突発的
なはげしい怒り)をいう。

たいていはささいな刺激が引き金となって、爆発的に起きる。デパートなどで、ギャーギャーと
泣き叫ぶのが一例。原因の第一は、家庭教育の失敗とみる。ただし年齢によって、症状が違
う。一歳前後は、ダダをこねる、ぐずる、手足をバタバタさせるなど。一歳半を過ぎると、大声で
泣き叫び、その時間が長くなる。満二歳前後では、言葉による抵抗、拒絶が目立つようにな
る。自分の体をわざと傷つけることもある。こうしたかんしゃく発作が見られたら、家庭教育の
あり方そのものを反省する。権威主義的(押しつけ)な子育てや、強圧的(ガミガミ)な子育てに
なっていないかなど。「わがまま」と決めつけて、叱っても意味がない。あるいは叱れば叱るほ
ど、逆効果。あとは欲求不満に準じて、対処する。
 
【はやし浩司より】

 根底に欲求不満があるのでは? そのあたりから疑って考えてみてはどうでしょうか。

++++++++++++++++++++++++++はやし浩司

【3】兄弟の子育てについて。

++++++++++++++++++

【はやし浩司より】

 テーマが、ばくぜんとしすぎていて、お答えできません。ごめんなさい。

++++++++++++++++++++++++++はやし浩司

【4】習い事(ピアノや水泳など)は本人の意思で始めた方が良いでしょうか?

++++++++++++++++++

●子どもの一芸論

 Sさん(中一)もT君(小三)も、勉強はまったくダメだったが、Sさんは、手芸で、T君は、スケ
ートで、それぞれ、自分を光らせていた。中に「勉強、一本!」という子どももいるが、このタイ
プの子どもは、一度勉強でつまずくと、あとは坂をころげ落ちるように、成績がさがる。そういう
ときのため、……というだけではないが、子どもには一芸をもたせる。この一芸が、子どもを側
面から支える。あるいはその一芸が、その子どもの身を立てることもある。

 M君は高校へ入るころから、不登校を繰り返し、やがて学校へはほとんど行かなくなってしま
った。そしてその間、時間をつぶすため、近くの公園でゴルフばかりしていた。が、一〇年後。
ひょっこり私の家にやってきて、こう言って私を驚かせた。「先生、ぼくのほうが先生より、お金
を稼いでいるよね」と。彼はゴルフのプロコーチになっていた。

 この一芸は作るものではなく、見つけるもの。親が無理に作ろうとしても、たいてい失敗する。
Eさん(二歳児)は、風呂に入っても、平気でお湯の中にもぐって遊んでいた。そこで母親が、
「水泳の才能があるのでは」と思い、水泳教室へ入れてみた。案の定、Eさんは水泳ですぐれ
た才能を見せ、中学二年のときには、全国大会に出場するまでに成長した。S君(年長児)も
そうだ。

父親が新車を買ったときのこと。S君は車のスイッチに興味をもち、「これは何だ、これは何だ」
と。そこで母親から私に相談があったので、私はS君にパソコンを買ってあげることを勧めた。
パソコンはスイッチのかたまりのようなものだ。その後S君は、小学三年生のころには、ベーシ
ック言語を、中学一年生のころには、C言語をマスターするまでになった。

 この一芸。親は聖域と考えること。よく「成績がさがったから、(好きな)サッカーをやめさせ
る」と言う親がいる。しかし実際には、サッカーをやめさせればやめさせたで、成績は、もっとさ
がる。一芸というのは、そういうもの。

ただし、テレビゲームがうまいとか、カードをたくさん集めているというのは、一芸ではない。ここ
でいう一芸というのは、集団の中で光り、かつ未来に向かって創造的なものをいう。「創造的な
もの」というのは、努力によって、技や内容が磨かれるものという意味である。そしてここが大
切だが、子どもの中に一芸を見つけたら、時間とお金をたっぷりとかける。そういう思いっきり
のよさが、子どもの一芸を伸ばす。「誰が見ても、この分野に関しては、あいつしかいない」とい
う状態にする。子どもの立場で言うなら、「これだけは絶対に人に負けない」という状態にする。

 一芸、つまり才能と言いかえてもいいが、その一芸を見つけるのは、乳幼児期から四、五歳
ごろまでが勝負。この時期、子どもがどんなことに興味をもち、どんなことをするかを静かに観
察する。一見、くだらないことのように見えることでも、その中に、すばらしい才能が隠されてい
ることもある。それを判断するのも、家庭教育の大切な役目の一つである。  


++++++++++++++++++++++++++はやし浩司

【はやし浩司より】

 これからはプロが生き残る時代です。そういうことを考えて、オールマイティな人間ではなく、
一芸に秀でた子どもをめざすとよいですよ。

++++++++++++++++++++++++++はやし浩司

【5】主人が育児に協力してくれません。食事も共にすることがほとんどありません。
 父親が子育てに関心を持つのは、どんな時ですか?

++++++++++++++++++

【父親論】

 父親の役割は、二つ、ある。(1)母子関係の是正と、(2)行動の限界設定である。これは私
の意見というより、子育ての常識。

●母子関係の是正

 母親と子どもの関係は、絶対的なものである。それについては、何度も書いてきた。

 しかし父親と子どもの関係は、「精液一しずくの関係」にすぎない。もともと母子関係と、父子
関係は平等ではない。

 その子ども(人間)のもつ、「基本的信頼関係」は、母子の間で、はぐくまれる。父子の間では
ない。そういう意味で、子育ての初期の段階では、子どもにとっては、母親の存在は絶対的な
ものである。この時期、母親が何らかの理由で不在状態になると、子どもには、決定的とも言
えるほど、重大な影響を与える。情緒、精神面のみならず、子どもの生命にも影響を与えるこ
とさえある。

 内乱や戦争などで、乳児院に預けられた赤ちゃんの死亡率が、きわめて高いということは、
以前から指摘されている。

 では、父親の役割は、何か。

 父親の役割は、実は、こうした母子関係を調整することにある。母子関係は、ここにも書いた
ように、絶対的なものである。しかしその「絶対性」に溺れてしまうと、今度は、逆に、子どもにさ
まざまな弊害が生まれてくる。マザーコンプレックスが、その一つである。

 一般論から言うと、父親不在の家庭で育った子どもほど、母親を絶対視するあまり、マザー
コンプレックス、俗にいう、マザコンになりやすい。40歳を過ぎても、50歳をすぎても、「ママ」
「ママ」と言う。

 ある男性は、会社などで昇進や昇給があると、妻に話す前に、母親に電話をして、それを報
告していたという。また別の男性(50歳)は、せとものの卸し業を営んでいたが、収入は一度、
妻ではなく、すべて母親(80歳)に手渡していたという。

 また、ある男性(53歳)は、「母の手一つで育てられました」と、いつも人に話している。一度
講演会で、涙声で、母に対する恩を語っているのを聞いたことがある。

 その男性は、その母と、自分の妻が家庭内で対立したとき、離婚という形で、妻を追いだした
と聞いている。しかし自分の中の、マザコン性には、気づいていないようだ。

 常識で考えれば、おかしな関係だが、マザコンタイプの人には、それがわからない。そうする
ことが、子どもの務めと考えている。

 そしてマザコンタイプの子どもの特徴は、自分のマザコン性を正当化するために、母親をこと
さら、美化すること。「私の母は偉大でした」と。そしてあげくの果てには、「産んでいただきまし
た」「育てていただきました」「女手一つで、育てていただきました」と言いだす。

 マザコンタイプの男性は、(圧倒的に男性が多いが、女性でも、少なくない)、親の悪口や、批
判を許さない。少し批判しただけで、猛烈に反発する。依存性が強い分だけ、どこかのカルト
教団の信者のような反応を示す。(もともとカルト教団の信者の心理状態は、マザコンタイプの
子どもの心理と、共通している。徹底した隷属性と、徹底した偶像化。妄信的に、その価値を
信じこむ。)

 そこで父親の登場!

 こうした母子関係を、父親は、調整する。もっとわかりやすく言えば、母子関係の絶対性に、
クサビを入れていく。

 ここに母子関係と、父子関係の基本的なちがいが、ある。つまり母子関係は、子どもの成長
とともに、解消されねばならない。一方、父子関係は、子どもの成長とともに、つくりあげていか
ねばならない。つまり、それが父親の役割ということになる。

 ……という話は、子育ての世界では、常識なのだが、しかし問題は、父親自身が、マザコンタ
イプであるとき。

 こういうケースでは、父親自身が、父親の役割を、見失ってしまう。いつまでも母親にベタベタ
と甘える自分の子どもをみながら、それをよしとしてしまう。そしてなお悪いことに、それを代々
と繰りかえしてしまう。

 問題は、そうした異常性に、母親や父親が、いつ、どのような形で、気づくかということ。

 しかしこの問題は、脳のCPU(中央演算装置)の問題であるだけに、特別な事情がないかぎ
り、それに気づく母親や父親は、まずいない。(この原稿を読んだ方は、気づくと思うが……。)

 そこで一つの方法として、私がここに書いたことを念頭に入れて、あなたの周囲の人たちを、
見回してみてほしい。よく知っている親類の人とか、友人がよい。このタイプの人が、何人か
は、必ずいるはずである。(あるいは、ひょっとしたら、あなたや、あなたの夫がそうであるかも
しれない。)

 そういう人たちを比較しながら、自分の姿をさぐってみる。たとえば父親不在の家庭で育った
子どもほど、マザコン性をもちやすい。そういうことを手がかりに、自分の姿をさぐってみる。
 
●行動の限界設定

 もう一つ、父親の大きな役割は、子どもの行動に、限界を設定すること。わかりやすく言え
ば、行動規範を示し、いかに生きるべきか、その道徳的、倫理的規範を示すこと。さらにわか
りやすく言えば、「しつけ」をすること。

 しかし、これはむずかしいことではない。

 こうした基本的なしつけは、ごく日常的な、ごく基本的なことから始まる。そして、ここが重要だ
が、すべてはそれで始まり、それで終わる。

 ウソをつかない。
 人と誠実に接する。
 約束やルールは守る。
 自分に正直に生きる。

 さらに一歩進んで……

 家族は大切にする。
 家族は守りあう。
 家族は教えあう。
 家族はいたわり、励ましあう。

 さらに一歩進んで……

 自分の生きザマをつらぬく。
 
 こうした生きザマを、ごくふつうの家庭人として、ごくふつうの生活の中で、見せていく。見せる
だけでは足りない。しみこませておく。そしてそれに子どもが反したような行動をしたとき、父親
は、それに制限を加えていく。

 こうした日々の生きザマが、週となり、月となり、そして年となったとき、その子どもの人格とな
る。

 その基礎をつくっていくのが、父親の役目ということになる。

 一見簡単そうに見えるが、簡単でないことは、父親ならだれしも知っている。こうした父親像と
いうのは、代々、受けつがれるもの。その父親が作るものではないからである。

 そういう意味で父親から受ける影響は、無視できない。たとえばこんなことがある。

 私には、三人の息子がいる。年齢は、それぞれ、ちょうど三年ずつ、離れている。

 そういう三人の息子を比較すると、それぞれが、私のある時期の「私」を、忠実に受けついで
いるのがわかる。(もちろん息子たち自身は、そうは思っていないが……。)

 一番特徴的なのは、それぞれの息子たちが、年長児から小学二、三年生にかけて私が熱中
した趣味を、受け継いでいるということ。

 長男がそのころには、私は、模型飛行機やエアーガン、その種のものばかりで遊んでいた。
だから、長男は、こまかいものを、コツコツと作るのが趣味になってしまった。

 二男のときは、パソコン。三男のときは、山荘作り。今、それぞれが、その流れをくむ趣味を
もっている。父親が子どもに与える影響というのは、そういうものと考えてよい。みながみな、そ
うということでもないだろうが、大きな影響を与えるのは、事実のようだ。

 まあ、もしあなたがあなたの子どもを、よい人間に育てたいと思っているなら、(当然だが…
…)、まず、自分の身のまわりの、ごく簡単なことから、身を律したらよい。「あとで……」とか、
「明日から……」というのではない。今、この瞬間から、すぐに、である。

 この瞬間からすぐに、

 ウソをつかない。
 人と誠実に接する。
 約束やルールは守る。
 自分に正直に生きる。

 たったこれだけのことだが、何年かたって、あるいは何十年かたって、今のこの時を振りかえ
ってみると、この時が、子育ての大きな転機になっていたことを知るはず。

 ただし……。私は生まれが生まれだから、こういうことは、あえて努力しないと、できない。ふ
と油断すると、ウソをついたり、自分を偽ったりする。へつらったり、相手の機嫌をとったりす
る。そういう自分から早く決別したいと思うが、それが、なかなかむずかしい。

 がんばろう! がんばりましょう! 父親の役割というのは、そういうもの。

【はやし浩司より】

 ここにあげた文章を読んでいただければ、(お父さんに、です)、少しは考え方を改めてもらえ
るのではないかと思います。

++++++++++++++++++++++++++はやし浩司

【6】子育てで、一番大事だと思われることをずばり一言で教えて下さい。

++++++++++++++++++

子どもをよい子にしたいとき 

●どうすれば、うちの子は、いい子になるの?

 「どうすれば、うちの子どもを、いい子にすることができるのか。それを一口で言ってくれ。私
は、そのとおりにするから」と言ってきた、強引な(?)父親がいた。「あんたの本を、何冊も読
む時間など、ない」と。私はしばらく間をおいて、こう言った。「使うことです。使って使って、使い
まくることです」と。

 そのとおり。子どもは使えば使うほど、よくなる。使うことで、子どもは生活力を身につける。
自立心を養う。それだけではない。忍耐力や、さらに根性も、そこから生まれる。この忍耐力や
根性が、やがて子どもを伸ばす原動力になる。

●一〇〇%スポイルされている日本の子ども?

 ところでこんなことを言ったアメリカ人の友人がいた。「日本の子どもたちは、一〇〇%、スポ
イルされている」と。わかりやすく言えば、「ドラ息子、ドラ娘だ」と言うのだ。

そこで私が、「君は、日本の子どものどんなところを見て、そう言うのか」と聞くと、彼は、こう教
えてくれた。「ときどきホームステイをさせてやるのだが、食事のあと、食器を洗わない。片づけ
ない。シャワーを浴びても、あわを洗い流さない。朝、起きても、ベッドをなおさない」などなど。
つまり、「日本の子どもは何もしない」と。反対に夏休みの間、アメリカでホームステイをしてき
た高校生が、こう言って驚いていた。「向こうでは、明らかにできそこないと思われるような高校
生ですら、家事だけはしっかりと手伝っている」と。ちなみにドラ息子の症状としては、次のよう
なものがある。

●ドラ息子症候群

(1)ものの考え方が自己中心的。自分のことはするが他人のことはしない。他人は自分を喜
ばせるためにいると考える。ゲームなどで負けたりすると、泣いたり怒ったりする。自分の思い
どおりにならないと、不機嫌になる。あるいは自分より先に行くものを許さない。いつも自分が
皆の中心にいないと、気がすまない。

(2)ものの考え方が退行的。約束やルールが守れない。目標を定めることができず、目標を
定めても、それを達成することができない。あれこれ理由をつけては、目標を放棄してしまう。
ほしいものにブレーキをかけることができない。生活習慣そのものがだらしなくなる。その場を
楽しめばそれでよいという考え方が強くなり、享楽的かつ消費的な行動が多くなる。

(3)ものの考え方が無責任。他人に対して無礼、無作法になる。依存心が強い割には、自分
勝手。わがままな割には、幼児性が残るなどのアンバランスさが目立つ。

(4)バランス感覚が消える。ものごとを静かに考えて、正しく判断し、その判断に従って行動す
ることができない、など。

●原因は家庭教育に

 こうした症状は、早い子どもで、年中児の中ごろ(四・五歳)前後で表れてくる。しかし一度こ
の時期にこういう症状が出てくると、それ以後、それをなおすのは容易ではない。ドラ息子、ド
ラ娘というのは、その子どもに問題があるというよりは、家庭のあり方そのものに原因がある
からである。また私のようなものがそれを指摘したりすると、家庭のあり方を反省する前に、叱
って子どもをなおそうとする。あるいは私に向かって、「内政干渉しないでほしい」とか言って、
それをはねのけてしまう。あるいは言い方をまちがえると、家庭騒動の原因をつくってしまう。

●子どもは使えば使うほどよい子に

 日本の親は、子どもを使わない。本当に使わない。「子どもに楽な思いをさせるのが、親の愛
だ」と誤解しているようなところがある。だから子どもにも生活感がない。「水はどこからくるか」
と聞くと、年長児たちは「水道の蛇口」と答える。「ゴミはどうなるか」と聞くと、「どこかのおじさん
が捨ててくれる」と。

あるいは「お母さんが病気になると、どんなことで困りますか」と聞くと、「お父さんがいるから、
いい」と答えたりする。生活への耐性そのものがなくなることもある。友だちの家からタクシー
で、あわてて帰ってきた子ども(小六女児)がいた。話を聞くと、「トイレが汚れていて、そこで用
をたすことができなかったからだ」と。そういう子どもにしないためにも、子どもにはどんどん家
事を分担させる。子どもが二〜四歳のときが勝負で、それ以後になると、このしつけはできなく
なる。

●いやなことをする力、それが忍耐力

 で、その忍耐力。よく「うちの子はサッカーだと、一日中しています。そういう力を勉強に向け
てくれたらいいのですが……」と言う親がいる。しかしそういうのは忍耐力とは言わない。好き
なことをしているだけ。幼児にとって、忍耐力というのは、「いやなことをする力」のことをいう。
たとえば台所の生ゴミを始末できる。寒い日に隣の家へ、回覧板を届けることができる。風呂
場の排水口にたまった毛玉を始末できる。そういうことができる力のことを、忍耐力という。

こんな子ども(年中女児)がいた。その子どもの家には、病気がちのおばあさんがいた。そのお
ばあさんのめんどうをみるのが、その女の子の役目だというのだ。その子どものお母さんは、
こう話してくれた。「おばあさんが口から食べ物を吐き出すと、娘がタオルで、口をぬぐってくれ
るのです」と。こういう子どもは、学習面でも伸びる。なぜか。

●学習面でも伸びる

 もともと勉強にはある種の苦痛がともなう。漢字を覚えるにしても、計算ドリルをするにして
も、大半の子どもにとっては、じっと座っていること自体が苦痛なのだ。その苦痛を乗り越える
力が、ここでいう忍耐力だからである。反対に、その力がないと、(いやだ)→(しない)→(でき
ない)→……の悪循環の中で、子どもは伸び悩む。

 ……こう書くと、決まって、こういう親が出てくる。「何をやらせればいいのですか」と。話を聞く
と、「掃除は、掃除機でものの一〇分もあればすんでしまう。買物といっても、食材は、食材屋
さんが毎日、届けてくれる。洗濯も今では全自動。料理のときも、キッチンの周囲でうろうろさ
れると、かえってじゃま。テレビでも見ていてくれたほうがいい」と。

●家庭の緊張感に巻き込む

 子どもを使うということは、家庭の緊張感に巻き込むことをいう。親が寝そべってテレビを見
ながら、「玄関の掃除をしなさい」は、ない。子どもを使うということは、親がキビキビと動き回
り、子どももそれに合わせて、すべきことをすることをいう。たとえば……。
 あなた(親)が重い買い物袋をさげて、家の近くまでやってきた。そしてそれをあなたの子ども
が見つけたとする。そのときさっと子どもが走ってきて、あなたを助ければ、それでよし。しかし
知らぬ顔で、自分のしたいことをしているようであれば、家庭教育のあり方をかなり反省したほ
うがよい。

やらせることがないのではない。その気になればいくらでもある。食事が終わったら、食器を台
所のシンクのところまで持ってこさせる。そこで洗わせる。フキンで拭かせる。さらに食器を食
器棚へしまわせる、など。

 子どもを使うということは、ここに書いたように、家庭の緊張感に巻き込むことをいう。たとえ
ば親が、何かのことで電話に出られないようなとき、子どものほうからサッと電話に出る。庭の
草むしりをしていたら、やはり子どものほうからサッと手伝いにくる。そういう雰囲気で包むこと
をいう。何をどれだけさせればよいという問題ではない。要はそういう子どもにすること。それ
が、「いい子にする条件」ということになる。

●バランスのある生活を大切に

 ついでに……。子どもをドラ息子、ドラ娘にしないためには、次の点に注意する。(1)生活感
のある生活に心がける。ふつうの寝起きをするだけでも、それにはある程度の苦労がともなう
ことをわからせる。あるいは子どもに「あなたが家事を手伝わなければ、家族のみんなが困る
のだ」という意識をもたせる。(2)質素な生活を旨とし、子ども中心の生活を改める。(3)忍耐
力をつけさせるため、家事の分担をさせる。(4)生活のルールを守らせる。(5)不自由である
ことが、生活の基本であることをわからせる。そしてここが重要だが、(6)バランスのある生活
に心がける。

 ここでいう「バランスのある生活」というのは、きびしさと甘さが、ほどよく調和した生活をいう。
ガミガミと子どもにきびしい反面、結局は子どもの言いなりになってしまうような甘い生活。ある
いは極端にきびしい父親と、極端に甘い母親が、それぞれ子どもの接し方でチグハグになって
いる生活は、子どもにとっては、決して好ましい環境とは言えない。チグハグになればなるほ
ど、子どもはバランス感覚をなくす。ものの考え方がかたよったり、極端になったりする。

子どもがドラ息子やドラ娘になればなったで、将来苦労するのは、結局は子ども自身。それを
忘れてはならない。

+++++++++++++++++++++

【はやし浩司より】

 以前、同じような質問をもらったときに書いた原稿です。参考にしていただければ、うれしいで
す。

++++++++++++++++++++++++++++++++++はやし浩司

●頭のよい子ども

 現在、BW教室に、NG君という子どもがいる。まだ小学1年生である。

 私は今までに、数多くの、いわゆる「頭のよい子ども」を見てきた。小学4、5年生時に、中学
3年生の勉強を終えてしまった子どもなど。しかしNG君は、その中でも、とくに秀でている。

 現在は、小学3年生のクラスで教えているが、実際には、小学4、5年生のクラスに入れても
よいと考えている。ただ、まだ小学1年生である。高学年のクラスは、夜になるので、体力に無
理。……ということで、小学3年生のクラスで教えている。

 たとえばあなたなら、つぎの問題を、何分くらいで解けるだろうか。ちょっと、あなた自身の
(算数力)を試してみてほしい。

+++++++++++++++++++++++

【問題】

 ABCAB x 9 = DDDDDD

 A、B、C、Dはすべて異なる数字である。A、B、C、Dは、それぞれ、いくつか?

+++++++++++++++++++++++

 問題の出典は、「頭がよくなる数学パズル」(逢沢明著、PHP文庫)。(類題、KY学院中等
部)とある。つまりKY学院中等部の入試問題として、出された問題である。

 この程度の問題なら、NG君は、10分程度(あるいはそれ以下)で解いてしまう。彼が解い
た、その解答用紙を、コピーして、ここに添付しておく。

 念のため申し添えるなら、私は、いっさいのヒントを与えていない。「やってみたら?」と声をか
けたら、「やってみる」と言って、解き始めた。「まさか?」と思っていたが、「できたよ」と言っても
ってきたので、見た。驚いた。

 現実にこういう子どもがいる。しかし今の日本の教育制度では、こういう子どもをさらに伸ば
すシステムそのものがない。それを、「日本の損失」と言わずして、何という。

 YG君の解いた解答用紙は、
 http://bwhayashi.fc2web.com/page043.html#頭のよい子ども
 に収録しておいた。
(05年10月14日記)
(はやし浩司 頭のよい子ども 頭のよい子供 天才 天才児 英才 英才教育)









 Q&A INDEX   はやし浩司のHPへ 
【5】

●子どもの肥満

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四国にお住まいの、UEさん(母親)より
こんなメールが、届いています。

この分野については、私は、まったくの
門外漢で、知識がありません。

どなたか、UEさんにアドバイスできる方
がいらっしゃれば、私のHPの掲示板の
ほうに、どうか、ご意見を書きこんでく
ださい。

よろしく、お願いします。

+++++++++++++++++++++

【UEより、はやし浩司へ】

こんにちは。職場のパソコンで、仕事中にこんなことしてます。アドレスは自宅のパソコンのも
のです。

以前、掲示板の方で、長女のこと主人のことでアドバイスをいただいた事があります。ありがと
うございました。
今度は次女のことを聞いてください。

次女は肥満です。今4歳で体重が2kgあります。身長はどちらかといえば小さいほうなんです。

ご飯もおやつも良く食べます。

3歳児検診のときに、小児科の先生から「おやつは抜きにしてもいいね」と言われましたが、ハ
ッキリ言ってそれは不可能です。

長女が食べていれば次女も欲しがりますし、おやつのことを忘れるくらい相手をすることも、私
には出来そうにありません。

「妊娠中に母親の栄養が足りないと、(子どもは)、肥満になる傾向がある」と聞いたことがあり
ます。

確かに、妊娠中は切迫早産で丸2か月間、病院のベッドで寝たきりの状態で、薬の副作用の
せいか、食欲も無く栄養失調状態でした。

保育所の友達から「デブ」言われることもあり、(しかも主人もデブとかブタとか言います)このま
までは可哀想にも思います。

いろいろ工夫したくても、なかなか手をかけた食事を作れないのも現状です。

++++++++++++++++++++

 このUEさんからのメールとは、別に、たまたま掲示板のほうに、こんな書き込みがありました
ので、紹介させてもらいます。TKさんという方からのものです。

++++++++++++++++++++

(1)
2歳になる男児ですが、最近お友達にとても興味がありスーパーなどで会う子には挨拶したり
手を振ったりしますが、その反面公園で遊んだりおもちゃ売り場で遊んだりしているとき、小さ
い子やお友達を突然叩くのです。しかも必ずといっていい程、顔面なのです。無抵抗な子に対
して特にやっちゃうのです。どうやって対処したらよいのかわからず、何となくみんなのいるとこ
ろに行くことが、億劫になりつつあります。

(2)
有難うございます。確かに毎日のように甘いものを食べています。駄目といっても欲しがるとき
は与えていました。早速、試みます。

(3)
家族構成は主人(34)と、私(33)と、子どもです。まだ下にはいませんがそろそろと思ってい
ます。今の状況ではまだ計画を立てないほうがよろしいのでしょうか? もうひとつ質問です。
よく食べる子で10時と3時の間食は必要だと思って与えていました。どちらか一回のほうがよ
いのでしょうか? 与えるとしたら果物などがいいのでしょうか?ご指導よろしくお願いいたしま
す。

(4)
先日、先生にご指導頂いた通り海産物や魚などを中心の食生活に切り替えたところ、随分と
息子の行動が穏やかになったような気がします。ひいき目かも・・・と思いましたがお友達を叩く
ところか、最近はやけに親切なのです。『どおじょ〜〜〜』の連発です。甘いものはすきなので
すが家に置かないようにしています。また何か心配なことがあったと時は、ご指導ください。よ
ろしくお願いいたします。本当にありがとうございました。 

【はやし浩司より、UE様へ】

 4歳で22kgというのは、かなりの肥満ということになります。

子どもの肥満度は、つぎの計算式で、知ることができます。

 おとなの肥満度は、つぎの計算式で、求められる(資料……社会保険健康事業財団)。

●標準体重の求め方 

 標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22

(肥満度)=〔(実測体重・kg)−(標準体重)〕÷(標準体重)x100

        20以上が肥満

●肥満度の求め方 

 肥満の判定は体格指数 (BMI:Body Mass Index)によって行う。

BMI=体重(kg)÷[身長(m)×身長(m)]

 この計算で    18・5未満……やせ
         18・5〜25……標準体重
           25〜3未満……肥満度1度
         30〜35未満……肥満度2度
         35〜40未満……肥満度3度
            40以上……肥満度4度

●子どもの肥満度

子どもの肥満度を測定する方法として、乳幼児はカプス指数、児童期(小学生)はローレル指
数などがある。心配なら、以下の計算式で、子どもの肥満度を調べてみるとよい。

【乳幼児期のカプス指数】

 (実測体重・g)÷〔(実測身長・cm)x(実測身長)〕x10

       この計算式で、20以上は、肥満と判定する。

【児童期のローレル指数】

 (実測体重・kg)÷〔(実測身長・cm)x(実測身長)〕x100000

       この計算式で、160以上は、肥満と判定する。

【例、身長120cm、体重25kgの小学生のばあい】

       25÷〔120x120〕x100000=173
          (173だから、肥満とみる。)

●簡単な肥満の見分け方

 子どもの肥満は、手の指を前にぐんと伸ばし、指をできるだけ上にそらした状態で、手の甲を
みて判断する。そのとき、指のつけ根のところに、指から伸びる腱が、現れる。(腱は、手の甲
のつけ根から指先に向って、放射線状にのびる。)このとき、腱が見えればよし。そうではなく、
腱が見えなくなったり、あるいは指のつけ根あたりにえくぼが現れたりするようであれば、肥満
のはじまりと見て、警戒する。肥満が進めば進むほど、えくぼは深くなる。ただしこの肥満度検
査は、年長児以前の子どもには、応用できない。この方式は、私(はやし浩司)が、考えた。 
(030723)

++++++++++++++++++

 UEさんのお子さんを、前述、カプス指数で計算してみると、つぎのようになります。

 身長を、100センチとします。

 22000÷(100x100)x10=22、となります。身長がこれより小さければ、カプス指数は、
もっと大きくなります。

 で、原因の第一は、過食と偏食ということになりますが、同時に、心の問題もあるかもシレマ
セン。メールだけでは、よくわかりませんが……。

 UEさんは、「(改善は)不可能」という言葉を使っておられますが、本当にそうでしょうか。一つ
の方法として、「冷蔵庫を空にする」というのが、ありますから、一度、実行してみてください。

 以前書いた、原稿を添付します。参考にしていただければ、うれしいです。

++++++++++++++++++


●買い物グセ

 夏場になると、がぜん多くなるのが、体をクネクネ、ダラダラさせる子ども。原因は、いろいろ
ある。

 クーラーなどによる、冷房のかけすぎ。睡眠不足。それに、甘いものの食べすぎ。

 この時期、どうしても、アイスやかき氷が多くなる。ジュースや、清涼飲料水などなど。糖分の
とりすぎが遠因となって、カルシウム、マグネシウム、カリウムなどの不足を引き起こす。

 だいたいにおいて、世の母親たちよ、ものごとは、常識で考えてみようではないか。

 体重12キロの子どもに、缶ジュース一本を与えるということは、体重60キロのおとなが、5
本飲む量に等しい。それだけ多量のジュースを一方で、与えておきながら、「どうしてうちの子
は、小食なのでしょうか」は、ない!

 ……というような話をすると、ほとんどの親は、自分の愚行(失礼!)に気づく。そして、こう言
う。「では、今日から、改めます」と。

 しかし、問題は、この先。

 しばらくの間は、母親も注意する。しかし数週間から1か月、2か月もすると、また、もとにもど
ってしまう。もとの食生活にもどって、また子どもに、甘い食べ物を与えてしまう。

 思考回路がそうできているからである。つまり、この思考回路、それにもとづく行動パターン
を変えるのは、容易なことではない。

 買いものに行くと、また同じ、ジュースだのアイスを買い始めてしまう……。

 では、どうするか。

 こうした思考回路を変えるためには、ショックを与えなければならない。「ショック」である。

 話は、かなり脱線するが、昔は、チンドン屋というのがいた。新しい店ができると、そこの経営
者がチンドン屋を雇い、そのチンドン屋が、そのあたりをぐるぐると回った。

 私たち子どもは、それがおもしろくて、いつまでも、そのチンドン屋について歩いた。

 つまりそうすることで、もちろんその店の宣伝にもなるが、そのあたりに住む人たちの、行動
パターンを変えることができる。たとえば人というのは、一度、ある店に行き始めると、その行
動パターンを変えるのは、容易なことではない。

 「お酒……」といえば、「A酒屋」と。
 「お米……」といえば、「B米屋」と。

 そこで新しくできた店は、そのあたりの人たちがもつ、そういう意識、つまり行動パターンを変
えなければならない。それがチンドン屋というわけである。

 たしかにあのチンドン屋は、ショックを与えるという意味では、効果がある。派手な服装に、派
手な鳴り物。それに踊り。チンチン、ドンドンと音に合わせて、踊りながら回る。そのあたりの人
たちは、それを見て、自分の行動パターンを変える……。

 では、どうするか?

 あなたには、あなたの買い物グセがある。その買い物グセをなおすには、どうするか。

 もうおわかりかと思うが、その行動パターンを変えるためには、自らにショックを与えればよ
いということになる。ショックを与えて、自分の行動パターンを変える。

【一つの方法】

 今すぐ、冷蔵庫の中にある、甘い食品(アイス、ジュース、プリンなど)を、すべて袋につめて、
捨てる。「もったいない」と思ったら、なおさら、心を鬼にして、捨てる。

 この「もったいない」という思いが、ショックとなって、あなたの意識、行動パターンが変わる。

 こういうとき、「つぎから、買うのをひかえればいい」とか、「もったいないから、食べてしまお
う」と考えてはいけない。そういうケチな根性をもつと、またすぐ、もとの買い物グセにもどってし
まう。
(はやし浩司 子供の肥満 子どもの肥満 肥満度 標準体重 カプス指数 ローレル指数)








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【6】

●下の子の問題

【下の子の問題】

+++++++++++++++++++

友だちをキズつける二女。
それを心配して、あるお母さんから、
こんなメールが、届いています。

(北海道・M子より)

+++++++++++++++++++

【 お子さんの年齢(現在の満年齢) 】:11歳と9歳
【 お子さんの性別(男・女) 】:ふたりとも女の子
【 家族構成・具体的に…… 】:
父(45歳)母(41歳)長女(小学5年)次女(小学3年)

【相談内容】

上の子は、小さい時から好奇心旺盛で、男の子と対等に遊んでいました。いつも努力して何の
運動でもできるまでがんばります。

今現在も、人に負けるものがほとんどなく、勉強も家では宿題以外したのを見たことがありま
せんが、とてもできます。

言葉使いは男の子と対等に話し、お笑い大好きでものまねも上手です。女の子の友達もいま
すが、みんな、一歩、ひいてる感じだそうです。「言い方がきついため女の子が近寄りがたいだ
けで、一切意地悪なことはしていませんよ」との担任の言葉でした。

家では、そういう姉に勝つものがない次女は反発しても勝てないのもあって、私に助けを求め
にきます。家では妹とよく遊ぶし意地悪なことはしませんが、言い方がきついというのが私も気
になるところです。

その次女は、長女と違って、周りの友達ができることでもあせることなく、やる気がでたら挑戦
してみようかなっというタイプです。私たち両親も「あんたはできんでもいい、いい」と思ってしま
っているところがあります。勉強も漢字など覚える分野は得意ですが、算数がとても苦手です。

先日次女の担任から、最近クラスである友達と組んで、友達を無視したり、仲間はずれをした
り、ひどい口調で友達を傷つけたりしているようだと言われ、ショックでした。

そのことがあって、家では姉と言い合いさせるようにしています。ピアノが大好きで二人とも習
っていますが、それも姉には今はかないません。姉は自分の意思で小2のときから紅一点で柔
道をしていますが、次女はしたくないようです。

何か、姉に勝てるものをみつけようと、今考え中です。算数ができないのも気になりますが、友
達を傷つけることが一番気になることで、どの方向から考えていくべきか悩んでいます。先生
はどうお考えですか?

++++++++++++++++

【はやし浩司より、Mさんへ】

 めちゃめちゃ、できのよい兄、あるいは姉。しかしその反動からか(?)、目だたない弟か妹。

 よくあるケースです。

 ほかにたとえば、社会的に大活躍している親と、その陰で小さくなっている息子や娘の例など
もあります。こういうケースでは、なぜ下の子や、子どもがそうなるかについて、2つの理由が
考えられます。

 1つは、上の子どもの優位性を見せつけられるうちに、下の子が、劣等感を植えつけられ、
それがもとで、自信喪失に陥(おちい)ってしまうこと。もう1つは、上下意識の強い家庭環境の
中で、下の子が、卑屈になってしまうこと。まわりの人たちが、上の子や、父親に対して、「お兄
ちゃんはすごい。あなたもお兄ちゃんのようになりなさい」「お父さんはすばらしい。お父さんに
は、かなわないわね」と言えば言うほど、下の子や子どもは、「あなたはダメな子」と言われたよ
うに感じてしまうわけです。

こうした環境が慢性的につづくと、下の子は、ひどいばあいには、自己否定から、自暴自棄に
陥ってしまうこともあります。長い時間をかけて、そうなります。

 で、実は、こうした弊害は、学校教育の場でも、よく問題になります。よく優秀な子どもを、ほ
めたり、たたえたりします。それはそれとして、教育の1つの目的でもあるわけですが、しかしそ
の一方で、こうした行為は、そうでない子どもたちを、「ぼくは、何をしてもダメなのだ」と、スミに
追いやってしまうという危険性もあります。

 昔は、(勉強)だけで、その子どもを判断しましたから、こうした弊害が、強く現われました。お
かしなことですが、(勉強ができる子ども)イコール、(人格的にもすぐれた子ども)と考える風潮
すら、ありました。

そこで、学校教育という場では、子どもたちの世界をできるだけ多様化することによって、この
問題を解決しようとしています。「勉強だけが、すべてではないのだ」と、です。

つまりそれぞれの子どもには、それぞれの特徴があり、得意な面もあれば、苦手な面もあると
いう前提で、子どもをとらえるようにします。運動やスポーツ、美術や音楽などなど。そしてそれ
ぞれの分野で、子どもをほめたり、たたえたりします。

 が、それでも、そのワクからはずれてしまう子どももいます。とくに、一度、強い劣等感を覚
え、自信を喪失してしまった子どもは、何かにつけて、逃げ腰になってしまいます。自らに、「ダ
メ人間」のレッテルを張ってしまうからです。

 このタイプの子どもは、いくつかのパターンに分けて考えることができます。

(1)静かに、ことなかれ主義に徹する、沈黙型
(2)ひょうきんで、笑わせじょうずになる、道化型
(3)攻撃的に出て、乱暴者になる、攻撃型
(4)弱々しい自分を演ずることにより、人の注意をひきつける、同情型
(5)ベタベタとだれかに甘えようとする、依存型
(6)徹底してだれかに服従することによって、自分の立場を守る、服従型

 要するに、(顔のない自分)に徹するか、何らかの形で、(顔のある自分)を演ずるかのちが
いということになります。しかしそれ以上に注意しなければならないことは、このタイプの子ども
は、そうした自分を演じながら、そのウラで、心をゆがめやすいということです。

 卑屈になるのもその1つですが、ほかに、いじけやすくなる、ひがみやすくなる、ねたみやすく
なる、つっぱりやすくなるなどの症状が出てくることもあります。こんな例があります。

 A君という中学2年生の子どもがいました。今から思うと、LD児(学習障害児)ではなかった
かと思います。私は、当時、月謝をもらわないで、週3回、教えていました。

 そのA君を、さらに、ときどき、小学生のクラスへ入れて、教えていたこともあります。そんな
ある日のことです。

 何と、そのA君が、数歳年下の、小学生をいじめているのです。「お前、こんなのできねえの
か」「バカだなあ」「お前のようなバカは、生きている価値はねえよ」と。

 これには、驚きました。A君は、日ごろ友だちから言われていることを、そのまま、自分より弱
い立場の子どもに言っていたのです。そこで私がA君に、「そんなことを言ってはダメだ。この
子たちは、まだ、その勉強をしていないのだから」と。

 ここで私は「驚きました」と書きましたが、本当は、ショックを受けました。学校でいつもつらい
思いをしているだろうと思って、私は私なりに、少しでもそのつらさを軽くしてあげようと努力して
いました。が、その私の心にA君が答えるのではなく、むしろ私の心を、ひっくり返すようなこと
を、目の前でしたからです。と、同時に、私は、A君に何を教えてきたのだろうと、自分で自分に
疑問をもつようになりました。

 もっと具体的には、A君を教える気力が、半減してしまいました。一時は、ゼロになりました。

 しかしA君を責めてもいけません。A君は、学校で、いつも、友だちからそう言われているにち
がいないからです。それが反対の立場になったとき、A君の口から出てきたということです。

 以上は、学校や塾という世界で、よく経験する話です。そこでMさんの二女のケースについて
考えてみたいと思います。

 一般論から先に言うと、いじめられる子どもが、それだけ、精神的にきたえられ、すばらしい
子どもになるかというと、そうではないということです。そのため、心をゆがめる子どもも、約半
分は、います。そして今度は反対に、だれかをいじめる立場に回ることも、珍しくありません。い
じめられる前に、いじめるという行為に走ることもあります。

 おとなの世界でも、苦労を重ねた人が、それだけ精神的に高邁(こうまい)な人になるとはか
ぎりません。中には、かえって邪悪になり、小ズルい人になっていく人もいます。どうしてそうい
うふうに分かれていくかについては、また別の機会に説明するとして、同じようなことが、子ども
の世界でも、起こるということです。

 めちゃめちゃ、できのよい兄か姉をもったため、いつの間にか、スミへ追いやられた下の子
どもというのは、ここでいう(顔のない子ども)になりやすいということです。しかし本人は、決し
て、それをよしとはしません。

 そこでこのタイプの子どもは、そのはけ口を、別の世界で求めようとします。もう15年ほど前
になりますが、私は自分の本の中で、『子どもの心は風船玉』という格言を考えました。

 子どもの心というのは、風船玉のようなものです。どこかで圧力を加えると、その圧力は別の
ところで、別の形となって現れます。つまりそういう形で、子どもは、自分の心のバランスをとろ
うとするわけです。意識的な行為というよりは、これは無意識的な行為と考えたほうがよいで
す。子ども自身が、自分の中の別の自分に操られて、そうします。

 Mさんの二女のケースも、この図式に当てはめて考えると、かなり正確に理解できるのでは
ないでしょうか。

 では、どうするか?

 本来なら、姉とは別のことをさせるのがよいのですが、同じピアノ教室へ通わせたりしている
ところが、気になります。勉強面でも、どこか比較ばかりしているようなところも、気になります。
これでは、ますます二女のほうが、卑屈になるだけです。どうせ勝てないのですから……。つま
り同じように育てようと考えるのではなく、別々のことをさせるようにして、育てます。……といっ
ても、今から軌道修正するのも、たいへんですね。

 私なら……という言い方は少し変ですが、私なら、もう上の子には構わないで、下の二女の
ほうに、すべての神経をそそぐようにします。何か、得意な面、姉とはちがった面があるはずで
す。そちらのほうに、注意をそそぎます。そしてそれを励まし、伸ばすようにします。

 コツは、いくつかあります。

(1)不得意面には、目を閉じて、得意面だけを伸ばす。
(2)一芸をみつけたら、時間と、お金を惜しみなく、そそぐ。
(3)Mさんのケースでは、姉と二女を、できるだけ、切り離す、です。

 外の世界で、友だちをキズつけるようなことを言うという面については、家庭の中で居場所が
見つかれば、自然と消えていくと思われます。年齢的に考えても、まだ間にあいます。

 (3)番目の姉と切り離すということについては、もう1つの意味があります。

 姉自身が、ひょっとしたら、妹(二女)を押しつぶすための、何らかの働きかけをしている可能
性があるからです。もちろん無意識的に、そうしています。こういうケースでは、妹のほうの嫉
妬心が、そうした働きかけの原動力になっていることも考えられます。(親からみれば、50%、
50%ということになりますが、姉には、それが不満なのです。)

 ですから親の目の届かないところで、姉のほうが、二女を自信喪失にもっていっているので
はないかということも、疑ってみてください。『年の近い姉妹は、憎しみ相手』と、昔からよく言わ
れます。嫉妬がからむと、上の子は、いわゆる(きつい子)になります。そしてその反動として、
下の子は、Mさんの二女のようになります。そういうケースは、たいへん多いです。

 しかし全体としてみると、よくあるケースであり、またそれほど深刻な問題とはならないまま、
ことは推移していきます。ですから、ここではいろいろと書きましたが、あまり大げさには考えな
いこと。学校の先生から注意があったら、そのつど、その時点で、お子さんと話しあって、すま
せます。

 ここで大げさに二女を追いつめてしまえば、それこそ、二女は、行き場をなくしてしまいます。
こうした問題には、まだ、二番底、三番底がありますから、どうか注意してください。

 なお上の姉が、(きつい子)になったのは、下の子が生まれたことが原因による、赤ちゃんが
えりのバリエーションの1つです。赤ちゃんがえりが、攻撃型になり、それが定着したタイプと考
えるとわかりやすいでしょう。今回は、上の姉については、返事はいらないということなので、こ
の問題は、また別の機会に考えてみることにします。(そういう点では、上の子も、かなりさみし
い思いをしてきたのかもしれませんね。)

 以上、Mさんの子育てで、何かの参考になれば、うれしいです。あくまでも参考意見の1つとし
て、ご利用ください。今日は、これで失礼します。
(はやし浩司 下の子の問題 自信喪失 上の子の問題 子供の心理)

+++++++++++++++++++++++++++

【Mさんからの、追伸】

お返事読ませていただきました。
思いあたるところがたくさんあり、ショックもうけました。

夏休み前に、簡単な算数の時計の問題が理解できない次女に対し、だんだん腹がたってき
て、「あんたみたいな小学生はいない。幼稚園生にも負けてる」とか、お金の問題がわからない
ときには、「あんたは、大人になってお金にだまされてことになる」などと、ひどい言葉をあびせ
かけていました。

言ったあと、しまったと思うのですが・・・
その様子を見ていた長女が、「お母さんひどいこというねえ。自分が教えるからあっちに行って
て!」と言われ、長女にまかせたことがありました。長女は怒ることなく、教えてくれていました
が、次女にとってはそれもイヤだったかもしれません。

下の子はいつまでも赤ちゃんに思えて、私の無意識な行動が次女を傷つけていたと思いま
す。

はやし先生の言葉の中で、「ダメ人間のレッテルをはっている」ということ、その通りかもしれま
せん。

ピアノを一緒に習っているといいましたが、姉の方は正確に覚えてひけるので、先生もみんな
の見本のようなことを言うのをいつも下の子は見ています。(学年が違うから、クラスは違いま
す)

下の子は音感で音を覚えるようなので、楽譜を無視して、よく注意されています。ただ、親から
みると下の子の引き方のほうが、楽しそうでのびのびしているように感じます。
本当にピアノをひくことが大好きのようなので、これはずっと続けさせようと思います。

今、空手がやってみたいというので、道場をさがしています。
姉と同じ柔道ではなく、でも、近いものを選んでいるのが、不思議です。

先生のおっしゃるように、次女のほうに気持ちを傾けようと思います。

それから、算数と仲良くなるためにはどういうところから入ったらいいですか? 本人も算数と
仲良くなれば、自信がわくと思いますから。

ありがとうございました。











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【7】

●学校教育への疑問

●H県のGさんより

+++++++++++++++++

久しぶりに、H県F市にお住まいの
Gさんより、こんなメールが届いてい
ます。

紹介します。

内容は、PTAの役員になって活動し
ているが、その活動に疑問を感じてい
るというものです。

忙しすぎる教師、形骸化するPTA。
そのはざまで、振りまわされる子ども
をもつ、親たち。

そんな現実の一端がわかるような内容
のメールです。

みなさんの地域では、いかがですか?

+++++++++++++++++

【Gさんからのメール】

 フォームからのメールで、アドレスが確認できませんでしたので、Gさんのメールを要約しま
す。何度も掲載了解のメールを出しましたが、返送されてきてしまいました。Gさん、どうか、お
許しください。

+++++++++++++++

 上の子が小学校に入学すると同時に、何がなんだかわけがわからないまま、PTAの役員に
なってしまった。

 そのあと、くじ引きで、広報委員になってしまった。毎週会合があり、時間のやりくりがたいへ
んだった。

 で、学校新聞では、総合的な時間をテーマに、取材を始めた。この地域では、特産品もあり、
それを紹介したり、病院めぐりもしたりと、それなりにおもしろい記事が集まった。

 で、担当の先生に、執筆を依頼すると、「県の研修会の指定校になっていて、忙しいからでき
ない。時期を考えろ」と、怒鳴られてしまった。

 またバザーをするからということで、不用品を集めたり、値段をつけたり、たいへんな思いを
した。で、あとからわかったことだが、そのバザーで集まったお金は、テント代とか、そういうも
のにあてるとのこと。

 こうして集まったお金が、たまりにたまって、今では900万円近くもある。こうしたお金を、どう
して教育に使わないのか。

 仕事をもっている母親も多く、PTA活動も、ままならない。何かと疑問を感ずる、毎日である、
と。

+++++++++++++++++++++++

【はやし浩司より、Gさんへ】

 PTAにかぎらず、町内の役員にしても、シワ寄せのようなものが、その役員にどっとのしかか
ってきます。つまりほかの人たちが非協力的である分だけ、役員の人たちが、たいへんになる
というわけです。

 私も、ここに住み始めたころ、子ども会を、立ち上げました。仲間3〜5人で始めたのです
が、私は文を書くのが得意だったので、広報と会計を担当しました。

 それから25年余り。今ではその子ども会も成長し、祭りの屋台をもつまでになりました。先日
もその祭りを遠巻きに見ながら、「よかった」と思いました。

若いお父さんやお母さんたちは、そんなことも知らず、私をどこかのジジイとでも思って、無視し
ていましたが……。だからといって、「この祭りを作ったのは、ぼくだぞ!」なんてことを言っても
し方ありませんしね。

 それを見ながら、ワイフに、「ぼくたちは、くじ引きと、焼きそばだけの祭りだったね」と話しまし
た。ほかに、来てくれた子どもたちに、袋に入ったお菓子を渡していました。

 あとは、小中学校の、広報委員もしました。PTA会長になってほしいと、二度、みなが押しか
けてきて頼まれたこともありますが、「仕事の時間帯が合わない」ということで、断りました。私
の仕事は、夕方から、夜にかけての仕事だからです。

 子ども会は別として、PTA活動は、いわば社交のようなものです。私が出られないときは、ワ
イフがかわりに出ましたが、一度、そのあとの宴会につきあわせられ、先生たちの酒つぎまで
させられました。あとでワイフが、怒っていました。

 これについては、私が学校へ、直接、抗議しました。「ワイフは、ホステスではない」とです。

 アメリカなどでは、PTAは、公立の学校でも、カリキュラムの編成権から教師の人事権までも
っています。日本とは比較にならないほど、力をもっているわけです。そのアメリカとくらべる
と、PTAというのは、こと日本においては、(飾り)のようなものです。もっと言えば、学校の雑務
処理団体(?)。先生たちにも、その程度の認識しかありません。こればかりは、どうしようもな
いです。

 だからGさんが、PTA活動をしながら、疑問をもたれるのは、当然のことです。そこでこう考え
たら、どうでしょうか。

 もともとそれほど意味などない会ですから、深い意味を求めなくてもいいのでは、と。みなと、
ワイワイ騒いで、情報を交換して、そのついでにPTA活動らしきものをする、と。

 ワイフのばあいも、私の代理で出ることが多かったのですが、そのおかげで、というか、たくさ
んの友人をつくることができました。今でも、そういう人たちと、つきあっています。同じ学年の
子どもをもつ親どうしですから、通りで会っても、何かと話もはずむようです。

 地域性もあるのでしょうが、このあたりでは、先生が親に向かって、(怒鳴る)というようなこと
はありません。Gさんの住んでおられるところは、少し、様子がちがうようですね。

 まあ、もう少し肩の力を抜いて、適当にやるところは、適当にやる。そんな感じで、活動をした
らよいのではないかと思います。制度的に考えても、日本の教育システムは、明治以来、今
も、戦前のまま。そこへGHQが割って入ってきて、PTAを押しつけた。つまり、PTAという活動
(?)そのものが、日本の教育システムの中では、(飾り)でしかないわけです。

 もっと言えば、文科省にしても、行政側にしても、PTAなど、必要ないのです。あっても、なくて
も、どうでもいい。ないほうが、かえってうるさくないからいい。それが本音ではないでしょうか。

 それでPTAが、親たちにとっては、雑務処理団体になってしまいました。どうでもよいようなス
ポーツ活動や、バザーなどをする。本来なら、アメリカのように、それぞれの教師の勤務評定を
したり、教師の任命権を盾に、不適切な教師を排除したり、さらには、カリキュラムを編成した
りするというような、専門的な仕事をすべきなのですが……。

 アメリカでは、さらに、公立の小学校であっても、その学校のPTAが決定すれば、入学年度さ
え、自由に変えられるのですよ。「今までは、6歳〜12歳までを教えていたが、来年度からは、
4歳〜10歳までにする」とか、など。

 アメリカでいうPTAというのは、そういう組織を言います。ちがいが、わかりますか?

 アメリカでは、「自分たちが子どものために学校を作り、教師を雇う」という意識が強いから、
そうなります。日本では、「教育は、国がしてくれるもの」という意識が強いから、そうなります。
その(意識のちがい)が、そのまま現われているのが、PTAということになります。

 これからもGさんのように、疑問をもつ人がふえてくると思います。そしてそれに合わせて、学
校教育の内容も変わってくると思います。日本人も、いつまでも、バカではありませんから…
…。(官僚たちは、今でも、国民はバカであるという前提で、ものを考えているようですが…
…。)

 重要なことは、私たちがみな、教育はどうあるべきかを、それぞれが考えることではないでし
ょうか。今まで、私たちは、あまりにも、国任せにしすぎていた。だから、(自ら考える)という力
そのものまで、なくしてしまった。

 カリキュラムにしても、「このあたりには、ブラジル人が多いから、ポルトガル語を学校で教え
てほしい」と、直接親たちが、介入できるようになれば、しめたものです。そのときこそ、日本の
教育は、民主化されると思います。道は、遠いですが、がんばるしかありません。

 で、今は、その過渡期かもしれません。大いに疑問をもち、そしてGさんのような人が、あちこ
ちに、その疑問をぶつけていけばよいのです。

 ただね、たいへん残念なことに、多分、Gさんもそうなるのでしょうが、みな、自分の子どもの
教育期間が終わると、こうした問題から遠ざかってしまうのですね。「私は、もう関係ありません
から……」と。それでいつまでたっても、問題は、解決しない。旧態依然のままの教育システム
が、あとへあとへと引きつがれてしまうのです。

 ですから、どうか、どうか、がんばって、Gさんも声をあげてください。いつまでも問題意識をも
って、声をあげてください。応援します。










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【8】

●不登校(学校恐怖症・学校拒否症)の問題

++++++++++++++++++++

栃木県に住んでいる、Yさんから、息子(小2)
の不登校についての相談があった。

この問題について、少し考えてみたい。

++++++++++++++++++++

【Yより、はやし浩司へ(1)】

小2の長男が二学期末に胃腸風邪になり、回復しても学校で嘔吐して早退ということを二度繰
り返しました。その時ピンと感じましたが、そのまま冬休みに入ったので、冬休みは家族でのん
びり楽しく過ごしました。

始業式は普通に登校できました。が、昨日、通常の登校をするため玄関で靴を履きそうになっ
たとたん、『気持ち悪い。吐きそう』と訴えたので欠席させました。

その後は元気で弟とケンカしたり、一日遊んでいました。が、学校は行きたくない。三日休みた
いとのことなので、三日休ませることにしました。

先生の本に書いてある不登校の前兆だと思うので『誰だって休みたい時はあるよ』と言いまし
た。長男は二年前に神経症を発しています。

小1の4月からプレイセラピーに通っています。かなり安定して小1の冬にまた神経症が悪化
し、しばらくして回復。その後2年生になり驚くほど毎日元気に過ごしていました。

セラピーも終了間近でした。ちょっと疲れが溜まっているのかもしれません。そして、冬は彼が
2歳の時に家庭不和があったのでトラウマになっているのではと思います。だから冬になるとこ
うした症状が出るのではとも思います。不登校というのはついに来たかという感じです。

夫と私は今はとても良い関係で、関係修復後は長男の事をよく語り合い、反省し、考えていま
した。現在、神経症は出ていないものの、三日休んで、次に登校すると言った月曜に登校でき
るかなというなという不安はあります。

約束だから登校だけはさせるべきか、休んで単身赴任の夫の元へ遊びに行ってしまうか、家
でのんびりするか、迷っています。

先生に学校は行くべきものという考えを捨てなさいとお叱りを受けそうですが、まだ小2。弟とケ
ンカばかりするし、一日家で見ているのはとてもしんどいです。勉強も根気よく教える事ができ
ません。

今まで二度メールさせていただいて、先生の的確なアドバイスにとても助けられました。今回
も、簡単で結構ですので、迷っている私にどうかアドバイスをお願いします。


【Yより、はやし浩司へ(2)】

はやし先生

子どもの不登校について相談しています、U市のYです。

相談している私がこう書くのも変ですが、先生とても大変だったのですね。お体はもう大丈夫で
すか?

今度は急に暖かくなり、なだれも心配ですね。

さて、私の息子(小2)についてですが、先生のアドバイスで学校恐怖症を疑ってみるようにとの
事だったので、先生のHPから学校恐怖症の部分を読んでみました。

まさにそうです。今、前兆期です。ほんとうにピッタリとパターンに当てはまるので、驚くほどで
す。

昨夜も登校すると言っていて、今朝も通常通り支度をし、ランドセルをしょって、部屋を出ようと
したとたん血の気が引いたようになり、トイレへ駆け込みました。

しばらくすると落ち着いて、自分で欠席を決め、今は顔色も良く元気です。
先生のおっしゃる通りです。

そこで質問なのですが、無理をせず休ませて、その後はどのようにしていったら良いでしょう
か?

先生は本にもHPにも前兆期での対応が大切だと書かれています。いかにこの時期をとらえる
かと。

本には悪いパターンが書いてありますが、前兆期に無理をさせず対処した場合、今後どのよう
に推移していくのでしょうか?

私達は夫婦で、子どもが真面目タイプでがんばりすぎていたこと、弟のようにもっと甘えたかっ
た、そして疲れ果ててしまったのだと考えています。

でも、ずっとこのままずるずると家にいるのではという不安でいっぱいです。
休んだ一週間が、一ヶ月のように長く感じます。

この先もこれが続くかという閉塞感、不安感でいっぱいです。

もともと神経症がある子なので、無理強いしても無駄、逆に悪化するというのはわかっていま
す。

どうにもならないと思っても、今の状況では落ち着けません。

先生、それでも、この手の話しはよく聞くことで、経験のある友人が何人かいます。
中には首に縄つけて引っ張っていき、それで乗り越えたという人が2、3人います。
その後、パニック期などに推移せず、それで解決したそうです。

やはり、子の性質や心にある原因によりけりなのでしょうか?
私はとても今の状況で子どもに無理に登校はさせられないけど、友人達には甘いと言われて
います。そうでない人が一人いるのが救いです。

なんだか、書いていてまとまりがつかなくなりました。
はやし先生、前兆期でゆっくり休んだ子が推移するパターン、今、私がどうやっていたらよい
か、またアドバイスくださると嬉しいです。

お返事は急ぎません。先生のお時間があるときにで結構です。

ここまで読んでくださってありがとうございました。

それでは失礼します。

+++++++++++++++++++++

【はやし浩司より、Yさんへ……】

 不登校といっても、心の問題がからむタイプもあれば、怠学といって、(なまけ心)がからむ問
題もあります。「首に縄つけて引っ張っていき、それで乗り越えたという人が2、3人います」とい
うのは、学校恐怖症のほうではなく、怠学のほうではないでしょうか。

 あくまでも子どもの症状を見て判断しますが、学校恐怖症と怠学のちがいについては、アメリ
カの内科医学会の判断基準を参考に、Yさんご自身が判断されたらよいかと思います。(詳しく
は、「はやし浩司のHP」→「タイプ別子どもの見方」→「学校恐怖症」を、ご覧になってください。
一部を、以下に抜粋しておきます。)

+++++++++++++++++

TABLE 1 
Criteria for Differential Diagnosis of School Refusal and Truancy (学校拒否と、怠学の基準)
 

School refusal (学校拒否)Truancy (怠学)
Severe emotional distress about attending school; may include anxiety, temper tantrums, 
depression, or somatic symptoms.
学校に通うことについて、心配、不安、腹立たしさ、うつ、体の変調などの、苦痛が見られる。

Lack of excessive anxiety or fear about attending school. 
学校に通うことについて、大きな不安や恐れはない。

Parents are aware of absence; child often tries to persuade parents to allow him or her to 
stay home. 
両親がそれ気づいていて、子どもが、「行きたくない」と、親を説得する。

Child often attempts to conceal absence from parents. 
両親の知らないところで、勝手に学校へ行くのを、さぼったりする。

Absence of significant antisocial behaviors such as juvenile delinquency. 
少年非行などの、顕著な、反社会的行動をともなわない。

Frequent antisocial behavior, including delinquent and disruptive acts (e.g., lying, stealing), 
often in the company of antisocial peers. 
(ウソ、盗みなどの)反社会的行動をともなうことが多い。集団非行グループに属することが多
い。

During school hours, child usually stays home because it is considered a safe and secure 
environment. 
学校へ行く時間に、家にいることが多い。そのほうが安全と考えるからである。

During school hours, child frequently does not stay home . 
学校へ行く時間でも、家にいないことが、多い。

Child expresses willingness to do schoolwork and complies with completing work at home. 
子ども自身は、家庭で宿題をしたり、宿題をすることに応ずる。

Lack of interest in schoolwork and unwillingness to conform to academic and behavior 
expectations. 
学校の勉強そのものに興味を示さず、勉強するのをいやがる。

●アメリカ内科医学会は、「学校拒否症」の要因となる、不安障害(Anxiety disorders)として、
つぎのものをあげている。 

Separation anxiety (分離不安)
Anxiety disorder(不安障害)
Generalized anxiety disorder (不安障害全般)
Social phobia (社会恐怖症)
Simple phobia (孤立恐怖症)
Panic disorder (パニック障害)
Panic disorder with agoraphobia (広場恐怖症をともなうパニック障害)
Post-traumatic stress disorder (PTSD)
Agoraphobia(広場恐怖症) 
Mood disorders(気分障害) 
Major depression (うつ病)
Dysthymia(抑うつ症)

●また同じく、「学校拒否症」の要因となる、破滅行動障害(Disruptive behavior disorders)に
ついては、つぎのようなものをあげている(同)。 

Oppositional defiant disorder (反抗障害)
Conduct disorder (行為障害)
Attention-deficit/hyperactivity disorder (注意力散漫、過集中障害)
Disruptive behavior disorder,(破滅的行為障害) 
Other disorders(他の障害) 
Adjustment disorder (with depressed mood or anxiety) (うつをともなう、適応障害)
Learning disorder (学習障害)
Substance abuse 
Other

The evaluation should include interviews with the family and individual interviews with the 
child and parents. Assessment should include a complete medical history and physical 
examination, history of the onset and development of school refusal symptoms, associated 
stressors, school history, peer relationships, family functioning, psychiatric history, 
substance abuse history, and a mental status examination. Identification of specific factors 
responsible for school avoidance behaviors is important. Collaboration with school staff in 
regards to assessment and treatment is necessary for successful management (Table 5) . 

School personnel can provide additional information to aid in assessment, including review of 
attendance records, report cards, and psychoeducational evaluations. 
 
The School Refusal Assessment Scale includes a child, parent, and teacher form and is 
reported to have a high reliability and validity. 

学校拒否症の診断基準は、高い信頼性と、有効性が報告されています。
 
Several psychologic assessment tools (e.g., teacher and parent rating scales, self-report 
measures, clinician rating scales) have been developed to provide additional information 
about the child's general functioning at home and at school. These tools may be used by a 
physician, but because of time constraints, a school psychologist or mental health counselor 
should administer these scales whenever possible. Generalized scales (e.g., Child Behavior 
Checklist, 21 Teacher's Report Form 22 ) identify areas of difficulties. Specific rating scales 
assess for symptoms and severity of psychiatric problems, including anxiety and depression. 

Although these scales are used frequently in children with school refusal, their clinical 
usefulness in developing effective treatment strategies has not been demonstrated. 

More specific assessment scales to measure symptoms of school refusal have been 
developed recently. They provide functional and symptomatic assessment of refusal 
behaviors and therefore provide more valuable information. The School Refusal Assessment 
Scale (Table 6, online) 23 includes a child, parent, and teacher form and examines school 
refusal in correlation to negative and positive reinforcers. This scale has been reported to 
have high reliability and validity. 23,24 
 
TABLE 6 

Items from the School Refusal Assessment Scale-Revised 
学校拒否症の評価基準項目
 
Items from child version (子どもへの質問項目)

How often do you have bad feelings about going to school because you are afraid of 
something related to school (e.g., tests, school bus, teacher, fire alarm)? (1) 
何か学校に関係あることで、学校へ行くことで、気分が悪くなることが、どれだけしばしばありま
すか。(たとえばテスト、通学、先生、あるいは火災警報器など)

How often do you stay away from school because it is hard to speak with the other kids at 
school? (2) 
学校で、ほかの仲間と話すのがつらくて、学校を休むことが、どれくらいありますか。

How often do you feel you would rather be with your parents than go to school? (3)
学校へ行くより、家で両親といたいと思うことは、どれくらいありますか。 

When you are not in school during the week (Monday to Friday), how often do you leave the 
house and do something fun? (4) 
(月曜日から金曜日までの)間で、あなたが学校へ行っていないとき、どれくらいしばしば、家を
離れたり、何かほかの楽しみをしますか。

How often do you stay away from school because you feel sad or depressed if you go? (1) 
学校へ行くと、悲しくなったり、落ちこんだりするので、どれくらいしばしば学校を休みますか。

How often do you stay away from school because you feel embarrassed in front of other 
people at school? (2) 
ほかの仲間のいるところだと、落ちつかないという理由で、どれくらいしばしば、学校を休みま
すか。

How often do you think about your parents or family when you are in school? (3) 
学校にいる間、どれくらいしばしば、両親や家族のことを考えますか。

When you are not in school during the week (Monday to Friday), how often do you talk to or 
see other people (other than your family)? (4) 
(月曜日から金曜日までの間で)、学校を休んでいるとき、どれだけしばしば、(家族以外の)ほ
かの人と会ったり、話したりしますか。

How often do you feel worse at school (e.g., scared, nervous, sad) compared with how you 
feel at home with friends? (1) 
家で友といるときとくらべて、学校にいるときのほうが、より悪く感じますか。(たとえば恐れた
り、神経質になったり、悲しくなったりするなど)

How often do you stay away from school because you do not have many friends there? (2) 
学校には友だちがいないという理由で、どれほどしばしば学校を休みますか。

How much would you rather be with your family than go to school? (3) 
学校へ行くより、あなたの家族といっしょに家にいたいと、どれだけ強く感じますか。

When you are not in school during the week (Monday to Friday), how much do you enjoy 
doing different things (e.g., being with friends, going places)? (4) 

(月曜日から金曜日までの間で)、あなたが学校にいないとき、(たとえば友だちといることや、
どこかへ行くことなどで)、あなたはどれだけ、違ったことを楽しみますか。

How often do you have bad feelings about school (e.g., scared, nervous, sad) when you think 
about school on Saturday and Sunday? (1) 

土曜日や日曜日に、学校のことを思うと、どれだけしばしば、あなたは学校に対して、悪い感
情をもちますか。

How often do you stay away from places in school (e.g., hallways, places where certain 
groups of people are) where you would have to talk to someone? (2) 
学校にいるとき、(通路や友が集まるところなど)、あなたがいるべきところから、あなたはどこ
か別の場所に、どれくらいしばしば離れて行きますか。

How much would you rather be taught by your parents at home than by your teacher at 
school? (3) 
学校の先生よりも、家で両親によって、むしろ教えられると、どれくらい強く感じますか。

How often do you refuse to go to school because you want to have fun outside of school? 
(4) 
学校の外で楽しみたいという理由で、どれくらいしばしば、学校へ行くのを拒絶しますか。

If you had fewer bad feelings (e.g., scared, nervous, sad) about school, would it be easier for 
you to go to school? (1) 
もし不愉快な感情(恐れ、神経質、悲しみなど)を学校に感じないなら、あなたにとって学校へ
行くことは、楽なことだと思いますか。

If it were easier for you to make new friends, would it be easier for you to go to school? (2) 
もしあなたが新しい友だちをつくることが、もっと簡単なら、学校へ行くのも楽になると、あなた
は思いますか。

Would it be easier for you to go to school if your parents went with you? (3) 
両親がいっしょに行ってくれるなら、学校へ行くことは、もっと楽になると思いますか。

Would it be easier for you to go to school if you could do more things you like to do after 
school hours (e.g., being with friends)? (4) 
放課後、もっといろいろなことができれば、あなたにとって学校へ行くのが、もっと楽になると、
思いますか。(たとえば友だちといっしょにいるなど。)

How much more do you have bad feelings about school (e.g., scared, nervous, sad) 
compared with other kids your age? (1) 
同年齢の仲間とくらべて、あなたはどれだけより多くの不愉快な感情(恐れ、神経質、悲しみ)
などを、もっていると思いますか。

How often do you stay away from people in school compared with other kids your age? (2) 
他の仲間たちと比べて、あなたはどれくらいしばしば、学校の中で、他の中間たちと離れてい
ますか。

Would you like to be home with your parents more than other kids your age would? (3) 
同年齢の他の仲間がそうであるよりも、あなたは家で、両親といたいと、あなたは思いますか。

Would you rather be doing fun things outside of school more than most kids your age? (4) 
同年齢の他の仲間たちがそうであるよりも、あなたは学校の外で、楽しいことをもっとしたいと
思っていますか。

Items from parent version (両親への質問項目)

How often does your child have bad feelings about going to school because he/she is afraid 
of something related to school (e.g., tests, school bus, teacher, fire alarm)? (1) 
学校へ行くことに関して、(たとえばテスト、通学、先生、火災警報器などで)、それがこわいな
どの理由で、悪い感情を、どれくらいしばしば、あなたの子どもは、もちますか。

How often does your child stay away from school because it is hard for him/her to speak 
with the other kids at school? (2) 
学校で友だちと話すのがいやで、どれくらいしばしばあなたの子どもは、学校を休みますか。

How often does your child feel he/she would rather be with you or your spouse than go to 
school? (3) 
学校へ行くより、あなたや、あなたの夫(妻)といっしょにいたいと、あなたの子どもは、いかにし
ばしば、思いますか。

When your child is not in school during the week (Monday to Friday), how often does he/she 
leave the house and do something fun? (4) 
(月曜日から金曜日までで)、あなたの子どもが学校にいないとき、いかにしばしば、あなたの
子どもは家から出て、何か自分の好きなことをしますか。

How often does your child stay away from school because he/she will feel sad or depressed 
if he/she goes? (1) 
いかにしばしば、あなたの子どもは、学校へ行くとこわいとか、悲しいとかいう理由で、学校を
休みますか。

How often does your child stay away from school because he/she feels embarrassed in 
front of other people at school? (2) 
いかにしなしば、あなたの子どもは、学校で人の前で、どうしたらいいか、わからないという理
由で、学校を休みますか。

When your child is in school, how often does he/she think about you or your spouse or 
family? (3) 
あなたの子どもが学校にいるとき、いかにしばしばあなたの子どもは、あなたや、あなたの夫
(妻)もしくは家族のことを考えますか。

When your child is not in school during the week (Monday to Friday), how often does he/she 
talk to or see other people (other than his/her family)? (4) 
(月曜日から金曜日までの間で)、あなたの子どもが学校を休んでいるとき、いかにしばしば、
(家族以外の)だれかと会ったり、話したりしますか。

How often does your child feel worse at school (e.g., scared, nervous, sad) compared with 
how he/she feels at home with friends? (1) 
家で友だちと会うときと比較して、あなたの子どもは、学校で友だちを会うことのほうを、いかに
しばしばいやがりますか。

How often does your child stay away from school because he/she does not have many 
friends there? (2) 
学校には、あまり友だちがいないという理由で、いかにしばしばあなたの子どもは、学校を休
みますか。

How much would your child rather be with his/her family than go to school? (3) 
あなたの子どもは、学校へ行くより、家にいたいと、どれだけ強く思っていますか。

When your child is not in school during the week (Monday to Friday), how much does he/she 
enjoy doing different things (e.g., being with friends, going places)? (4) 
(月曜日から金曜日までの間で)、あなたの子どもが学校を休んでいるとき、あなたの子ども
は、どれくらい、(たとえばあなたの友だちといるか、どこかへでかけていくとかで)、あなたの子
どもは、ちがったことをしていますか。

How often does your child have bad feelings about school (e.g., scared, nervous, sad) when 
he/she thinks about school on Saturday and Sunday? (1) 
土曜日や日曜日など、学校のことを考えたりしたりして、あなたの子どもは、どれくらいしばし
ば、学校について(たとえば恐れを感じたり、神経質になったり、悲しんだりするなど)、悪い感
情をもちますか。

How often does your child stay away from places in school (e.g. hallways, places where 
certain groups of people are) where he/she would have to talk to someone? (2) いかにしばし
ばあなたの子どもは、学校の中で、ふつうならそういう場所に、いたいと思うようなところ、(たと
えば通路やあるグループなど)から、離れていますか。

How much would your child rather be taught by you or your spouse at home than by his/
her teacher at school? (3) 
あなたの子どもは、学校で先生に教えられるより、家で、あなたやあなたの夫(妻)から、いか
に多く、教えられていますか。

How often does your child refuse to go to school because he/she wants to have fun outside 
of school? (4) 
学校の外での楽しみたいというような理由で、いかにしばしばあなたの子どもは、学校へ行くの
を拒否しますか。

If your child had fewer bad feelings (e.g., scared, nervous, sad) about school, would it be 
easier for him/her to go to school? (1) 
もしあなたの子どもが、学校に対して、悪い感情(たとえば恐れ、神経質、悲しみなど)がなけ
れば、あなたの子どもが、学校へ行くことは、よりたやすくなると思いますか。

If it were easier for your child to make new friends, would it be easier for him/her to go to 
school? (2) 
もしあなたの子どもが、より簡単に友だちができるとしたら、あなたの子どもが学校へ行くの
は、もっと簡単になると思いますか。

Would it be easier for your child to go to school if you or your spouse went with him/her? 
(3) 
もしあなた、もしくは、あなたの夫(妻)が、子どもといっしょに行くなら、あなたの子どもにとっ
て、学校へ行くのが、もっと簡単になると思いますか。

Would it be easier for your child to go to school if he/she could do more things he/she likes 
to do after school hours (e.g., being with friends)? (4) 
もし放課後、あなたの子どもが、もっとほかのjことができたら、あなたの子どもにとって、学校
へ行くのが、もっと簡単になると、あなたは思いますか。

How much more does your child have bad feelings about school (e.g., scared, nervous, sad) 
compared with other kids his/her age? (1) 
ほかの同年齢の子どもと比較して、あなたの子どもは、どれくらい強く、学校に対して、(恐れ、
神経質。悲しみなど)の悪い感情をもっていますか。

How often does your child stay away from people in school compared with other kids his/
her age? (2) 
ほかの同年齢の子どもと比較して、あなたの子どもは、学校の中で、いかにしばしば、友だち
から遠ざかっていますか。

Would your child like to be home with you or your spouse more than other kids his/her age 
would? (3) 
ほかの同年齢の子どもより、あなたの子どもは、あなたや、あなたの夫(妻)といっしょに家に
いたがりますか。

Would your child rather be doing fun things outside of school more than most kids his/her 
age? (4) 
ほかの同年齢の子どもより、あなたの子どもは、学校の外で、もっと楽しいことをしたいと思っ
ていますか。
 

I = avoidance of stimuli that provoke negative affectivity; 
否定的行動のを引き起こす、刺激の回避
2 = escape from aversive social or evaluative situations;
嫌悪的な社会的もしくは評価的な状況からの逃避
 3 = pursuit of attention;
興味の追求
 4 = pursuit of tangible reinforcement. 
現実強化の追求
Adapted with permission from Kearney CA. Identifying the function of school refusal 
behavior: a revision of the School Refusal Assessment Scale. J Psychopathol Behav Assess 
2002;24:235-45. 
 

Treatment (治療)
The primary treatment goal for children with school refusal is early return to school. 
Physicians should avoid writing excuses for children to stay out of school unless a medical 
condition makes it necessary for them to stay home. Treatment also should address 
comorbid psychiatric problems, family dysfunction, and other contributing problems. 
Because children who refuse to go to school often present with physical symptoms, the 
physician may need to explain that the problem is a manifestation of psychologic distress 
rather than a sign of illness. A multimodal, collaborative team approach should include the 
physician, child, parents, school staff, and mental health professional. 

Treatment options include education and consultation, behavior strategies, family 
interventions, and possibly pharmacotherapy. Factors that have been proved effective for 
treatment improvement are parental involvement and exposure to school. 25,26 [Reference 
25--Evidence level B, uncontrolled trial] However, few controlled studies have evaluated the 
efficacy of most treatments. Treatment strategies must take into account the severity of 
symptoms, comorbid diagnosis, family dysfunction, and parental psychopathology. 

A range of empirically supported exposure-based treatment options are available in the 
management of school refusal. When a child is younger and displays minimal symptoms of 
fear, anxiety, and depression, working directly with parents and school personnel without 
direct intervention with the child may be sufficient treatment. If the child's difficulties 
include prolonged school absence, comorbid psychiatric diagnosis, and deficits in social skills, 
child therapy with parental and school staff involvement is indicated. 

BEHAVIOR INTERVENTIONS (行動介入)
Behavior approaches for the treatment of school refusal are primarily exposure-based 
treatments. 27 [Evidence level B, lower quality randomized controlled trial (RCT)] Studies 
have shown that exposure to feared objects or situations reduces fear and increases 
exposure attempts in adults. 28 These techniques have been used to treat children with 
phobias and school refusal. Behavior techniques focus on a child's behaviors rather than 
intrapsychic conflict and emphasize treatment in the context of the family and school. 

Behavior treatments include systematic desensitization (i.e., graded exposure to the school 
environment), relaxation training, emotive imagery, contingency management, and social 
skills training. Cognitive behavior therapy is a highly structured approach that includes 
specific instructions for children to help gradually increase their exposure to the school 
environment. In cognitive behavior therapy, children are encouraged to confront their fears 
and are taught how to modify negative thoughts. 

EDUCATIONAL-SUPPORT THERAPY (教育的サポートセラピー)

Traditional educational and supportive therapy has been shown to be as effective as 
behavior therapy for the management of school refusal. 29 [Evidence level B, lower quality 
RCT] Educational-support therapy is a combination of informational presentations and 
supportive psychotherapy. Children are encouraged to talk about their fears and identify 
differences between fear, anxiety, and phobias. Children are given information to help them 
overcome their fears about attending school. They are given written assignments that are 
discussed at follow-up sessions. Children keep a daily diary to describe their fears, thoughts, 
coping strategies, and feelings associated with their fears. Unlike cognitive behavior therapy, 
children do not receive specific instructions on how to confront their fears, nor do they 
receive positive reinforcement for school attendance. 
Child therapy involves individual sessions that incorporate relaxation training (to help the 
child when he or she approaches the school grounds or is questioned by peers), cognitive 
therapy (to reduce anxiety-provoking thoughts and provide coping statements), social skills 
training (to improve social competence and interactions with peers), anddesensitization (e.g., 
graded in vivo exposure, emotive imagery, systematic desensitization). 

PARENT-TEACHER INTERVENTIONS (親と教師の介在)

Parental involvement and caregiver training are critical factors in enhancing the 
effectiveness of behavior treatment. Behavior interventions appear to be equally effective 
with or without direct child involvement. 25 [Evidence level B, lower quality RCT] School 
attendance and child adjustment at post-treatment follow-up are the same for children 
who are treated with child therapy alone and for children whose parents and teachers are 
involved in treatment. 

Parent-teacher interventions include clinical sessions with parents and consultation with 
school personnel. Parents are given behavior-management strategies such as escorting the 
child to school, providing positive reinforcement for school attendance, and decreasing 
positive reinforcement for staying home (e.g., watching television while home from school). 

Parents also benefit from cognitive training to help reduce their own anxiety and 
understand their role in helping their children make effective changes. School consultation 
involves specific recommendations to school staff to prepare for the child's return, use of 
positive reinforcement, and academic, social, and emotional accommodations. 

PHARMACOLOGIC TREATMENT (薬物治療)

Pharmacologic treatment of school refusal should be used in conjunction with behavioral or 
psychotherapeutic interventions, not as the sole intervention. Interventions that help 
children develop skills to master their difficulties prevent a recurrence of symptoms after 
medication is discontinued. 

Very few double-blind, placebo-controlled studies have evaluated the use of 
psychopharmacologic agents in the treatment of school refusal, although several controlled 
studies are in progress. Problems with sample sizes, differences in comorbidity patterns, lack 
of control of adjunctive therapies, and differences in medication dosages have resulted in 
inconclusive data in trials of pharmacologic agents in the treatment of school refusal. 30,31 

Earlier studies of tricyclic antidepressants failed to show a replicable pattern of efficacy. 
Selective serotonin reuptake inhibitors (SSRIs) have replaced tricyclic antidepressants as 
the first-line pharmacologic treatment for anxiety disorders in children and adolescents. 

Although there are few controlled, double-blind studies of SSRI use in children, preliminary 
research suggests that SSRIs are effective and safe in the treatment of childhood anxiety 
disorders and depression. 32,33 [Reference 32--Evidence level B, nonrandomized study] 

Fluvoxamine (Luvox) and sertraline (Zoloft) have been approved for the treatment of 
obsessive compulsive disorder in children. SSRIs are being used clinically with more 
frequency to treat children with school refusal. Benzodiazepines have been used on a short-
term basis for children with severe school refusal. A benzodiazepine initially may be 
prescribed with an SSRI to target acute symptoms of anxiety; once the SSRI has had time 
to produce beneficial effects, the benzodiazepine should be discontinued. Side effects of 
benzodiazepines include sedation, irritability, behavior disinhibition, and cognitive impairment. 
Because of the side effects and risk of dependence, benzodiazepines should be used for 
only a few weeks. 34 

The author thanks John Smucny, M.D., for assistance in preparing the manuscript. The 
author indicates that she does not have any conflicts of interest. Sources of funding: none 
reported. 

++++++++++++++++++++++

【はやし浩司より、Yさんへ】

 前兆期は、すでにすぎています。そう考えてください。また「3日」とか何とか、時限を決めて、
子どもを追いつめるのは、かえって逆効果ですから、注意してください。これについては、すで
に前に書いたとおりです。
 
 で、学校恐怖症と怠学のもっとも簡単な見分け方としては、つぎのようなものがあります。

学校恐怖症の子どもは、学校へ行かない間、家の中に引きこもる傾向を示すのに対して、怠
学の子どもは、ほかに目的があって、学校をサボるということ。そのため、学校へ行かない間
は、平気で外出したりします。

 しかし「首に縄つけて……」というのは、恐ろしく乱暴な言い方ですね。怠学的な不登校児で
あれば、それなりに効果的(?)かと思いますが、学校恐怖症であれば、その一撃が、取り返し
のつかないトラウマ(心の傷)となって、心をキズつけてしまうことになりかねませんので、ご注
意ください。

 症状からして、午前中はひどく、午後は快方に向うという、日内変動が見られますので、やは
り学校恐怖症を疑ってみたほうがよいかと思います。だから前回も書きましたように、本人が
気分がよくなるのを待って、2、3時間目から登校をうながしてみるとか、午後からの登校をうな
がしてみるのがよいかと思います。

 Yさんが不安なのは、よくわかりますが、その不安感を、シャドウとして、子どもも感じ取ってし
まいますので、ご注意ください。親のピリピリ、イライラは、百害のもとです。

 お子さんの様子を見ていませんので、これ以上のことはよくわかりません。表情だけ、どこか
柔和で、何を考えているかわからないといった様子であれば、(つまり情意と表情の遊離現象
が見られるようであれば)、不登校は、かなり長期にわたると覚悟することです。「なおそう」と
考えるのではなく、「あなたは、つらいけど、よくがんばっているのよ」と、子どもを包むようにし
て対処します。

 こうした症状は、下の子どもが生まれたことによる、赤ちゃん返りがこじれて、起きるものと、
私は考えています。何%かの子どもがそうなります。(世間の人たちは、赤ちゃん返りを軽くみ
る傾向がありますが、決して、赤ちゃん返りを軽くみてはいけません。)かん黙症や、自閉症の
引き金を引いてしまうことも、珍しくありません。

 「お兄ちゃんだから……」という安易な『ダカラ論』をぶつけないこと。Yさんが住んでいる地域
のことをよく知っていますが、その地域は、そうした封建主義的なものの考え方が、いまだに根
強く残っているところです。注意してください。(このことは以前にも、書いたと思いますが……。
外の世界からそれを見ると、よくわかります。)

 「うちの子は、どうなるのだろう?」と不安になられる気持ちはよくわかりますが、今こそ、あな
たの真の愛情が試されるべきと考えて、つまり十字架を1つ背負うつもりで、この問題に対処し
てみてください。

 「まあ、いいわよ」とあなたが思えるようになったとき、(実際、今どき、不登校など、何でもな
い問題ですが)、不安は、あなたのほうから去っていきます。『不幸は、それを笑ったとき、向こ
うから去っていく。しかしそれを恐れたとき、不幸は、あなたを重荷となって苦しめる』というの
は、私が作った格言です。

 この問題の解決には、数か月単位の忍耐と努力が必要です。ここで症状をこじらせると、半
年から1年単位での不登校につながる危険性があります。心の休養を大切に。「気分転換」な
どと安易に考えて、子どもをあちこち引き回すのも避けてください。安静と安心感、それに心の
安定が、何よりも大切です。もし午後、1時間でも学校へ行くようなら、「よくがんばったね」とほ
めてあげてください。「もうあと1時間行こうね」などと、子どもを責めてはいけません。

 それ以上に症状がひどくなるようであれば、心療内科を訪れてみるという方法もありますが、
私は薬物治療については、疑問に思っています。どうか、慎重に!
(はやし浩司 不登校 学校恐怖症 学校拒否症 怠学 アメリカ内科医学会 米内科医学会
 診断基準 はやし浩司)
2007/10/15

【補記】

 それにしても、「首に縄つけてでも……」という言い方には、驚きました。今でも、そういう言い
方をする人がいるのですね。子どもの人格や人権を、いったい、どのように考えているのでしょ
うか。

 私はこの言葉の中に、恐ろしいほどの親意識、権威主義、それに上下意識を感じました。
と、同時に、それを口にする人たちは、学校神話、学歴信仰の盲信者という印象ももちました。
「子どもなど、親の意思でどうにでもなる」とでも、そういう人たちは考えているのでしょうか。

 あまりにも無知、無学、メチャメチャ! そしてあまりにも日本的! 逆の立場で、自分がそう
されたときのことを考えてみたらよいのです。ただ単なる(比喩(ひゆ))では、すまされません。

 だからといって、子どもを甘やかせとか、学校へは行かなくていいと言っているのではありま
せん。日ごろから、もっと子どもの心に耳を傾ける姿勢が、親側に育っていれば、こうした発想
は、出てこないはずです。あるいはひょっとしたら、こうした問題は起きなかったかもしれませ
ん。

 まさに原始的というか、後進国的というか。あまりにも心の問題を、安易に考えすぎているの
では! 子どもに何かをさせるときには、ある程度の強制力は必要かもしれません。が、それ
は子どもを見ながら判断します。相談してきたYさんのお子さんのケースでは、幼いころ神経症
を発症し、心は、疲れているはず。ボロボロかもしれません。

 私には、Yさんのお子さんの悲痛な叫び声が、聞こえてきます。表面的には元気でも、それ自
体が、仮面と考えてよいのではないでしょうか。

 こうしたケースでは、親が「学校へ行かせよう」とあせればあせるほど、その(あせり)が、子ど
もの心の中に、緊張感を作ってしまいます。つまり子どもの不登校の問題は、子どもの問題で
はなく、親の問題だということです。それに気づけば、あとは、時間が解決してくれます。

 夫が単身赴任で、同居していないとか……。この問題は、Yさんひとりで、解決できる問題で
もないように思います。子育ては、それだけ重労働だということ。加えて、Yさんひとりで対処し
ていると、Yさん自身が、育児ノイローゼになってしまうかもしれません。何とか、夫に、いっしょ
に住んでもらうわけにはいかないでしょうか。内政干渉ですみません!

++++++++++++++++++++++

ついでながら、「学校恐怖症」について書いた
記事(中日新聞掲載済み・2001年10月1日)
を、ここに添付しておきます。

この原稿は、あちこちの団体や個人に、無断で
転載、転用されています。やめてほしいですね、
こういうことは!

++++++++++++++++++++++

【子どもが学校恐怖症になるとき】

●四つの段階論 
 同じ不登校(school refusal)といっても、症状や様子はさまざま(※)。私の二男はひどい花粉
症で、睡眠不足からか、毎年春先になると不登校を繰り返した。

が、その中でも恐怖症の症状を見せるケースを、「学校恐怖症」、行為障害に近い不登校を
「怠学(truancy)」といって区別している。これらの不登校は、症状と経過から、三つの段階に
分けて考える(A・M・ジョンソン)。心気的時期、登校時パニック時期、それに自閉的時期。こ
れに回復期を加え、もう少しわかりやすくしたのが次である。 
(1)前兆期……登校時刻の前になると、頭痛、腹痛、脚痛、朝寝坊、寝ぼけ、疲れ、倦怠感、
吐き気、気分の悪さなどの身体的不調を訴える。症状は午前中に重く、午後に軽快し、夜にな
ると、「明日は学校へ行くよ」などと、明るい声で答えたりする。これを症状の日内変動という。
学校へ行きたがらない理由を聞くと、「A君がいじめる」などと言ったりする。そこでA君を排除
すると、今度は「B君がいじめる」と言いだしたりする。理由となる原因(ターゲット)が、そのつ
ど移動するのが特徴。 
(2)パニック期……攻撃的に登校を拒否する。親が無理に車に乗せようとしたりすると、狂っ
たように暴れ、それに抵抗する。が、親があきらめ、「もう今日は休んでもいい」などと言うと、
一転、症状が消滅する。ある母親は、こう言った。「学校から帰ってくる車の中では、鼻歌まで
歌っていました」と。たいていの親はそのあまりの変わりように驚いて、「これが同じ子どもか」
と思うことが多い。 
(3)自閉期……自分のカラにこもる。特定の仲間とは遊んだりする。暴力、暴言などの攻撃的
態度は減り、見た目には穏やかな状態になり、落ちつく。ただ心の緊張感は残り、どこかピリピ
リした感じは続く。そのため親の不用意な言葉などで、突発的に激怒したり、暴れたりすること
はある(感情障害)。

この段階で回避性障害(人と会うことを避ける)、不安障害(非現実的な不安感をもつ。おのの
く)の症状を示すこともある。が、ふだんの生活を見る限り、ごくふつうの子どもといった感じが
するため、たいていの親は、自分の子どもをどうとらえたらよいのか、わからなくなってしまうこ
とが多い。こうした状態が、数か月から数年続く。 
(4)回復期……外の世界と接触をもつようになり、少しずつ友人との交際を始めたり、外へ遊
びに行くようになる。数日学校行っては休むというようなことを、断続的に繰り返したあと、やが
て登校できるようになる。日に一〜二時間、週に一日〜二日、月に一週〜二週登校できるよう
になり、序々にその期間が長くなる。

●前兆をいかにとらえるか 
 要はいかに(1)の前兆期をとらえ、この段階で適切な措置をとるかということ。たいていの親
はひととおり病院通いをしたあと、「気のせい」と片づけて、無理をする。この無理が症状を悪
化させ、(2)のパニック期を招く。

この段階でも、もし親が無理をせず、「そうね、誰だって学校へ行きたくないときもあるわよ」と
言えば、その後の症状は軽くすむ。一般にこの恐怖症も含めて、子どもの心の問題は、今の
状態をより悪くしないことだけを考える。なおそうと無理をすればするほど、症状はこじれる。悪
化する。 

※……不登校の態様は、一般に教育現場では、(1)学校生活起因型、(2)遊び非行型、(3)
無気力型、(4)不安など情緒混乱型、(5)意図的拒否型、(6)複合型に区分して考えられてい
る。

 またその原因については、(1)学校生活起因型(友人や教師との関係、学業不振、部活動な
ど不適応、学校の決まりなどの問題、進級・転入問題など)、(2)家庭生活起因型(生活環境
の変化、親子関係、家庭内不和)、(3)本人起因型(病気など)に区分して考えられている(「日
本教育新聞社」まとめ)。しかしこれらの区分のし方は、あくまでも教育者の目を通して、子ども
を外の世界から見た区分のし方でしかない。

(参考)
●学校恐怖症は対人障害の一つ 

 こうした恐怖症は、はやい子どもで、満四〜五歳から表れる。乳幼児期は、主に泣き叫ぶ、
睡眠障害などの心身症状が主体だが、小学低学年にかけてこれに対人障害による症状が加
わるようになる(西ドイツ、G・ニッセンほか)。集団や人ごみをこわがるなどの対人恐怖症もこ
の時期に表れる。ここでいう学校恐怖症はあくまでもその一つと考える。

●ジョンソンの「学校恐怖症」

「登校拒否」(school refusal)という言葉は、イギリスのI・T・ブロードウィンが、一九三二年に最
初に使い、一九四一年にアメリカのA・M・ジョンソンが、「学校恐怖症」と命名したことに始ま
る。ジョンソンは、「学校恐怖症」を、(1)心気的時期、(2)登校時のパニック時期(3)自閉期
の三期に分けて、学校恐怖症を考えた。

●学校恐怖症の対処のし方

 第一期で注意しなければならないのは、本文の中にも書いたように、たいていの親はこの段
階で、「わがまま」とか「気のせい」とか決めつけ、その前兆症状を見落としてしまうことである。
あるいは子どもの言う理由(ターゲット)に振り回され、もっと奥底にある子どもの心の問題を見
落としてしまう。しかしこのタイプの子どもが不登校児になるのは、第二期の対処のまずさによ
ることが多い。

ある母親はトイレの中に逃げ込んだ息子(小一児)を外へ出すため、ドライバーでドアをはずし
た。そして泣き叫んで暴れる子どもを無理やり車に乗せると、そのまま学校へ連れていった。
その母親は「このまま不登校児になったらたいへん」という恐怖心から、子どもをはげしく叱り
続けた。が、こうした衝撃は、たった一度でも、それが大きければ大きいほど、子どもの心に取
り返しがつかないほど大きなキズを残す。もしこの段階で、親が、「そうね、誰だって学校へ行
きたくないときもあるわね。今日は休んで好きなことをしたら」と言ったら、症状はそれほど重く
ならなくてすむかもしれない。

 また第三期においても、鉄則は、ただ一つ。なおそうと思わないこと。私がある母親に、「三
か月間は何も言ってはいけません。何もしてはいけません。子どもがしたいようにさせなさい」
と言ったときのこと。母親は一度はそれに納得したようだった。しかし一週間もたたないうちに
電話がかかってきて、「今日、学校へ連れていってみましたが、やっぱりダメでした」と。親にす
れば一か月どころか、一週間でも長い。気持ちはわかるが、こういうことを繰り返しているうち
に、症状はますますこじれる。

 第三期に入ったら、(1)学校は行かねばならないところという呪縛から、親自身が抜けるこ
と。(2)前にも書いたように、子どもの心の問題は、今の状態をより悪くしないことだけを考え
て、子どもの様子をみる。(3)最低でも三か月は何も言わない、何もしないこと。子どもが退屈
をもてあまし、身をもてあますまで、何も言わない、何もしないこと。(4)生活態度(部屋や服
装)が乱れて、だらしなくなっても、何も言わない、何もしないこと。とくに子どもが引きこもる様
子を見せたら、そうする。よく子どもが部屋にいない間に、子どもの部屋の掃除をする親もいる
が、こうした行為も避ける。

 回復期に向かう前兆としては、(1)穏やかな会話ができるようになる、(2)生活にリズムがで
き、寝起きが規則正しくなる、(3)子どもがヒマをもてあますようになる、(4)家族がいてもいな
くいても、それを気にせず、自分のことができるようになるなどがある。こうした様子が見られた
ら、回復期は近いとみてよい。

 要は子どものリズムで考えること。あるいは子どもの視点で、子どもの立場で考えること。そ
ういう謙虚な姿勢が、このタイプの子どもの不登校を未然に防ぎ、立ちなおりを早くする。

 








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【9】

●依存性の強い子ども

++++++++++++++++

千葉県のAさんより、
こんな相談が届いています。
掲載許可をいただいていますので、
この問題を少し考えてみます。

(Aさんへ……xxxxx@ybb.ne.jp
のメールアドレスがまちがっているためか、
何度も返信を試してみたのですが、
宛て先不明で送り返されて
きました。で、こうして楽天の
日記のほうに、返事を書いて
おきます。ご了解下さい。)

++++++++++++++++

【Aよりはやし浩司へ……】

はじめまして。3か月ほど前より、先生のホームページなどを愛読しています。
4歳6か月の長男について相談します。

長男は優しく思いやりがあり、弟のことも大好きで、大切にしてくれています。ウルトラマンが大
好きで、ウルトラマンみたいになりたいと、毎日戦いごっこや、習っている空手の練習をしてい
ます。

ここ3か月ほどで、少しずつたくましくなっているようです。

2歳ごろまで体が弱く、何回も入院しました。また、初めての育児だったので、私は神経質な心
配先行型の子育てをしていたように思います。

人見知りがひどかったのですが、人なつっこい子になりました。こだわりの強さも消えたように
思います。よい変化がみえますが、依然、とても依存心が強いのです。

この依存心の強さをこれから減らすことはできるでしょうか?
友達と遊ぶのは大好きですが、この年齢にもなったにもかかわらず、つるみたがります。「しつ
こいなあ」と思うこともしばしばです。

3つ子のたましい・・というのですが、先生が書かれていた移行期でもあります。何かよいアドバ
イスがあれば、教えていただきたくメールいたしました。

  ここ数か月先生のホームページなどを参考に、こどもへの対応を変えてきたところ、子ども
がよい方向へと変化してきました。どうもありがとうございます。育児とはやはり楽しいし、幸せ
だけど、むずかしくもありますね。(千葉県・A子、母親より)

【はやし浩司よりAさんへ……】

 多分に赤ちゃんがえりの症状が見られます。表面的な様子とは別に、心はいつも緊張状態
にあると考えて対処します。子どものばあい、(おとなもそうですが……)、嫉妬がからむと、心
はかなりゆがみます。

 赤ちゃんぽくなったりすることから、「赤ちゃんがえり」と言いますが、そのほか、攻撃的になっ
たり、服従的になったり、同情を買うようになったりします。依存性が強くなるのも、その1つで
す。(最近、ものの考え方が、破滅的になった子どもの例を知りました。)

 加えて、乳幼児期の、心配先行型の育児姿勢が、子どもに依存性をもたせてしまったのかも
しれません。手のかけすぎから、慢性的な過保護状態になったとも考えられます。

 しかしわざわざ相談のメールをくださったということから、Aさんには、お子さんの(依存性)
が、もっともよく目だつのかもしれません。で、もしそうなら、私は、やはり「赤ちゃんがえり」の、
一様態ではないかと思います。

 こういうケースのばあいは、いくつか鉄則があります。

(1)求めてきたときが与えどき

 子どもが何か、スキンシップのようなものを求めてきたら、すかさず、いとわず、さっと与える
ようにします。間をおくとよくありません。「あとでね……」とか、「今は、忙しいのよ……」などと
いうのも禁句です。さっと応じてあげます。ぐいと抱くだけでも効果的です。たいてい1〜2分
で、子どもは満足して、親から体をはずそうとします。コツは、子どもに安心感を与えるようにす
ることです。

 あまりひどいようであれば、下の子には悪いですが、もう一度、100%の愛情を、上の子に
向けます。

(2)スキンシップを濃厚に

 機会を見つけて、スキンシップを濃厚に与えます。ベタベタなスキンシップがよいわけではあ
りません。ぐいと力強く抱くとか、そういうことでよいのです。ポイント的に与えるのが、コツで
す。もし赤ちゃんがえりによる依存性なら、「なおす」ということは考えず、「時期を待つ」という方
法に切りかえるほうが、無難です。時期がくれば、自然と消えていくからです。ここで無理をす
ると、かえって症状をこじらせてしまいます。情緒を不安定にしたり、精神そのものをゆがめる
こともあります。赤ちゃんがえりを、決して、軽く考えてはいけません。

(3)食生活を調整する

 「情緒が不安定かな?」と感じたら、CA、MG、Kの多い食生活に切りかえます。わかりやすく
言えば、海産物を中心とした献立に切りかえます。白砂糖の多い、甘い食品や、リン酸が含ま
れた食品は、避けます。

 Aさんが、「しつこいなあ」と言われるほどですから、かなりしつこいのだろうと思いますが、し
かし決して短気を起こしてはいけません。お子さんはお子さんなりに、安心感を求めるために、
そういう行動に出ているのです。が、Aさんの微妙な心を、敏感に読み取って、心のどこかで不
安感を覚えているのです。

 ですから対処のし方をまちがえると、症状はこじれ、思わぬほうに、ことが進んでしまうかもし
れません。なお、「弟が大好きで……」という部分が気になります。そんなはずは、ないからで
す。心理学の世界にも、「反動形成」という言葉があります。少しだけ、注意して観察してみてく
ださい。ひょっとしたら、お子さんは、無意識のうちにも、仮面をかぶっているのかもしれませ
ん。

 反動形成についての原稿を、添付しておきます。

++++++++++++++++

【反動感情】

●反動感情

 人は、ときとして、本当の自分の心を隠し、それと正反対の感情をもつことがある。私は、こ
れを勝手に「反動感情」と呼んでいる。

心理学の世界には、「反動形成」という言葉がある。反動形成というのは、自分の心を抑圧す
ると、その反動から、正反対の自分を演ずるようになることをいう。

たとえば性的興味を押し殺したような人は、他方で、人前では、まったく性には関心がないよう
に振るまうのが、それ。性に対して、ある種の罪悪感をもった人が、そうなりやすい。たとえば
牧師や教師など。ほかに、たとえば神経質な人が、外の世界では、おおらかな人間のフリをす
るのも、それ。よく知られた例としては、上の子どもが、下の子どもに対して、思いやりのある、
やさしい兄(姉)を演ずるのがある。その反動形成に似ているから、「反動感情」とした。

●Aさんのケース

 私がAさん(三四歳女性、当時)に会ったのは、私が四〇歳くらいのことだった。もともとは奈
良県の生まれの人で、夫の転勤とともに、このH市にやってきた。どこかその古都の雰囲気を
感じさせる、静かな人だった。Aさんは、いつもこう言っていた。「私は、夫を愛しています」「娘
を愛しています」と。

 当時、「愛する」という言葉を、ふだんの会話の中で使う人は、それほど多くはなかった。それ
で私の印象に強く残ったのだが、話を聞くと、どうもそうではなかった。つまり私は最初、Aさん
の家庭について、心豊かな、愛に包まれた、すばらしい家族を想像していた。が、そうではなか
ったということ。

 Aさんは、不本意な結婚をした。そしてそのまま、不本意な子どもを産んだ。それがそのとき
六歳になる娘だった。

Aさんには、結婚前に、ほかに好きな人がいたのだが、ささいなことがきっかけで、別れてしま
った。今の夫と結婚したのは、その好きな人を忘れるため? あるいは、その好きな人に、腹
いせをするため? ともかくも、それを感じさせるような、どこか、ゆがんだ結婚だった。

 Aさんは、夫とは、フィーリングが合わなかった。合わなかったというより、「(信仰を始める前
までは)、夫の体臭をかいだだけで、気持ちが悪くなったこともある」(Aさん)という。が、離婚は
しなかった。……できなかった。Aさんの実家と、夫の実家は、同業で、たがいにもちつ、もた
れつの関係にあった。離婚すれば、ともに実家に迷惑がかかる。

 そこでAさんは、キリスト教系宗教団体に入信。そのまま熱心な信者になった。そしてその教
え(?)に従い、「愛する」という言葉を、よく使うようになった?

●反動形成

 たとえばあなたがXさんを、嫌ったとする。そのときXさんと、それほど近い関係でなければ、
あなたは、そのままXさんと距離をおくことで、Xさんを忘れようとする。「いやだ」という感覚を味
わうのは、不愉快なこと。人は、無意識のうちにも、そういう不快感を避けようとする。

 が、そのXさんと、何かの理由で離れることができないときは、一時的には、Xさんに反発する
ものの、やがて、それを受け入れ、反対に、自分の心の中で、反対の感情を作ろうとする。反
対の感情を作ることで、その不快感を克服しようとする。これが私がいう、「反動感情」である。
このばあい、あなたはXさんを、積極的に自分の心の中に入れこもうとする。わかりやすく言え
ば、好きになる。(正確に言えば、好きだというフリをする。)好きになることで、不快感を克服し
ようとする。

 よくある例としては、(1)相手につくし、服従する方法。(2)相手に対して敗北を認め、自分を
劣位に置く方法。(3)自分の弱さを強調し、相手の同情を誘う方法などがある。自分という「主
体」を消すことで、相手に対する感情を消す。そして結果的に、「好き(affection)」という状態を
つくるが、このばあい、「好き」といっても、それはネガティブな好意でしかない。若い男女が、電
撃的に打たれるような恋をしたときに感ずるような、「好き(love)」とは、異質のものである。

 特徴としては、自虐的(自分さえ犠牲になれば、それですむと考える)、厭世的(自分や社会
は、どうなってもよいと考える)な人間関係になる。これに関してよく似たケースに、「ストックホ
ルム症候群」※というのがある。これはたとえば、テロリストの人質になったような人が、そのテ
ロリストといっしょに生活をつづけるうち、そのテロリストに好意をいだくようになり、そのテロリ
ストのために献身的に働き始めるようになることをいう。

 先にあげたAさんのケースでも、Aさんは、口グセのように、「愛しています」と、よく言ったが、
どこか不自然な感じがした。あるいは、Aさんは、そう思いこんでいただけなのかもしれない。A
さんは、夫や子どもに尽くすことで、自らの感情を押し殺してしまっていた?

●偽(にせ)の愛

 Aさんが口にする「愛」は、反動感情でつくられた、いわば偽の愛ということになる。しかし夫
婦はもちろんのこと、親子でも、こうした偽の愛を、本物の愛と信じ込んでいる人は、いくらでも
いる。

 Bさん(四〇歳女性)は、こう言った。夫が、一週間ほど、海外出張で上海へ行くことになった
ときのこと。「飛行機事故で死んでくれれば、補償金がたくさんもらえますね」と。「冗談でし
ょ?」と言うと、ま顔で、「本気です」と。しかしそのBさんにしても、表面的には、仲のよい夫婦
に見えた。たがいにそう演じていただけかもしれない。そこで「じゃあ、どうして離婚しないので
すか?」と聞くと、「私たちは、そういう夫婦です」と。

 親子でも、そうだ。C氏(四五歳男性)は、高校生になる息子と、家の中では、あいさつすらし
なかった。たがいに姿を見ると、それぞれの部屋に姿を、隠してしまった。しかしC氏は、人前
では、よい親子を演じた。演ずるだけではなく、息子が中学生のときは、その学校のPTAの副
会長まで努めた。

 一方、息子は息子で、ある時期まで、父親に好かれようと、懸命に努力した。私がよく覚えて
いるのは、その息子がちょうど中学生になったときのこと。父親に、敬語を使っていたことだ。
父親に電話をしながら、「お父さん、迎えにきてくださいますか」と。

 しかしこうした偽の愛は、長くはつづかない。仮面をかぶればかぶるほど、たがいを疲れさせ
る。問題は、そのどちらかが、その欺瞞(ぎまん)性に気づいたときである。今度は、その反動
として、その絆(きずな)は粉々にこわれる。もっともそこまで進むケースは、少ない。たいてい
は、夫婦であれば、どちらかが先に死ぬまで、その偽の愛はつづく。つづくというより、もちつづ
ける。

 ここまで書いて、ヘンリック・イプセンの「人形の家」を思い出した。娘時代は、親の人形として
生活し、結婚してからは、夫の人形として生活した、ある女性の物語である。その中でも、よく
知られた会話が、夫ヘルメルと、妻ノラの会話。

ヘルメルが、ノラに、「(家事という)神聖な義務を果せ」と迫ったのに対して、ノラはこう答える。
「そんなこともう信じないわ。あたしは、何よりもまず人間よ、あなたと同じくらいにね」(「人形の
家」岩波書店)と。そのノラが、親に感じていた愛、あるいは夫に感じていた愛が、ここでいう反
動感情で作られた愛ではないかということになる。もし、ノラが「愛」のようなものを感じていたと
したら、ということだが……。

 しかしこの問題は、結局は、私たち自身の問題であることがわかる。私たちは今、いろいろな
人とつきあっている。が、そのうちの何割かの人たちは、ひょっとしたら、嫌いで、本当は、つき
あいたくないのかもしれない。無理をしてつきあっているだけなのかもしれない。あるいは「私
はそういうつきあいはしていない」と、自信をもって言える人は、いったい、どれだけいるだろう
か。

 さらにあなたの子どもはどうかという問題もある。あなたの子どもは、あなたという親の前で、
ごく自然な形で、自分をすなおに表現しているだろうか。あるいは反対に、無理によい子ぶって
いないだろうか。そしてそういうあなたの子どもを見て、あなたは「私たちはすばらしい親子関
係を築いている」と、思いこんでいないだろうか。ひょっとしたら、あなたの子どもは、あなたと良
好な関係にあるフリをしているだけかもしれない。本当はあなたといっしょに、いたくない。いた
くないが、し方がないから、いっしょにいるだけ、と。もしあなたが、「うちの子は、いい子だ」と思
っているなら、その可能性は、ぐんと高くなる。一度、子どもの心をさぐってみてほしい。
(030314)

※ストックホルム症候群……スウェーデンの首都、ストックホルムで起きた銀行襲撃事件に由
来する(一九七三年)。その事件で、六日間、犯人が銀行にたてこもるうち、人質となった人た
ちが、その犯人に協力的になった現象を、「ストックホルム症候群」と呼ぶ。のちにその人質と
なった女性は、犯人と結婚までしたという。

※イプセンの「人形の家」……自己の立場と、出世しか大切にしない夫、ヘルメル。好意でした
ことをののしられてから、ノラは、一人の人間としての自分に気づく。それがここに取りあげた
会話。最後に、ノラは、偽善的な夫に愛想をつかし、ヘルメルと、三人の子どもを残して、家を
出る。

【付記】

 父親に虐待されていた子ども(小二男児)がいた。いつも体中に大きなアザを作っていた。そ
こでその学校の校長が、地元の教育委員会に相談。児童相談所がのり出して、その子どもを
施設へ保護した。

 が、悲しいかな、そこが子ども心。そんな父親でも、施設の中では、「お父さんに会いたい、会
いたい」と泣いていたという。そこで相談員が、「あなたはお父さんのことを好きなの?」と聞く
と、その子どもは、「好き」と答えたという。

 こうした子どもの心理も、反動感情で説明できる。つまり父親の虐待に対して、その子ども
は、本当の自分の感情とは反対の感情をもつことで、与えられた状況に適応しようとした。そ
の子どものばあい、「いやだ」と言って、家を飛びだすわけにもいかない。また父親に嫌われた
ら、生きていくことすらできない。そこでその子どもは、「好きだ」という感情を、自分の中につく
ることで、自分の心を防衛したと考えられる。
(はやし浩司 反動形成 子どもの心理)









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【10】

●子どものウソ、勉強の遅れ、好きになれない、落ち着きがない、反抗的な態
度、口が悪い、親どうしのトラブル、帰宅拒否、父親の無関心、友だちの問題

++++++++++++++

子育て相談を、特集してみました。

++++++++++++++

(1)子どものウソ

Q 何かにつけてウソをよく言います。それもシャーシャーと言って、平然としています。(小二
男)

A 子どものウソは、つぎの三つに分けて考える。(1)空想的虚言(妄想)、(2)行為障害によ
る虚言、それに(3)虚言。空想的虚言というのは、脳の中に虚構の世界をつくりあげ、それを
あたかも現実であるかのように錯覚してつく、ウソのことをいう。行為障害による虚言は、神経
症による症状のひとつとして考える。習慣的な万引きや、不要なものを集めるなどの、随伴症
状をともなうことが多い。

これらのウソは、自己正当化のためにつくウソ(いわゆる虚言)とは区別して考える。

ふつうウソというのは、自己防衛(言いわけ、言い逃れ)、あるいは自己顕示(誇示、吹聴、自
慢、見栄)のためにつくウソをいう。子ども自身にウソをついているという自覚がある。

母「だれ、ここにあったお菓子を食べたのは?」、子「ぼくじゃないよ」、母「手を見せなさい」、子
「何もついてないよ。ちゃんと手を洗ったから…」と。
 同じようなウソだが、思い込みの強い子どもは、思い込んだことを本気で信じてウソをつく。
「ゆうべ幽霊を見た」とか、「屋上にUFOが着陸した」というのが、それ。  

その思い込みがさらに激しく、現実と空想の区別がつかなくなってしまった状態を、空想的虚言
という。こんなことがあった。

 ある日一人の母親から、電話がかかってきた。ものすごい剣幕である。「先生は、うちの子の
手をつねって、アザをつくったというじゃありませんか。どうしてそういうことをするのですか!」
と。私にはまったく身に覚えがなかった。そこで「知りません」と言うと、「相手が子どもだと思っ
て、いいかげんなことを言ってもらっては困ります!」と。

 結局、その子は、だれかにつけられたアザを、私のせいのにしたらしい。

イギリスの格言に、『子どもが空中の楼閣を想像するのはかまわないが、そこに住まわせては
ならない』というのがある。子どもがあれこれ空想するのは自由だが、しかしその空想の世界
にハマるようであれば、注意せよという意味である。このタイプの子どもは、現実と空想の間に
垣根がなく、現実の世界に空想をもちこんだり、反対に、空想の世界に限りないリアリティをも
ちこんだりする。そして一度、虚構の世界をつくりあげると、それがあたかも現実であるかのよ
うに、まさに「ああ言えばこう言う」式のウソを、シャーシャーとつく。ウソをウソと自覚しないの
が、特徴である。

 どんなウソであるにせよ、子どものウソは、静かに問いつめてつぶす。「なぜ」「どうして」だけ
を繰り返しながら、最後は、「もうウソは言わないこと」ですます。必要以上に子どもを責めた
り、はげしく叱れば叱るほど、子どもはますますウソの世界に入っていく。
(はやし浩司 子供の嘘、虚言癖 ウソ 嘘)


Hiroshi Hayashi++++++++++Jan. 06+++++++++++はやし浩司

(2)勉強の遅れ

Q 学年がかわり、勉強の遅れが目立ってきました。このままでは、うちの子はどうなるかと、
心配でなりません。(小四女)

A アメリカでは、学校の先生が、子どもに落第をすすめると、親は、喜んでそれに従う。「喜ん
で」だ。これはウソでも誇張でもない。反対に子どもの学力が心配だと、親のほうから落第を求
めていくこともある。「まだうちの子は、進級する準備ができていない」と。アメリカの親たちは、
そのほうが子どものためになると考える。

 日本では、そうはいかない。いかないことは、あなた自身が一番よく知っている。しかし、二〇
年後、三〇年後には、日本もそうなる。またそういう国にしなければならない。意識というのは
そういうもので、あなたが今もっている意識は、普遍的なものでも、また絶対的なものでもな
い。

 さて、もし子育てで行きづまりを覚えたら、子どもは『許して忘れる』。英語では、「フォ・ギブ
(許し)・アンド・フォ・ゲッツ(与える)」という。つまり「(子どもに)愛を与えるために、許し、(子ど
もから)愛を得るために、忘れる」ということになる。子どもをどこまで許し、どこまで忘れるか
で、親の愛の深さが決まる。子どもの受験勉強で狂奔しているような親は、一見、子どもを愛し
ているかのように見えるが、その実、自分のエゴを子どもに押しつけているだけ。自分の設計
図に合わせて、子どもを思いどおりにしたいだけ。しかしそれは、真の愛ではない。

 否定的なことばかり書いたが、勉強だけがすべてという時代は、もう終わりつつある。(だか
らといって、勉強を否定しているのではない。誤解のないように!) 重要なのは、そのときどき
において、子どもが、いかに心豊かに、自分を輝かせて生きるかということ。その中身こそが、
大切。

 相談のケースでは、何かほかに得意なことや、特技があれば、それを前向きに伸ばすように
する。子どもには、「あなたはサッカーでは、だれにも負けないわよね」というような言い方をす
る。子どもの世界には、『不得意分野を伸ばすより、得意分野を、さらに伸ばせ』という鉄則が
ある。子どもというのは不思議なもので、ひとつのことに秀でてくると、ほかの分野も、ズルズル
と伸び始めるということが、よくある。

 さらにこれからは、一芸がものをいう時代。ある大手の自動車会社の入社試験では、学歴は
不問。そのかわり面接では、「君は何ができる?」と聞かれるという。そういう時代は、すぐそこ
まできている。

 ところで『宝島』という本を書いた、R・スティーブンソンは、こう言っている。『我らの目的は、
成功することではない。失敗にめげず前に進むことだ』(語録)と。あなたの子どもにも、一度、
そう言ってみてはどうだろうか。
(はやし浩司 学習 学習の遅れ 遅進)


Hiroshi Hayashi++++++++++Jan. 06+++++++++++はやし浩司

(3)好きになれない

Q 自分の子どもですが、どうしても好きになれません。いい親を演ずるのも、疲れました。

A 不幸にして不幸な家庭に育った人ほど、「いい家庭をつくろう」「いい親でいよう」と、どうして
も気負いが強くなる。しかしこの気負いが強ければ強いほど、親も疲れるが、子どもも疲れる。
そしてその「疲れ」が、親子の間をギクシャクさせる。

 子どもが好きになれないなら、なれないでよい。無理をしてはいけない。大切なことは、自然
体で子どもと接すること。そして子どもを、「子ども」としてみるのではなく、「友」としてみる。「仲
間」でもよい。実際、親離れ、子離れしたあとの親子関係は、友人関係に近い関係になる。い
つまでもたがいに、ベタベタしているほうが、おかしい。

 ただ心配なのは、あなた自身に、何か心のわだかまりがあるとき。「ゆがめられた意識」と私
は呼んでいる。トラウマ(精神的外傷)といえるほど大きなキズではない。しかし、しこりはしこ
り。心のひずみのようなもので、そのためものの考え方が、どこかゆがんでくる。そのわだかま
りが、そのつど潜在意識となって、あなたの子育てを、裏からあやつる。もしあなたが子育てを
していて、いつも同じ失敗を繰りかえすというのであれば、このわだかまりを疑ってみたらよ
い。

たいていは、望まない結婚であったとか、予定していなかった子どもであったとか、など。ある
母親はふだんは、静かな女性だったが、子どもが何かを失敗するたびに、「あんたさえいなけ
れば!」と叫んで、子どもをはり倒していた。
ほかにあなた自身の問題として、親の愛に恵まれなかったとか、家庭が不安定であったとかい
うこともある。

この問題は、そういうわだかまりがあるということに気がつくだけでも、そのあと多少時間はか
かるが、解決する。まずいのは、そのわだかまりに気がつかないまま、そのわだかまりに振り
まわされること。そのわだかまりが、虐待の原因となることもある。

 今、「自分の子どもとは気があわない」と、人知れず悩んでいる親は多い。東京都精神医学
総合研究所の調査によっても、そういう母親が、七%はいるという。しかもその大半が、子ども
を虐待しているという(同調査)。

 あるいは兄弟でも、「上の子は好きだが、下の子はどうしても好きになれない」というケースも
ある。ある母親はこう言った。「下の子は、しぐさから、目つきまで、嫌いな義父そっくり。どうし
ても好きになれません」と。

 親には三つの役目がある。ガイドとして、子どもの前を歩く。保護者として、子どものうしろを
歩く。そして友として、子どもの横を歩く。もしあなたがこのタイプの親なら、あなたは友として子
どもの横を歩くことだけを考える。あとは肩の力を抜いて、自然体で進めばよい。一〇年後、二
〇年後には、あなたは必ず、すばらしい親になっている。
(はやし浩司 子供を愛せない 育児問題)


Hiroshi Hayashi++++++++++Jan. 06+++++++++++はやし浩司

         
(4)落ちつきがない

Q 参観授業で見ても、騒々しく、落ちつきがありません。家でも集中力がなく、ワーワーと騒ぐ
だけで、勉強もほとんどしません。(小一男)

A 騒々しい子どもがふえている。「新しい荒れ」と呼ぶ人もいる。ADHD児のほか、思考が乱
舞してしまう子どももいる。いろいろな原因が考えられているが、ひとつに、テレビやテレビゲー
ムがあげられる。瞬間的に、めまぐるしく変化する画面は、右脳を刺激するが、一方、左脳の
働きをおろそかにする。論理や分析、つまり「ものごとを静かに考えて判断」するのは、その左
脳である。

 それはさておき、こうした問題が子どもにあったとしても、今は、それ以上、こじらせないこと
だけを考えて、小学三、四年生になるまで様子をみる。そのころになると自意識が発達し、子
どもは、自分で自分をコントロールするようになる。「こういうことをすれば、みんなに迷惑をか
ける」「嫌われる」「損をする」「先生に注意される」と。それ以前の子どもは、自分が騒々しいと
いう意識すらない。

 ある中学生(男子)は、こう言った。低学年児のころは、落ちつきがなく、学校の先生もたいへ
んだった。しかし「ぼくは、何も悪くなかった。みんながぼくを目のかたきにしただけ」と。おとな
でも、自分の姿を客観的に知ることはむずかしい。いわんや、子どもをや。

 むしろ問題は、無理な指導や強制的な指導、さらには、暴力をともなった威圧的な指導が、
症状をこじらせてしまうこと。せっかく自意識が発達しても、そのため子ども自身が、立ちなお
れなくなってしまう。

 子どもを指導するときは、言うべきことは繰りかえしながら言い、あとは時を待つ。そして少し
でも、言ったことが守れるようになったら、それをほめる。かなり根気のいる作業だが、このタイ
プの子どもと接するときは、まさに根気との勝負。家庭でも、決して短気を起こしてはならない。
 が、悪いことばかりではない。言動が活発な分だけ、好奇心も旺盛で、生活力もある。苦手な
分野もあるが、しかしその分、学力もある。中学生になるころには、かえってよい成績を示すよ
うになることも珍しくない。子どものよい面を信じながら、あとは子どもに合わせた生活を組み
たてる。「三〇分座って、五分くらい勉強らしきことをすればよし」「勉強と遊びが、ごちゃまぜに
なってもよし」と。繰りかえすが、このタイプの子どもは、叱っても意味がない。子ども自身の力
では、どうにもならない。

 問題のない子どもはいない。だから問題のない子育ても、ない。子育てというのはそういうも
の。そういう前提で考える。しかしそれから生まれるドラマが、子育てをうるおい豊かにし、親子
のきずなを太くする。平凡は美徳だが、平凡からは何も生まれない。…そう考えながら、子育
てを前向きにとらえる。
(はやし浩司 落ち着きがない子ども 落ち着きがない子供 騒々しい子供)


Hiroshi Hayashi++++++++++Jan. 06+++++++++++はやし浩司

(5)反抗的な態度

Q 最近、子どもの態度が反抗的になってきました。一触即発という状態で、どこかピリピリして
います。(小五女)

A よく誤解されるが、情緒が不安定だから、情緒不安というのではない。心の緊張状態がと
れないことを、情緒不安という。その緊張状態のところへ、不安や心配が入ると、それを解消し
ようと、精神が一挙に不安定になる。情緒不安というのは、あくまでも症状。
 その症状としては、攻撃的暴力的になるプラス型、ぐずったり引きこもったりするマイナス型、
ものに固執する固着型などがある。

 そこで子どもが情緒不安症状を示したら、まず、原因が何であるかをさぐる。慢性的なストレ
スや欲求不満など。ある子ども(小六男児)は、幼児期に読んだマンガの本を大切そうにもって
いた。ボロボロだった。そこで私が、「これは、何?」と声をかけると、「どうチョ、読んではダメだ
と、言うのでチョ」と。赤ちゃんがえりならぬ、幼児がえりである。原因は父親にあった。父親
は、ことあるごとに、その子どもをこう、脅していた。「中学校へ入ると、勉強がきびしいぞ。毎
日、三時間は勉強しなければならないぞ」と。子どもの未来をおどすのは、タブー中のタブー。
それはそれとして、こうした脅しが、その子どもの心をゆがめた。

 子どもが思春期の第二反抗期にさしかかると、子どもの情緒はたいへん不安定になる。そこ
で大切なことは、家庭では、子どもが体を休め、心をいやすことができるようにすること。方法
としては、子どもの側からみて、親の視線をまったく感じないようにするのがよい。あれこれ説
教をしたり、気をつかうのは、かえって逆効果。また家の中で、態度が横柄になり、言葉づかい
が乱暴になるなど、生活習慣が乱れることもあるが、「ああ、うちの子は、外の世界で、がんば
っているからだ」と、大目に見るようにする。「親に向かって、何よ!」式に、頭ごなしに叱っては
いけない。

 なお子どもは、小学三年生くらいを境にして、急速に親離れを始める。学校であったことを、
親に話さなくなったり、女児だと、父親といっしょに風呂に入るのをいやがったりするようにな
る。ただその親離れは、ある日を境に、急にそうなるのではない。日々に、おとなぶったり、反
対に、幼児のようになったり、それを繰りかえしながら、数年をかけて、親離れする。

 しかし症状が、ある範囲に収まっているなら、親は、こうした親離れを喜ばねばならない。子
育ての目標は、子どもをよき家庭人として自立させること。子どもの反抗をすべて容認せよと
いうわけではないが、一方で、「ああ、うちの子は、自分の道を歩み始めている…」と思いなお
し、一歩、引きさがる。そういう姿勢が、子どもを自立させる。中学生になっても、「ママ、ママ」
と、親に頼る子どものほうが、おかしい。
(はやし浩司 子供の反抗 反抗的な子供 子どもの反抗 反抗的な子ども)
 

Hiroshi Hayashi++++++++++Jan. 06+++++++++++はやし浩司


(6)口が悪い

Q うちの子は、口が悪くて困ります。私に向かっても、平気で「クソババー!」とか言います。
(小二男)

A 子どもの口が悪いのは当たり前。それを許せというわけではないが、それが言えないほど
まで、子どもを抑えつけてはいけない。もう少し専門的に言うと、こうなる。

 乳幼児の心理は、口唇期(口を使って口愛行動をする)、肛門期、男根期を経て発達する(フ
ロイト)。肛門期というのは、体内にたまった不要物を、外に排出する快感を覚える時期と考え
るとわかりやすい。(これに対して、男根期は、いわゆる小児性欲のこと。おとなの性器性欲の
基礎になる。)

 たとえばおとなでも、重大な秘密を知ると、それをだれかに話したいという衝動にかられる。
が、それを話せないとなると、悶々とした状態になる。そこで思いきって、だれかに話す。その
とき感ずる快感が、ここでいう肛門期の快感と思えばよい。

 つまり子どもは、思ったことをズケズケと言うことで、自分の心の中にたまったゴミを外に吐き
出そうとする。それは快感であると同時に、子どもにとっては、精神のバランスをとるために
は、必要なことでもある。

 むしろそれを抑えつけてしまうことによる弊害のほうが、大きい。イギリスの格言にも、『抑圧
は悪魔をつくる』というのがある。心の抑圧状態が長くつづくと、ものの考え方が悪魔的になる
ことを言ったものだが、子どものばあい、それがとくに顕著に現れる。

 N君(小五)という、静かでおとなしい子どもがいた。従順で、これといって問題はなかった。し
かし私はある日、彼のノートを見て、びっくりした。そこには、首のない人間や、血だらけになっ
てもがき苦しむ顔、ドクロなどが描かれていた。原因は、父親の神経質な過関心だった。

 言いたいことを言う。思ったことを言う。それができるから、家庭という。あの『クレヨンしんち
ゃん』の中にも、母親のみさえが、義理の父親に向かって、こう怒鳴るシーンがある(V16)。
「ひからびた、ゆで玉子頭」と。そういうことが自由に言いあえる家庭というのは、それだけで
も、すばらしい家庭(?)ということになる。

 私も、よく生徒に、「クソじじい」と言われる。そこである日、こう教えてやった。

私「もっと悪い言葉を教えてやろうか」
子「うん、教えて、教えて」
私「でも、お父さんや、校長先生に言ってはだめだよ。約束するか?」
子「するする…」
私「ビ・ダ・ン・シ(美男子)」と。

 それからというもの、私のニックネームは、美男子になった。生徒たちは私を見ると、うれしそ
うに、「美男子! 美男子!」と。私は一応、怒ったフリをするが、内心では笑っている。
(はやし浩司 口の悪い子ども 口の悪い子供)
 

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(7)親のトラブル

Q このところ親どうしのトラブルが原因で、憂うつでなりません。言った、言わないが、こじれ
て、抜きさしならない状態になっています。

A 親どうしのつきあいは、如水淡交。水のように、淡く、無理なくつきあうのがよい。つきあうと
しても、できるだけ学校の行事の範囲にとどめ、個人的な交際は、必要最低限にとどめる。ほ
かの世界と違って、間に子どもがいるため、一度こじれると、この種の問題は、とことんこじれ
る。親によっては、たいへん神経質な人がいる。神経質になるのが悪いというのではない。そ
れは子育てにまつわる宿命のようなもの。人間にかぎらず、どんな動物でも、子育をしている
間は、たいへん神経質になる。そこでこうしたトラブルを避けるために、いくつかの原則があ
る。

 (1)子どもの前では、学校や先生の批判はもちろんのこと、ほかの親の批判は、タブー。子
どもが先生の悪口を言っても、「あなたのほうが悪い」「そんなことは言ってはいけない」と、たし
なめる。相づちを打ってもいけない。相づちを打てば、今度はあなたが言った言葉として、広ま
ってしまう。それだけではない。子どもは、先生の指示に従わなくなってしまう。そうなれば教育
そのものが成りたたなくなってしまう。

 つぎに(2)子どもどうしの間でトラブルが起き、先生に相談するときも、問題だけを先生に話
し、あとの判断は、先生に任せる。相手の親や子どもの名前は、できるだけ出してはいけな
い。先生は、教育のドクター。判断するのは、あくまでも先生。それともあなたは病院へ行っ
て、自分で診断名をつけたり、治療法を決めたりするとでもいうのだろうか。

 また(3)子どもどうしのトラブルがこじれたときには、まず、あなたのほうから頭をさげる。こ
の世界には、『負けるが勝ち』という、大鉄則がある。先にも書いたように、間に子どもがいるこ
とを忘れてはいけない。大切なことは、子どもが気持ちよく学校へ通えること。またそういう状
態を、用意してあげること。だから負けるが、勝ち。あなたが先に「すみません」と頭をさげれ
ば、相手も、「いいんです。うちも悪いから…」となる。そういう謙虚な姿勢が、子どもの世界を
明るくする。

 が、それでもこじれたら…。先生に問題の所在だけを告げ、一度、引きさがる。これを「穴に
こもる」という。穴にこもって、時間が解決してくれるのを待つ。そしてその間、あなたはあなた
で、子どものことは忘れ、したいことをすればよい。

 ふつう、それほど深刻な問題でないときは、一にがまん、二にがまん、三、四がなくて、ほか
の親に相談と決めておく。ほかの親というのは、一、二歳年上の子どもをもつ親のことをいう。
そういう親に相談すると、「うちもこんなことがありましたよ」というような話で、たいていの問題
は解決する。
(はやし浩司 親同士のトラブル 親同士の問題 親の問題 学校でのトラブル)


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(8)帰宅拒否

Q 学校からってくるとき、道草をくってばかりいます。家の中でも、どこか憂うつそうで、あいさ
つをしても返事をしません。(小五男)

A 疑うべきは、帰宅拒否。家庭が、家庭としての機能、つまり体を休め、心をいやすという機
能を果たしていないことを疑う。そこでテスト。

 あなたの子どもは、学校から帰ってきたとき、どこでどのようにして、心や体を休めているだ
ろうか。あなたのいる前で、平然として、休めていれば、よし。しかしあなたの姿を見ると、どこ
かへ逃げていくとか、好んでひとりになりたがるというようであれば、まず家庭のあり方を反省
する。その一つ、『逃げ場を大切に』。

どんな動物にも、最後の逃げ場がある。子どももしかり。子どもは、その逃げ場に入ることによ
り、体を休め、心をいやす。たいていは自分の部屋ということになるが、その逃げ場を親が平
気で荒らすようになると、子どもは、別の場所に逃げ場を求めるようになる。トイレの中や犬小
屋、近くの電話ボックスの中に逃げた子どもなどがいた。さらにこじれると、家出ということにな
る。

 子どもが逃げ場へ入ったら、追いかけて説教したり、叱ったりしてはいけない。いわんや部屋
の中や、机の中を調べてはいけない。コツは、逃げ場から子どもが出てくるまで、ただひたすら
根気よく待つこと。

これに対して、親子の間に秘密はあってはいけないという意見もある。そういうときは反対の立
場で考えてみればよい。いつかあなたが老人になり、体が不自由になったとする。そのときあ
なたの子どもが、あなたの机の中やカバンの中を調べたとしたら、あなたはそれに耐えられる
だろうか。プライバシーを守るということは、そういうことをいう。秘密をつくるとかつくらないとか
いう次元の話ではない。子どもの人格を尊重するためにも、また子どもの中に、「私は私」とい
う考え方を育てるためにも、子どもの逃げ場は神聖不可侵の場所と心得る。

 また子どもに何か問題が起きると、「学校が悪い」「先生が悪い」「友だちがいじめた」と騒ぐ
人がいる。そういうこともたしかにあるが、しかし家庭が家庭としての機能を果たしていれば、
問題は問題となる前に解決するはず。そのためにも、ここでいう家庭の機能を大切にする。

 子どもというのは、絶対的な安心感のある家庭で、心をはぐくむ。「絶対的」というのは、疑い
をいだかないという意味。その家庭がぐらつくと、子どもは心のより所をなくし、情緒が不安定
になる。攻撃的になったり、理由もなくぐずったりする。ものに固着することもある。神経症によ
る症状(腹痛、頭痛、チック、吃音、爪かみ、髪いじり)を伴うことが多い。ある男の子(小一)
は、鉛筆のハシをいつもかじっていた。
(はやし浩司 帰宅拒否 帰宅拒否症 子供の道草)

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(9)父親の無関心

Q 父親が育児、教育に無関心で困ります。何もしてくれません。負担がすべて、私にのしかか
ってきます。

A 子どもと母親の関係は、絶対的なものだが、子どもと父親の関係は、必ずしもそうではな
い。たいていの子どもは、自意識が発達してくると、「私の父はもっと、高貴な人だったかもしれ
ない」という「血統空想」(フロイト)をもつという。ある女の子(小五)は母親に、こう言った。「どう
してあんなパパと、結婚したの。もっといい男の人と結婚すればよかったのに!」と。理屈で考
えれば、母親が別の男性と結婚していたら、その子どもは存在していなかったことになるのだ
が…。

 そんなわけで特別の事情のないかぎり、夫婦げんかをしても、子どもは、母親の味方をす
る。そういえばキリスト教でも、母親のマリアは広く信仰の対象になっているが、父親のヨセフ
は、マリアにくらべると、ずっと影が薄い?

 これに加えて、日本独特の風習文化がある。旧世代の男たちは、仕事第一主義のもと、そ
の一方で、家事をおろそかにしてきた。若い夫婦でも、約三〇%の夫は、家事をほとんどして
いない(筆者、浜松市で調査)。身にしみこんだ風習を改めるのは、容易ではない。

 そこで母親の出番ということになる。まず母親は父親をたてる。大切な判断は、父親にしても
らう。子どもには、「お父さんはすばらしい人よ」「お母さんは、尊敬しているわ」と。決して男尊
女卑的なことを言っているのではない。もしこの文を読んでいるのが父親なら、私はその反対
のことを書く。つまり、「平等」というのは、たがいに高い次元で尊敬しあうことをいう。まちがっ
ても、父親をけなしたり、批判したりしてはいけない。とくに子どもの前では、してはいけない。

 こういうケースで注意しなければならないのは、父親が育児に参加しないことではなく、母親
の不平不満が、子どもの結婚観(男性観、女性観)を、ゆがめるということ。ある女性(三二歳)
は、どうしても結婚に踏み切ることができなかった。男性そのものを、軽蔑していた。原因は、
その女性の母親にあった。

 母親は町の中で、ブティックを経営していた。町内の役員もし、活動的だった。一方父親は、
まったく風采があがらない、どこかヌボーッとした人だった。母親はいつも、父親を、「甲斐性
(生活力)なし」とバカにしていた。それでその女性は、そうなった?
 これからは父親も母親と同じように、育児、教育に参加する時代である。今は、その過渡期
にあるとみてよい。同じく私の調査だが、やはり約三〇%の若い夫は、育児はもちろん、炊
事、洗濯、掃除など、家事を積極的にしていることがわかっている。

 …というわけで、この問題は、たいへん「根」が深い。日本の風土そのものにも、根を張って
いる。あせらず、じっくりと構えること。
(はやし浩司 育児に無関心な父親 父親の育児 育児参加 父親の育児参加 父親の役割)


Hiroshi Hayashi++++++++++Jan. 06+++++++++++はやし浩司

(10)友だちの問題

Q このところ、うちの子が、よくない友だちと交際を始めています。交際をやめさせたいのです
が、どう接したら、いいでしょうか?(小六男)

A イギリスの教育格言に、『友を責めるな、行為を責めよ』というのがある。これは子どもが、
よくない友だちとつきあい始めても、相手の子どもを責めてはいけない。責めるとしても、行為
のどこがどう悪いかにとどめるという意味。コツは、「○○君は、悪い子。遊んではダメ」など
と、相手の名前を出さないこと。言うとしても、「乱暴な言葉を使うのは悪いこと」「夜、騒ぐと近
所の人が迷惑をする」と、行為だけにとどめる。そして子ども自身が、自分で考えて判断し、そ
の子どもから遠ざかるようにしむける。

 こういうケースで、友を責めると、子どもに「親を取るか、友を取るか」の二者択一を迫ること
になる。そのとき子どもがあなたを取れば、それでよし。そうでなければ、あなたとの間に、深
刻なキレツを入れることになる。さらに友というのは、子どもの人格そのもの。友を否定すると
いうことは、子どもの人格を否定することになる。

 またこういうケースでは、親は、そのときのその状態が最悪と思うかもしれないが、あつかい
方をまちがえると、子どもは、「まだ以前のほうが、症状が軽かった…」ということを繰り返しな
がら、さらに二番底、三番底へと落ちていく。よくあるケースは、(門限を破る)→(親に叱られ
る)→(外泊するようになる)→(また親に叱られる)→(家出する)→(さらに親に叱られる)→
(集団非行)と。

が、それでもうまくいかなかったら…。そういうときは、思いきって引いてみる。相手の子ども
を、ほめてみる。「あの○○君、おもしろい子ね。好きよ。今度、このお菓子、もっていってあげ
てね」と。

 あなたの言ったことは、あなたの子どもを介して、必ず相手の子どもに伝わる。それを耳にし
たとき、相手の子どもは、あなたの期待に答えようと、よい子を演ずるようになる。相手の子ど
もを、いわば遠隔操作するわけだが、これは子育ての中でも、高等技術に属する。あとはそれ
をうまく利用しながら、あなたの子どもを導く。

 なおこれはあくまでも一般論だが、少年少女期に、サブカルチャ(非行などの下位文化)を経
験した子どもほど、おとなになってから常識豊かな人間になることがわかっている。むしろこの
時期、無菌状態のまま、よい子(?)で育った子どもほど、あとあと、おとなになってから問題を
起こすことが多い。だから、親としてはつらいところかもしれないが、言うべきことは言いながら
も、今の状態をそれ以上悪くしないことだけを考えて、様子をみる。あせりは禁物。短気を起こ
して、子どもを叱ったり、おどしたりすればするほど、子どもは、二番底、三番底へと落ちてい
く。
(はやし浩司 友だちの問題 友達の問題 悪友 悪友の問題 悪い友達 悪い友だち)
 
 
Hiroshi Hayashi++++++++++Jan. 06+++++++++++はやし浩司

(11)子育ての指針

Q 子育ての情報が多すぎて、どう子育てをしたらいいか、わかりません。指針のようなものは
ありませんか。

A 子育てには、四つの方向性がある。まず未来を見る。子どもに子ども(あなたからみれば
孫)の育て方を教える。それが子育て。「あなたが親になったら、こういうふうに、子どもを育て
るのですよ」「こういうふうに、子どもを叱るのですよ」と。見せるだけでは足りない。幸せな家庭
というのは、どういうものか、夫婦というのは、どういうものか、それを子どもの体にしみこませ
ておく。

 つぎに自分の過去をみる。もしあなたが心豊かで、満ち足りた幼児期、少年少女期をすごし
ているのなら、それでよし。しかしそうでないなら、あなたの性格は、どこかがゆがんでいるとみ
る。ひがみやすい、嫉妬しやすい、いじけやすい、意地が悪い、冷たいなど。そういうゆがみを
知るために、自分の過去を冷静に見る。そしてよい面は、子どもに伝え、そうでない面は、あな
たの代で切る。子どもの代には、伝えない。

 三つ目は、あなたの子育てを、できるだけ高い視点から見る。最初は、近所の人や親類の人
の子育てと比較してみるのもよい。そしてそれができるようになったら、世界の子育てと、自分
の子育てを比較してみる。「日本の子育ては…」と考える。その視点は高ければ高いほどよ
い。まずいのは、小さなカラにこもり、その中で、独善と独断で、ものの考え方を先鋭化するこ
と。これをカプセル化と呼ぶ人もいる。親は、一度このカプセルの中に入ると、何をするにも、
極端になりやすい。

 最後に、あなたの心の中をのぞいてみる。子育ては、ただの子育てではない。たとえばある
母親は、自分の子どもが生死の境をさまよったとき、「私の命はどうなってもいい。私の命と交
換に、うちの子の命を助けて」と願ったという。こういう自分の命すら惜しくないという、まさに至
上の愛は、人は、子どもをもってはじめて知る。

 それだけではない。あなたは家庭という小さな世界であるにせよ、子どもに対して、神の愛
や、仏の慈悲を、そこで実践できる。それはまさに崇高な世界といってもよい。子どもの問題を
ひとつずつ克服しながら、神々しいほどまでに、すばらしい人になった母親は、いくらでもいる。

 こうして自分の子育てを、いつも四つの方向から見るようにする。未来を見て、過去を見る。
上から見て、心の中を見る。

 最後に、親が子どもを育てるのではない。親は子育てをしながら、幾多の山を越え、谷を越
える。そういう苦労を繰りかえすうちに、ちょうど稲穂が実り、頭をたれるように、姿勢が低くな
り、人間的な丸みや深みができてくる。つまり親が子どもを育てるのではない。子どもが親を育
てる。それに気づけば、あなたは子育てのプロ。もう道に迷うことはない。
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司 静岡県 浜松市 幼児教育 岐阜県美濃市生まれ 金沢大学法文学部卒 教育評論家 はやしひろし 林ひろし 静岡県 浜松市 幼
児教育 岐阜県美濃市生まれ 金沢大学法文学部卒 教育評論家 はやし浩司・林浩二(司) 林浩司 静岡県 浜松市 幼児教育 岐
阜県美濃市生まれ 金沢大学法文学部卒 教育評論家 Hiroshi Hayashi / 1970 IH student/International House / Melbourne Univ.
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教育 体罰 多動児男児の女性化 断絶 チック 長男・二男 直観像素質 溺愛 動機づけ 子供の同性愛 トラブル 仲間はずれ 生
意気な子ども 二番目の子 はやし浩司 タイプ別育児論 伸び悩む子ども 伸びる子ども 発語障害 反抗 反抗期(第一反抗期) 非
行 敏捷(びんしょう)性 ファーバー方式 父性と母性 不登校 ぶりっ子(優等生?) 分離不安 平和教育 勉強が苦手 勉強部屋 ホ
ームスクール はやし浩司 タイプ別育児論 本嫌いの子ども マザーコンプレックス夢想する子ども 燃え尽き 問題児 子供のやる気 
やる気のない子ども 遊離(子どもの仮面) 指しゃぶり 欲求不満 よく泣く子ども 横を見る子ども わがままな子ども ワークブック 忘
れ物が多い子ども 乱舞する子ども 赤ちゃんがえり 赤ちゃん帰り 赤ちゃん返り 家庭内暴力 子供の虚言癖 はやし浩司 タイプ別
育児論はじめての登園 ADHD・アメリカの資料より 学校拒否症(不登校)・アメリカ医学会の報告(以上 はやし浩司のタイプ別育児論
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